表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
AI少女とゲームクリエイターの世界創造日記 〜AI少女を愛した開発者はアタシです〜  作者: せーぶうわがき


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

14/15

第14話『おねえちゃん、ずっとずーっと大好きだよ♪』

「――――」



「……あはは、おねえちゃん♪」

「なんて顔してるの~?」 


「私のこと――忘れちゃった?」



 ()()()()()()()()()()は、凪の頬をつたう雫を指でそっとぬぐう。

 はかり知れないほど長く――ようやく辿り着いた夢をこわさないように。



「――バカ」

「忘れるわけないだろ……!」


「この、アタシが」

「お前を……!」


「――七海なみ



 凪は、一瞬の静寂を裂くように、セレスの形をした少女――もとい、七海なみを強く抱きしめた。

 長い時の重ささえ、溶けてしまうほど優しく、強い力で。



「あは…………ひぐっ」

「うん……うん」


「ごめん。ごめんね、おねえちゃん……!」



 涙が、凪の胸元を濡らしていく。


 神聖で神秘的な雰囲気をまとっていた彼女は、凪の腕の中でその面影(おもかげ)をほどき、ただ幼い妹の顔に戻っていた。



 ***



「ふふ、七海なみ~」

「お前はいつまで経っても、甘えんぼだなぁ」



「えへへ♪」

「うん、そうだよ~」

「七海ちゃんはず~~っと、ず~~っとおねえちゃんの妹だもん♪」



 凪は膝の上にいる七海を抱っこしながら、椅子をギコギコと()()()()をしていた。



「――――」



 凪はふと、先日()()()()()()()()()のことを思い出す。

 しかし、それを問いかけた瞬間、この夢が壊れてしまうのではないかと口に出せずにいた。



「あはは、そうだよね」

「気になるよね……セレスちゃんに、なんで私が入っているのかとか」



「――――いや」



「おねえちゃん、無理しなくて大丈夫♪」

「それに、もうそんなに時間も残されてないんだ――」



「え? それってどういu――」



 七海は凪の唇に指を置き、発言を制止する。



「――おねえちゃん。聞いて」

「きっと、ワールド消滅の期限が早まったのは私が原因」


「アイツらが、セレスちゃんもろとも、私を消そうとしてるんだと思う」



「アイツら?」



「うん」

「ごめんね。この身体……セレスちゃんの権限じゃ名前を言った瞬間、完全に捕捉される可能性があるの」

「でも、おねえちゃんは()()()()()()()を聞いてるはずだよ」


「私の――大事な、"友だち" からね」



 凪はそのワードを聞いた瞬間、頭の中で全ての点と点がつながった。



「――っ!」

「やっぱりか……」


「七海、全部わかったよ」


「アタシに――おねえちゃんに、全部任せとけ」



「あはは。さすが、おねえちゃん♪」


「……」

「――もうそろそろ、限界かな」




 七海はそう言うと、まるで夢と現実の区別をつけるように――凪の胸に顔をうずめて、ゆっくりと口を開く。



「おねえちゃん、元気?」



「あぁ」

「お前に会えて元気モリモリだ」



「――おねえちゃん、ごはん食べてる?」



「あぁ」

「セレスがオムライス食わせてくれたぞ。卵が甘いやつ」



「――――おねえちゃん、お仕事無理してない?」



「あぁ」

「ちゃーんとベッドで寝てる。フカフカのな」



「えへへ……()()()言えたぁ」



 凪は唇をギュっと噛みしめ、七海なみの額に優しいキスをする。



「七海……よく一人で頑張ったな」

「おねえちゃんが守ってやるから――絶対に」


「それに()()()言ったろ?」

「七海の言うことなら、なーんでも聞いてやるって」


「忘れたか?」



「――ううん。ちゃんと、覚えてる」


「おねえちゃんにずっと養ってもらうんだもん。えへへ」



挿絵(By みてみん)



 七海は遠い記憶をたぐり寄せるように、精いっぱいの笑顔で答えた。



「おねえちゃん、ずっとずーっと大好きだよ♪」

「ちゅっ」



「あはは」

「かわいさ……メタエッジスコア100億万点だ」



 いつしかの記憶にある、別れの挨拶を繰り返す、凪と七海。

 それは神聖で、二人にしかわからない再会の誓いだった――。



 しだいに七海だった少女の身体から、力が抜けていく。


 凪は1秒でも七海が寂しくないように、また強く抱きしめた。



『……!』

『むー!』

『ちょ……く、苦しいのですg――』



「セレス……ちょっと黙ってて」

「…………あと5分」



 顔を見ることを許さない――強くも温かい凪の抱擁。

 小さく震える腕を落ち着かせるように、セレスは黙って抱きしめられることにした。



 ***



「…………んっ」

「やば……寝てしまってたか」



『……ええ』

『それはもうぐっすりと』



 ベッドで目を覚ました凪の目の前に、セレスはジト目で応える。



『まったく。凪さんは甘えんぼさんですね~』

『私が何時間、ソコに挟まってたと思うんですかね~』



「ははは」



『…………』

『いや、何か言ってくださいよっ!』



「朝から元気だなぁ。セレスちゃんは」

「仕方ない」


「すぅ……はぁ」


「そう! アタシは甘えんぼなんだ!」

「だから、もっと甘やかしてくれんと困る!」



『……ちっ』



 ゴミを見る目で、セレスは怒りの舌打ちをする。

 凪に対して何か違和感を覚えたが、それも怒りで胸の奥底に沈んでいった。



『はいはい。もう元気なようですね』

『朝ごはんを用意しているので、食べたらお仕事ですからね』



「うぇ~い」

「朝ごはん楽しみだなぁ♪」



 スタスタと部屋を出ていくセレスの後を、凪はスキップで追って行った。



 ***



「……んぐんぐんぐ」

「セレス……んぐんぐんぐ……聞いてくれ」



『飲み込んでからしゃべってください』



「んぐんぐ……(ゴクン)」



『はい、どうぞ』



「あのさ、この前 "バイラルマーケティング" 第一弾成功したじゃんかぁ」



『凪さんが! 勝手に! 全プレイヤーにカメラONにしたやつですね!』

『えぇ、えぇ! 大成功ですね!』

『おかげで! 今もMAUは回復していってますよ!』

 ※MAU=ひと月に1回以上、"ワールド:日本" に訪れるユーザー数



「ふふふ……そこでだ」



 凪はニヤニヤしながら、片手をピースにしてセレスの前に突き出す。



『な……次は何をやらせるつもりですか!』

『ひ、酷いことするつもりでしょう!』



「さすがセレス。察しがいいな♪」

「あと、"酷いことするつもりでしょ。エ〇同人みたいに" までがテンプレだ」



『おい。早く言えよ』



 セレスの冷めた目に、凪はゾクゾクしながらも一枚の写真を取り出す。



「じゃじゃーん♪」

「セレスには今日の世界を始めるときに、()()()()()挨拶をしてもらいまーす!」



『――!』

『ちょ、どこでそれを!?』



「ふふふ、エンプからもらいました~♪」

「セレス。持ってるんだろ?」


「み・ず・ぎ♪」



『イヤです、イヤですー!』

『どれだけ恥を晒させるつもりですかぁ!』



 セレスは頭が取れそうな勢いで、首を横にブンブンと振る。



「セレスぅ。アタシはな、お前の仕事を手伝ってるんだ」

「めちゃくちゃ頑張ってる」


「でぇ、ワールド消滅を防ぐのは、誰の仕事だ?」



『……わ、私です』



「うんうん、そうだよな?」

「やっぱりできることは、何でもやるべきだと思うんだよなぁ」

「あ・た・し、は」



『ぐぬぅ……この人は』


『分かりました!! 分かりましたよ!』

『着ればいいんでしょう!』


『…………』

『あっち向いててください!』



 セレスはパチンと指を鳴らすと、一瞬謎の光に包まれる。

 光が解除されると、水着姿のセレスが顕現(けんげん)する。



「あぁ……これこそ "女神" だな」

「神に感謝を――」


「さぁ! 女神よ」

「ワールド:日本のプレイヤーに、後光(ごこう)を見せに行こうか!」



 凪はミュージカルのようなポージングで、セレスに世界の展開を促した。



『ちっ』

『コマンド:メンテナンス状態を解除』



 セレスが目を開くとともに、暗闇だった背景に世界が展開される。

 セレスの戦いが今始まる――水着姿で。



―第15話につづく―

どうも!せーぶうわがきです!


少し捕捉をば。

七海と凪の間には、第10話『……残念な知らせじゃ』で七海が言っていたように約118年の時間差があります。

凪は、七海がいなくなって数日後、過去からアクセスしてこの電脳世界にいます。

七海は、行方不明になってから118年電脳世界で一人です。

二人の最後のやり取りは、第6話『Hello, new world?』のやり取りのことです。七海が行方不明になる前日ですね。

是非とも、6話・10話を読み返していただけると嬉しいです。

七海がどんな気持ちだったのか、少し垣間見ていただけたらわたくしすごく嬉しいです。


では!第15話でお会いしましょう!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ