第42話 【大団円】
【◆大団円1】
「お母さん!」
母親とサチコの対面
目は開いているのに、焦点が合っていない母親。
「お母さん……。お母さんは、ずっと、わたしを守ってくれてたんだね」
サチコが母に抱きつく。
「お母さん……大好きだよ……」
すると二人を光の球が包み込んだ。
やがて光が薄まっていくと、母の目に力が……
「さ……ち……こ? 幸子なの?」
「お母さん!」
抱き合う二人。
【◆大団円2】
刃那子の家でパーティー。
メンバーは 典子 雪菜 美冬 刃那子 そして祐子と樹神幸子
それに光恵さんと、もう一人のサッちゃん(早苗さん)も参加
(《補足》:少しバツが悪そうに光恵と挨拶をする刃那子。資金援助については最後までしらを切り通した)
酒が入り、刃那子に詰め寄る女性陣。
「いやぁ、たしかにウチらは悪いけど、はなちゃん、やり過ぎっしょ! ヒック」 雪菜。
「そうよね。たしかに、あれは無いわ。ヒック」 典子。
「あやまれあやまれぇぇ! うひひ、ヒック」 美冬。
「なんで、わたしが謝らなきゃいけないのよ。わたしに謝って欲しければ力尽くで来なさい!」
「はなちゃん……」
「さ、サッちゃん……」
「はなちゃん……一緒に謝ろ?」
「サッちゃん……。えぇ、謝るわ! 謝るから、サッちゃん、悲しい顔しないで……。それじゃ謝るわよ、コホン」
刃那子が、カバンからホッケーマスクを取り出しかぶる。
それを見て後ずさりする三人(美冬、典子、雪菜)
「美冬ちゃん……殺そうとしてごめんなさい。のりちゃん、ユキッペ……いろいろ暴露したあと、ぶん殴ってごめんなさい。でも三人がお漏らししたことは、誰にも言わないから、安心してちょうだい」
「今言ってる(よ!)(し!)(わよ!)ヒック」
マリアは端っこで、ごちそうを堪能している。
「あの……マリアちゃん……だよね」と光恵さん。
「人違いです。モグモグ」とマリア。
三箇典子、群雪菜、高橋(馬殿)美冬、別宮(鬼丸)刃那子、名城祐子、そして樹神幸子。
同級生……いや、親友に戻った六人が、光恵と早苗に、昔話をして大盛り上がり。
刃那子も、祐子も、サチコも、心から幸せそうに笑っている。
幸せな時間。
宴は永遠に続くかに思えた。
【◆大団円3】
皆が寝静まる中、立ち上がる人物。
そっと抜けだしたところへ、声がかかる
(《補足》:広いバルコニー)
「サッちゃん、行ってしまうの?」 声の主は刃那子。
「……うん。わたしの力は、この世界には強すぎなんだって……。
それにわたし、向こうで友達もできたんだよ!」 抜け出そうとしたのはサチコ
「サッちゃん……今、幸せなの?」 祐子もバルコニーへ来た。
「うん! わたし幸せだよ! だから、ゆうこちゃんも、はなちゃんも……」
「わたしも……わたしも一緒に……!」 祐子が叫んだ。
「それが出来たら素敵……。でも……」 サチコ
「サッちゃん! わたしがお金持ちになったら、一緒に暮らそうって、約束したじゃない!」
刃那子が叫んだ。
(《補足》:これが刃那子のお金に執着する理由で、サチコと転校前日に交わした”約束”)
「約束覚えててくれたんだね……。でも……むこうの世界と造りが違うの。わたし、もう、こっちじゃ生きられないんだ……」
「そんな……サッちゃん……。サッちゃん! 今まで忘れてて、ごめんね……。今まで守ってくれて……ありがとう」 刃那子が泣き叫んだ。
「もう……行くね。みんな……みんな、幸せになってね! 新しい約束だよ!」
「いや! いやよ! 行かないで! サッちゃん……サッちゃん!」
祐子と刃那子がサチコに抱きつく。
「大好きだよ! ゆうこちゃん……はな……ちゃ……ん……」
二人の腕の中で、消えていくサチコ。
サチコが消えた場所で、祐子と刃那子は抱き合って、大声で泣き続けた。
《補足》:一番泣き虫なはずのサチコは、最後まで泣かなかった。いや、消える直前に……。
《補足》:マリアが結界を張って、三人だけにしていた。




