ひいぃぃ~
兵士になった僕達は戦場へ向かうように言われた。
でもそんな命令は聞けないよね。
こっそり、戦場へ向かう集団から抜け出して、お城に留まる。
グラード王を探さなくちゃ。
「おめさん達どこ行くんだ?」
ブルークがこちらに気づいて戻ってきたようだ。
「いや、ちょっとお腹が空いたので、お城の食堂に行って何かもらおうと思いまして。」
「そおかそおか、なら俺も行く。俺も腹減ってたんだ。」
「はい、一緒に行きましょう。」
取り敢えずブルークと一緒に食堂に向かった。
食堂に行くとコックさんが夕食の準備をしていた。
「なあ、腹減ったんだけど何か食い物もらえねえか?」
「食い物か?それなら昼の残りが少しあったな。ちょっと待ってな。」
コックさんは奥の調理場に入っていった。
『どうするのトトさん?』
『ブルークには眠り薬で、眠ってもらいましょう。』
トトさんの手には小さな袋があった。
「おめさん達、食い物もらったぞ。早く座って食べようぜ。」
席に座り、ブルークの持ってる食べ物を広げる。
パンとシチューだ。
ぱくり、うんまぁ~い。
スティリアのときとは味が違うけどおいしい。
「ハハッ、いい食いっぷりだなぁ。よっぽど腹減ってたんだなぁ。おかわりもらってくるか?」
「う、うん。」
ブルークは僕のお皿を持って行った。
なんかがっついてるところ見られるの恥ずかしいな。
トトさんはすかさずブルークのシチューの中に眠り薬を振りかけた。
やさしいブルークにこんなことするのはちょっと心苦しいけど仕方ないよね。
「ほい。」
「ありがとうブルーク。」
「そういや、まだおめさん達の名前聞いてなかった。なんて言うんだ?」
「僕は宇佐美大和。」
「ウサミヤマト?変わった名だなぁ。おめさんは?」
「私はトトです。」
「ウサミに、トトか。改めてよろしくな。この戦争が終わったらまた飯でも・・・。」
バタン。
ブルークは机に顔を埋めた。
ごめんねブルーク。
また会えたら、一緒にご飯食べようね。
「急ぎましょう。」
再びグラード王を探す。
「そう言えばグラード王の顔とか知らないや。トトさん、どんな人?」
「グラード王は大きく、この人が王だと見ればすぐわかりますよ。」
謁見の間にたどり着いた。
扉の前には兵士が立っている。
「任せて下さい。」
バタン。
トトさんが眠り魔法で兵士達を眠らせる。
今のうちだ。
扉の中に進む。
中は広く、奥に玉座が見える。
その玉座には3mはありそうな巨体、腰に大きな剣を携えた、コボルトが座っていた。
眼光は鋭く、こちらを睨んでいる。
ひいぃぃ~、怖い、怖い、怖い、この人をホントに倒すの?ムリムリムリムリムリ。
トトさんどうしよう・・・。