救済2 世紀の大泥棒参上! 完遂
ー春分の日 午後6:50ー
泥棒キッズは、携帯で地図を見ながら下野美術館にやってきた。
「やるぞ」
彼は無駄な勇気を搾り、あたりに人がいないか確認しながら中に入った。
パリーン
午後7時ちょうどに、彼はハンマーでドアの窓を破り、そこから腕を通すと内鍵を開けて侵入した。誰にも気づかれていないことを確認しながら、キョロキョロと侵入していった。
「この時点で、器物損壊と不法侵入だし、100万カラットのダイヤの価値から考えて、こんなスカスカな警備なのを怪しめよ」
物陰で見守っていた山田は、あまりのずさんさにイライラして小声で文句を言っていた。
「そんなに、言うな。山田よ、だから真白の救いの手が来たのだろう」
ジェットも小声で山田を諌める。
青桐の発案で、古賀が泥棒キッズのスマホの位置情報を取得、それを操作し、青桐が真白信者と協力して用意した“ハリボテの下野美術館”に誘導した。
だから、警備員はいない。この建物にいるのは、山田とジェット、泥棒キッズと本物の南アフリカの太陽だけだ。
ふたりは警備員の格好をして、泥棒キッズの跡をつけた。
間違った道に行くたびに、ワザと大きな足音を出して威嚇し、南アフリカの太陽の在処まで誘導する。
怪盗キッズは、程よい緊張感を持ちながら、目的の部屋まで到着した。彼はそのまま何も警戒せず中に入る。
そして、ゆっくりケースを開けると、宝石を手に取りゆっくりバックの中に入れた。ケースを戻し、部屋を後にする。
「監視カメラに映るだろ、あれじゃ!あと翌朝に大問題になるじゃねーか!」
「犯行は、いかに発生に気づくのを遅らせられるのかが肝だからな・・・行くぞ」
キレる山田は、怒りをそのままに泥棒キッズの背後に出る。
「おい!!!テメェ何してんだ!!!」
泥棒キッズは天井に頭がつくんじゃないかと言うぐらい垂直に飛び跳ねた。
「止まれ・・・止まらないと撃つぞ」
ジェットはそういうと、おもちゃの拳銃を取り出す。泥棒キッズは振り返ることなく走り出した。
「待てコラ!!」
山田とジェットは追いかける。しかし、捕まえることが目的ではないので、ゆっくり走っている。ジェットは走りながら、拳銃を撃つ。もちろん、空砲なので当たらない。
「ひぃいいいいいい!!!」
泥棒キッズは悲鳴を上げながら、来た道を戻り出入り口まで来た。そして勢いよくハリボテの下野美術館を後にする。そしてそのまま、下野駅の方へ走っていった。
「・・・言ったぞ」
山田はその背中を見送ると、無線で古賀と青桐に連絡した。
『お疲れ様です〜!』
青桐の明るく労う声が通信機から聞こえる。
『お疲れ様でした。泥棒キッズは無事電車に乗って、お家に帰ってますよ』
「100万カラットの宝石を持って電車に乗るな・・・!」
山田はやりきれない怒りを、通信機に向けるように強く握った。
…
ー泥棒キッズの最寄駅ー
泥棒キッズは早歩きで家に帰り、自室に戻る。未だ治らない鼓動を落ち着けながら、バックを漁り、宝石を出す。
その美しい輝きは、少年の心を勇気づけるように美しく輝くのだった。




