どうかしてたな
「何用か?」
「・・・。」
グラード王が怖すぎて声もでない。
「何用かと聞いている。」
「・・・。」
身動きも取れない。
「ふぅ、我が怖いか?」
「・・・。」
はい、怖いです、怖すぎます。
どうして王様ってこういう人ばっかりなの。
「話ができんとはな。どうしたものか。」
「あ、あの、どうしてもグラード様にお聞きしたいことがあり、やって参りました。」
トトさんが切り出した。
「なんだ?」
「なぜスティリアとの戦争を始めたのですか?」
「貴様はスティリアについて思うところがあるのか?」
「はい、友人がいますので。」
「そうか・・・。では、話すとしよう。我が戦を始めたのは国のためだ。我が国は数年前から財政難に陥っている。あらゆる無駄を省き、税で民に負担をかけてもなお苦しいのだ。残された道は戦に勝ち、新たな資金を得ることだけだ。これで納得がいくか?」
「納得いきません。戦争を止めてください。」
トトさん!
「それはならん。」
「なら私はグラード様を止めます。」
トトさんは杖を手に取る。
僕も慌てて剣を抜いた。
もうなるようになっちゃえ。
「我を討つ気か、仕方ない、相手になろう。」
グラード王は立ち上がり、剣を抜いた。
ズシン、ズシン。
一歩、一歩近づいて来る。
やっぱり怖いよ、トトさん。
トトさんは眠り魔法をかけた。
ズドン。
グラード王はその場に倒れ込んだ。
えっ、ええーー!
王様だよね、魔法無効の特殊能力とか、装備とか持ってるもんじゃないの?
こんな簡単に・・・。
グラード王に近づくと寝息が聞こえる。
ホントに寝てる。
「やった!やったよ、トトさん!」
「ええ、私もこんなに簡単にいくとは思いもしなかったです。」
僕達は取り敢えず、グラード王の剣を奪って、体を縄で拘束した。
安全が確保できたところで、グラード王に目覚ましの魔法をかける。
「ん、我は負けたのか。装備も全て売り払ったのが仇となったか。」
「さあ戦争を止めて下さい。」
「それはならん。民を苦しませる訳にはいかんのだ。」
「それは戦争をしても同じだよ。戦争って人が死ぬんだよ。お金が無くて苦しいのもわかるけど、人が傷つくのも辛いんじゃないかな。」
「わかっておる。だがどうしろというのだ。貴様らに民は救えるのか?」
グラード王は悔しそうな顔をした。
なんとかできないかな?
このままグラード王を殺しても、戦争が止まるかわからないし、やっぱりグラード王から直接戦争を止めてもらうしかないよね。
「では、あなたを殺します。」
「トトさん待って。グラード様、この国のこと僕達に任せてくれませんか?」
「ウサミさん!」
「貴様らにか?」
何言ってんだろ僕、きっとどこかおかしくなってるんだな。
「はい、きっとどうにかするので、どうか戦争を止めて下さい。」
「・・・面白い、2日だけやろう。その2日で国の財政をどうにかしてみろ、できたら貴様らの話を聞いてやる。」
「わかりました。」
2日か、2日でどうにかできるかな?
というか捕らえられた状態でなんて強気なんだろう。
それより僕はまたとんでもないこと言っちゃったな。
「仕方ありませんね。やりましょうウサミさん。」
トトさんは少し呆れながら了承してくれた。
さあ、頑張らなくちゃ。