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最弱の代行者  作者: ひとみ
24/24

間話 国際会議

参加国兼参加者一覧


《霞の国》

【統主】天宮城(うぶしろ) 和行(かずゆき)


《アイテール王国》

【副王】西園寺・ヘン・ラグサス


《南部連盟》

【代表】ゼノ・J・スフィア

【妖精女王】エルフィルア・ホワイト


《グラウムリス帝国》

【代理首席】ヴァロンバイト・アークフィック



主催国兼開催国:《聖蓮中央諸国》

進行役:【聖王】クロス・ジアース

“聖蓮中央諸国”。その首都に国際会議場は所在している。


見事な迄に白い輝きを放つこの建物は、言葉通り国際会議の為だけに建てられ、階数は3階と多くはないが建物自体の高さはそれと見合わない程高い。


その大ホールでは、小さな円卓を各国の代表者達が囲み、更に周りを代表者達の側近や護衛等が少し距離を置いて固めている。



「───では、最後の議題に入ります。まあ議題というか、報告に近いですが」


静寂という静寂が包み込む中を、堂々と進む幼い声があった。


小さな円卓に座る代表者の1人で、今回の国際会議の火付け役。そして、この国の最高責任者である彼の名は、“クロス・ジアース”。


この場に出席している中で、一番若い。それは誰が見ても一目瞭然である。


きらびやかに光る銀の短髪や水色の瞳は取り分けて目立つ訳ではないが、まず座高が低い。代表者達全員は卓上に楽々と肘を付けるが、彼はやっと腕を乗せられるぐらいだ。


そしてその小さな顔は、声と同様に幼い。誰が見ても10歳には満たないだろう、と判断してしまうだろう。


誰が見ても万人が万人子供と判断する。


初対面の者だけではなく何度か顔を合わせた者も、心中では最高責任者が子供だという事に疑問を感じている。


だというのに、彼と挨拶を交わす者は皆腰を低くする。会議での進行も誰も異議は立てない。


それは彼が“聖王”であり、無礼な発言は自分の身ならず国にまで影響を及ぼす事を知っているからだ。上に立つ者ならば、弁えた姿勢は必然になる。



円卓に置かれた用紙の束に目を落としながら、円卓に添えられたマイクに口を近付け進行を続ける。


「先に発送した書類に記載した通りです。各国でなんの脈路もない奇妙な異変が起きているのはご周知かと思います。近年ではその数を増し、被害者総数も増加の一方です。前回の国際会議の議題に上がった『魔物の凶暴化及び生息圏拡大』。あと先程の議題にあった“南部連盟”の『感染症』。他にも多々ありますが、各国の協力により、奇妙な異変について推測できた事があります」


台詞に詰まる様子も見せずスラスラと言葉を並べるクロス。


クロスが言葉を切って小さな手をフワリと上げると、円卓の中央から淡い光が上がり、古びた塔を宙空に浮かび上がらせた。


これは投影魔法の1種、宙空に物の姿を映し出す魔法である。


古びた塔の名は、“黄昏の塔”。数週間前にヴィジランテの組員が依頼の為に訪れ、障気の発生源である“クラウデーモン”という悪魔が討伐された場所だ。


「これはアイテール王国に所在する建造物です。元は観光名所として賑わっていましたが、数年前から瘴気が発生し、周囲の生態系に乱れが生じました。他の国でも、アイテール王国と同様に数年前から瘴気の発生が報告に上がっていました。が、ついに先日、アイテール王国がこの問題を解決させました」


クロスがそこで一息吐くと、宙空に映し出された“黄昏の塔”が瞬時に切り替わり、今度は気色の悪い悪魔の像を浮かび上がらせた。


「事の発端はこの悪魔。身体のほとんどが、寧ろ全てが魔力でできていて、悪魔と言うよりかは“塊魔(かいま)”に近い魔物です」



……それ、知っている。


と、資料を片手にラグサスは思った。


知っている、というか、自国で起きた事だから知っているのは当然だ。だが、ラグサスが不満を垂れたいのはそこではない。


配布された資料に全部書いてあるのだ。クロスの台詞も、この資料を自分なりに改訳したものだ。


こういった形式で執り行われるのだから仕方がないが、毎度の事ながらどうにか短縮できないのか、とラグサスは欠伸が漏れないよう我慢に徹底する。


クロスの話はやけに長い。資料通りに話せば良いのに、二言ないし三言は余計に話す。だと言うのに、本人は長話が嫌いときている。愉快な神経をしている。


ラグサスは椅子に座り続きで硬直した背中を静かに伸ばし、集中力を継続させる為、乱れてもない七三に分けた黒みがかった赤い髪を整えた。



「この塊魔という魔物は魔力の塊という事以外生態不明の魔物でしたが、南部連盟からとある発表があったのは耳に新しいと思います」


クロスはそこまで言うと、視線を代表者の1人に向けて合図を送った。


「……じゃあ、この場を借りてもう一度報告させてもらいますかの」


クロスの合図を受けて口を開いたのは───“『妖精女王』エルフィルア・ホワイト”。齢120を超える老婆である。


妖精種───エルフは人間より寿命が20年程長いが、それでも120の数字はエルフ内でも長寿になり、尚且つ現役で妖精国の長を努めるエルフィルアは最早伝説に近い格付けにある。


一連の異変の関連性を探ると、世界的に魔力によって異変が起きたと言え、明らかに自然的な現象とは言い難い磁場や気流の乱れが頻発している。


そして、黄昏の塔のクラウデーモン。この悪魔は、何者かに意図的に召喚され、魔力を蓄えていたという。


つまり、人為的にこの奇妙な異変は起こされた。


これがクロス率いる“聖蓮中央諸国”の弾き出した結論だ。


「人為的であるという事は、人の手によってこの異変は起きているという事。ですが、一個人がここまでの異変を起こせる筈がありません。強大な力をもった組織が背景に存在する、そう踏まえた上で“聖蓮”は調査を始めています。各国にも“聖蓮”から調査依頼の協力の通知が届いているかと思いますが、この為であるという事を重々理解して頂きたい」


と、ここまでは形式に従った台詞。資料にも似通った事柄が書き綴られている。そんな前口上を作ってから、


「……で」


ここからはクロスの推測。個人の見解の話。


「アイテール王国全域で観測され、通常時の3倍程に巨大化した赤い月ですが、あれは人為的に起こせる規模を遥かに越えています。狭い範囲であれば幾つかの魔法を組み合わせる事で、人の視覚に間違いの情報を与え、あの現象を起こす事は可能です。が、赤い月はアイテール王国だけではなく、月が上がっていた地域全てで確認されています。“聖蓮”でも観測されました」


と言って、クロスは息継ぎを入れる。


「その地域で調査を行ったところ、赤い月は魔法によって起きたものではありませんでした。これは“何者かが直接月に介入し、月を変化させた”という事です」


そう、クロスは言い切った。


月に介入する手段などある筈がない、と少し辺りがざわつく。


月。それは空よりも更に高く、そしてどれだけ遠いかも想像も付かない存在。空を目指した者は誰も月を捉える事は叶わず、そんな果てしない場所にその身を置く月に、直接干渉などできる訳もない。


ここは国際会議の場。空論を発言していい場ではない。


その空論を発したのが“聖皇”でなければ、批判の嵐は免れなかったろう。


間も無くして辺りに静けさが戻り、クロスは口を開いた。


「ですがしかし、これまでの奇妙な異変は世界的な規模で発生している事から、特殊な魔法や技術を用いて赤い月を発生させた可能性も否めません」


「以上の事を踏まえ、これより世界的に異変解決に向けての対策を講じたいと思います。皆様方の案を集わせ、早期解決を目指しましょう」


クロスは言い終わり、最後の問題についての討議が開始された───



 ☆



2日に渡る会議は全ての日程を消化し、各国の代表者及びその側近達は翌日の帰国を残すのみとなった。


会議は日が暮れる前には幕を閉じ、今宵は立食会が催される事となった。各国の友好を深める事と、異変騒動で不調になっているからこそ験を担ごう、という狙いがある。


国際会議場の1階にある大ホールは、そうした理由で賑わっていた。


代表者及び側近。そして護衛の為に付き添ってきた兵士。王族がいれば、反対に平民上がりの護衛兵士がいる。身分が違う者同士が一同に会すなど、そうそうある事ではない。“聖蓮中央諸国”と“聖皇”の力があってこそだ。



大ホールの前の方では司会者が当たり障りない事を話し、従業員が縦横無尽に料理を運んでいる。


ラグサスは目の前の食事に舌鼓を打ちながら、立食会が早く終わらないものか、と時間が過ぎるのを静かに待っていた。


「ラグサス様」


「なんだ?」


背後から不意に名を呼ばれるも、ラグサスは振り返らずに返事だけをした。


「先程コウジ様より連絡がありましたので報告します。“心の帰り道≪コル・レウェルティ≫”とその複製品の設置が完了したようですが、イクリプスの抜けた穴は大きく、まだ調整には時間が掛かると……」


「貴様は馬鹿か? その話を今ここで持ち出す馬鹿がどこにいる?」


「も、申し訳ありません……。発言には気を付けます」


ラグサスが睨みを効かせると、側近が頭を下げて1歩後退した。


ラグサスがこちらに近付いてくる人影に気付いたのはその時である。側近から目を逸らして奥の方を見ると、存在感のある銀髪の子供が近付いて来ていたのだ。


それに気付いたラグサスは足早にその銀髪の子供の元へと赴き、先手を打つ。


「……これはクロス聖王。申し訳ない、私から挨拶に伺おうと……」


「いえ、お気になさらず。……それでラグサス副王、少しお時間よろしいでしょうか?」


「時間ですか? ええ」


ラグサスは1つ頷き、踵を返して歩を進め出すクロスの後を付いて行った。


ラグサスが連れて来られたのは、司会席の近くのテーブル。テーブルには既に先客が1人───少女がいた。


少女は空気に溶け込むような薄い存在感で1人で黙々と料理を摘まんでいたが、ラグサスを見ると直ぐに食事を止め、一礼をした。


「クロス聖王、この方は?」


「以前、貴国に調査協力の依頼をしましたよね? 認可が降りましたので、顔合わせをと思いまして」


「ああ、その話をですか」


異変の原因究明の為の調査協力依頼。数週間前にその書類に印を押し、弟であるディエルに回したのをラグサスは思い出した。


内容は確か、調査員数十人とその護衛数十人の約50人を受け入れ認可と異変に関しての情報共有、そして調査区域の立ち入り許可等が書いてあったか。


ラグサスはクロスから隣に視線をずらし、少女の総身を見据える。


クロスが顔合わせの為に連れて来たのなら、この少女が調査団の代表という事になる。が、ラグサスの内心は穏やかではなかった。


「“シャルローテ・ステラ”です。宜しくお願いします。散歩するのが好きです」


と、2度目のお辞儀を見せるシャルローテを、ラグサスは見据え直した。


身長は160半ばと言った所。薄く朱色が入った白い髪は肩まで伸び、そこか覗かせる翠色の瞳は透き通ってはいるが、光が掠れていた。


顔付きは幼く、年齢も童顔相応の年齢だろう。第一印象は大事な筈だが、今発した自己紹介には抑揚が全く無く、表情もほぼ無表情だった。


シャルローテの第一印象は、空っぽ。感情が見受けられない。ラグサスはそう感じた。


「……無愛想ですみませんね、ラグサス副王。シャルロは社交性もコミュニケーション能力も余り無いもので。まだ彼女は若くて20歳は超えてはいませんけど、仕事ぶりは非常に優秀なんですよ」


とクロスはラグサスの心中を察し、シャルローテにフォローを入れた。


「ほう。クロス聖王が太鼓判を押すとは。では我々はそちらに負けぬよう尽力しないとなりませんね」


クロスに絡まれた以上、少しは接待をしなければならない。そうラグサスは考え、話が弾むよう声の調を上げてクロスとの談笑に入る。



ラグサスはクロスとの談笑に意識を集中させながら、尚且つ帰国してからの計画実行までの流れを頭に巡らせて立食会を過ごすのだった。





天井から吊るされた剥き出しの電球と、窓から差し込む月明かりのみがその部屋を照らしていた。


部屋の中央には少し大きめテーブルが置かれ、周り添えられたソファには奇抜な服に身を包んだ男がソファに腰掛け、とある人物が来るのを待っていた。


男の前に積み重なった本と空になったティーポットから、男がこの部屋でそれなりの時間を過ごしている事が分かる。


とそこへ、


「悪いですね、源次郎」


銀色の髪を持った男の子が、台詞のわりに悪そびれもなく笑顔で入ってきた。


「聖王って結構大変な職でして、立食会の後も雑務に追われましてね。こんな夜更けになってしまいましたよ。聖皇なんて辞任したいですよ全く」


「なぁに、気にしてないさ。クロス君が忙しいのはいつもの事だ」


源次郎と呼ばれた男はそう言って立ち上がり、壁際の本棚に本を戻し始める。


「最後に会ったのは3ヶ月前ですかね。その時はリーゼントで、しかも七色に光ってましたよね。今回のファッションはピンクのアフロにピンクを基調とした水玉模様の燕尾服ですか……ん?」


男の子───クロスは源次郎の頭の上から爪先まで眺めると、首を傾げた。


「その服は確か、一番最近だと12年ぐらい前に見ましたかね」


「これだけ長生きしているとファッションも出尽くしてきてねぇ。何かいいアイデアは無いものか」


「なら丁度良かった。この前超大型の魔物の討伐を行いまして、祝賀祭なる宴を催したんですけど、その時の仮装をどうしようか迷ってたんですよ」


「ああ、俺はゴミ処分係りって事? まあ貰っても良いが、今日の話はそれじゃあないんだ」


「うーん……それは残念。新しく“聖蓮”の名産に登録されたお菓子でも(たし)みながら、下らない話でもしようと思いましたのに」


と肩をすぼめるクロス。手に下げた紙袋からこれ見よがしにお菓子箱を出すと、


「あ、お菓子だけは頂くよ」


源次郎がヒョイっと取り上げた。


源次郎はそのままソファに腰を戻し、慣れた手付きでテーブルの下からチェス磐を引っ張り出してテーブルの上に広げ、クロスを手招く。


「……さて、前回は互いに用があったから最後までできなかったから、続きをしようじゃないか、クロス。棋譜も残してある」


「───で、話と言うのは、得たいの知れない女性の事でしたか?」


ポーンの駒を進めながら、クロスが早速口火を切った。


「その女性は源次郎から見て、僕達の障害になりうるのでしょうか? 実際に会ってどうだったんですか?」


「良くも悪くも、得たいが知れなかったよ。彼女は降りかかる火の粉は全て降り払い、そして火元から欠き消す意思が感じられた。まあ俺の感想としては、まず障害にはならないだろう。ただ確実に、敵に回したら厄介な相手だ」


「源次郎が厄介って単語を口にするなんていつ以来でしょうかね。つまり敵になりうる可能性が示唆されていて、尚且つ僕達に牙を剥く事ができる。なるほど」


そう言って1人頷くクロス。


「そうなると、一応動向を探っておく必要がありますね───チェックです」


「それなら心配ない」


源次郎が自慢気に胸を張り、胸ポケットに軽やかな動きで指を入れ、1枚の写真を釣り上げた。


「友好を深める為に部下と一緒に写真を撮ったんだよ! 俺がイケメンに写ってるからって俺を妬まないでくれよ? 顔が良いのは生まれつきだからねぇ」


などと自惚れる源次郎を尻目に、クロスは写真を受け取って目を落とした───その瞬間、クロスの顔が険しくなった。


「源次郎、少し質問に答えて下さい。その女性の名前は?」


「佐々木さんだよ」


「じゃあ外見の特徴は?」


「金の長髪で、毛先がカールしていたかな。目は青色でパッチリ二重。それよりどうしたんだい急に?」


「他に特徴は?」


「え? 年齢は20半ばかな。身長は160程度。服はドレスのようなものを着ていた。肌は白くて……まあ一言で言えば美人だったよ」


「女性だったんだですよね?」


そう問われ、源次郎は首を縦に振った。


「だからなんだい急に? クロスが血相を変えるなんて珍しいね。天変地異の前触れかな?」


「……それ、頭ごなしに否定できないのが歯痒いですね」


意味深長な台詞を吐き、クロスはテーブルの上に写真を源次郎に見えるように提示。


そこに写っているものを見て、源次郎もまた表情を歪ませた。自分でも驚く程、表情筋が可笑しく動いた。


写真には源次郎とその部下と、そして依頼主である佐々木と言う名の───細い顔立ちの男性が写っていたのだ。


「……源次郎」


しばらくの沈黙があってから、クロスが不意に口を開いた。


「君の言った情報は、何一つとして佐々木という人物と一致していません。僕としてはこの写真を撮ったカメラに何か仕掛けがされたんじゃないかと思いたいんですが……」


とクロスは尋ねてみるが、源次郎の形相がより険しくなったのを見てその考えは消去した。


「じゃあつまり……この写真にもカメラにも細工はされていない、という事になりますね。因みにですが、この男性に見覚えはありますか?」


「……んー。自信が無くなってきたよ。もしかしたら男性だったかもしれない」


写真から目を離し目頭を摘まむ源次郎に、クロスは人差し指をピンと立てた。


「源次郎、これは僕の予想ですが……」


クロスは予想というより確信に近い表情で話し出す。


「この佐々木という人物に関わる情報の二次複製は禁止されているのではないでしょうか? 君の中にはこの佐々木という人物が浮かんでいると思いますが、君が伝えようとする情報の全てが錯綜し、第三者に正確に伝わらない」


「はは、まさか。クロス君は過去にそんな芸当ができる人物に出会った事があるかい?」


「いえ、無いですよ」


「だろう? だからやはり、カメラ自体に細工をされたとしか……」


源次郎が口を塞いだ。


自分がデタラメな発言をしていると気付いたからだ。矛盾しかない。佐々木という人物を女性と言っておきながら、男性と訂正している。


確かに一緒に食事をした際には女性だった気がするのだが、写真を見たら違和感無く佐々木という人物が男性にすげ替わった。


違和感は無いが、気持ち悪さが拭えない。


「まあ、その佐々木という人物は保留にして───チェックメイトですよ、源次郎」


と、クロスは話を切り上げて最後の1手を打った。


「……やれやれ、また負けたね。あの時からクロス君は負け無しだよね」


「そりゃあ源次郎にだけは負ける訳にはいきませんからね。僕の芯が揺らいでしまう。次も勝ちますよ」


クロスは自分に言い聞かせるように言って、静かに立ち上がる。


「もう行くのかい? まだお菓子が残ってるんだけどねぇ」


「悠長にはできないでしょう? 佐々木という人物を探っておく必要がありますから。丁度優秀な調査員がアイテールに向かいましたしね」


瞳の奥に灯る炎が勢いを増し、闘志を宿す堂々とした小さな背中は扉の向こうにゆっくりと消えた。

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