それでも自由に飛べるはず
その場はそのまま解放された流頼の面々であったが自身らの作戦が弱いものであったことを悟る。
睦月の作戦は人間らしさを逆手に取った策であったため何故あのような策をとったのだろうかと考える。それ以外にも生みの親のことを嘆いたり道具の思考がするような行動ではない。
それについて弥生、文月の両名とも睦月は生成が一番早く長い時間元博士と一緒にいたからだろうと答える。人と触れ合う機会が多かったため人間らしくなったのではないかと。
流頼は、ともかく、他の天刃と会うべきだと先に卯月、皐月のもとへと訪れる。卯月、皐月に件を話すと二人はなんとも言えない表情をしていた。
その夜、卯月、皐月はシカイ、アーゲアとともにいた。シカイがアーゲアとともにやって来たのだ。
卯月、皐月はシカイにいまだ道具は命であると言うのか、と聞き、シカイはそうだと答える。アセレスティアにいる間に卯月、皐月は人徳に満ちた扱いを受けていた。場所こそ牢獄ではあるがシカイの口添えにより話すこと、暇つぶし、アセレスティア王が直々にたわいもない話しをしに来ることもあった。城の面々はいつも笑顔で優しく接していた。この国を襲い、大臣を暗殺したのは自分たちだと言うのに。洗脳のようだと、甘い洗脳のようだと二人は言った。
アーゲアはこういう。『それは信じることができないからだと。自分はきっと君たちとも仲良くなれると思う。弥生や文月がそうだったように。だから、自分は君たちを信じる』と。
そう言って監獄の扉を開けたアーゲア。開けることを許したシカイ。『どうせ自分たちは今のところ睦月に従って二人を解放するしかないのだし、少しくらい早くても問題は無い』
解放された卯月、皐月は顔を見合わせ。『自由がほしい』と言った。『自分を、元博士を見捨てたズヴィアにも捕らわれない。自由な、何者にも囚われない自由な翼で。自らの選び取った道を歩みたい』と。
その翼は最初から彼らの背についている。ただ飛び方がわからなかっただけ。そう言うシカイに卯月、皐月両名は頷き、牢獄から一歩出た。
次の日、アセレスティア王の前で睦月の考えに賛同するつもりはないと答えた卯月、皐月の両名。そして、アセレスティアに残り優しくしてくれた国の人々を助けたいと申告した。
その言葉を受けアセレスティア王は承諾。しかし二人を連れて行かなければユラ、彩の命の保証はないのだと卯月、皐月に言う。
卯月、皐月は、それならば命令をくださいという。『今の自分らの王はアセレスティア王であると、その命ならば喜んでまいりましょう』と。
アセレスティア王は二人をシカイの部下として任命。こうして流頼に二人の味方が増えた。
この大空に翼を広げ飛んでゆきたいな。悲しみの無い自由な空へ翼はためかせ、行きたい。
『甘い洗脳。甘さは安らぎ、安らぎは何を与えるのか。
刷り込まれた価値観に刷り込まれる安らぎ。その名は、洗脳?』




