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AI少女とゲームクリエイターの世界創造日記 〜AI少女を愛した開発者はアタシです〜  作者: せーぶうわがき
第1部

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18/43

第18話『世界で2番目に愛してる』

「うぅ……頭いってー」



『あ、凪さん!』

『おはようございます』


『昨日は、ずいぶんと()()()()でしたね♪』



 ――2150年3月2日 午後2時。

 トボトボと現れた凪を、セレスがドヤ顔で出迎えた。



「誰のせいだよぉ~……うぅ」

「あんな幻の酒だされたらさぁ……そりゃあ飲まない方が失礼だろー」



『コレ、ですよね♪』



 セレスはアイドルのようにウィンクしてみせた。

 ()()()をぶら下げながら。



「おいおいおい――なんのCMだよ」

「しかも "十参夜(じゅうさんや)霊泉(れいせん)" 、まだあんのかよ」


「一生に一度レベルの幻の酒をさぁ……そんなホイホイ出すなよなぁ」


「はぁ…………ちゅき♡」


「霊泉……その味はもはや芸術。日本酒の最高到達点にして、最終系と言わしめるほど。白桃のような透明感のある香り、とろけるような口当たり。長く――とても美しい香りが余韻(よいん)としてずっと残る。一部の選び抜かれた酒販店にしか(おろ)されず、特別な得意先にだけ提供される流通量。オークションでは100万で取引されるほど」


()()()2()()()に愛してる」



『1番目は?』

「妹だ」



『ゲームは?』

「…………2番目だ」



『"霊泉" は?』

「………………2……3番目だ」



『ゲームは?』

「…………2……2番目だ!」



 二人の世界が一瞬止まる。



『えっと……ハイ、好きなのは分かりました』



「おい、AIの矛盾実験みたいなことすんのやめろー」

「いっつつ……」



『凪さん』

『私が喜ぶ一言が言えたら、その二日酔い治してあげますよ』



「ぐっ……こいつ! なんてAIだ!」



『……こいつ?』



 セレスは無表情で首をかしげながら、凪に回答を(うなが)す圧をかける。



「(んぐぅ……背に腹は代えられん……やるか)」


「宣誓! アタシは、セレスたんのことが世界で3番目に大好きです!!!」

「"霊泉" は! に……4番目に大好きですっっ!」



『…………』


『ふん』

『まぁ、いいでしょう』



 態度とは裏腹に、セレスの耳はちょろさを示していた。



『では、凪さん』

『今から秘密のコマンドを教えるので、その通りに言葉を発してみてください』



 セレスは、凪の耳元でヒソヒソささやいた。

 凪は時折、身体をビクッとさせながら聞く――凪の弱点が露呈(ろてい)した瞬間を見逃さないAIがそこにいた。



「……え、マジ?」

「そのコマンド残ってるんか」


「まぁ、言ってみるか」


「すぅ……はぁ」



 凪は大きく身体を伸ばし、入念な準備体操をする。

 ――それはまさに、短距離走を走る前の競技選手のように。


 しばらくすると、天に届くようにビシッと手を伸ばし、最強の呪文を発する。



「コマンド! プロパティ!」


「下R上RYBYB! デキタっ!」


「感覚ノイズ! 無効化っ!」


「元気になーれっ♡」


挿絵(By みてみん)


「…………」

「おぉ……お~~」

「すげぇってばよ! 本当に二日酔いが治ってるー」



 凪は感動を隠せないほど興奮しているのか、ぴょんぴょんと飛び跳ねている。



『その隠しコマンドは、悪用しないでくださいね』

『この()()()()()()()()()()()()()()()みたいなものなので』


『あと、その変なポーズと、最後の呪文はいらないので』



「あぁ……承知した……2150年の電脳世界……ちゅき♡」



 いつの間にか凪は、さっきまでセレスが持っていた 幻の酒 "十参夜じゅうさんや霊泉れいせん" に頬ずりをしていた。



『ちょ! 凪さん!?』

『飲まないでくださいね? お仕事の時間ですよ?』



「そ、そんな――最強の呪文も手に入れたのに?」

「ちょっとだけ! ね! 先っちょだけ!」



『こらぁっ!』



「ひんっ……!」



 一升瓶を取り上げられた凪は、泣き崩れながらセレスに引きずられていった。



 ***



「スン……スンスン」

「スンスンスン……(チラッ)」



『ちょっと、スンスンうるさいんですが――』


『この現状を打破する案を、ひねり出してくれませんかねぇ』



 セレスは()()()()()()()()していた。

 セレスがまず最初に選んだ解決策――それは、凪をデスクに縛り付けることだった。


 身動きが取れない凪の目の前には、一升瓶が置かれている。



「解決したら……飲んでいい?」



『えぇ。解決したら、いくらでも飲ませてあげましょう』



「へへっ……へへへ♪」

「あざっ、あざぁぁっす」



 その光景はまさに信者と女神――否、薬物中毒者と売人の図だった。



「じゃあ、問題のおさらいだ」

「今の状況を、整理してくれ」



『はい』

『問題点はズバリ、"MAUの伸びストップ" です』


『現在のMAUをご確認ください』



――――――――――――――――――――

【現在:2150年3月2日 MAU】

5,530,505人


【1,000万人未達成の場合:ワールド消滅】

※期限:2150年3月31日まで(2/14改定)

あと4,469,495人

――――――――――――――――――――

※MAU=ひと月に1回以上、"ワールド:日本" に訪れるプレイヤー数



『現在午後2時』

『初日の伸びから、MAU650万人は固かったと考えています』


『昨日のバトル無限ループバグは、プレイヤーにも好評で上手く処理できました』



「ふむ……問題はないはずなのに、なぜか伸びないと」



『はい』



 凪は目を閉じ、思考を深く巡らせる。

 頭の中で、ユーザーの反応やMAUの動き――あらゆる点と点を線で(むす)んでいく。



「――だいたい推測はついた」

(うち)は問題ない。おそらく()()()()()


「"ワールド:日本" 外の外的要因、とでも言っておこうか」

「セレス。何をしたらいいか分かるな?」



『はい! "ワールド:日本" 外のSNSのチェックです』



「正解!」



 セレスは、目をチカチカと光らせ、ネットサーフィンを始める。



『――見つけました』

『"ワールド:中国" でSNSが、爆発的に盛り上がってます』



「中国…………見せてみろ」



 セレスはパチンと指をはじくと、SNSの内容をウィンドウに表示する。

 真剣な表情で見ていた凪は、力を抜きながら口を開いた。



「よかったぁ~~」

「セレス、大丈夫だ。なんとかなるレベルだ」


「たかだか宣伝方法が、丸パクリされただけだ」

「お前が2月にやった、水着での宣伝だな」



『んなっ! "だけ"って……あんなに頑張ったのに』

『私、許せません!』

『あの子……中国の管理AIに苦情を出してきます!』



「やめとけ、やめとけ」

「アタシがやったバイラルマーケティングも、先人の知恵だ」


「水着で宣伝なんて、よくあること」

「まぁ、リスペクトと丸パクリは違うがな」


「それにな……ふふ……ここでの借りは後々、()()()()()()()()()()

「――いい傾向だ」



『あの……すごいセリフはかっこいいんですが、締まらないというか――』



「おいぃぃ……(しば)ったの、オマエー!」

「ほどけよ。どんなプレイだよ」



 セレスは凪の身体にきつく食い込んだ縄をほどきながら、疑問を口にする。



『それで、MAUが伸び悩んでいる結果は変わらないのですが……対策はあるんですか?』



「ふははは! よく聞いてくれた!」

「こんなこともあろうかと――」



 縄から解放された凪は、伸び伸びと大きくポーズを取り高らかに宣言する。



「アタシの大型アップデートは()()()()!」


「秘密兵器 "せれちゅたん" をリリースする!!!」



―第19話につづく―

どうも、せーぶうわがきです!


冒頭から凪が日本酒が大好きなやべーやつ感が出ておりますが、実はカクヨム版では自己紹介の記事がありましてそこに「日本酒が好き」と書いておりました笑

そうなんです、凪は日本酒が好きなんです!以後お見知りおきください。

そして私も日本酒が大好きで、作中で出てきた日本酒の元ネタがわかった方は同志です。


また二日酔いを治すコマンドも出てきましたね。

もちろん、こちらも元ネタがございます!わかった方は同じゲームをしているということで親近感しか湧かない自分がおります。よろしくお願いします(´・ω・`)←ナニヲ?

いまだにこのコマンドはコントローラーを見ずにできる自信があります笑


では!第19話でお会いしましょう。


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― 新着の感想 ―
中国にパクられたのか! (´⊙ω⊙`)! 平常運転過ぎて特に驚くほどでも無かったですね。 (^~^;)ゞ コマンドわかんないです。 日本酒は十四代かな。値段が高いのでもう少し安くて飲みやすい辛口が…
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