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“最果ての入り口はあっても出口はない島”はガチでした

「この島には時空を超えられないシールドが張られていて、未来にも過去にもいけないのです。タイムマシーンでこの島から出ることは不可能なのです。あしからず」


 マ、マジか……。


「だったら、どうしてあなたは出られないと知っていて、わざわざこの島に入ってきたの?」


 キースがまっとうな質問をする。


「タイムマシーンの燃料が足りないことに気付いたので、この時代で唯一代用できるあの緑色の鉱石を探しにきたのです。あの鉱石はこの島にしかありませんから」


 そうノゾミが答えると、


「でも、鉱石を手に入れても、この島から出られなかったら意味ないじゃない」


 レイラがそう言って、少し怒った様子を見せる。無理もない。ノゾミは、この島から脱出する希望そのものだったのだ。


「順番の問題です。私としては、帰りの分の燃料を補充することが第一優先だったのです。タイムスリップの時間が連続で5688時間を超えてしまうと、本来居るはずのない私の存在に時間の流れが耐えられなくなり、この世界が時間の流れに飲み込まれて消滅してしまうのです。いってみれば、私は時限爆弾のような存在でもあり、タイムリミットまでに未来に帰らないといけないのです」


「それはたいへんね。ごめんなさい、難しいことはわからないのだけど、どうしてその燃料というものが足りなくなってしまったの?」


 キースがまた的確な質問をする。


「出発前に入れ忘れてしまいました。完全なケアレスミスです。あしからず」


 入れ忘れた? そんな大事なものを入れ忘れた? 全員が絶句して、しばらく何もしゃべれない。


 ビシッ!! ビシッ!! ミシッ!!


 何か喋れと、キースとレイラが同時に俺の背中を叩く。軽く骨にヒビが入ったが、今はそんなの痛くもかゆくもない。


「そもそも、タイムマシーンに乗って、どうしてこの時代にやって来たのかな?」


「争いを止めるためです。もうすぐ起こる、世界大戦を止めるために来たのです。そして、その争いには、モンジャー、あなたが深く関係しています」


「えっ、どうして俺が?」


「あなたが、レストキア王国に支払っている99.999%の手数料を、他の国の王様たちも欲しがるようになり、その権利を奪い合うことを発端に、世界大戦へとつながってしまのです。まあ、最初からレストキア王国が99.999%もの非常識にもほどがある手数料をとっていたことがいけないのですけど、その点はあしからず」


 そうだぞ。本当にこの異世界で世界大戦が勃発したとしても、俺は悪くないからな。責任を感じるべきなのは、レストキア国王や王女のミチェルだ。

 ミチェル……ああ、そうだった。聞きたかったことを思い出した。


「あとノゾミとミチェルはどういった関係になるのかな?」


「私の名前は、ノゾミ・ジェシバーナ。いろいろありまして、今は私がジェシバーナ家65代当主です。ミチェル・ジェシバーナは、私のご先祖様です。ちなみに、私は世界大戦のきっかけをつくったミチェル・ジェシバーナのことが大嫌いですので、あしからず」


「世界大戦ですって……。それが本当なら、ますますこの島にいるわけにはいきませんわ」


「一刻も早く脱出しなければ」


 キースやレイラたちの顔色がさらに曇る。

 ただでさえ、重たい空気になっているのに、余計なことを聞いてしまった。

 早急に話題を変えなければ、俺が異世界に来たために、世界大戦が勃発することを責められ、30秒後には命を奪われているかもしれない。


「でも、どうしてノゾミが、この島に時空を超えられないシールドが張られていることを知っているんだい? あの緑の鉱石を使って試してみたのかい?」


 俺が尋ねると、


「そんなこと試すまでもありません。私が来た258年後の未来にも、この“最果ての入り口はあっても出口はない島”は、研究対象として残されていて、他でもない私がこの島の研究員だったからです。はっきり言います。この“最果ての入り口はあっても出口はない島”に一度入ったら最後、二度と出ることはできません」


とノゾミが断言する。


 オワタ。オワタ。オワタぞーーーー。誰か、強い酒を持ってきてくれーーー。


 俺は、いくら“最果ての入り口はあっても出口はない島”と言っても、心のどこかで必ず出る方法があると高を括っていた。

 しかし、“最果ての入り口はあっても出口はない島”はガチで出られない島だったのだ。


 もう怖くて、キースやレイラたちの顔を見ることができない。絶望の怒りの矛先が俺に向かないことを祈る。


「ただ一つの奇跡的な可能性をのぞいて」


 えっ、今、なんとおっしゃられました?


「まだ希望はあるのですね」


 さすが元勇者。キースは“奇跡的な可能性”と聞いても、目をキラキラと輝かせている。このポジティブさは、やはりミカエムと似ている。勇者として大切な資質なのだ。


「いったい、どんな可能性が残されているの?」


 レイラが珍しく緊張した声で尋ねた。


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