わぁー、わぁー、わぁー
ブルークの姿が小さくなるまで見送った後、僕とトトさんは仕事のためお城へと向かった。
お城のトトさんの研究室に着くとふと頭に過ったことがある。
トトさんとまた二人っきり・・・。
わぁーなんか意識し出すと急に慌ててしまう。
慣れては来たと思うけど、トトさんかわいいし、女の子に免疫がない僕はやっぱり落ち着かない。
悟られないように黙々と作業に打ち込む。
バタン。
勢いよくドアが開けられる。
「トト居る?」
鎧を纏った金色の長い髪をした女の子が入ってきた。
「イリスどうしたんですか?」
イリスと呼ばれた女の子はトトさんを見つけると一目散に抱きついた。
「トト助けて、私知らない男の人と無理やり結婚させられそうなの。」
「ちょっと落ち着いてください。」
トトさんはイリスさんを押し戻す。
「詳しく教えてもらえますか?」
「うん、私の家って小さいけど一応は貴族の家系でしょ。それでお父さんが私を他の国の貴族の男の子とくっつけて家を大きくしようとしてるの。」
貴族の政略結婚ってことかな?
「それで相手の方はどこの方なんですか?」
「シシリアのユージーンって人。」
「シシリアってケットシーの国じゃないですか。」
ケットシーって確か猫の妖精さんだったかな?
「そう、だからユージーンさんもケットシー。なんでもシシリアでも有名なお家なんだって。私結婚するなら同じ人間の男の人がいいよ。」
「そうですね、そう言うならちょっと考えますか。」
「トトお願い。」
イリスさんは両手を合わせてトトさんにお願いをした。
トトさんとイリスさんはけっこう仲のいい友達なのかな?
こんな大事な相談仲良くないとできないよね。
トトさんは右手を顎に当てて首を傾け唸っている。
「う~ん、そうだ、すでに結婚を考えてる恋人がいるということにして、縁談を断るというのはどうですか?」
「いいかも。でも相手は誰にする?」
「ここに居るウサミさんとか。」
トトさんが右手を僕に向ける。
「えっ僕!」
突然のことに目をパチクリさせる。
「ウサミさんか・・・確かにスティリアを救った英雄だし、お父さんも話を聞いてくれるかも。」
「ムリムリムリムリムリムリ、僕じゃ絶対バレちゃうって。」
「大丈夫ですよウサミさんなら。」
またトトさんは根拠もないことを。
「お願いウサミさん、どうか力を貸して。」
イリスに手を握られお願いされる。
僕は心臓がバクバクするのと顔が熱くなるのとで少し混乱する。
かわいい女の子に手をぎゅってされた。
もう落ち着かないよ。
「ダメかな?」
イリスさんはさらに上目遣いで僕を見てくる。
わぁー、わぁー、わぁー。
僕のキャパを越えた。
「やり、ます。」
「ありがとー。」
イリスさんはさらにぎゅって僕の手を握る。
はぁ~、またとんでもないこと引き受けちゃった。
どうしよう。