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調査2 甘い罠

山田たちが、泥棒キッズの犯行予告状の内容がわからないので、黒井に連絡した次の日。


ー警視庁 公安ー


警視庁にある廊下で、スーツをきた女性が電話に出た。


「はい・・・わかりました。お任せください。黒井さん」


そう言うと電話を切る。そして、携帯を胸に当て誰にも聞こえないように、つぶやく。


「全ては、尊き真白様のために・・・」


彼女は安藤、公安に所属する真白の信者である。安藤は堂々と警視庁二課へ向かう、彼女は公安という立場を隠し、警視庁捜査二課で働いているからだ。


そんな彼女からしたら、犯行予告状の内容を把握することなど、赤子の手を捻るより簡単だった。



ー警視庁二課の証拠保管室ー


安藤は証拠保管室につくと、件の犯行予告状を見つけた。


「・・・これね」


彼女は、証拠保管室の監視カメラの資格に立ち、スマホで撮影する。手早く犯行予告状を戻し、立ち去ろうとすると、出口を遮るように人がたった。


気だるそうな顔が印象的な二階堂だった。彼は、その印象通りにゆったりと話す。


「安藤さん、ここで何をしているのですか?」


「・・・仕事よ」


安藤は最低限答えると、二階堂を避けるように立ち去ろうとした。彼は彼女の腕をギュッと掴む。


「安藤さん、あなたが担当している事件はないはずだ。どうして証拠保管庫に?」


「・・・極秘よ・・・二課の証拠保管室に、二課の人間が入っちゃいけないの?」


安藤は二階堂を睨む。二階堂は彼女の手を掴んでいるものとは反対の手で頭の後ろをかく。


「いや・・・俺もね、二課の知り合いから聞いたんですよ。素人感丸出しの犯行予告が来たって」


「・・・」


「そいつはイタズラだと思っているようですが、この前の素人による野球スタジアム爆破事件といい、状況が似てますからね。俺が念を入れろとアドバイスしときました」


二階堂は、タバコを加える。警視庁内は禁煙なので火をつけていないが、口からタバコのニコチンの香りを摂取したいのだろう。


「それで?私に何を言いたいの?」


安堵は強気のスタンスで二階堂に問う。二階堂は少し言葉を選んでいる様子だった。


「いや、間違えていたら謝りますが、安藤さん。犯行予告状を確認しに来たんじゃないですか?第三者に渡すために」


「違うわ」


安藤は考えた。否定したとはいえ、この警視庁一課一頭のキレる男は安藤を疑っている。この状況をどう切り抜けるべきか。彼女が頭をフル回転していたその時ー。


「せんぱーい!犬飼戻りました〜!」


二階堂の相棒の犬飼が駆け寄ってきた。二階堂はこの状況を見られるのは、まずいと判断したのだろう。静かに安藤から手を離した。


安藤は静かに立ち去る。廊下の角を曲がる際に二階堂を盗み見た。彼は静かに安藤が立ち去った方向を、睨んでいたのを彼女は遠目に確認した。


(二階堂・・・思っていたより鋭いわね)


安藤は静かに携帯を操作し、黒井と連絡をとり始めた。優れた猟師がいると、主たる神(真白)に伝えるためにー。



ー1週間後ー


警視庁の会議室に呼び出された二階堂と犬飼。しばらくすると2人を呼んだ張本人が部屋に入ってくる。


ふたりは、起立しその人物を迎え入れる。入ってきたのは警部だった。二階堂と犬飼の上司にあたる。


「座って大丈夫だ。早速だがふたりには研修に行ってもらいたい」


「研修ですか・・・?」


犬飼が不意の事例に驚いているようだった。


「失礼ですが、我々は野球スタジアム爆破事件を殺人の線で捜査中です。そこを外れるわけには・・・」


二階堂も断りの体制をとっている。警部はそれを遮るように手で静止を求める。


「それは、彼女に引き継いでもらうから心配無用だ。入って」


その声が聞こえたと同時に、会議室のドアが空いた。そこから見えた人物に二階堂は睨みつける。


「・・・安藤」


「二階堂さん、久しぶりね」


安藤が会議室の空いているところに腰をかける。それを見届けた後に警部が話を続ける。


「ふたりが研修に行っている間に、安藤くんには爆破事件の線を洗い直してもらうことにした」


「・・・」


二階堂は何か言いたげだが、もう覆らないと察しているのか、思考を巡らせていた。


(おそらくだが、警部も安藤側だ。それを知らしめるために、安藤がわざわざ出てきた・・・この件からは手を引けってことか・・・?)


二階堂が考え込んでいるのをいいことに、犬飼が不満を告げる。


「事件ほっぽって研修に行くなんて警察(正義)のすることじゃないっす!俺と先輩は事件を解決するまで動かないっす!」


「まぁまぁ、犬飼くん、これあげるから事件は一旦私に任せてくれないかしら?」


そういうと、安藤はどこからか白い箱を取り出した。その箱に印字されたロゴを見て犬飼は目を輝かせた。


「わぁ!これシュークリームが美味しいって有名なお店じゃないっすか!」


「そうなのよ〜限定100個のシュークリームよ〜」


犬飼はご馳走が目の前に置かれた犬のように、身を前屈みに乗り出している。


「食べていいわよ〜」


その声に二階堂はハッとする。


「犬飼!!」


そう言い終わるのも束の間、名店のシュークリームは犬飼の口の中に消えていった。


「うんまぁああい」


「うふふ」


そのやりとりを見た二階堂は肩を落とした。警部が二階堂の肩に手を置く。


「駄犬が・・・」


「ちなみに研修先はモルティブだ・・・今年は当たりらしいよかったな」


警部のどうでもいい情報に、さらに肩を落とす二階堂だった。


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