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愛を金に換算する女たちをあれほど嫌っていた私が、愛を金で買おうというのだ。
こんなひどい話があるだろうか?
だが私は、それこそが彼女を自分のものにする唯一無二の手段だと思った。
普通の恋愛では醜い私に勝ち目はない。
この方法が正しいと信じていた。
父は最初、驚いた。
が、あっさりと私の懇願を受け入れた。
今思うと、父も随分と問題のある人間ではあった。
私が言うのはおかしいが、あのときに横っ面を張り倒しでもしてくれれば良かったのではないか。
いや、あのときの私なら、もっと悪どい手段を考え由梨を手に入れようとしただろう。
それほど私は由梨という毒に全身をおかされていた。
父はあっという間に、ほうぼうに手を回し私の願いを簡単に叶えてくれた。
私は由梨と結婚し、彼女を自分のものにした。
仕事も地位も、そして愛する女性も得たバラ色の生活が始まる。
私は、そう思っていた。
だが、現実は違った。