75ページ 加護。
コイツの家庭の事情は薄々知っていた。
母親が死んでることも死に目に会えなかったらしいことも。
「呼んでるから行かなくちゃ」というチャラ男をぶん殴って無理矢理担いで
回れ右して走った。
チャラ男がかあさん! かあさん! かあさん! と叫んでいたが無視した。
一足ごとにチャラ男が重くなっていく。
イケメンをつかんで風魔法で運んだ時より重い。
どんどん重くなっていく。
チャラ男のおかあさんにワビの言葉を叫んでる自分に気づく。
許してよ! コイツはまだ十三だ! アンタの半分も生きてない!
許してよ! 連れて行かないでくれよ! オレの友達なんだよ!
許してよ! オレのせいで死にかけてるって分かってる!
でもあの世界に一緒に居ていいって言ってくれたんだよ!
チャラ男も足もどんどん重くなっていく。
神さま! 神さま! 神さま! ……
今まで会ったり見かけたりした神さまたちに祈った。
魔族の神さまの言葉が頭に浮かぶ。
『やってくれるなら確実に帰してあげよう。他にも報酬を用意してもいいが?』
今更ですが報酬下さい!
コイツとあのオレ達の世界に居たいんです。
どうかコイツを助けて下さい!
不意にチャラ男が軽くなった気がした。
えっ!? と思ったが意識がブラックアウトした。
気が付いたらなんだか不機嫌な顔のバイトなあの人と
ホッとした顔の師匠な勇者さんがのぞき込んでいた。
「もう大丈夫だよ。チャラ男くんもね。
無茶してくれたけど加護もあったから助かったんだよ」
加護?
オレもチャラ男もそんなものは持ってなかったはずだけど。
ステータスを開くと〔魔族の神の加護〕が付いていた。
チャラ男にも。
あんなあの世の手前みたいなところからのお祈り(?)が
届いているとは思わなかった。
バイトなあの人の不機嫌な顔をみて魔族の神様の
〔してやったり!〕な笑顔が見えたような気がした。
あー、なんとか死なずに済んだみたいですね。
ダチ勇者たちの連絡で勇者さんたちも急いだんでしょうけど
魔族の神さまに先を越されちゃったわけです。
まあ、バイトなあの方の機嫌も悪くなろうってもんですね。




