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e.12 東の砂浜

 スキルショップ。

 その名の通り、スキルを売っているショップだ。中規模以上の街なら殆どの場所にある。

 ここではスキルをFで購入することが可能だ。値段はそのスキルによって変わり、効果の低いやつならば安くて1000Fほど。高いものとなると、100kとかする。

 そして、スキルショップで売られるスキルにも様々なタイプがある。

 まずスキルブック。大体20~50ページほどの本で、読むことでスキルを修得できる。この時のスキルレベルはどんなものでも1からだ。値段はまあまあするけど、簡単に覚えられることで有名だ。しかも本は使い回しができる。覚えた後に返却すれば、購入額の6割が帰ってくるのも人気だ。

 次にスキルオーブ。既定の方法で、そのアイテムを消費してスキルを覚えることができる。覚えられるスキルによって方法が変わるという。例えば、剣のスキルであればこのアイテムを所持した状態で剣を使って敵を50体ほど倒すとか。スキルを覚えたタイミングで、既にスキルレベルが高い状態で手に入る。労力はいるし値段も本より高いけど、レベルが高いスキルが手に入る。

 そしてスキルクリスタル。基本はオーブと変わらないけれど、こちらの特徴はさらに条件が厳しいことだ。オーブの方は、『剣で敵を50体倒す』だった条件が、『剣で敵の急所を攻撃し50体倒す』になっていたりする。こちらはオーブよりもさらにレベルが高いスキルが手に入るがさらに値段が高い。

 あとはスキルボックス&キー。これは、小さな箱のような形をしている。仕掛け自体はなんてことないが、クリスタル以上の難易度を誇る。これでスキルを覚えるには、ボックスとキーが必要で、それぞれが対となっている。箱に合った鍵でないと箱は開かないのだ。しかも、その店で必ずしも解錠できる鍵があるとも限らない。最悪の場合、別の国まで行かないと手に入らないこともある。ギャンブルなだけに、効果は他のどんなものよりも高い。値段は安くないけど。

 ちなみに、一定時間だけそのスキルが使えるようになるスキルドリンクっていうのもある。値段は安いけど消耗品だし、レベルは1~5の五段階があり、そこまでしか使えない。魔法が使えない人が一時的に魔法を使えるようにしたりできるけど、効果時間はゲーム内で30分ほどだ。

 そんなわけで、私が買うのはランクの低いスキルオーブだ。その中で、中身の分からないランダムのやつを買う。オーブは最低額が2000F程度で、ランダムの奴は地味に高い3400Fだ。

 いいものが出ればいいんだけど、これも一種の賭けだ。私はこういうのが好きである。

「ありがとうございましたー」

 さて、買い物も終わったし、行こう。

 スキルの解除条件は…素手で敵を30体倒す、と。

 素手か…まあ行けるだろう。

「早く暴れようよー」

「キャンサーはあんまり出過ぎちゃだめよ。目立つと困るから」


【フィールド:クラックビーチ】


 このフィールドに出現するのは、話題に上がっていたクラブという魔物が多い。

 クラブは蟹だ。全長30cmほどの小さい蟹から、最高で1mぐらいか。

 それと貝が何種類かいる。ここは初心者向けだから全てノンアクティブである。

「まずは…ハクロの貝殻を10個か。ハクロってどれかしら?」

 所々にいる、様々な貝にカーソルを合わせる。

 黒色と白色の縞模様の海にカーソルを合わせたら、ハクロという名前が出た。これか。

 大きさはハマグリぐらいだけど、ハマグリより丸っこい気がする。

「よっ!」

 まずはハルバードで攻撃を加えてみる。この武器は強いから、結構ダメージが入る。

 私本人は弱いけどね!

「ほい、っと」

 このハクロの攻撃手段は、砂を吹きかけてくるみたいだ。

 あたると少しだけ怯みが発生する。ただ攻撃頻度があまり高くないので、そこまで脅威ではない。

 そして五回ほどハルバードで切ったら倒すことができた。

 一回のダメージが80。ちなみに素手で殴ったら2である。

 ハクロの体力は350。殴ったら175回の攻撃が必要なんだよね。

 ちなみにその距離になると、触手でこちらを攻撃してくる。触手には弱い毒があり、10%の確率で毒1が発生する。

 ハクロの貝殻は、装飾品として用いられることが多い。というか他に使い道なんてない。

 蒼鉄が多く含まれているため、熱を加えると鮮やかな青色になる。塗装とかにも使われるし、魔法の伝導率も高いから実用性もある。

 その有用性から、こうして依頼を出されることも多い。ポップする数も多いから結構楽だ。

「ねえ、あっちになんかいるよ」

 そうして何体か狩っていると、キャンサーが遠くを指差して言った。

「え?何が…」

 そちらを見た時、こっちに向かって人が飛んできた。

 そして私の目の前に転がる。剣士(ソルジャー)のプレイヤーだ。

 この人が飛んできた方向を見る…そこでは、何人ものプレイヤーが、巨大な蟹と戦っていた。

 推定高さ10m…クラブのような見た目だが、色が違う。鋏の形も少し違う…あれは挟むものじゃないだろう。明らかに潰すものだ。

「戦っていい?」

「貴方が行ったら一瞬で終わっちゃうわよ」

 推定レベル15ぐらいか。私でも十分対処できそうだけど。

 そうしている間にも、何人も人が飛んでいる。まだ一人も死んではいないけど、体力はかなり削られている。

「…キャンサー、この距離って攻撃できる?」

「余裕だけど…そしたらあのプレイヤーごと巻き込むかもよ」

「そっか…桁が違うわね」

「でも私は近接型なんだよ。ステータス見れば分かる通りにね」

 それはキャンサーが異質なだけ…とは言えないな。

 この戦い方に慣れてるみたいだし、前衛は任せても問題ない。攻撃と回避の二役をやってもらえる。

 でもLPが200以下というのは心配だ。

「じゃあいいや。放っておこう。でも、もしも他のプレイヤーがいなくなるかこっちに攻撃してきたら、遠慮はいらないよ」

「はーい。じゃあ私も近場の奴を狩るよ」

 マップを確認しながら、ハクロを狩っていく。

 ちなみに素手で魔法を使うことで、オーブにカウントされていく。あれにはあくまで、『素手で倒す』としか書いていない。素手の物理攻撃とは書いていないから、これでもカウントされる。

 ちゃんとした仕様だし、上級者なら誰でも分かる。言葉のトリックだからね。

 マップ上の反応が、少しずつ減っている。主に緑色の点ことプレイヤーだ。一際大きなあのクラブの周りにいたプレイヤーは、もう残り10人もいない。

 まあ、難易度が低いはずの場所にあんなのが出てきたのだから無理もない。ここにいるのはまだ低ランクのプレイヤーだろう。

 でも、あれだけの人数から攻撃されてまだ普通に動けているのか…あの蟹、他とは違うみたいだね。

「キャンサー、ハクロは集め終わったから次のやつやろっか」

「はーい」

 ハクロの貝殻がすぐに集まったので、次は翡翠の真珠を集める作業に入る。

 この真珠を持っている貝はハクロに似ているけれど大きさが一回りほど大きく、色が少し青っぽい色をしている。名前はサリモという。

 面白い名前だけど、ハクロよりも攻撃的で防御も硬い。ただ魔法には弱いという弱点を持っている。

「【フレア】」

「【スターショット】」

 キャンサーと魔法を唱えて倒していく。

 私の使ったフレアは、ファイアバレットの次に使えるようになる火属性の魔法で、ダメージは低いけど当たった相手を確率で炎症1(火傷)の状態異常にする。

 炎症1の効果は、一定時間DEFとRESを10%低下させるというもの。つまり受けるダメージが通常時の1.1倍になる。

 キャンサーのスターショットは、星属性の最も基本的な魔法。

 細い光線で敵を貫く。貫通するため後ろにいる敵も攻撃できる。ただし反射して帰ってくることがあるので気をつけないといけない。

 敵と認識しなければ味方にダメージは入らないけど、自分の攻撃では自分にダメージが入る。何故そんなシステムなのかは分からないけど、別に珍しくはない。

「また新たな挑戦者が来てるね…」

「あの装備で勝てるのかな」

 そして私たちが依頼品を集めている間に、また新しく蟹に挑むものが出てきている。

 そしてことごとく倒されていく。中には、装備も連携もうまいPTもいたのだが、残念ながら前衛が倒れた時から一気に押されて負けていく。

 …いやぁ、しかし全然体力が減っていない。いや、自然回復があるんだろうな。

 さすがはボスクラスってところか。そしてリジェネ持ちだから厄介だ。

「また全滅したね」

「これで14PT連続だよ」

 最初のを含めて、既に100人ほどがノックアウトされている。

 …見ていて思ったのだけど、あれはPTで戦うのは得策じゃないのではないか。他のエネミーと違って、ボスクラスの奴はヘイトをある程度まで無効化することがある。

 そのため、挑発系のスキルを使っても意味がないことがある。

 例えば体力の低いやつを優先して狙う。もし回復役がいるのならば、回復役は最優先で狙われる。

 PTを組んでいる人は、基本的に一人一人の役割を持っている。そしてそれに慣れてしまうと、誰かが欠けた時にその穴を埋めることができずに混乱してしまう。それを補える実力があるなら話は別だけど、まだそこまで強いプレイヤーはいないだろう。

 だからボスクラスを相手にするときは、より注意が必要になる。場合によってはPTよりもソロの方が楽ということもある。それも実力がある人じゃないとできないけど。

「私たちが倒してもいいんだけど、面倒なことになるよね」

「なら、次来るPTに便乗して攻撃すればいいんじゃない?二人で攻撃を裁き続けて、攻撃は他の人達に任せるとか」

「それなら、確かに目立つことはないか。一応VRMMO上級者ってことにしておけば、慣れで何とかなるしね」

 次のPTが来るまで、引き続き依頼をこなしていく。

 そして、ほとんどの依頼が終わった時、また新たなPTが挑み始めた。

巨大蟹はフィールドの特殊ボスです。

かなり低確率でスポーンします。同時に出現する数は1体までです。

ちなみに本来のボスよりも強い個体もいます。そして殆どが特殊能力持ちです。

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