狐2
「暗い。……ここは」
「カッカッカッ!」
「だれ?」
「カッカッカッ!ワシはびゃっこじゃ」
「あなたが、滅魔の白狐!」
身構える!
「カッカッカッ!その手で何ができる。」
手を見ると、白い獣の腕だった。
「ひっ!」
顔をあげると、わたしがそこに居て、自分を見下ろしている。
「体は返してもらうぞ」
「待って!まだ、わたしは、!待って!」
「なんだ?」
恐ろしく冷たい目。私の顔ではないみたい。でも、だからといって。
「ラクーンくん達のところに!返して!」
「カッカッカッ!やなこった!返して欲しけりゃ奪い返してみな」
「なんじゃ、この食いもん、なんじゃこの道具、カッカッカッ!ほんと、現世はおもしろいのう!!」
楽しそうに会場を走り回る。
ほんとにこいつ、あの滅魔の狐なのか。
「狐綿」
こいつの中に別の人格があるかを疑う余地はない。
だが。
「おい、ラクーンどうするんだ」
「俺の方が聞きたい。どうすりゃいいんだよ。コマイお前の妹は何か知らないのか」
「あいつの魔力が強すぎて、ブレスレットから出てこれないみたいだ。」
「のう!童!外が見たい」
「はぁ」
会場の展望台。元々の空中の島の中の会場。魔法国が一望できる。夜のためかいまは、人はいないようだ。
「随分広くなった。自分の時代には、小国に過ぎなかったのに。アマテラスの夢は叶ったのか。青龍はいるか達者か。あのセクハラ鹿はまだ、いきてるのか」
青龍?誰だ?
「知らぬか」
少し寂しそうに言った。
「童は、元に戻ってほしいと言わないんだな、」
「……ひっかかることがあってな。」
「なんじゃ。いってみろ」
感じたままに
「……」
今のこいつの方がしっくりくる。同じ狐綿の顔だが、イキイキしてる。
「あんたが、元の狐綿なんだろ」
「なぜ、そう思う」
「俺は召喚術師だ。人間と魔法生物との違いはわかる」
あいつの頼りなさそうな消え入りそうな存在感とは違う。
「……そうだな。狐綿は、狐だ。本人は忘れているじゃろがね」
「なぜ、滅魔の白狐。あいつは、気弱で、性格がにつかわない」
「住処を人間に追われて、仲間を守るために必死に闘ったんだな。」
「狐綿はどうなる?」
「さてのう。わしには、わからぬ」
「あんたの精神の中に、あいつは居るはずだ。初代が俺の中にいたように」
「分福の初代、茶釜か。あいつもこの時代に?いや、わしが、今ここにいることを考えたら。やつが弱まって、わしが出てきた、か」
「あぁ。詳しくは分からないが、あいつが、急に消えて、俺は体を取り戻した。あんたを封印したら、狐綿は、また戻ってくるんじゃないか?」
袖の中の杖に手をかける。
「童が、ワシを封印?カッカッカッ!」
「やってみなければわからないだろ、」
「カッカッカッ!やってみなければ分からないなら、お前さんは三下だよ」
狐綿の顔で、鋭い目つきになる。
「力量さをわきまえないなら、お前のせいで、不幸になったやつはいっぱいいるだろうさ」
「ん、だと」
「ほら、ゆるんだ」
蹴りが入る。深く鋭く。
「がはっ、」
「あの嘘つきたぬきの子孫が。お前も、あの母親のように。我らをまたコケにする気か!」
「?、母親、」
「とぼけるな!我らの悲願を利用し、悪用しようとしている。分福大釜の息子よ。世界は見た。この世界に幾つもの犠牲が。人柱を何人くべてきた。」




