第10話 野郎会議
林 : まあ、分からんけどね
松野 : は?
宮島 : どうしたの?
林 : 分からないけども
松野 : だからなにが。急に
宮島 : 脈絡が
林 : ワンチャンというか
松野 : メンドイ
宮島 : え。もしかして
林 : いやだから、分かんないけどね。
松野 : なに、彼女できたん?
林 : いや、まあ、なんというか
宮島 : ついにリン氏結婚
林 : それはない。マジで
松野 : じゃあなんだよ、この引っ張りは
林 : ないけど、この先は分からないかもなっていう
宮島 : する可能性もなきにしもあらず?
松野 : ほお。前向きじゃん
林 : いや最初に言っとくけど、ルックスとかは普通よ。むしろ普通以下かも。
松野 : 別にいいよ、そんなの
宮島 : お年は聞いてもよろしいのでしょうか。
林 : 六つ下
松野 : 俺等が三十五だから二十九か。そういうことね
林 : なんだよ、そういうことねって
松野 : 彼女はある程度考えてんだろ、結婚を
林 : いや、話とかはしてないよ、一切
宮島 : でもリン氏はそれを分かってるわけだね
林 : それは、まあ
松野 : で、そうなっても構わないと
林 : いや、まだ分かんないって本当
松野 : まあ、とりあえずいいんじゃね
宮島 : 付き合ってどれくらいなの?
林 : 三ヶ月だけど、昔から知ってた子ではあるのよ
宮島 : なるほど
林 : で、なんとなくそういう関係になって
宮島 : お付き合いしだしたと
林 : なんかあれなんだよ、結婚とかは全然いいみたいな感じなんだよ
松野 : いいって、どっちのいい?
林 : しなくてもいい
松野 : それは、そう言っとかないとプレッシャーかけちゃうからじゃないの
林 : そうかもしんないけど、かえってそっちの方がね、なんかね
宮島 : ちゃんと将来を考える?
林 : ってことなのかなあ
宮島 : 我々もアラフォー入りましたからね
松野 : それもあるだろうな。その子も三十一くらいになったら前の子と同じ感じになるんじゃね
林 : それはそうかもな
宮島 : 結婚までのお付き合い期間、平均は四年くらいらしいです
松野 : ってことは三十九と三十三か
林 : くっきりさせるなよ、未来を
松野 : 三十九と三十三か
林 : 二回言うなよ
松野 : そこで子ども産まれたとして、成人する頃は五十九と五十三か
林 : 松野くん、そろそろ
松野 : 五十九と五十三か
林 : おい!
宮島 : でも考えちゃうよね、そういうの
松野 : 誰でも考えるよ
林 : 本当分かんないよ。来月には別れてるかもしれないし。
松野 : そんなこと言ったら誰でもそうだわ。
宮島 : 前はそんな心境にならなくて、今回ちょっとそう感じたのは、単純に心境の変化?
林 : それもあるだろうけど、
宮島 : けど?
林 : この子とだったら不幸になっても乗り越えられそうだなっていう
松野 : ニヤニヤ
林 : 松野くん
宮島 : 結論かもしれないですね
林 : いやなんかさ、若くて美人嫁で結婚したら毎日楽しそうー!っていう幸せに向かう感じより、地震が来て全部めちゃくちゃになっても、この子とならもしかしたら、っていう
松野 : いいじゃん
宮島 : 結論出ましたね。
林 : いやまあ、ざっくりね、ざっくり。言うなればね。ミヤジが聞くからよ。答えるならば、ね。
松野 : とか言ってわりと話したかったんだろ。
林 : そんなことは
松野 : なにが「まあ、分からんけどね」だ。どんな入り方だよ
宮島 : かまってちゃん
林 : うるさいぞ
松野 : でもあんた二十代の子とかめっちゃいいじゃんって、一般的にはなるよ
林 : そうだけど、やっぱり街中で美人に目は行っちゃいますよね
松野 : 彼女と一緒にいても?
林 : 気づかれないように……
宮島 : 気づいてそう
林 : いや、目線は行っちゃうじゃん、どうしたって。
宮島 : いいなあ……って?
林 : うーん……違うなあ、とは。
松野 : 違う?
林 : あの子たちとは違うなあと
松野 : そんなん言ったら芸能人とも全員違うだろ
林 : いや、そうなんですけどね
宮島 : リン氏の彼女は美人が多かったのかな?
松野 : こんなのが?
林 : こら
松野 : まあ今のうちだけだろ。もう三十五だし。
林 : 外にいるときはそういうときもあるけど、二人でいるときは一番楽なんだよね。
松野 : ノロケか
宮島 : でも一番いいのでは。
松野 : じゃあ、まあ、飲み行くか
林 : いや、いいよ、そういうノリは
松野 : いや別に、そういうのじゃねえよ。この間の二次会の連中にも声かけてさ。また会おうって話したじゃん。
宮島 : 賛成! 行けなかったから。
林 : 田崎来るかな? 大変そうだったけど。
松野 : でもあいつが一番本気だったじゃん。マジで誘ってって。そういう悩みは話せる相手限られるから、息抜きしたいんじゃね
林 : じゃあ女子は呼ばない方がいいか?
松野 : そもそも連絡先知らねえ。林知ってんの?
林 : 何人かとは交換したけど
宮島 : 神ファイブ?
林 : 神ファイブは横山と田畑だけ
宮島 : さすがリン氏
林 : 神ファイブより細田と交換したかったけどな。弁護士の友達欲しいじゃん。
宮島 : 細田さんとは会話したの?
林 : 「あんたまだ独身なの?」って言われたから「お前それハラスメントだぞ」って言ってやった。
宮島 : リン氏って細田さんと仲良かったよね
林 : あいつは地元が近いんだよ。でも松野も女子と話してたじゃん
松野 : 話してたけど連絡先とか別に交換しなくね
林 : なんでよ
松野 : 用件ねえじゃん
宮島 : これが既婚者
林 : 不倫とかしろよ
松野 : なんで同級生と
林 : 不倫って同級生とするもんなんだよ?
松野 : AVの見すぎだろ
林 : でも今ミヤジ行ったらモテそうだよな、女子に
宮島 : それはない
林 : あるって。絶対優良物件だもん。チャラくないし、会社太いし。
松野 : 確かに
林 : あいつらを引き付けといて、最後に突き落としてほしい。
宮島 : なぜに
林 : お前ら今更遅いんだよ! あーはっはっはって。
松野 : なにもんだよ
宮島 : でも今回は、いったん男子だけでいいかと!
松野 : じゃ、とりあえず野郎だけにすっか
林 : 野郎会議だな




