第十一話 ここで諦めるわけがない
今回は少し長めです!
「――という感じで、クマラが生まれました」
昨夜の出来事を話し終える。
京極さんは俺の腕の中にいるクマラと俺を交互に見たあと、深く長いため息をついた。
「いろいろと言いたいことは山ほどあるが……」
その低い声に、俺は反射的に背筋を伸ばす。
説教が再開されるのだろうか。
ただでさえ両脚は痺れ始めているというのに、これ以上正座が長引けば、本当に歩けなくなってしまうかもしれない。
しかし、京極さんはすぐに怒鳴ることはなかった。
腕を組んだまま、俺の胸元に収まっているクマラへ視線を向ける。
「まず、いくつか聞きたい」
「はい」
「先に言っておくが、答えたくねえことまで話す必要はないぞ」
「え?」
予想していなかった言葉に、思わず目を瞬かせる。
「スキルや能力は、探検者にとって命綱だ。何ができるのか、どんな弱点があるのか。他人に知られれば、それだけで命取りになることもある」
京極さんの表情は、先ほどまでの保護者としてのものではなかった。
長年ダンジョンで戦い続けてきた、元探検者としての顔だ。
「いくら俺や東雲が相手でも、全部話す義理はねえ。お前が話してもいいと思ったことだけ答えろ」
「……分かりました」
少しだけ考えてから、俺は腕の中にいるクマラの頭を撫でた。
「でも、今分かっていることなら話します」
「いいのか?」
「はい。京極さんと東雲さんには、隠す必要もないですから」
十年前に両親を失ってから、二人には何度も助けてもらった。
食事を届けてもらったこともある。
家の壊れた場所を直してもらったこともある。
学校の面談へ来てもらったこともあった。
京極さんの場合、そのあまりにも恐ろしい見た目によって、担任の先生が面談中ずっと怯えていたが。
それでも二人は、血のつながらない俺のことを、ずっと気にかけてくれた。
その二人にまで隠しておきたいとは思わなかった。
「そうか」
京極さんは短く答え、それ以上確認しなかった。
「じゃあ、まず一つ目だ」
「はい」
「ゴーレムコアは、魔石があれば何個でも作れるのか?」
「何個でも作れるかは、まだ分かりません」
「作れる数に限界があるかもしれねえってことか?」
「はい。昨日作ったのは一個だけですから」
クマラの胸元へ目を向ける。
外から見ただけでは分からないが、その柔らかな体の中には、極小魔石から作ったゴーレムコアが収められている。
「でも、魔石さえあれば、同じ方法でもう一個作ることはできると思います」
「作るときに使ったのは、魔石だけか?」
「自分の魔力も使いました」
「どれくらいだ?」
「それが……」
昨夜の感覚を思い出す。
極小魔石を手に取り、魔力を流した。
魔石が球体へ変わり、その表面へ銀色の回路を刻んでいく間、確かに自分の中から何かが抜けていく感覚はあった。
だが、息切れするほどではなかった。
体が急に重くなったわけでもない。
そもそも俺は、魔力を体内へ蓄えられるようになったばかりだ。
自分がどれだけ魔力を持っていて、どれだけ消費したのかを正確に判断できるほど、その感覚に慣れていなかった。
「減った感じはありました。でも、どのくらい使ったかまでは分かりません」
「体調に変化は?」
「特にありませんでした」
「無理をした感じもないんだな?」
「はい」
京極さんは俺の顔色を確かめるように、じっと見つめてくる。
体調に問題はなさそうだと判断したのか、わずかに表情を緩めた。
「じゃあ、コアをそのぬいぐるみに入れたときは?」
「そのときは、魔力が減った感覚はなかったです」
「コアを作るときだけ、お前の魔力が必要になるってことか」
「たぶん、そうだと思います」
「たぶんばかりだな」
「昨日初めて使えた能力なんですから、仕方ないじゃないですか」
何十年も使い続けている能力について質問されているわけではない。
俺だって、【機巧心】を使い始めてから、まだ半日ほどしか経っていない。
分からないことが多くて当然だろう。
ちなみにクマラは、ゴーレムとして生まれてから一晩すら経っていない。
俺たちは二人とも、分からないことだらけなのだ。
「それで、ゴーレムは何体まで作れる?」
「分かりません」
「一度に動かせる数は?」
「分かりません」
「コアを作り続けたら、お前の魔力が空になる可能性は?」
「分かりません」
「……本当に分からねえことだらけだな」
「だから、そう言っているじゃないですか」
俺が答えるたび、京極さんの眉間に一本ずつしわが増えていく。
このまま質問が続けば、眉間だけで人生の年輪を表現できるようになるかもしれない。
「まあいい。今の時点で分からないことを聞いても仕方ねえからな」
「最初から気づいてください」
「うるせえ」
低い声とともに睨まれ、俺は素早く口を閉じた。
これ以上余計なことを言えば、正座の時間が延長される危険がある。
今は安全第一だ。
「次だ」
京極さんがクマラへ視線を移す。
「こいつは戦えるのか?」
「……たぶん、無理だと思います」
その言葉を口にした瞬間。
腕の中にいたクマラが、勢いよく顔を上げた。
黒いボタンの目が、真っすぐ俺へ向けられる。
表情などないはずなのに、何を言っているんだ、と責められているような気がした。
「いや、絶対に弱いと言っているわけじゃないぞ」
クマラは短い両腕を持ち上げ、丸い腹を大きく前へ突き出した。
どうやら自分は強いと主張しているらしい。
「でもなあ……」
改めてクマラの姿を見る。
茶色い布地。
柔らかな綿。
短い手足。
首元には、東雲さんが結んだ赤いリボン。
どこからどう見ても、子供が抱いて眠るための熊のぬいぐるみだ。
魔物を倒すために作られた体には見えない。
「コアに使ったのは、ウッドパペットの極小魔石です。それに、体は普通のぬいぐるみですから」
「つまり?」
「今のクマラでは、ウッドパペットにも勝てないんじゃないかと……」
クマラの両腕が、ぴたりと止まる。
「強くないとは言っていないぞ。今は、まだ難しいんじゃないかって話で――」
クマラは俺の腕から抜け出すと、ベッドの上へ立った。
短い両腕を胸の前へ構え、京極さんを真っすぐ見上げる。
「何だ?」
京極さんが片眉を上げた。
クマラはその場で右腕を何度も前へ突き出す。
戦えるところを見せたいらしい。
「試してみるか?」
京極さんが右手を開き、クマラの前へ差し出した。
鍛え上げられた大きな手のひら。
クマラの体など、片手だけですっぽり包み込めそうだ。
「病室で何をさせるつもりですか」
「手のひらを殴らせるだけだ。こいつの大きさなら問題ねえ」
「それは、そうかもしれませんけど……」
京極さんなら、ウッドパペットに殴られても平然としていそうだ。
クマラの攻撃でけがをするとは思えない。
「クマラ、やってみるか?」
クマラが力強くうなずいた。
京極さんの手のひらから少し距離を取り、両脚を大きく開く。
短い右腕を後ろへ引き、丸い体をひねった。
見た目だけなら、かなり気合が入っている。
「いけ、クマラ!」
俺の声に合わせ、クマラが拳を突き出した。
ぽふっ。
柔らかな右手が、京極さんの手のひらへ当たる。
「……」
「……」
京極さんの腕は、微動だにしなかった。
殴られたことにすら気づいていないのではないかと思うほど、何の変化もない。
クマラは自分の右手を見下ろした。
それから京極さんの手のひらを見る。
どうやら、結果に納得していないらしい。
今度はベッドの端まで下がると、低く身をかがめた。
「クマラ?」
柔らかなベッドを蹴り、一気に走り出す。
とて、とて、とて。
そのまま勢いよく跳び上がり、全身で京極さんの手のひらへ飛び込んだ。
ぽふんっ。
先ほどよりは大きな音がした。
だが、結果は変わらない。
京極さんの手は、一ミリも動かなかった。
反対にクマラの体が弾き返され、ベッドの上をころころと転がっていく。
「クマラ!」
慌てて手を伸ばす。
クマラは布団の中央で止まると、ゆっくりと上半身を起こした。
けがはしていないようだ。
ただ、自分の両手を見下ろしたまま動かない。
「……弱いな」
京極さんが、あまりにも率直な感想を口にした。
「京極さん。本人の前ではっきり言わないでください」
「事実だろうが」
「もう少し言い方というものがあるでしょう」
「今のところ、戦闘には向いていない」
「言い直しても、ほとんど同じじゃないですか」
クマラは俺たちに背中を向けると、ベッドの上へぺたりと座り込んだ。
丸い背中が、さっきまでより少しだけ小さく見えた。
「あらあら」
東雲さんがベッドへ近づき、クマラの隣へ腰を下ろした。
「大丈夫よ、クマラちゃん。まだ生まれたばかりだもの」
柔らかな頭を、優しく撫でる。
クマラはしばらく動かなかったが、やがて東雲さんの腕へしがみついた。
「これから強くなればいいのよ」
その言葉に反応するように、クマラが小さくうなずく。
「もう立ち直ったのか」
「切り替えが早いですね」
「誰かに似たんじゃねえか?」
京極さんの視線が、こちらへ向けられる。
「どうして俺を見るんですか?」
「別に」
「絶対に何か言いたいことがあるでしょう」
「気のせいだ」
そう言いながら、京極さんの口元はわずかに緩んでいた。
強面すぎて分かりにくいが、どうやらクマラを少し気に入っているらしい。
「少なくとも、今のクマラに大した攻撃力がねえのは分かった」
「まだ決まったわけじゃないですけどね」
「俺の手に、ほとんど衝撃が伝わらなかっただろうが」
「京極さんを基準にするのは、さすがに厳しくないですか?」
「俺が相手でも、ウッドパペットに傷をつけられる程度なら、もう少し手応えがある」
「……そこまで弱いんですか」
分かってはいた。
それでも、人から改めて言われると少しだけ心が傷つく。
「なら、もっと強力なゴーレムを作ることはできるのか?」
京極さんの問いに、俺はすぐには答えず、頭の中にある【機巧心】の知識へ意識を向けた。
クマラを作ったときと同じように、必要な情報を思い浮かべようとする。
視界に文字が表示されるわけではない。
誰かの声が聞こえるわけでもない。
ただ、手を伸ばせば、そこにある知識へ触れられる。
そんな不思議な感覚だった。
「できると思います」
「何が必要だ?」
「まず、もっと質のいい魔石です」
クマラのコアに使ったのは、ウッドパペットから採れた極小魔石だ。
魔石としては、最も小さく、価値も低い部類に入る。
「たぶん、より大きくて質の高い魔石を使えば、それだけ強いゴーレムになります」
「体は?」
「それも重要です。クマラの体は布と綿なので、力も出せないし、攻撃を受ければ簡単に破れてしまうと思います」
俺の言葉に、東雲さんの腕の中にいるクマラが自分の腹を見下ろした。
短い両手で、柔らかな体を何度か押している。
押された腹は簡単にへこみ、手を離せばすぐに元へ戻った。
「木や石、それか金属みたいな、頑丈な体なら、今よりずっと強くなると思います」
「魔石と体か」
「それと、俺自身の魔力です」
「お前の魔力も関係するのか?」
「はい」
正確な仕組みまでは分からない。
それでも、ゴーレムコアを作るときに自分の魔力を使った以上、無関係とは思えなかった。
「今の俺より魔力が増えれば、もっと強いコアを作れる。そんな感じがします」
「感じがする、か」
「うまく説明できないんです」
京極さんは俺の言葉を否定することなく、顎へ手を当てた。
「【機巧心】の使い方が頭に入ってきたって言っていたな」
「はい」
「だったら、今話したことも全部分かるんじゃねえのか?」
「それが、そうでもないんです」
「どういうことだ?」
「何て説明すればいいのかな……」
頭の中にある知識の感覚を、言葉へ置き換えようとする。
だが、なかなか適切な表現が見つからない。
クマラが東雲さんの膝から下り、再び俺のそばへ戻ってきた。
俺の膝へ短い腕をかけ、よじ登ろうとする。
手を差し出して持ち上げると、そのまま腕の中へ収まった。
「分厚い取扱説明書を手に入れたのに、今の俺が読めるのは、最初の数ページだけみたいな感じです」
「取扱説明書?」
「はい。ゴーレムコアの作り方と、コアを使ってゴーレムを作る方法は分かりました」
クマラの丸い頭を、指先で軽く撫でる。
「でも、その先にも、まだいろいろ書かれているような気がするんです」
「何ができるかまでは分からねえのか?」
「分かりません。ただ……」
目を閉じ、【機巧心】へ意識を向ける。
ゴーレムコアを作る。
コアを体へ収め、ゴーレムとして動かす。
今の俺が理解できるのは、その二つだけだ。
だが、【機巧心】にはまだ先がある。
根拠を尋ねられても説明できない。
それでも、読めていない説明書の続きが確かに存在していることだけは、不思議なほど強く感じられた。
「今分かるのは、コアを作ってゴーレムを生み出す方法だけです」
「ほかにも何かできるのか?」
「たぶん。でも、今の俺には、その方法がまだ見えていません」
「分かるようになる条件は?」
「それも分かりません」
京極さんは腕を組み、難しい顔で黙り込んだ。
眉間に深いしわが寄る。
俺とクマラの顔を交互に見ながら、何かを考えているようだった。
病室に、短い沈黙が訪れる。
東雲さんも口を挟むことなく、京極さんの言葉を待っていた。
やがて。
「湊」
京極さんが、静かな声で俺の名前を呼んだ。
「はい」
「お前、これからも探検者を続けるつもりか?」
予想していなかった質問だった。
一瞬、何を聞かれたのか理解できなかった。
「……どうして、急にそんなことを?」
「確認したくなっただけだ」
京極さんは腕を組んだまま、真っすぐ俺を見ている。
「傀儡ダンジョンへ入る前にも、同じことを聞いた。あのときのお前は、魔物を何体倒しても強くなれなかった」
「はい」
「どれだけ続けても、先へ進める保証なんてどこにもなかった。それでも、お前は探検者を続けると言った」
あの日のことを思い出す。
協会の受付で、京極さんから探検者を辞めるよう勧められた。
普通の仕事を探せ。
探検者だけが人生ではない。
それは正しくて、俺のことを心配してくれているからこその言葉だった。
それでも俺は、諦めることができなかった。
自分の限界に納得できるまで続けたい。
いつか、胸を張って本物の探検者だと言えるようになりたい。
そう答えた。
「あれから、お前の状況は大きく変わった」
京極さんの視線が、俺の腕の中にいるクマラへ移る。
「体が強くならないことは変わらねえ。だが、魔素を魔力へ変えられるようになった。スキルも手に入れた」
「……はい」
「だから、もう一度だけ聞いておきたい」
京極さんの鋭い目が、俺を射抜く。
「お前は、これからも探検者を続けるのか?」
答えなど、考えるまでもなかった。
「当然です」
あまりにも早く答えたためか、京極さんの眉がわずかに動いた。
「少しくらい考えろ」
「考える必要がありませんから」
俺は腕の中にいるクマラへ目を落とした。
クマラもこちらを見上げている。
三か月間。
どれだけ魔物を倒しても、俺は何一つ得られなかった。
同じ時期に探検者となった者たちが仲間と下の階層へ進んでいく中で、俺だけが第一階層に残り続けた。
それでも、諦められなかった。
何も得られなくても、先へ進む道が見えなくても、俺は探検者になりたかった。
そんな俺が、ようやく力を手に入れた。
魔力を増やせる。
自分だけのスキルがある。
そして、その力で生み出したクマラがいる。
昨日まで見つからなかった道が、今は目の前に伸びている。
「やっと、俺にも強くなる道が見えたんです」
胸の奥が、じわりと熱くなる。
「ここで諦めるわけがないじゃないですか」
京極さんは何も答えなかった。
ただ、真っすぐに俺を見つめている。
その目に、以前のような悲しそうな色はなかった。
やがて、張り詰めていた肩から力を抜き、小さく息を吐く。
「……そうか」
「はい」
「なら、俺からはもう、探検者を辞めろとは言わねえ」
その言葉に、思わず目を見開いた。
「本当ですか?」
「ああ」
「あとになって、やっぱり辞めろと言ったりしません?」
「しつけえな」
「念のためです」
京極さんは呆れたように俺を睨んだあと、腕を組み直した。
「ただし、勘違いするなよ」
「何をですか?」
「スキルを手に入れたからって、お前自身が急に強くなったわけじゃねえ」
「分かっています」
「クマラも、今のままじゃ戦力になるとは言えん」
クマラが不満そうに両腕を上げる。
「事実だろうが」
京極さんに言われ、クマラはゆっくりと腕を下ろした。
先ほどの手のひらとの勝負を思い出したのかもしれない。
「強くなれる道が見えたからこそ、焦るな」
京極さんの声は、先ほどまでよりも穏やかだった。
「何ができるのか、一つずつ自分で確かめろ。分からねえことを、分かったつもりで使うな」
「……はい」
「それと、困ったときは相談しろ」
京極さんは少しだけ視線を逸らした。
「話したくねえことまで聞くつもりはない。だが、お前一人で抱え込む必要もねえからな」
「京極さん……」
「別に俺じゃなくてもいい。東雲でも、信頼できる奴でもな」
「あら、京極さん。ちゃんと私のことも頼っていいって言ってあげないと」
「今言っただろうが!」
「名前を付け足しただけに聞こえたけど」
「そんなわけあるか!」
東雲さんが楽しそうに笑う。
京極さんの顔が、みるみる赤くなっていった。
「では、私と京極さんのどちらが先なのかしら?」
「順番なんてどうでもいいだろうが!」
「私としては大切な問題だけど」
「今は湊の話をしているんだ!」
二人のやり取りを見ながら、俺は思わず笑ってしまった。
この人たちは、相変わらずだ。
クマラも何が面白いのか分かっていないはずなのに、俺の真似をするように短い両腕を動かしている。
「ありがとうございます」
俺がそう言うと、京極さんはまだ赤い顔のまま、こちらへ視線を戻した。
「何がだ?」
「いろいろです」
「曖昧すぎて分からん」
「分からなくていいです」
「変な奴だな」
京極さんはそう言いながらも、それ以上問いかけることはなかった。
俺の腕の中で、クマラがもぞもぞと動く。
何をしているのかと思えば、短い腕を上へ伸ばし、俺の顎へ触れようとしていた。
少しだけ顔を下げる。
ぽふっ。
柔らかな手が、顎へ触れた。
「クマラ」
名前を呼ぶと、クマラが首を傾げる。
俺がこれから、どこまで強くなれるのかは分からない。
【機巧心】の先に、どのような力が眠っているのかも分からない。
クマラが本当に魔物と戦えるようになるのかも。
俺自身が、いつか胸を張って探検者だと言える日が来るのかも。
何一つ、保証などなかった。
それでも。
昨日までの俺には、歩くべき道すら見えていなかった。
今は違う。
進めるかもしれない道がある。
試してみたいことがある。
そして、隣にはクマラがいる。
「一緒に強くなろうな」
クマラは俺の言葉に応えるように、短い両腕を高く掲げた。
その小さな体を見つめながら、俺も同じように拳を握る。
胸の奥で、心臓が力強く脈打った。
ここで諦める理由など、もうどこにもなかった。
ここまで読んでくださり、ありがとうございます!
少しでも「続きが気になる!」「面白かった!」と感じていただけましたら、《ブックマーク》や《評価》で応援していただけるとうれしいです。
皆さまからの応援が、続きを書く大きな励みになります!
今後の原稿作業と、これまで投稿した内容の見直し・修正を行うため、しばらく更新をお休みさせていただきます。
お待たせしてしまいますが、より楽しんでいただける作品にできるよう頑張りますので、再開まで少しだけお待ちいただけるとうれしいです。
これからも、よろしくお願いします!




