表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
イザン:血の継承  作者: Salhi smail


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

40/76

あくがきえたとき

前の章では、予想もしなかった展開へと物語が進んだ。

時空を越えて逃げたアズロンとスカイ。

二人が姿を現したのは、まったく別の場所だった。アズロンはその少年の力に衝撃を受けていた。


息を切らしながらスカイが言う。

「こんな恐怖を感じたのは初めてだ… あの怪物、ハーマンの力を見たとき以来だ!」


アズロンはスカイの首を掴み、怒りを込めて持ち上げた。

「なぜ俺のマントを掴んだ?! 逃げるとはどういうことだ?! 子供一人に負けて逃げるのか!?」


スカイは苦しそうに言葉を絞り出す。

「すまない、ボス… 逃げたわけじゃない。ただ、北と南から二つの巨大な力が近づいてきていたんだ。あの速さ…常識を超えていた!」


アズロンは驚きに目を細める。

「何だと? 俺には感じなかったぞ!」


スカイ:

「当然だ。あなたはマクルズとの戦いに集中していた。だが俺は…あの少年から放たれる奇妙なエネルギーで目が覚めたんだ。」


アズロンは考え込むように呟く。

「確かに… あの力の正体はまだ分からん。だが、ラザン一族の血をこの身に注いだ今、他に欲しいものなどない。

ラザンの力は確実に俺の中で目覚め始めている。闇の大地にたどり着けば、完全に取り戻せるだろう。」


スカイは夢見るような声で言った。

「闇の大地… 世界中の力ある者たちが夢見る場所。そこに到達することは、頂点に立つことを意味する。

そこに眠る財宝、そして無敵の力… どんなものも敵わない。」


アズロンは冷酷な瞳で言い放つ。

「だが片腕を失った… くそっ、あの少年め。確かに強かった。次に会ったときは、真っ先に殺す。」


スカイ:

「ボス… 先ほど言っていた二つの力のうち、一つはハーマンのものだ。だが、もう一つは…誰だ?

まさかアルマザの将軍の一人か?」


アズロンは冷静に答える。

「奴らの将軍は全員知っている。あれは違う… 白い長髪の男… 奴だ。」


――戦場へ――


イーザンがラーカンの首を掴んでいた。

ラーカンは息も絶え絶えに言う。

「イーザン… 目を覚ませ! 俺はお前の師であり、隊長だ!」


その瞬間、白髪の長い男がイーザンの背後に現れた。

黒いローブを纏い、軽く首筋を叩くと、イーザンは意識を失って倒れた。

ラーカンの目が見開かれる。

「シャンメル様…! あなたが…!」


シャンメルは静かに言う。

「ラーカン、イーザンのしたことは報告に書くな。彼にとって危険だ。俺はお前を信じている。」

そう言うと、一瞬で姿を消した。


数秒後、ハーマンがラーカンの背後に現れる。

ラーカンは驚き、シャンメルかと思ったが、ハーマンは周囲を見回しながら言う。

「敵はどこだ?」


ラーカン:

「逃げました… それにシーグランは…」


ハーマンはため息をつく。

「隠れ家を調べるぞ。」


一歩踏み出したその瞬間、彼は立ち止まり、低く呟いた。

「今、一瞬… 俺の知る気配を感じた…」


ラーカンが尋ねる。

「誰のことです?」


ハーマンは地面を見つめながら答えた。

「アズロンとスカイがここにいた。そして時空を越えて逃げた。」

小さく呟く。

「分かっているぞ、シャンメル… なぜここにいた?」


――森の中を静かに歩くシャンメル――


再び戦場へ。

ハーマンは地に倒れたイーザンの身体を見つめていた。

その身体からは、肉眼ではほとんど見えない黒い煙が立ち上っている。

ハーマンの目が見開かれ、慎重に近づく。


ラーカンは慌てて口を開いた。

「敵が彼に炎を浴びせましたが、ハスミがすぐに消し止めて…助かりました!」


馬鹿げた嘘だと分かっていたが、他に言い訳がなかった。

それでもハーマンは信じた―― それが不思議だった。


ハーマンは何も言わず隠れ家へと向かう。

そこには壁に鎖で縛られたシーグランがいた。

ハーマンは近づき、顎を掴んで冷たく言う。

「お前は本当に弱いな… 俺の息子とは思えん。」


鎖を片手で引きちぎり、彼を肩に担ぐ。

「俺が直々に鍛え直してやる。強くなれ。でなければ…死ぬだけだ。」


外へ出ながらラーカンに言う。

「援軍はすぐ来る。」


ラーカン:

「シーグランは大丈夫なんですか?」


ハーマン:

「今はな。だがこれからは…分からん。」


そう言い残し、彼はシーグランと共に姿を消した。


ラーカンはその背を見送りながら、苦い笑みを浮かべた。

「これで分かった… シーグランの傲慢さの理由が。あんな父親に育てられたのか… 怪物だな。」


イーザンを見下ろしながら、ラーカンは心の中で呟いた。

「そうか… 黒い暁の組織の二人を殺したのはお前か。やはりお前は… リース・ラザンの息子だ。

あの力、間違いない。

だが、まだ分からないことがある… ハーマンはリースの兄なのか?

ラザン一族は滅んだと聞くが、生き残ったのはハーマンだけ… シャンメル、お前が次に現れたら、必ず答えてもらう。」


援軍が到着し、負傷者の搬送が始まった。

「負傷者を優先しろ!」と兵士の声が響く。


ラーカンは深く息を吐いた。

「やっと… 終わったか。隊は無事だ。

だが、オウスの傷が深い…瀕死だ。」


彼は空を見上げ、静かに呟いた。

「どうか… 生きてくれ。」


――作者より――

「彼は死ぬのか? それとも生き延びるのか?

それは次の章で明らかになる――」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ