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悪役令嬢はパラ萌えされる  作者: ハルノ_haruno
2年生
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お引越し

今日から2年生編スタートです!

 4月1日。

 まだ春休みですが、今日から2年生。

 今日はお部屋のお引越しです。


「リシリア様、お茶の好みはございますか」

「いえ、それよりも申し訳なくて」


 私はアルバートの部屋の前室にいた。


 王妃教育を受けるにあたって、部屋の移動が必要とのことだった。

 これから引っ越しを始めるとかで、私は朝から王宮付き侍女のシーラに呼ばれたのだった。


「お口に合わなければ仰ってくださいませ」

「ありがとうございます」


 置かれた華奢なカップには飴色の液体が注がれていた。

 ほんのりと甘い香りがする。

 口をつけると絶妙に調合されたハーブの香りが鼻に抜けた。

 まさに飲むアロマって感じ。


「美味しいです」

「ありがとうございます」


 シーラは丁寧に頭を下げた。

 頭を下げたいのはこちらなのですが。


「リシリア様、何点かご説明させていただいてもよろしゅうございますか」


 執事が私の側に立った。


「はい。お願いいたします」


「これからリシリア様は王妃教育に入られますので、お部屋をうつっていただきます」

「はい」


 絶賛お引越し中ですものね!


「お部屋は殿下と同じ階、階段に一番近いお部屋でございます」


 何度も階段を往復していただいて申し訳ないです。

 ちなみにアルバートのお部屋は廊下の一番奥ですね。


「人と面会されるときは、前室をお使いください」

「前室があるのですか」

「はい。前室、居室、寝室と、3部屋ございます」


 すごい。

 庶民棟は相部屋だというのに、このVIP感ったらないです。

 是非アンジュを呼んでお泊り会第2弾をしましょう。


「それに加えて、1名ではございますが、身の回りのお世話をする侍女がつきます」

「ならばご挨拶を。どちらにいらっしゃるのですか?」

「こちらに」


 執事が手で示したのは、静かに佇むシーラだった。

 シーラは両手をきちんと組んで、ゆっくりと頭を下げた。


「本日よりリシリア様のお世話係を承ります、シーラにございます」

「シーラ! 嬉しいです。よろしくね」

「はい」


 シーラはにっこり笑った。


「お仕度や日々の生活の仕方なども、王宮と同様にさせていただきます。最初はご不便をおかけいたしますが、何かあればシーラにお申し付けください」


 執事が言う。

 そうか、王宮での生活スタイルに慣れるのも王妃教育の一環なのですね。


「早く慣れなくてはね」

「そう言っていただけますと幸いです」


 身が引き締まる思いだ。

 昨日までの生活とはまるで違う。






 ガチャリと音がして隣室の扉が開く。

 アルバートが顔を出した。


「お邪魔しております」

「あぁ、これからは顔も見に行きやすくなるな」


 そうですね。

 これまではそういうわけにはいきませんでしたから。


 公爵家の部屋が並ぶ階にアルバートがいるのは不自然ですし、その逆も然り。

 でもこれからは同じ階。

 扉を開ければ見える距離にいる。


「最後にご注意ですが」


 執事は咳払いをする。


「は、はい」

「前室で人と会われる時は、必ず侍女の同伴をお願いいたします」

「わかりました」


 それはそうでしょう。

 前室と言っても人を部屋に入れるわけですからね。

 いらぬ疑いを防ぐためにも侍女の同伴は必須です。


「それは私に言っているのか?」


 アルバートが不満げな声を出した。


「そう思われるのでしたらそれで結構です」


 ?

 何のことだろう。


「リシリアと会うのに監視がいるとは興がそがれるな」

「殿下の場合はそれくらいが丁度いいでしょう」

「前室で、と言ったな」

「はい」

「ならば居室や寝室では二人で会っても構わないということだな」

「殿下!」

「ははは! 承った!」


 その言葉に思わず顔が赤くなる。

 居室ならともかく、アルバートと寝室で二人きりなんて想像するだけでめまいがする。


「リシリア様、大丈夫でございますよ」

「シーラ?」

「殿下と言えど、リシリア様のお困りになるようなことはさせませんからね」


 この絶対的な安心感。

 王宮付きの侍女の心強さったらない。


「シーラ、言ってくれるな」

「私の主人は本日よりリシリア様ですから」


 ちょっと、笑顔で火花散らさないでください。

 私がいたたまれないではないですか。




 空気を変えたくて私はアルバートに声を掛ける。


「アルバート、執務は良いのですか?」


 春休みに入ってからアルバートは部屋で執務にかかりっきりだった。

 それも夏休みにしていたことより量も内容もヘビーらしい。


「あぁ、午後からカンサム公が手伝いにくるからな」

「ノアが」

「あれも勉強熱心だ」

「そうですか、よかったです」

「私も茶をもらおう」


 アルバートは私の隣に座った。


「あ、あの。席なら他にも」


 ほら、執事が苦々しげな顔をしていますよ。


「ここがいい」

「では私が移動を」


 私が席を立とうとすると、ぐいっと腕を引っ張られた。


「リシリアの隣がいい」

「っ!」


 申し訳ございません、申し訳ございません、申し訳ございません。

 百回くらい叫びたい気分です、今。



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