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毒を以って毒を制する

この小説の初投稿から約2ヶ月。

ラディカルフェミニスト批判で始めたこの話も、遂に完結の時を迎えました。

あまり閲覧数とかを最後まで稼げなかったという点はありましたが、書きたいことを書けたので、まあ、こんなもんか。といった感じです。

ラディカルフェミニストがこの世から消えるその日まで、僕は小説を書き続けて、戦い続けたいと思います。

 東京拘置所、真夏の朝9時。


刑務官4人が唐助の独房を訪問した。


「加藤。刑の執行だ。」


そう告げたベテラン刑務官。


処刑執行の日が来た。


「……わかった。……すぐいく。」


唐助は抵抗のそぶりを見せなかった。


もう、受け入れていたのだろうか。


若い刑務官に囲まれて、絞首台のある部屋へと連れられていった。


「最後に……食っておきたいものとかはあるか?」


「いや……いいよ。それは。それより……手紙を書かせてくれねえか?」


「……誰にだ?」


「親父と……妹と……晴香さんに、だな。……こんな俺なんかに、最後まで気ぃ掛けてくれたからな……。」


「わかった。」


そういって唐助は手紙を書き始めた。


スラスラと速筆で書いていく。


30分かけ、3人分の手紙を書き終えた。


速く書いた割には字も綺麗で文もしっかりとしている。


「……言い残すことはあるか?」


「……ねえよ。ただ……『ありがとう』、って、晴香さんに……伝えておいてくれねーか?」


「わかった。任せておけ。」


こうして若い刑務官が3人がかりで処刑の準備に取り掛かった。


部屋にはお経が聞こえて来る。


少しでも魂が、極楽浄土へ行ける様に。


その中でアイマスクを被せ、手足に錠をかけ、手を後ろに、脚も縛り上げた。


そして唐助の首にはワイヤー製のロープが掛けられた。


(ああ……死ぬんだな……俺。クソみてえな人生だったけど……その中で最高の女性(ヒト)に会えた……。それだけだったな、俺の幸せは。もう、忘れてくれても構わねえさ。俺のことは……ただ……まともに生きてたら……どんな人生を送ってたんだろうな……。)


死を実感した唐助の口元は笑っていた。


もう、覚悟は決めていた。


死ぬ覚悟が。



「ああ、そうだ、言ってなかったわ……刑務官(オヤジ)さん、……その……ありがとな。俺なんかに……ずっと、関わってくれてよぉ。」


感謝の言葉を口にされたベテランの刑務官は涙を溢しそうだった。


だが、そんなことをすれば仕事に支障をきたす、と頭を切り替えた。


別室にスイッチがある。


若い刑務官が三つのスイッチの前にそれぞれ立っていて、指示を待っている。


何故、3人なのか。スイッチは三つなのか。


床の抜けるスイッチは、刑務官にも明かされていない。


「殺したという罪の意識」を少しでも薄らげるためだそうだ。


ベテランの刑務官が手を上に挙げる。


その合図と共に、若い刑務官達は一斉に、同時にスイッチを押した。



 

 ガコン!!………ビィィィィィィィ……………ン………………。




 一瞬の轟音、静寂、そして、ロープが伸び切る刹那。


地下100メートルになるであろうその抜けた床の下。


暗い闇の中。


その中で、空気を切り裂く音だけが聞こえてきた。


そして唐助を30分吊るし終えたあと、目を確認して、死んだかどうかを判別する。


30分吊るすのは何故か。


この時間が蘇生しない目安と言われていて、それ未満だと蘇生してやり直しということになる。


それはさておき、下でスタンバイしていた刑務官が、唐助の瞳孔を光を当てて確認する。


両目共に光が散乱していた。


虹彩も反応していない。




 旧姓加藤唐助、現姓瀬川唐助、昼12時5分、ここに永眠す。




 私が加藤の刑が執行されたことを知ったのは、午後1時半。


私のスマホに電話が入ったことでその事実を知った。


講演を終えた私は、八潮のホテルで一休みしていた時にその訃報が入ったのだった。


「……そうですか……。はい……はい……。お疲れ様でした。……。」


私はなんとも言えない気持ちになった。


執行されることは分かっていたが、それでも何か大切なものを失くしたようで、心にぽっかりと穴が開いてしまっていたようだった。


「……え? 渡したいものがある? ……わかりました。私もこの後予定がありませんので、すぐにそちらに向かいます。はい。失礼します。」


私はホテルのチェックアウトを済ませ、東京拘置所へ向かった。




 全体黒の喪服に着替え、東京拘置所に到着した私は、ベテラン刑務官に会った。


「瀬川さん……お疲れ様。……加藤がな、お前に渡したいものがあるっつって、手紙を託されたんだ。……後で見ておいてくれよ……。」


「ええ……。ありがとうございます。……ところで……あの人は……。唐助さんは、何か最期に言ってませんでしたか……?」


「……アンタに向けて……ありがとう、だってさ。……全く、初めてアンタと会った時とは思えねえような言葉が出てきてさ……俺、アイツが死んだ後泣いちまってよ。……アイツは……死刑囚として死んでいったんじゃねえ……ちゃんと……『()』として死んでいったんだ。……礼なら俺からも言わせてくれ。……ありがとうな。アイツを……『人』にしてくれて。」


私は一礼をして、車に乗って拘置所を後にした。


車の中で私は泣いた。


家に帰った後も泣いた。


そして、唐助からの最期の手紙。


感謝の言葉と、後悔の念が綴られており、それを見て、私はまた、泣いたのだった。




 あれから一年が経った。


記者としての仕事も、講演の仕事もない日のお盆の季節。


私は唐助が眠っている墓に足を運んでいた。


「……手紙……見ましたよ……。俺のことをもう、忘れてくれ、なんて、こっぱずかしいこと言わないでくださいよね……。忘れるわけないじゃないですか……。貴方が選んだ女性なんですから。最初で最後の……。こんなこと言うのもアレですけど……ありがとう、なら私の方からも言いたいですよ。……貴方のおかげで私も成長できて……今こうやって仕事量も増えてって……。だから……こんな私を選んでくれて……ありがとうございました。」


私は自然と涙が出ていた。


そして、手紙を置いて、墓を後にしたのだった。




 今、最も影響力のある女性になろうとしている私は、ある種「毒」なのだろう。


影響力という名の「毒」だ。


そしてまた、虐待被害経験者という「毒」もある。


私は今、「殺人鬼を生み出す教育」と戦っている。


それは親が子供を雁字搦めにする教育だ。


その「毒」と、私は今戦っている。


勿論今でも、「女性優位社会」を唱えている人間からは批判されたり脅迫文が届いたりもしていたりする。



 私はそんなことを気にしている暇なんかない。


今もこうして、親のエゴで子供が歪んだり、亡くなったり、はたまたそういった環境で育った子供が加藤唐助のように残虐な事件を起こしていたりしていたりする。


だから私は生涯に亘って戦い続けなければいけない。


悲惨な事件を未然に防げる世の中にするために。




 「毒を(もっ)て毒を制する」ために。


私は今日も、死刑囚の取材という「茨の道」を突き進んでいく。

こうやって殺人鬼の話を書くことで、また色々と歴代の殺人鬼を調べてったりするものなんですよね。

そうすると、大抵が虐待を受けて育ったり、複雑な家系で育っていたり、精神異常者の家庭で生まれて自分もまた異常精神で生まれる、というループが多いんですよね。

今回の話もその典型例で、親が表現物を規制しまくったら最終的にこの様な事件を起こしてしまうということになりかねませんからね。

……こんなことをこの話の最後に言うのもなんですが、ラディカルフェミニストを唱える人間の理論というのは社会に適さず、ましてや教育現場では何の役にも立たない、と思います。

だって事実、この小説の題材の「秋葉原通り魔事件」も、ラディカルフェミニストの理論の中で育った子供が大人になって起こした末路なんですから。

だから僕がいつか親になった時の自戒の念も込めて書きました。

自分がそうならないように。また、僕の未来に生まれて来るであろう我が子が犯罪を犯さない様に。

勿論犯人には同情はできません。

ですが、犯人以上に、ソイツを作り上げた母親を許せるわけにもいきません。

あの事件の犯人もまた被害者なんです。

だから規制を厳しくし、味を占めて表現規制に暴走するラディカルフェミニストが本当に許せません。僕は真正面からラディカルフェミニストに喧嘩を売りました。この話を書くことで。


この話はここで終わりますが、僕の小説で1人でも多くの人が救われるよう、書き続けていきたいと思います。ここまでの御清読、ありがとうございました。他の僕の連載作品も是非、よろしくお願いします。

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