命を救った血
太陽が昇り、嵐の後に静けさが訪れた。
ヤズンたちは激しい戦いを経て、死の淵をさまよった。
その戦いの中で、仲間それぞれが自分の限界を超えた――。
マヤはハスミ一族の魂を覚醒させ、力を解き放ったが、その代償に意識を失った。
そして最大の出来事――ヤズンが怒りに呑まれ、ザランの血が目覚めたこと。
暴走する彼を止めたのはシャーミルだった。
ヤズンが師であり隊長のラーカンを殺めようとしたその瞬間――。
現れたハーマンはシーグランを連れ去り、言った。
「これからは、私がお前を鍛える。」
第一場面:病院
病院には負傷者が溢れていた。
その一室で、ヤズンはベッドに横たわり、悪夢に囚われていた。
――血。
――仲間たちが倒れている。
「みんな!大丈夫か!?」
ラーカンを見つけて叫ぶ。
「師匠!」
ラーカンが崩れ落ちる。
「いやだ!師匠!!」
次にマヤが倒れる。
「マヤ!!」
そこへスカイが笑いながら現れる。
「ハハハ!仲間はどこだ?全員死んだぞ、臆病者!」
「くそっ!」と叫ぶヤズン。
しかしスカイは消え、代わりにアズロンが現れる。
「お前のような弱者、初めて見たぞ。ハハハ!」
さらにラーカンの声が響く。
「失望した…お前は隊の足手まといだ。」
「師匠!行かないで!お願いだ!」
その時――
優しい声が聞こえた。
「落ち着け…少年よ。」
ヤズンは汗をかきながら目を開ける。
目の前に立っていたのは、将軍シャーミルだった。
第二場面:シャーミルとの再会
「無理に起き上がるな。少し休め。」と微笑むシャーミル。
「父さ…いえ、将軍殿。」とヤズンが小さく呟く。
その言葉に、シャーミルの心は少し温かくなった。
「具合はどうだ?」
「大丈夫です。あなたの顔を見たら、元気が出ました。」
「ハハ、それは光栄だ。回復したら話がある。」
「はい!」
ちょうどその時、マヤが部屋に入ってきた。
ヤズンが振り向くと、シャーミルの姿はもう消えていた。
第三場面:マヤの来訪
「ヤズン、大丈夫?」
「ええ、窓を開けたら少し寒いですね。」
「空気を入れたかったんです。」と彼が笑う。
「あなたこそ大丈夫?」
「ええ、なんとか。」
「よかった…」
少し沈黙の後、ヤズンが尋ねる。
「ラーカン師匠とシーグランは?」
「ハーマンに連れられて行ったわ。」
「君は?」
「力を使い果たして、少し休んだだけ。アーダ先生たちは軽傷で回復した。」
「ラーカン師匠の容体は?」
「重傷だったけど、命に別状はないわ。」
ヤズンは胸を撫で下ろし、静かに言った。
「…マヤ、ごめん。君の兄さんを救えなかった。」
第四場面:フラッシュバック ― オス
倒れるオス。
マヤは泣きながら膝に頭を抱く。
「兄さん!オス兄さん!」
オスは微笑み、血に染まった手で彼女の頬を撫でる。
「泣き虫な妹だな…」
そして小さく、「ごめん…」と呟く。
現在に戻る
「彼、今手術中よ…」
ヤズンは立ち上がり、「まだ生きてるのか!?」
「手術室の前でずっと祈ってたけど、もう限界で外に出たの。」
ヤズンは微笑んだ。
「よかった。」
「何が?」とマヤ。
「生きてるなら、きっと助かる。」
マヤも小さく頷いた。
「ええ、信じるわ。」
ヤズンが手を伸ばし、
「行こう。手術室の前で待とう。」
第五場面:手術室
医師たちは焦っていた。
「血が足りない!体温が下がってる!」
「エネルギー治療も効かない!」
「誰か、血を!」
医師が外へ飛び出すと、そこにオスの両親――ミズラ将軍とリリがいた。
「私がやる!」とミズラ。
「私も!」とリリ。
そこに駆けつけたマヤとヤズン。
「この若者たちがいい、年齢が近い。」と医師。
「私は妹です!」
「俺は友人です。」
医師はヤズンの腕を掴み、突然震えた。
「な、なんだこの血は…?」
そして叫ぶ。
「君だ!ついてこい!」
血液がチューブを通り、赤い光のように流れる。
「…この血、熱い…!まるで生命そのものだ!」
数秒後――
オスの心臓が鼓動を取り戻した。
医師は呟く。
「これは…奇跡だ…」
第六場面:手術の後
医師が出てきて、全員に告げた。
「手術は成功しました!」
皆が歓喜する。
「ありがとうございます!」とミズラ。
だが医師は静かにヤズンを見つめ、
「私は何もしていない…彼の血が救ったのだ。」
その時、廊下の奥でシャーミルが立ち、静かに呟いた。
「このままでは…ヤズンの秘密が明らかになる日も近いな。」
章の終わり
「どうでしたか?この章は少し落ち着いた雰囲気にしてみました。
皆さんの感想が、次の力になります。いつも応援、本当にありがとう。」




