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End
白衣の老人は、ゆっくり揺り椅子から立ち上がった。
そして少年の頭を、優しく撫でる。
「リオン-9。もうおやすみの時間だよ」
少年は小さく頷いた。
その瞬間、 眩しいほど白かった部屋の照明がゆっくり落ちていく。
無機質な光は消え、 代わりに柔らかな間接照明が室内を淡く包んだ。
老人は静かに部屋を出る。
自動扉が閉まり、 長い白い廊下へ足音だけが響く。
その時――ガシャン。
老人の肩が花瓶へ触れ、 床へ落ちたそれは粉々に砕け散った。
「ああ……」
老人はゆっくり膝をつき、 破片を拾い集める。
その拍子に、 鋭い破片が指先を裂いた。
血は出なかった。
裂けた皮膚の奥から覗いていたのは、 鈍く光る金属の指。
老人はしばらく無言でそれを見つめる。
やがて小さく呟いた。
「……修復が必要だ」




