大変なことしちゃったんだ
僕達は再びグラード王に会いに行った。
きっとグラード王に聞いてもらえるよね。
今度は衛兵を通して正面から謁見の間に入った。
グラード王はまた玉座に座っている。
「まだ半日も経たぬが、もう案が出たのか?」
「はい、グラード様。僕が考えたのは・・・。」
グラード王に僕が考えた川の氾濫を止める方法と資金を集める方法を伝えた。
「・・・。」
「ど、どうですか?」
「・・・。」
だ、ダメだ~。
この反応は絶対ダメだ。
「貴様の話はわかった。貴様に問う、貴様が考えた策を行えば我が国は本当に救われると思うか?」
「は、はい。・・・たぶん。」
「煮えきらんな。まあよい。ガンサイあとは任せてよいか?」
「はっ、承りました。」
これはよかったのかな?
よかったんだよね。
やった、やったよトトさん!
トトさんと声をあげて喜んだ。
「次は我が話に応じる番だな。ウサミと言ったな、貴様の手で我の首を落とせ。」
「・・・えっ今なんて?」
「二度も言わすな、我の首を落とすのだ。」
「えっえええーー!」
く、首って、僕達は戦争を止めたいだけなのに何でそんな話になるの。
「わからんか、戦争は最早バリアルの勝ちだ。その戦争を止めるには我の声だけでは足らん。だからこそ我の首をさらすのだ。」
「そんな、グラード様と話し合いだけで解決できると思ってたのにそんな・・・。」
「それはできん話だ。それに我は貴様らに一度負けておる、そのとき我はすでに死んでおるのだ。構うことはない。」
「待ってください、僕には・・・。」
「できぬか、ならばそこの娘、やれ。」
「わかりました。」
「トトさん!」
トトさんはグラード王に近づく。
「では、いきます、ウィンドカッター!」
杖から風の刃が放たれグラード王の首を落とした。
血生臭い現場にまだ慣れない僕は床に吐物をぶちまける。
トトさんは表情を変えず、グラード王の首を持ち、鞄の中にあった布で包んだ。
はぁはぁ、少し落ち着いた。
「トトさん、グラード様の首をどうするの?」
「この城の一番目立つ箇所にさらすんです。それがこの世界の戦争の終わらせ方なんです。」
ガンサイさんに案内してもらって、城の展望台のような所にグラード王の首をさらした。
それを目にするバリアルの民は皆目を疑った。
誰もがバリアルの勝ちを信じていたからだ。
だけど今見えていることが現実。
バリアルの負けを認知すると国中が悲しみや諦めといった負の感情で覆われた。
今になって大変なことをしちゃったんだって気付く。
学校の授業で習った通りなら、賠償金とか植民地とかその他負けた側に不利益なことを条約に盛り込まれるんだよね。
この世界はどうなんだろう?
「戦争に勝った国は負けた国に3個ほど何でも命令ができるのです。」
「あれ、そんなに大変でもない?」
「何を言ってるんですか!何でもですよ!命令すればバリアルの人達が全員奴隷になって、金品など全て巻き上げられ、領土を失ったり、最悪の場合国民全てを殺されることもあるんですよ。」
「そんな・・・。も、もし命令を守らなかったらどうなるの?」
「その国の全てが世界から消されます。」
「全てって、どうやって?」
「神様によってです。戦争については全て神様が決められていますので、その決めごとを守らないと神様からの鉄槌が来るというわけです。」
神様、またファンタジーっぽいのが出てきた。
とにかく命令が絶対なんだな。
スティリアは命令をどんなことにするんだろう?