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イザン:血の継承  作者: Salhi smail


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115/153

衝撃的な出現

象徴的なプロローグ

すべての帰還が生存を意味するわけではない…

闇から出てくる者の中には、入った時と同じ姿では戻らぬ者もいる。

人間が別世界の境界に触れる時、

彼は何かを後ろに残し…

そしてもっと危険な何かを携えてくるのだ。


領域の内側

白さが再び訪れたが、今度は静かではなかった…

呼吸をするかのように動いていた。

イーゼンは虚無の真ん中に立ち、額に薄い汗を光らせていた。

訓練はもはや力や策略ではなく、もっと困難な何かに依存していた。


大師の声、ウドゥクの存在の声が、姿を現さずに彼の周りに響いた:

「今、汝は戦士が持ち得る最も危険なものを学ぶ…“領域(ドメイン)”を」


白い地面がイーゼンの周りで波打った、まるで彼の内なる何かに反応しているようだ。

「領域は放出するエネルギーではない…汝が押し付ける“世界”なのだ」


突然、場所が変わった。

白さが消えた。


彼は自分自身を、密な黒い森の中に見出した。霧が地面を覆い、足音が四方から彼を取り囲んでいた。

木々の間から影のような形が現れた、数十…いや数百。


彼は一瞬凍りついた。


大師が言った:

「これらは本物の存在ではない…制御を失った時の汝自身の恐怖の反映だ」


影が彼に向かって突進してきた。

イーゼンは拳を上げたが、止めた。

大師の言葉を思い出した。

“領域は戦いではない…支配だ”


彼は目を閉じた。

深く息を吸った。

そして開いた。


しかし、何かが変わっていた。

霧が動きを止めた。

木々がゆっくりと頭を垂れた。

影の動きが鈍くなり…そして完全に静止した。

世界全体が凍りついた。


イーゼンが驚きながら呟いた:

「何が…起きている?」

大師の声が静かに届いた:

「汝はすでに場所に対して己の存在を押し付け始めている…だが、まだその内側の客人に過ぎぬ」


影が突然、割れるガラスのように粉々になった。

そして白さが再び戻ってきた。


ウドゥクの存在が彼の前に現れ、霧のような体がかすかに輝いていた。

「領域が汝のものとなるとき…敵は汝に触れる前に消耗する」

しかし突然…

場所が震えた、まるで領域の外側で何かが動いたかのように。


大師が止まり、初めて真剣な声で言った:

「よく聞け、イーゼン…汝が得たものは、代償なしの力ではない」


重い沈黙が支配し、イーゼンの荒い息だけが残った。


大師が言った:

「汝がこの力を使うたびに…汝は寿命を支払うことになる。すべての戦い、すべての領域解放が…汝を終わりに一歩近づける」


イーゼンはためらわずに頭を上げ、口元の血を拭い、しっかりと言った:

「構わない…俺の目的は俺の命より重要だ」


エネルギーが一瞬場所に沈静化し、まるで闇の大地が彼の選択を認めたかのようだった。


大師が近づき、霧の腕を伸ばした。すると、長い黒いマントが現れ、イーゼンの肩にかかった。

「このマントは、汝以前にこの地を渡った戦士たちの領域の残骸で作られた。敵の打撃やエネルギーの影響を和らげるだろう」

そして、かすかな光に囲まれた黒い指輪が現れ、大師の手のひらに収まった。

彼はそれをイーゼンの手に置いた。

「そしてこれは…“封印の指輪”だ」


イーゼンは疑わしげにそれを見た:

「指輪?」

大師が答えた:

「汝の力は今、弱者にとっても危険だ。もし汝が己のオーラを自由に解放すれば…生き物を傷つけ、均衡を乱すだろう」

そして続けた:

「指輪は汝の力の大半を封じる。封印を解くのは、汝自身がそれを選んだ時だけ…あるいは、それに値する敵と対峙した時だけだ」


イーゼンは指に指輪をはめ、エネルギーの圧力が低下するのを感じた。胸の中の嵐が閉ざされた扉の向こうに閉じ込められたかのようだ。


彼は大師に向かって目を上げた:

「つまり…道は今始まったということか」

白い世界が消え始めながら、答えが届いた:

「いや…汝の“幼少期”が今終わったのだ」


そして次の瞬間、彼の下の地面が開いた。

イーゼンは闇の中に落ちていった…

領域の外で、彼の真の試練が始まるために。


カゴーラの海岸、闇の大地との境界

海の波がゆっくりと岩を打ち、まるで自然自体が起こることを待っているかのようだった。


カゴーラ総督が海岸に立ち、兵士と将軍たちの列に囲まれていた。全員が目前に広がる黒い霧を見つめていた…そこが闇の大地の始まりだ。


彼らの傍らには、アルマーザの分隊全員が立っていた:

最前線のラカン、

その後ろにアルダ、アドナン、

そしてシグラン、マーヤ、アスマ、ラーイド、アーナス、ンダー、ワーイル。


全員が沈黙していた。

全員が見つめていた。

全員が待っていた。


ラカンが声を潜めて呟いた、霧から目を離さずに:

「イーゼン…どこからでもいい、出てこい…ただ生きて出てこい」


アドナンが彼のそばに立ち、目は闇に固定され、いつものように静かに見つめていた。まるで事が起こる前にそれを読もうとしているかのようだ。


ラーイドがアルダに近づき、囁いた:

「師匠…もし本当にあの人物が現れたら、どうしますか?」

アルダは海岸から目をそらさずに答えた:

「息子よ…我々は待ち、見守るだけだ」

そして静かに付け加えた:

「あそこから出てくる者は…入っていった者と同じ人間ではないだろう」


その時、シグランがラカンに近づき、尋ねた:

「師匠…闇の大地に入るには、とてつもない力が必要なんですか?」

ラカンは少し頭を上げ、低い声で答えた:

「それだけではない…

自然そのものの限界を超えなければならぬ」

シグランの表情が少し歪んだ。

「世界の強者たちでさえ、入るのに失敗したことはありますか?」

ラカンは一瞬沈黙し、それから言った:

「ああ。我々の知る限り…誰一人として、あそこに入って生きて戻った者はいない」

シグランがかすかに笑みを浮かべて呟いた:

「あんたでさえ…そして俺の傲慢な父ハーマンでさえ…それを超えられなかった」

そして熱意を持って笑みを広げた:

「じゃあ、実際に入った人物は…面白くなりそうだな」


マーヤが二人の後ろに立ち、細めた目でラカンを見つめ、言った:

「師匠…あなた、何か隠してるでしょ?」

短い沈黙が流れた。

風が少し強くなった。


そして遠く、岩の丘陵の陰で、アズロンとスカイが影から光景を見つめていた。

スカイが低い声で言った:

「みんなここにいる…王、指揮官、軍隊」

アズロンは霧を見つめながら答えた:

「全員がそれを感じているからだ…」

そして目を細めた:

「何かが…あそこから出ようとしている」

そして海岸前の霧が…

動き始めた。


闇の大地の空

イーゼンの息が最後の試練の後もまだ荒い中、大師の体から白いオーラが広がり、上昇する光の流れのようだった。

そして一瞬、イーゼンの体が地面から浮かび上がった。

彼は体の重さを感じなかった。

重力を感じなかった。

ただ…上昇。

黒い森の上、暗い山々の上、終わりのない霧の上へと上昇。

ついには、闇の大地そのものの空を飛んでいることに気づいた。


彼の目が見開かれた。

足の下に、以前見たことのない世界が現れた。

光る川が地中を流れる。

埋もれた古代の石の都市。

巨大な洞窟がレアメタル、金、巨大な結晶、そして計り知れない宝物を守る生き物で満ちている。


イーゼンが呆然と呟いた:

「これ…全部宝物なのか?」

大師の声が彼の後ろから静かに届いた:

「汝が見たものは…海の一滴に過ぎぬ」

そして付け加えた:

「この大地に蓄えられたエネルギーは…金や宝物よりもはるかに偉大だ」

イーゼンはしばらく下を見つめ、それから尋ねた:

「もしこの大地がこんなに偉大なら…なぜ世界から消えようとしているように見えるんです?」

短い沈黙が流れた。

それから大師は重々しい声で言った:

「危険が迫っているからだ」

イーゼンの表情が凍りついた。

「危険…?」

「絶対悪が来る…現実世界と闇の大地の間に亀裂を開けるために」

イーゼンがゆっくりと振り返った。

「何て言うんですか、師匠?」

大師が答えた:

悪魔(サタン)だ」

イーゼンの目が大きく見開かれた。

「悪魔…?」

大師が静かに言った:

「直接介入はできない…だが、人間への影響は甚大だ」

そして続けた:

「人間の魂は、力、欲望、支配を貪るとき…彼に門を開く」

「そうして…近い将来、条件を満たした人間の誰かに具現化するかもしれぬ」

イーゼンはしばらく沈黙した。

それから言った:

「師匠…よく理解できません」

大師が答えた:

「悪魔に己の魂を売り、力と引き換えにする人間…そして彼の力と悪魔の力が合わさるとき…絶対悪が現れる」

そして重々しい声で付け加えた:

「そして最大の危険は…人間自身が、自分たちが悪に従っていることに気づかないことだ」

イーゼンは胸に冷たさを感じた。

「これはもうすぐ起こるんですか?」

大師はためらわずに答えた:

「ああ」

イーゼンが尋ねた:

「その印は何ですか?」

大師は一瞬沈黙し…それから言った:

「汝だ」

イーゼンの心の中で時間が止まった。

「俺…?」

大師が答えた:

「汝の出現は…彼の到来が近いことを意味する」

そして続けた:

「汝の存在は、世界が支配される前にこれを変える最後の機会だ」

イーゼンは呆然としたまま、視線を下げた。

「俺一人で何ができる?」

大師が言った:

「この世界を統一せよ…その腐敗したシステムを変えよ…人々に悪に従わない理由を与えよ」

そして付け加えた:

「そうすれば…悪魔は多くの信奉者を見つけられまい」

長い沈黙が流れた。

黒い風が二人の周りをゆっくりと通り過ぎる。

それから大師が最後に言った:

「さあ…この大地から出よ」

イーゼンが頭を上げた。

「どうやって?」

「入ったところから」

そして付け加えた:

「だが…外には驚きが待っている」

イーゼンが顔をしかめた。

「驚き?」

大師が言った:

「彼らに対して汝の力を使うな。無視せよ…そして汝の旅を始めよ」

そしてイーゼンがさらに尋ねる前に—

彼の前の黒い霧が裂けた。

煙と影の間に渦巻く亀裂が開いた。

イーゼンは最後に大師を見た。

そして彼への最後の声が届いた:

「覚えておけ…今出てくる者は…入っていった少年ではないと」

それから—

イーゼンは黒い亀裂の中を歩いていった。

外界へ向かって…そこでは全員が彼を待っている。


闇の大地の海岸

黒い霧が、闇の大地の境界から海岸へとゆっくりと這っていた。

兵士たちが整列していた。

カゴーラの将軍たちが警戒態勢だった。

アルマーザの騎士たちが静かに見守っていた。

そしてカゴーラ総督が不自然なほどしっかりと立ち、硬直した表情の下に緊張を隠していた。


全員が待っていた。

しかし、誰も正確に何を待っているのか知らなかった。

沈黙は重かった。

空気さえも止まったように感じられた。


そして突然—

スカイの息が止まった。

彼の目が突然大きく見開かれた。

体が震えた。

そして意識なくひざまずいた。


アズロンが素早く彼の方を向いた。

「スカイ?どうした?!」

だがスカイは答えなかった。

彼の目は黒い霧に向けられ、冷たい汗が額を伝っていた。

唇が震える…だが言葉が出せない。


アズロンが顔をしかめた。

「話せ!何が起きている?!」

しかしその時…

アズロンもそれを感じた。

巨大な圧力…が近づいている。

まるで山が彼らに向かって歩いてくるかのように。


彼の目が見開かれた。

「ありえない…」

反対側で、ラカンが突然頭を上げた。

彼の目が細くなった。

そしてゆっくりと大きく見開かれた。


アドナンが体に震えが走るのを感じた。

彼に近づき、囁いた:

「ラカン…これって…?」

ラカンは答えなかった。

だがアルダが呆然として言った:

「ありえない…絶対に…」


彼らの後ろで、シグランが震えた。

彼を知って以来、初めて。

彼の拳が震えた。

無意識に呟いた:

「このオーラは何だ…?」

マーヤが唾を飲み込むのに苦労した。

「まるで…人間ではない何かが近づいているかのよう…」


兵士たちが気づかぬうちに一歩後退し始めた。

一部は立っていることさえできなかった。

一方、カゴーラの将軍たちは…

驚きを隠せなかった。

総督自身さえ、表情が硬直した。


圧力が増す。

オーラが近づく。

しかし…

誰も現れない。

ただ黒い煙が…動くだけ。

それから—

霧がゆっくりと裂けた。

そして静かな足取りで歩く人物が出てきた。

頭が少し下がっている。

長い黒いマントが後ろにたなびく。

彼の歩みは遅い…

しかし一歩一歩が、立つ者の心臓を打つかのようだった。


彼がついに姿を現した。

イーゼン。

静か。

表情が違う。

彼の目には以前にはなかった深みがある。

迷える少年ではない…

誰も戻れぬ場所から戻ってきた人物だ。


沈黙が海岸全体を支配した。

誰も話そうとしなかった。

呼吸さえも。

全員が見つめる。

これは…人間なのか?


ついに、ラカンの声だけが沈黙を破った、囁くような低い声で:

「人間が…このような力に…到達できるものか…?」

そして疑問が空中にぶら下がったまま…

イーゼンは静かに歩き続けた。


第115章 終わり

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