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悪役令嬢はパラ萌えされる  作者: ハルノ_haruno
2年生
88/160

王女モモタナ

 授業日初日。

 私はシーラに仕度をしてもらっていた。


「リシリア様、肩の力を抜いてくださいませね」

「何だか緊張してしまって」

「いつものリシリア様でいいのですよ」


 シーラは私の肩に優しく手を置いた。

 シーラのボブヘアーの髪は、1ミリの狂いもなく裾できちんと切り揃えられている。

 頭にちょこんとのったレース付きのカチューシャも、どこにも隙きのない真っ白。のりがパリッときいていて、忙しく動き回ってもヨレることもない。


 侍女ですらこんなに完璧なのに、王妃ってどんなレベルを求められるのでしょう。


「急に不安が……」

「とびきりのお茶とお菓子をご用意してお待ちしておりますね」

「シーラ……好き……」

「まぁまぁ、殿下に聞かれたら睨まれそうですわ」


 シーラはくすくすと笑った。






 私は「いってきます」をして部屋を出る。

 ちらっと廊下の奥を見てみたけれど、偶然アルバートが出てくることはなかった。


 だめだめ。しっかりしろ、私!


 私は自分に気合いを入れて一歩を踏み出す。

 特別講義室Aに向かって。






 ガチャリ。

 学園のどこよりも重いんじゃないかと思う扉を押し開けると、そこには見たことのない初老の男性がいた。

 きっと先生なのだろう。


 そしてその手前に制服を着た女子生徒が一人。

 氷のような銀色の髪、色素の薄いグレーの目、幼くて、小柄のアンジュよりも背が低い。


 私は思わず講義室を出て、部屋の名前を確認する。


「特別講義室A」


 間違いない。

 でもこの子誰?


 同学年の生徒なら学園祭の時に全員覚えましたから、この方は他学年なのでしょうか。




「リシリア様、お入りください」


 初老の男が言った。


「し、失礼いたします」


 どうやら部屋は合っているみたいです。


 ということは、王妃教育に生徒が二人?

 んん??




「あら。この国の人間は目上の者に対して挨拶も出来ないのかしら」


 目上……?

 幼げな少女の高圧的な物言いにはっとする。


「ご挨拶が遅れて申し訳ございません。ノックス公爵家、リシリアと申します」


 少女は黙ったままだった。


「リシリア様、こちらは隣国エーコットの第一王女、モモタナ様でございます」


 初老の男がそう紹介した。


 モモタナ様。

 アルバートの新しい婚約者候補として名前の上がっている王女様。


 身体中の筋肉がガチガチに固まる。

 彼女も王妃教育を?

 それって私に勝ち目あるの?


「リシリア様、お座りください。講義を始めます」

「は、はい」


 私の一挙手一投足をモモタナ様は睨むように見つめた。

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