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お気に入り登録者様が15人になりました。ありがとうございます。

今回は短めとなっています。

「ここが…天使の街」

「そうだよ。私のホーム。これからはキャンサーのホームでもあるからね」

 久しぶりに、天使の街に帰ってきた。

 キャンサーは私と一心同体なので、これからはキャンサーも一緒に住むことになる。

「改めてようこそ。天使都市 グランドフォースに」


【フィールド:天使都市 グランドフォース】


「熾天使様、お帰りなさいませ。ご無事で何よりです」

「ただいま戻りました。すみませんが、少し部屋で休ませてもらいますね」

「承りました」

 さて、戻ってきたばかりだけど私はこれから自室に籠る。

 その前に、シャルさんには話しておいた方がいいか。

「精霊の方たちの代表者であるリーグ様とコンタクトを取りました。今後、協力していきたいとのことです」

「それはありがたい。是非お願いしたいですね」

「シャルさんにも、参加してもらうことがあるかも知れません。その時は、よろしくお願いします」

「わかりました」

 オンリーサンクチュアリの中に入る。

 久しぶりに来たんだけど、此処に入るのはまだ二回目だから実感はないな。

「これはすごい効果ですね。癒されます」

 キャンサーもこの調子なら馴染んでくれそうだ。

「ところで、何でシャルさんと話してるとき隠れてたの?」

 実は街で、カードケースというアイテムを買っている。本来はカード系の回復アイテムを入れるのに使うんだけど、キャンサーを持ち運ぶ(失礼な言い方だけど)のに便利だから買った。

 いつもは顔を出して周りを見ているんだけど、何故かシャルさんと話してるときは中に隠れて出てこなかった。

「別にとって食べたりしないよ?それにシャルさんは信頼できると思うけど」

「いや…私…じゃなくって、精霊って基本的に男性恐怖症なんだよね。精霊同士ならそうでもないんだけど、他の種族で男性ってなると…ちょっと無理なの」

 …どんな裏設定なんですか、それ。じゃあ私が男性だったらこの状況もなかったのか…あ、でも熾天使は設定上女性だけだったか。いや、どういう設定だよ、それ。

 あー、ちなみに精霊同士なら、とは言ったけれど、精霊は女性しかいない。一人だけ例外がいるけれど、本物の精霊という意味では、女性しかいない。

「あー…なら無理もないか。って、だから街中でも出てこなかったんだね」

「そうそう。あっちは単純に見つかると厄介だからというのもあるんだけど、それよりも男性に対する恐怖心が大きいから」

 この辺の設定は、結構作りこまれている。

 人間のことを嫌う理由と、男性恐怖症が精霊に根付いているのは同じ理由がある。他の種族との関連性も少なからずあるね。

 それについて語るとそれなりの時間もかかる。今はまだ、話していい段階でもないからね。

 相変わらず優秀なヘッドギアの情報である。

「うーん、そうなると今後のこと、もう少し考え直さないといけないか。うーん…」

 シャルさんには申し訳ないけれど、だったら女性の方がいいかな。無理してこっちに合わせてもらうのは忍びないし。

 大丈夫。少しずつ慣らしていけばいいさ。誰だって苦手なものはあるものだし、それはしょうがない。

「悪魔の方との連絡もとらないといけないのか…でもどうやって連絡取り合えばいいんだろ?」

「悪魔…あ、なら精霊の何人かが伝手を持ってるはずだよ」

「精霊も悪魔とコンタクト取ってるんだ…」

「うん。ただ、ちょっと属性が特殊な精霊ばっかりだけど…」

 キャンサーの様子からすると、おそらく厄介なことになりそうだ。

 特殊な属性で思いつくのは、傷・崩・壊の三つ。それぞれ悪魔ともつながりがありそうな属性だし、間違ってはいないと思う。

 …この三属性の主は普段、他の精霊の前にも姿を現すことがない。というか何処にいるのかも分からたない。

 精霊では最古参に分類される精霊だからね…リーグ様たちよりも、もっともっと深くて大きな傷を負っている。

「暗属性のクロア様も、一応繋がりは持ってると思うよ。最近は忙しそうにしてるから、多分リーグ様に言われて走り回ってるんだと思う」

「リーグ様って…もしかして結構S?」

「ふっ…!」

 私が素直に思ったことを口にしたら、思いっきり笑われた。何故?

「いや…仮にも主精霊様に向かってその言い方はないでしょ…!あー、おかしい」

「私だって天使では最高峰の熾天使なんだけどね…」

「ごめんね。もしかして、そうやって接したほうがいい?」

「いや、今のままでいいよ」

 うーん、でもリーグ様はSだろう。誠意はちゃんと持ってるいい人だけど。

 親しい人に対してはやっぱり素の自分が出やすくなるんだろう。だから他の主精霊はきっとリーグ様には逆らえないって。

 私が主精霊に様とつけるのは仕様である。天使としての仕様で、それ以外で呼ぼうとするとなかなか呼べない。普段はそんなことないんだけど、何故か主精霊にのみ反応するんだよね。

 …これも運営の仕様なんだろうねぇ…。

「うーん、ごめんね、私はちょっと寝るわ」

 ベッドに寝そべる。これから一回ログアウトする予定だ。

「そっか。じゃあ私も一緒に寝るよ」

 何故か、通常サイズに戻ったキャンサーが一緒にベッドで寝て抱きついてくる。

「おやすみ」

「おやすみー」


【HORからログアウトします】

【アバターの休眠状態に入ります】

【ネットワークを切断します】

【ヘッドギアの全プロセスを終了】

【システムを終了します】


「…ふぁ」

 目を開けると、一瞬ここがどこだか分からなくなる。

 …研究所だったな。

「…はぁ…頭が痛い」

 現実に帰ってくると、毎度のことながら情報量に頭が追い付かないことがある。

 元々VRはバーチャルリアリティの名の通りに、仮想でありながら現実という矛盾した世界である。あるいはもう一つの現実とも言うのだろう。

 その影響か、あまりにも現実と離れすぎたVRだと脳がどちらの現実を基準にするのか分からなくなってしまう。あちらが現実でこちらも現実。しかし本来現実は一つであるためだ。

 お陰さまで、戻ってくると脳が混乱状態になっている。しばらくは休んでいよう。

 ………

 ……

 …

「………くしゅん」



*Side ナナ(三人称視点)


「…つくづく驚かせてくれるわ」

 ナナの見つめるモニターには、ミレニアの行動記録が映し出されている。

「さすが私の妹ね。不可能を可能にする」

 ナナがこのテスターとしてリリを選んだのには、いくつも理由がある。

 そして思惑通りに、むしろそれ以上の成果を、リリことミレニアは出していた。

「この調子で行けば、予定よりもかなり早く終わるけど…それはそれでいいデータが取れるわね」

 リリのアバターを、慈しむように眺めるナナ。

 彼女にとってリリの才能は、嬉しくもあり、悲しくもある。

 妹がこうなってしまったことへの責任を、少なからず感じているから。

「…いつか笑顔を…ね」

 机の引き出しを開く。中には、かつてリリに影響を及ぼした、いくつものVRMMOが入っている。

「…そうね。奇跡は…希望でも絶望でも…起こってしまうから」

徐々にシリアスになりつつある…?

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