29/41
29話「ルールの影」
29話「ルールの影」
夕方。
共有スペース。
新しく書かれた“利用のお願い”が貼られている。
・静かに過ごしましょう
・他者への配慮を大切に
紗季がそれを見る。
「……必要だとは思うんですけど」
雫
「……ちょっと固いね」
そのとき、別の利用者が立ち止まる。
「……守らなきゃいけないんですよね」
少し緊張した声。
空気が少しだけ硬くなる。
宙が言う。
「風がね、“ちょっとピリッとしてる〜”って」
ジュンは貼り紙を見る。
少し考える。
そして、ペンを取る。
書き足す。
——無理のない範囲で大丈夫です
その一文。
空気が少しやわらぐ。
透が頷く。
「強制から選択へ、ですね」
真昼(手話)
「やさしく」
絵凛
「ルールも、灯りみたいにね」
縛るためじゃなく、
“迷ったときの目印”として置かれる。




