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イザン:血の継承  作者: Salhi smail


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風が導いた邂逅

イーゼンは袋をしっかりと背負い、振り返らずに歩き始めた。

しばらくして、スカイが静かに空中に浮かびながら後ろから付いてくる。


とある国の国境付近には、緑の畑が広がり、人々が灼熱の太陽の下で働いている。

農夫たちは土の上にかがみ込み、女たちは水を運び、子供たちは麦の穂の間を駆け回る。


イーゼンは突然立ち止まり、その光景を黙って見つめる。

一人の農夫が両手を空に上げ、呪文を唱えるように祈る。太陽が彼らの作物を慈しみ、豊かな収穫を与えてくれるように。


イーゼンは彼らから目を離さずに言う:

「スカイ…なぜあの男は太陽に頼るんだ?」


スカイは静かに答える:

「あの人たちは、太陽が命を与える神だと信じているのです…だから助けを求める。」


イーゼンはしばし沈黙し、それから言う:

「それは理にかなっているのか?」


スカイはかすかに微笑む:

「私たちにとっては…おそらく違うでしょう。

でも彼らにとっては…それが希望にしがみつく唯一のものなのです。」


イーゼンは黙り込み、そして呟く:

「誰にでもそれぞれの理屈がある…でも、どれが正しいんだ?」


スカイは答えない。

ただ畑で働く人々を見つめる。

静かなひとときが過ぎる。


そしてイーゼンは再び歩き始め、低い声で言う:

「多分…世界中を見れば、答えがわかるかもしれない。」


——


イーゼンとスカイはしばらく歩き、周囲の畑には静けさが漂う。

突然、馬の嘶きが聞こえ、素早く近づいてくる。

一団の追いはぎが土の道を疾走してくる。


その一人が畑を見て笑う:

「見ろよ、あの農夫たち…欲しいものを持ってそうだ。」


イーゼンは少し立ち止まり、片目だけでその声の方を見る。

スカイは彼のオーラの変化に気づく。

「何か?」


答えの前に、馬たちが畑に突入し、作物を踏み荒らす。

一人の農夫が慌てて走り寄る:

「おい!そんな入り方はやめてくれ!作物が台無しだ!」


追いはぎの一人が笑い、彼の服を引っ張る:

「何言ってんだ?黙って金出せ!」


別の者が母親のそばにいる小さな子供を掴む。

母親は叫びながら走る:

「子供を離して!」


彼女は強く殴られ、地面に倒れる。

他の農夫たちは怖気づいて後退するが、一人が震えながら進み出る:

「お、お願いです…子供だけは…」


追いはぎは冷たく言い放つ:

「うるさい。金を出せ。」

農夫は絶望的に:

「何もありません…私たちは貧しいんです。この作物さえ地主のものです…」


首領は横に唾を吐く:

「なら役に立つものを取るまでだ。」

彼は子供ともう一人、母親の後ろにいる少女を指す:

「こいつらを売り飛ばす。奴隷としてな。」


農夫は叫び崩れる:

「頼む!私の子供たちだ!」

「黙れ!」


その時——

奇妙な静けさが訪れる。

馬たちが落ち着かなくなり始める。

そして背後から深い声が響く:

「子供たちを離せ…そして去れ。」


追いはぎたちは凍りつく。

首領が怒って振り返る:

「誰だ?関係ないことに関わるな!」


イーゼンは彼らの後ろに立っていた。頭を垂れて。

そしてゆっくりと顔を上げる。


次の瞬間——

集団は馬から落ちる。まるで巨大な圧力が地面ごと引きずり込んだかのように。

馬たち自身も恐怖に襲われるが、イーゼンから放たれる静かなオーラが徐々に彼らを落ち着かせる。


首領が顔を上げる…そしてイーゼンの目と合う。

体が凍る。

生涯感じたことのない恐怖。


よろめきながら後退する:

「わ…私どもは…行きます…すみません…」

手下を連れ、素早く逃げ去る。


道中、一人が恐る恐る尋ねる:

「なぜあんなに逃げたんですか?」

首領は震える汗を拭い:

「わからん…だが、あんな人間の恐怖は生まれて初めてだ。」


——


畑に戻る。

農夫たちが恥ずかしそうに、感謝しながら近づく。

一人が頭を下げる:

「ありがとうございます、お方…あなたが私たちを救ってくださいました。」


イーゼンは彼らを黙って見つめる。

そして背を向ける…何も言わずに歩き去る。


スカイが後に続く。一人の子供が母親にささやく:

「お母さん…あの人、英雄だったの?」

しかし彼らを救った男は、すでに畑の彼方へ消えていた。


——


カグラとアルマーザを結ぶ道。

アルマーザ分隊は重い沈黙の中を戻っていた。

誰も話さない。

それぞれが自分の思いに沈み…見たものを受け入れられずにいる。


かつての仲間は…完全に別の者になっていた。


ようやくアルマーザ首都に到着。

ラカンが止まり、疲れた声で振り返る:

「今日はここまでだ…家に帰って休め。」


隊員たちはゆっくりと散っていく。

一方、ラカン、アドナン、アルダは司令部へ向かった。監察官ダリウスの執務室だ。


彼らは扉の前に立つ。

ノックをする前に——

内側から声がする:

「入れ。」


三人は素早く目配せを交わし、中へ入る。

そして凍りついた。


部屋の中には監察官ダリウスだけではなかった…

最高指揮官ハマンが窓辺に立っていた。


重い沈黙が部屋を支配する。

ダリウスがようやく口を開く:

「あれは…本当にあの者だったのか?」


沈黙。

そしてラカンがゆっくりと答える:

「はい。」


その瞬間——

ハマンのオーラが一瞬だけ炸裂する。

凄まじい圧力が部屋を満たし、空気が重くなる。

アドナンとアルダの体は本能的に強張る。

そして…オーラは現れた時と同じように消えた。


ハマンが荒く、そして静かな声で言う:

「あの者は…去る時、どんな様子だった?」


ラカンは唾を飲み込み、重い声で答える:

「生まれてこの方…あのようなオーラを持つ人間を見たことがありません。」


沈黙。

ダリウスが衝撃を受けてささやく:

「まさか…彼のオーラはもしかして——」

「黙れ。」


ハマンは声を荒げずに遮ったが、その一言で全員が沈黙した。

彼はゆっくりとラカンの方を向く。

「今、どこにいる?」


ラカンは少し目を伏せる:

「わかりません…消えました。」


長い沈黙。

そしてハマンが冷たく言い放つ:

「下がれ。」


誰も逆らわなかった。

三人は黙って部屋を出た。


ハマンは窓辺に残る。

眼下の首都の灯りを見つめながら。

そして低く呟く:


「賢者ハルンでもなく…リースでもなく…私でもなかった…

そうか…彼こそが…リースの息子か。」


——


——フラッシュバック:遠い昔——


賢者ハルンの書斎は静かで、夕日に包まれていた。

八歳のハマンは、リースの隣で高い書棚の間に座り、読書をしていた。

リースが突然立ち上がる。

「すぐ戻る。」

そう言って走り去る。


ハマンの目が光る。古びた黒い革の書物が、高い棚にまるで隠すように置かれているのに気づいたのだ。

周りを見る…誰もいない。

彼は手を伸ばし、苦労してその本を引き抜く。

無造作に開く。


古い文字で書かれた一節が目に飛び込む:


「千年前、我らが祖は暗黒の地に入った…そして別の者として戻った。

かつてない力を持ち、そのエネルギーをアルマーザの諸部族に伝えた。

しかし時が経つにつれ、力は部族間で秩序なく分裂した…そして弱まった。

彼は自らの侵入を隠した…

だが千年後…別の者が入るだろう。

その第一条件は…ジラーンの血。」


幼いハマンの目が驚愕に見開かれる。

その瞬間——

書斎の扉が開く。

リースが戻ってきた。


ハマンは慌てて本を閉じ、何事もなかったかのように元の場所に戻す。

リースは何も気づかずに座る。

しかしその瞬間から、ハマンの目つきは変わっていた。


——


——現在に戻る——


ハマンは宮殿の窓辺に立ち、拳を握りしめる。

低く呟く:


「私でもなかった…私の息子シーグランでさえもなかった…

そうだ…あれこそが…あの日から恐れていた者。」


——


最高指揮官ハマンの宮殿


宮殿は静かだった。しかしその静けさは重い。

シーグランがゆっくりとした足取りで入ってくる。肩は落ち、目は虚ろだ。

誰にも挨拶せず、誰も彼に目を向けない。


無意識のうちに、彼は訓練場へ向かう。

立ち止まる。

古びた木製の柱の前に。


足が止まる。

記憶が蘇る——


——フラッシュバック:訓練場——


イーゼンがゆっくりと顔を上げる。

その視線がシーグランを捉える。

一瞬——

シーグランの目が見開かれる。

体が硬直する。


イーゼンから放たれる悍ましい圧力——それは攻撃のためではなかった。

ただ、そこに“在る”だけで十分だった。


イーゼンの右目、傷ついたその瞳は、冷たく——一片の躊躇も宿していなかった。

シーグランは空気が消えたように感じた。

足が動かない。


イーゼンは彼の横を通り過ぎる——

何も言わず。

触れもしない。

ただ…通り過ぎる。


シーグランは立ち尽くす。

石化したかのように。


——


——現在に戻る——


シーグランの拳が震える。

呟く:

「俺は…何をしていたんだ…?」


沈黙。

「強くなったと思った…不可能をやってのけた…」

声が荒くなる:

「それなのに…なぜ奴はまだ数段も先を行くんだ?! 」

血管が浮き出る。

「あの負け犬が…!」


柱を力一杯殴る。

ひび割れ…そして折れる。


背後から静かな声:

「どうだった?」


シーグランが凍りつく。

振り返る。

ハマンが立っている。


シーグランの頭が無意識に下がる。重い沈黙が二人の間に落ちる。

そして低い声で言う:

「まるで…あなたと対峙しているようでした。」


ハマンはしばらく彼を見つめる…そして静かに背を向ける。

「自分を責めるな。」

シーグランは驚く。

初めて…叱られなかった。


「訓練を続けろ。」

そして去り際に、振り返らずに言う:

「少なくとも…お前は姉のように、私の言葉に背かなかった。」


シーグランは衝撃を受け、立ちすくむ。

顔を上げるが、ハマンはすでに宮殿の中へ消えていた。


訓練場に一人残される。

呟く:

「姉さん…リーネ…今どこに…?」


長い沈黙。

そして苦々しく呟く:

「ちくしょう…俺は…」

拳を握りしめる。

「あなたを裏切った…あの残酷で…非情な父に従うことで…」


彼は崩れた柱の間で、一人立ち尽くす。


——


遠く離れた——とある国境の丘陵地帯


草の生い茂る小さな小屋が眠っている。

扉がゆっくりと開く…ナーシリーンが忍び足で抜け出す。

背後を慎重に見て、子供らしい悪戯な笑みを浮かべる。

「今日は…私が師匠のために狩りをするんだ…自慢してやる!」


小さな弓を抱え、谷へと走る。


岩陰に身を潜め、ナーシリーンは静かに見張る。

水辺で巨大な野ウサギたちが草を食んでいる。

弓を引き絞り…目を凝らす。

「この獲物は私のもの…」

矢を放つ。

一匹に命中する。


だが倒れない。

ゆっくりと顔を上げる…そして彼女の方を向く。

目つきが凶暴に変わる。


ナーシリーンは一歩後退する。

「な、なんで倒れないの…?」

野ウサギが彼女に向かって突進する。


——


その近くで…

イーゼンとスカイが川辺で水を汲んでいる。

イーゼンは岩に腰掛け、静かに水を飲む。


スカイが尋ねる:

「首領…どちらへ向かわれるのです?」

イーゼンは静かな声で答える:

「行き先は…運命の導くままに。」


スカイは瞬く:

「運命…?どういう意味です?」

イーゼンは彼を見ずに:

「風に身を任せろ。」


スカイは頭を掻き、軽く笑う:

「最初の答えの方がわかりやすい気もしますが…」

そして突然、止まる。

イーゼンが片目を開く…何かを感じ取ったかのように。


——


谷では…

ナーシリーンが恐怖に後退する。

岩に足を取られ、倒れる。

顔を上げる…

巨大な野ウサギの群れが彼女を取り囲んでいる。

彼女の悲鳴が谷に響く。


——


小屋で…

リーンが入ってきて叫ぶ:

「ナーシリーン?どこにいるの?」

立ち止まる。

弓がない。

目を見開く:

「まさか…無茶をする子ね!」

全速力で谷へ向かう。


——


谷では…

野ウサギたちが少女に襲いかかる。

ナーシリーンは恐怖で目を閉じる。


その瞬間——

無音の空気の一撃が通り過ぎる。

野ウサギたちが次々と倒れる。

突然の静寂。


ナーシリーンがゆっくりと目を開ける。

「なに…?」

顔を上げる。


黒い外套の人物が彼女の前に立っている。

黙って。

謎めいて。

微動だにしない。


——


リーンが木々の間を走る。

突然…

胸を圧迫する重いオーラを感じる。

一瞬立ち止まる。

「このオーラは…!」

そして再び走り出す:

「耐えて、ナーシリーン!」


——


再びナーシリーン。

目の前の男に見惚れる。

「も、もしかして…助けてくれたの?ありがとう!」

答えはない。


その時、スカイが到着し、少し息を切らす:

「これはまた…首領は何マイルも先の危険を感じ取るのか…」


イーゼンはナーシリーンを見つめる。

突然…

遠い記憶が目をよぎる。


幼い子供…森…恐怖…誰かに救われる。

同じ光景。

同じ眼差し。


現在に戻る。


その瞬間——

リーンが到着する。娘の前に立ちはだかり、叫ぶ:

「子供に触るな!」


イーゼンが彼女の方を向く。

彼らの目が合う。


一瞬の沈黙。

まるで、ずっと昔からこの顔を知っているかのように。


リーンが緊張してささやく:

「この方…感じていたオーラの主は…?」


沈黙が場を支配する。


——


第117章 終わり

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