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AI少女とゲームクリエイターの世界創造日記 〜AI少女を愛した開発者はアタシです〜  作者: せーぶうわがき


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16/30

第16話『この、ごみ虫どもっ★』

 凪とセレス――運命の日を迎えた二人の頭上に、大きなウィンドウが表示されている。



――――――――――――――――――――

【現在:2150年3月1日 MAU】

0人


【1,000万人未達成の場合:ワールド消滅】

※期限:2150年3月31日まで(2/14改定)

あと10,000,000人

――――――――――――――――――――

※MAU=ひと月に1回以上、"ワールド:日本" に訪れるプレイヤー数



 二人はウィンドウを見上げ、目と目を合わせた。



「はは、0人って見るとワクワクするな♪」



『はい。現在、3月1日早朝』


『メンテナンスモードを解除するまで、まだ誰もログインできない状態ですからね』

『綺麗な0人です♪』



「メンテ明けに、プレイヤーに言うことは考えてきたか?」



『はい、練習もしてきました』

『それにこの2週間、毎日、プレイヤーの皆さんと接してきたので大丈夫です』


『凪さんは()()()()()()()()()()()()でしょうが、ご安心を』


『もう、恥ずかしがりません!』

『プロなので!』



「あはは、言うようになったねー」

「なら、アタシはここで見てるから」


「セレス――行ってきな!」



 そう言うと、凪は鼓舞(こぶ)するように、セレスの背中をポンと叩き送り出した。




 ――セレスはゆっくりと目を閉じる。



 続けて、世界を始めるコマンドを口にする。



『コマンド。ビルド済みのアプリケーションおよび関連リソースを、本番環境にデプロイ』

『メンテナンス状態を解除』



 セレスが目を開くとともに、暗闇だった背景に世界が展開される。

 目を覚ました世界に、セレスの配信ウィンドウが埋めつくした。



 感情の欠片もなかった顔に、ふわりと光が()す。

 セレスは、まるで人類を救済する女神のように微笑んだ。



『 "ワールド:日本" のプレイヤーの皆様』

『おはようございます。管理AI セレスです』


『本日は新バージョン、ver3.0.1をリリースしました』

『リリース内容はこちらをご覧ください』



 セレスはパチンと指を鳴らすと、リリース内容を展開する。



───────────

【3月1日: "ホシ娘" 大型アップデート】

①新イベント

⇒協力型バトルイベント『断罪領域の支配者』


②新しい育成モード

⇒新育成ストーリー『断罪領域:星巡る旅路』


③管理AIセレスとのコラボ

⇒イベントボス『断罪領域の支配者セレス』登場

※イベントクリアで入手できます

───────────



『――さぁ、準備はいいでしょうか』


『この…………ごみ虫どもっ★』



 セレスの口から出た信じられない一言に、凪は目を見開いた。



「(ん? んんん!?)」

「……ちょ、ちょっと何言ってんのセレス!」



 小声で訴えかける凪に、手をひらりとチャットウィンドウへ誘導する。

 ――()()()()()で。


 ピロピピロロピロン♪



──────[CHAT LOG]──────

> ぬるぽ民:ハッ……我らが女神……仰せのままに。

> 消しゴムの末裔:たまらんwwこの女神ww

> 一番弱いボスです:せ・れ・ちゅ! せ・れ・ちゅ!

>トーストは片想い:ごみ虫いっきまーす!

> 左脇だけ無敵:もうせれちゅたんナシじゃ生きられない体になっちゃった。

> しらたき系男子:お前ら!弾幕薄いよ!何やってんの!

> おやすミント先生:調教されてて草www

─────────────────



「お、お前ら…………それでいいんか」



『ふふふ、凪さん』

『私だってこのくらい、容易(たやす)くやってのけるんですよ♪』



 セレスは配信を切ると、絵に描いたようなドヤ顔で言い放った。



「……いや、まぁ、うん」

「お前もそれでいいなら、いいんだけどな」


「……とんだプロになったもんだよ」



 そんなやり取りをしている最中、上部のウィンドウのカウンターが更新され続けていた。



――――――――――――――――――――

【現在:2150年3月1日 MAU】

 3,500,202人


【1,000万人未達成の場合:ワールド消滅】

 ※期限:2150年3月31日まで(2/14改定)

 あと6,499,798人

――――――――――――――――――――



『見てください……凪さん』



「――あぁ」

「初日早朝で、この人数は行けるな」



『はいっ』

『このスピードだと……本日だけで500万人は固いかと!』



 凪とセレスは目を合わせ、笑った。

 そして、無言で手を伸ばした――勝利のハイタッチ。



「よ~し!」

「それじゃあ、アタシも行きますかねぇ~♪」



『えっ? どこに行くんですか?』

『…………チーズケーキも用意してたのに』



「おいおいおい、なに言ってんのかね~。この子は」

「せっかく作ったんだ」

「開発者本人が遊ぶのは当然だろ?」



『開発中何度も見てるのに、面白いものなんですか?』

『しかも攻略法も分かってるのに――』



 セレスは口を(とが)らせながら、反論した。

 行かせたくない気持ちが前面に漂っている。



「はぁぁぁぁ……セレスちゃんは分かってないねぇ」

()()()()()()()()()()()で、面白くなくなるようなゲームを作るわけないだろ?」

「このアタシが」


「面白いゲームってのは、()()()()()()()()()もんだ♪」



 凪が子どものように笑ったその瞬間、セレスの胸に、ふわりと温かな火が(とも)った気がした。



「おい、そこのトゥンクって乙女顔(おとめがお)してるセレスちゃん?」

「お前も行くんだよ」



『――し、していませんが!?』



「分かった分かった」

「どうでもいいから、早く行くぞー!」



『――どうでもよくありませんが!?』



 そう言いながらも、セレスは凪に追いつこうと、頬をふくらませたまま小走りでついていった。



 ***



 ――灼熱。裂けた空。

 重力がひずみ、空間がゆらぎ、空には赤黒い太陽が浮かんでいる。


 崩壊しかけた恒星(こうせい)のコアに立つひとつの大きな影。

 "断罪領域の支配者セレス" に、凪とセレスは相対(あいたい)していた。


 凪とセレスの横には、それぞれが育成したキャラクター "ホシ娘" が立っている。



「セレス! 3秒後にリミットバースト:光葬(こうそう)で沈める!」



『了解。自傷高火力攻撃ですね』

『回復サポートします』



 凪の"ホシ娘" シリウスは、激しく発光し身を焦がしながら、一気に敵へと距離を詰める。

 白目を剝きながら、殴打殴打殴打――最後に詠唱を唱えると空が割れ、光の柱が降り注ぐ。


 セレスの "ホシ娘" ルナは、次の攻撃に備えて、すかさず自傷で減少したシリウスのHPを全回復する。



 シリウスの攻撃が "断罪領域の支配者" の身体を貫くと、彼女の手から巨大なハンマーがカラン、と音を立てて落ちた。



『撃破確認。戦闘終了を確認――』



 セレスが勝利宣言をする……が、すべての動きが、突如止まる。


 ――時間が、巻き戻った。



「はぁ、はぁ……ウソだろ?」

「セレス……()()()()?」



 凪は膝に手をつき、肩で呼吸をするほど疲れていた。



『戦闘再開を検知。1()2()()()です』



「はぁはぁ……こんな設計にしとらんぞ」



 血のようなドレスに包まれ、にこりと無垢に笑う少女―― "断罪領域の支配者セレス" がそこに立っていた。


 支配者は笑ったまま、落としたはずのハンマーを再び召喚する。



『ねぇ……また、遊んでくれるんだよね?』



挿絵(By みてみん)



「いやいやいやいや……認めたくはないがこれは――」

()()()!!!!」


「面白いゲームは、何度遊んでも楽しいって言ったな!」

「あれはウソだ!!!」


「てへぺろこつーん★」



―第17話につづく―

どうも、せーぶうわがきです!

ついにやってきました!運命の3月!


運営型のゲームは、リリースするまでの開発期間でだいたいの結果が予測できます。

リリース後、どれだけ頑張っても、対処できるように設計されていなければどうにもなりません。

果たして、彼女たちに何が待ち受けているのか見届けていただけると嬉しいです!


そして、開発者には「自分のゲームを遊ぶ人」「遊ばない人」の二通りいます。

凪さんの考え方は、私の理想でもあります。

攻略法が分かってても面白いゲーム、理想ですね(●´ω`●)

皆さんはこういうゲームに出会ったことはあるでしょうか。

私はスーパーマリオ・Apex・ギルティギア・魔界村・テイルズ・ペルソナなどが好きです。

コメントなどで是非に教えてください♪


では、第17話でお会いしましょう!

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