第二十二話 そして私は知っている
「あっ、佐藤くん!そっちの資料、会議室まで運んどいて!」
「わかりました。……フッ、俺を使い走りにするとは、今の生徒会も人使いが荒いな」
そう言いながらも、佐藤くんは誇らしげに【生徒会】と書かれた腕章を直した。
結局、彼は会長にはなれなかった。
あのあと、会長に当選した斉藤さんが直接会いにきて、彼を庶務係へと誘った。
その後ろに小柳先輩のカーディガンが後ろの曲がり角で見えたのはきっと私の見間違いではないのだろう。
そして、彼は二つ返事でその申し出を受け、毎日生徒会室に来て、誰もやりたがらない細かな雑用や、校内の揉め事の仲裁に奔走している。
そして、私は彼が勧誘を受けた時、すかさず会長さんにお願いした。
「ここで働かせてください」
と少し変な感じになってしまったが、しっかり意志を伝えると会長さんは急に笑い出した。
「アハハハハ。いやぁ。これはこれは……。私の負けだわ。うん。もちろん、庶務係として生徒会に入ってもらおうかな」
そうやって、私と彼は一緒に生徒会に入ることになった。
彼は「フッ、俺の類まれなる能力を、生徒会が放っておかなかったのさ」と得意げに語っているけれど。
彼が内心会長から直接勧誘されてとても嬉しかったことを、私は知っている。
そして、落選した翌日に、風で倒れていた駐輪場の自転車を綺麗に並べ直していた姿を、私は知っている。
「佐藤くんそれが終わったら、次の仕事は部室の清掃チェックだって」
「了解だ。遅れるなよ」
彼は胸を大きく張って、颯爽と歩き出す。
その後ろ姿は、やっぱりどこか抜けていて。
でも、世界中の誰よりもかっこいい。
私は笑って、その背中を追いかけた。
今日も、明日も、その隣が私の指定席だ。
あなたの頑張りを誰か1人は必ず気づいてくれる。
下から★★★★★をつけてくださるととても励みになります。




