n.11 戯れ
風邪ひいて調子が悪いです…。
またも更新遅れてごめんなさいっ!
今後も…もしかすると…です。
「邪魔するよ」
「…久しいな。そろそろ、ってか?」
「ま、そうなるね。んで、それは役に立ったみたいだね」
ナムタルの持っている鎌を、指差す。
私に捕まるまで、こいつの使っていたものだ。
「ああ、お陰さまでな。ったく、お前は、本当に規格外すぎるな」
「はははー、私が見せてるのは、まだほんの一部に過ぎないんだけどね。これから、本気を見せてあげるから。覚悟してなよ」
「ああ、存分に楽しませてもらうよ」
キャンサーとハツユキ、そしてナムタルもこれからは共同戦線となる。
ナムタルは、今まで通り暗殺者としてしばらくは動いてもらおう。
「んじゃ、今からやることを簡単に説明するよ」
これから、この街の中央で魔法を使う。
…これは、世界樹でリーグ様に教えてもらった魔法だ。プレイヤーというか、人間の間では知られていないんだけど、難易度は全然高くない。
初級魔法に分類されるほど簡単であり、別に誰でも使えてしまうのだ。
この魔法を使うと、魔力の波が広がっていく。魔法と言っても、なんの効果もない。本当にただ魔力の波を引き起こすだけだ。
まあ、要するに…この波で魔族やら龍やらと連絡を取る(と言っても、一方的にこちらから伝えるだけの)簡単な仕組みだ。
…ちなみに、これはあまりにも小さすぎるため人に感じとられることはない。例えどれだけ精度のいいセンサーであっても捉えられないだろう。
これで…あらかじめ待機していて貰ってる魔族に、少し演技をお願い…まあ軽く街の一部を破壊する。生物には被害を出さないようにしてもらうよう言ってあるので問題ないだろう。
その後、私達も同じように、三方から攻撃を加える。そのあとキャンサー、ハツユキ、ナムタルの三人は魔族側と合流してもらう。
そして私は、天使の姿で宣戦布告を言い渡す。まあ、あくまでアクセサリとかを使った仮の姿だけどね。
「ってことで、準備はいいね」
「ああ、いつでもな」
ちなみに、魔族へのコンタクトは、暗精霊のクロア様からしてもらった。クロア様ありがとう。
さて、それじゃあ行くかな。
「それじゃ…始めましょうかね」
「じゃあ、二人とも、よろしくね」
「はいはーい」
「了解しました」
「お前もがんばれよ」
「わーかってるって」
街の中央にて、隠密魔法を使ってそれぞれ持ち場へと分かれていく。
キャンサーがナムタルと行動することになる。ハツユキは単独だ。
そして私は、ここで魔法を使う。波状に魔法を展開するだけだ。何の苦労もない。
三人がそれぞれ分かれたのを確認。
…よし…魔法、発動っと。
「さて…それじゃ急ぐかな」
足早に、北側へと向かっていく。西と南は三人、東には魔族がいるため私の担当する場所というわけだ。
多分、辿りつく頃には…と思ったらもう既に始まってるな。
急がないとねー。
人魚の衣と烏の翼、鏡面の腕輪を装着。
翼は天使の羽へと姿を変えている。
「まあ、いいか。さてと…それじゃ、やりますかね!」
この前貰った世界樹の枝で作った銃を手にする。
前回のハンドガンとは違い、こちらは重機関銃…本来なら持ち運ぶような大きさではないものだ。
いや、正確には銃かどうかも微妙だ。
大きさは、全長でなんと5m!
…うん、おかしいよね!でも、このサイズが普通なんだよね!
だって、
「チャージ…レールガン、発射!」
発射と共に、ねらっていた場所に弾丸は着弾した。
…うん、これは威力高すぎるかもしれない。
建物の壁に軽く3mほどの大きなクレーターができた。
「…モードとか出力の切り替えが必要か…」
レールガン。ご存じの人も多いだろう。
電磁加速砲の名の通り、電磁力を利用して推進、加速を発生させた弾丸を発射する。
二本のレールで弾丸となる電気伝導体を挟んで、それをなんやかんやして加速、発射するというものだ。よく兵器として用いられることをご存じだろう。
膨大な量の電力を必要とし、また弾丸として用いられる金属やレールの消耗率も高いため、非常に扱いにくいのだ。そのリソースに見合うだけの威力を叩き出せるかも微妙なところである。
このゲームでは、電力は魔力で補うことができるものの、弾丸はバカにならない。それこそ、鉱石の塊をそのままぶち込むようなもんだ。弾丸の費用やレールの修理費が高すぎる。
もちろん、世界中の枝で作られたこのレールガンにそんな難点は存在しないが。弾丸もいらないし。
ちなみに打ち出すのは固形化した魔力である。魔力なので魔力による影響を受けやすいため、推進力を乗せやすいのもいいところだね。もちろん消費魔力は高いけど。
「んー…出力30で、モードはEかな」
さらにさらに、このレールガンのいいところはモード切り替えもできる点だ。
普通のレールガンでも、電力の出力量は変更可能だけど、これは発射する弾丸の種類を切り替えが可能だ。
全部で四種類、Usually(通常弾)、Explosion(炸裂弾)、Penetration(貫通弾)、Debris(拡散弾)となっている。
通常弾はそのまんまだね。さっきのはこれ。
炸裂弾は、着弾地点で弾けるタイプだね。弾丸が脆く設定されていて、砕け散る。強い衝撃が発生するのが特徴だ。
貫通弾は弾速や鋭さに特化している。通常弾と違い、鉄板とかに撃てば凹ませることなくあたったところを貫く感じ。
拡散弾はショットガンだね。多数の小さい弾丸が広範囲に広がる。射程が短いけど、破壊力は一番高い。
ちなみに、質力は最大で100、最低で1とわかりやすい。これの数値の二乗、MPを必要とする。マジでバカにならん。
「ってぇい!」
少しずつ建物を削る。もちろんやりすぎないようにね。
まあ、出力30でもダメージは3000を超えるんだけどさ。
「ふぅ…ま、これでいいかな」
ある程度暴れたので満足し、レールガンを仕舞う。
代わりにハルバードを持つ。
「私、出陣っと」
*Side アイシャ*
街は、騒然としていた。
突如として、街の一角が何者かの手によって破壊され、それが今も尚続いている。
戦う術を持たない人は逃げまどい、兵士は戦闘へと向かい、冒険者(私たち)は住民の避難誘導を行っている。
「急げ!崩れるぞ!」
「逃げてください!」
人々は惑う。
断続的に響く爆音、轟音に。
それは気付けば、街の四方で鳴り始めていた。
…どれくらいこの状況が続いただろう。
街は、静けさを取り戻していた。
「一体何が…?」
これは何らかのイベントであろうか…?
『愚かなものです』
!?
『私たちは敵ではなく、あくまで中立である予定であったのに』
…上か!?
『人間よ…貴方たちの行いは目に余る』
「…天使…?」
誰かが呟いた声。
それは、おそらく全ての人の心のうちを表現したものだろう。
『そうですよ。私たちは、天より使わされし存在。貴方たちの認識で言えば、天使というものでしょう』
一対の翼を持つ人影。
手に持つのは、身長ほどあるであろう槍…ハルバードか。
顔は遠く、逆光になっているため見えないが、こちらを見下ろしている。
『貴方たちの行いは数多の罪を生んでいる。勿論、全てが罪ではない。本来であれば、このぐらいの罪は見過ごすはずでしたが、しかし…』
高度を少しずつ下げてくる。
『事情が変わりました…貴方たちの行いの結果、生態系は大きな変化を受けるかもしれない。ならば、それを私たちは防がなければなりません。この刃を使ってでも』
街の中央に降り立った天使は、そのハルバードを空へと掲げる。
…あの顔…どこかで、みたような…?
『私は、貴方たちへと宣戦布告をする。これ以上、この世界を壊すのであれば…私たちは貴方たちを殲滅すると』
誰も口を開かない。
いや、口を開けないのだ。雰囲気に呑まれている。
…これが、本物の強者なのだ。
『名乗らせていただきます。私の名はミレニア。悠久の時に、この世界を見続ける者。熾天使の一人ですが…既に何名かは、私をご存じでしょう』
ミレニア…。
熾天使は四人で、それぞれに名前がある…というのは、この世界では通用しないということ。
…そして…おそらく、彼女が熾天使の最高位…!
『今回はここまでです。…以後、私たちは貴方たちを監視し続けます。怒りを買わないように…お気を付けください』
ハルバードを手放すと、地面にそれが落ちてゆく。
しかし、それは地面に当たるとともに砕け散る。
砕け散った欠片がミレニア…さんに触れると、その場所から同じように崩れていく。
『人間…私に挑む覚悟ができたときに、また会いましょうか』
白い欠片へとなり、風に吹かれて消えてゆく。
…アレは一体…
*Side ミレニア*
「ふぃー」
慣れないことをすると疲れるね…。
まあ、本来の天使の在り方なんだけども、私には無理な話だよ。
「さてと、みんなに合流しないと」
あらかじめ用意してある合流地点へと向かう。
ハツユキの目覚めた場所である、あの石碑だ。
【フィールド:ライナーフォレスト】
「やほー」
「待ってましたよ」
「来たか」
三人がそれぞれ、こちらを見て挨拶をする。
もちろん、キャンサーとハツユキとナムタルのことだ。
「待っていた」
「初めましてですわ」
そして、二人の魔族の人がそこにいた。
二人とも力は弱いけどとてつもない量の力を持っている。
「二人が、今回の作戦の協力者だね。ありがとう」
「気にするな」
「ええ、面白いことは大好きですから」
とりあえず自己紹介をする。
まず、少し無愛想な人はエクス。ゴースト系の魔族だ。
ちなみにゴースト系は物理ダメージが聞きにくい。しかり光属性のダメージに非常に弱く、なんと倍率補正5000%と設定されている。
まあ、光属性の扱いはプレイヤーではLv40前後からとなるため、こいつらにはそれなりに苦戦することもあるだろう。
ゴースト系とはいえ人のようにしっかりと姿は見える。この辺は個体差があるらしい。
ちなみに死霊魔法を扱う。怨念等が多ければ多いほど強くなるとのこと。
もう一人はティアス。こちらは龍と魔族の間である、魔竜系だ。
ちなみに魔龍系とは、本来魔法を苦手とする龍の一部が魔法を使えるようになったためにそう呼ばれるものである。
元々、魔法への適正のない龍が魔法を使うのは難しい為、魔族のような姿へと副作用で変わってしまったのが彼女たちだ。
背中からは一対の翼が生えており、頭には魔龍特有の角がある。
ちなみに肉弾戦の方が得意であり、高い防御性能を持つ。魔法はこちらでいう上級までは使えるので意外と侮れない。
「えーっと、じゃあ…」
と、話を始めようとした時のこと。
『ゲーム内時間の30分後、システムメンテナンスのため強制ログアウトが実行されます』
というアナウンスが流れた。




