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イザン:血の継承  作者: Salhi smail


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苦い決断を下す義務

緊張が頂点に達した瞬間、カインは怒りの咆哮を上げ、巨大な鉄鎖をラカンに振り下ろした。

「妹に触るなああああっ!」


ラカンは驚異的な敏捷さで後方に跳び、イラを地面に叩きつけた。

その瞬間には、すでに全員が戦闘態勢に入っていた。

レイド、シーグラン、マヤ、アミール、ナダ、ワエル、アナス、そしてアスマー。


イラはゆっくりと立ち上がり、冷たい笑みを浮かべながら手を掲げた。

「今度こそ逃がさない……《闇の幻影》。」


ラカンが鋭く叫んだ。

「目を見るな! 足元だけを見ろ!」


全員がその指示に従った……ただ一人を除いて。

最前列に立っていたヤザンが、次の瞬間、糸の切れた人形のように崩れ落ちた。


「ヤザンっ!」

マヤが悲鳴を上げ、駆け寄って揺さぶった。しかし、何の反応もない。

イラは喉の奥でくぐもった笑いを漏らした。

「ふふ……忘れたの? 私の幻影に落ちた者は、もう私のもの。下手に動けば……神経を潰して記憶を壊すわ。」


レイドが叫んだ。

「嘘だろ!」


イラが拳を握りしめた瞬間、ヤザンの身体が激しく痙攣し、苦痛の呻きが漏れる。

誰も動けなかった。


「……本当だ……」

レイドが歯を食いしばる。


「どうすれば……」

マヤが震える声で呟く。

「バカ野郎……命令に従えって言ったのに」

シーグランが苛立った声をあげる。

「司令……任務を続行して敵を排除すべきです。犠牲は一人で済む」

アミールの声は冷たかった。


「そんなこと言えるわけない!」

マヤが叫ぶ。


「マヤ、やめろ」

ラカンの声は静かだが、苦悩がにじんでいた。

「今の俺は教師じゃない。司令官だ。ここは戦場だ。任務が最優先だ。」


マヤの涙が頬を伝う。アスマーは目を伏せ、唇を噛んだ。

ラカンの胸は燃えるように痛んでいたが、表情は崩れなかった。


「攻撃開始。目は見るな。俺は鎖の奴をやる。」

ラカンの号令で部隊が一斉に動き出した。


ラカンは雷光のようにカインへと突進する。

剣と鎖がぶつかり、激しい火花が飛び散る。

ラカンの斬撃はどんどん速く、重くなり、カインは防ぎきれなくなっていった。


その頃、仲間たちはイラに向かって突撃していた。

レイドの強打が決まり、イラは地面に叩きつけられる。


「なぜヤザンが目覚めないの!」

マヤの声が響く。


イラは唇から血を流しながら立ち上がり、薄く笑った。

「あの子はもう起きないわ。私のものだから。」


「黙れえええ!」

マヤは怒りで水の魔力を爆発させ、巨大な波を放つ。


「な……っ!」

イラは避けられず、石壁に叩きつけられた。


「イラアアアッ!」

カインが叫ぶ。

ラカンは冷ややかに笑った。

「心配するのは自分の身だ。」


次の瞬間、稲妻のような一撃がカインの胸を貫き、彼は鎖を散らして倒れた。


捕縛


ラカンは素早く二人を拘束し、魔力を封じる縄で縛り上げた。

「リーダーはいないようだな。居場所を教えろ。」


「教えるとでも?」

カインは血を吐きながら笑う。

「夢でも見てろ、司令官。」


「方法はいくらでもある。話すか……痛い目を見るかだ。」

ラカンは冷たい声で言い放ち、イラに視線を移した。


「仲間への幻影を解除しろ。」


「仲間ぁ?」

イラはにやりと笑った。

「さっき置き去りにしたんじゃない。」


「黙れ。繰り返させるな。」

ラカンの声には殺気がこもっていた。


「ふふ……もう解除したわよ。捕まった瞬間にね。でも……起きないでしょ?」

イラの声は氷のように冷たい。

「神経を潰したの。脳への酸素は遮断。普通なら数日は目を覚まさない。意志が弱ければ……死ぬ。」


「……何だと」

ラカンの顔が強ばる。

地面に横たわるヤザンの呼吸はかすかだった。


「殺してやる!!!」

マヤが叫び、シーグランの拳に炎が灯る。

だが、ラカンが遮った。

「やめろ。利用価値はある。」


ラカンはヤザンの肩に手を置き、低く囁いた。

「ヤザン……お前はこれまで何度も地獄を越えてきた。信じてる。負けるな。」


マヤは嗚咽を漏らし、シーグランは歯を食いしばって目を逸らした。


逃走


突然、イラとカインの背後に時空の渦が現れた。

二人の身体が強引に吸い込まれていく。


「また会おう……アルマーザの騎士たちよ」

不気味な声が渦の奥から響き、二人は消えた。


「くそっ!」

ラカンが叫ぶ。全員が言葉を失った。


「今のは……?」

アミールが問いかける。


「時空の渦……ありえない。黒き暁の組織に、あの術を使える者がいるとは……」

ラカンの声は重く沈んでいた。


「捕虜を失った……」

レイドが拳を握る。

「ヤザンを救う唯一の手がかりだったのに……」

アスマーが小さく呟く。

「先生……これからどうするの……?」

マヤの声は震えていた。


「撤収する。任務は……失敗だ。」


帝国への帰還


ラカンはヤザンを背負い、帝国の中央基地へ戻った。

軍医たちが診察を終えると、医師が重い表情で言った。


「神経への圧迫が深刻だ。記憶と意識の中枢が損傷している。エネルギーによる治療では回復できない。」


「そんな……」

マヤが崩れ落ちる。


「……あとは本人次第です。意志が強ければ、目を覚ますかもしれません。」


病室に静寂が満ちた。

全員が沈黙のまま、眠るヤザンを見つめる。

ラカンは拳を握りしめたまま、表情を動かさなかった。



作者からのひとこと


ここまで読んでくださってありがとうございます!

もしこの章が少しでも面白いと感じたら、ぜひ「コメント」や「感想」で応援してください。

みなさんの一言が、次の章を書く大きな力になります!

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