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僕で大丈夫ですか?  作者: 誠也
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思考が止まる~

現在時刻9時半。

待ち合わせ場所の噴水前に僕は着いた。

イリスさんはまだ来てないな。

デートは時間厳守ですよ、それに相手の人を待たせちゃいけないですよ、ちょっと早めに行きましょうとトトさんに念押しされたし、一先ずはオッケーかな。

でもやっぱりデートって初めてだから心臓がバクバクいってるよ。

落ち着けー、落ち着けー、ふぅー。


「お待たせヤマトくん。」


振り向くとイリスさんが立っていた。

昨日見た鎧姿とは違い可愛らしい服装をしている、ってデートだし当たり前か。

格好が違うだけで可愛さが大分増してる。

やっぱり落ち着かないよ。


「待たせちゃったかな?」

「ううん、全然。僕もさっき着いたとこ。」

「よかった。」


おお、お決まりの言葉だ。

そうだ、服装を褒めないと。


「イリスさん、服装とても似合ってて可愛いよ。」

「ありがと。でも、さん付けはやめてよ、呼び捨てにして。」

「うん、わかったよ、い、イリス。」

「よし。」


女の子を呼び捨てって何でだろうちょっと恥ずかしいな。


「それじゃ、行こうか。」

「うん。ヤマトくん、手繋ご。」

「う、うん」


ひょええー、可愛いイリスと、て、手を繋ぐって。

手汗が出てないか取り敢えずズボンで手を拭う。

そしてイリスと手を繋いだ。

小さくて柔らかいイリスの手の感触が伝わってくる。

ふあぁ、思考が停止してしまう。


「・・トくん。ヤマトくん。最初はどこに行くの?」

「えっ、あっ、そうだね、劇を観に行こうかと思うんだ。」

「劇!いいね!今はどんなのやってるかな?」

「確か恋愛ものって聞いたよ。」


これもトトさんの助言で、イリスは劇を観るのが趣味で月に一度は行ってるらしい。

今月は戦争もあったし、まだ観に行けていないって聞いてたらしいからちょうどよかった。

劇場までの道も会話を繋ごうと考えてきた話題を

劇場は大通りに面する建物の中でも特に大きい。

中は大きな舞台と客席が二百人分くらいある。

けっこう人が入ってて、僕達は真ん中より少し後ろぐらいの席に座った。

劇の内容は泥棒の主人公と泥棒に入ったお屋敷の病弱な女の子の恋愛を描いたものだった。

劇って初めて観るけど面白いな、なんか引き込まれていく感じ。

隣のイリスも同じ感じで劇に観いっていた。

劇が終わって外に出るとお互いに感想を言い合った。


「面白かったね。」

「うん、主人公が女の子をさらって行くところなんか良かったよね。」

「そうそう、あの「家柄なんて関係ない、私を連れてって。」ってセリフのとこなんか僕ドキッとしちゃった。」


こういうのもなんかいいな。

お昼を少し回ったところだったので、昼食を取ることにした。

昼食のお店もトトさんの助言でオシャレなレストランに入った。

窓際の席に座る。


「ヤマトくんここ来たことあったの?」

「ううん、初めて。」

「そっか、ここのオススメはパスタだよ。」


パスタのメニューはミートソースにナポリタン、カルボナーラにジェノベーゼがあるようだ。

僕はミートソース、イリスはカルボナーラを注文した。

料理が来るまでの間イリスとの共通の話題であるトトさんのこととか、この前の戦争のこととか引っ張り出して頑張って会話をする。

口下手な僕の話をイリスは優しく聞いてくれる。

そのおかげで少し落ち着いてきたかも。

二十分くらいして料理がやって来た。

いい匂いが立ち込める。

さあ、食べよう。

ぱく、うんまぁ~い。

お肉の旨味とトマトの酸味がいい具合。


「ヤマトくんちょっとちょうだい。」


イリスが僕の皿にフォークを伸ばしてくる。

僕はさっとお皿を前に出した。


「うん、おいし。ありがと。あっヤマトくんほっぺにソースが付いてるよ。もう。」


そう言ってイリスは僕のほっぺを拭いてくれた。

うおおぉ~。

また思考が止まる。


「これでよし。ん、どうかした?」

「ん、ううん、ありがと。」


残りを平らげて、お店を出る。

次はショッピングだ。

アクセサリーのお店に立ち寄る。

指輪にペンダント、イヤリング、いろいろ置いてあるけど、中には筋力を上げるとか魔法が込められているものもある。

あっこの敏捷性を上げる指輪欲しいかも。

って僕じゃなくてイリスに何かプレゼントした方がいいよね。

イリスを見ると僕が見てたのと同じ指輪を気にしてる感じだった。


「付けてみたら?」

「そうだね、ちょっと付けてみようかな。ん、どうかな?」


イリスは指輪を付けた手を見せる。


「うん、いいと思うよ。」


それに騎士のイリスには実用的だしね。


「どうしよっかな?買おっかな?」

「それなら僕がプレゼントするよ。」

「ホント、でもいいの?」

「うん、大丈夫。」

「じゃあ甘えちゃおっかな。ありがとね。」


イリスのにかっとした笑顔にまたドキッとしてしまう。

イリスがホントに僕の彼女だったらなんて考えてしまうけど、今回は縁談を断るためだもんね、残念。

それから夕方まで町を歩いて今日のデートは終わった。

イリスを家まで送るとその家の大きさに驚いた。

二階建ての洋館で建物の横幅が五十メートルくらいありそうだ。

やっぱり貴族というだけあって大きな屋敷に住んでるんだな。


「今日はありがとねヤマトくん。またよろしくね。」

「うん、じゃあねイリス。」


イリスの姿が見えなくなるまで見送る。

はぁ~~疲れたぁ~。

デートなんて生まれて初めてだったからなぁ~。

帰ったらトトさんにお礼を言わなきゃだな。

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