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負けず嫌いの転生 〜今度こそ幸せになりたいと神様にお願いしたらいつの間にかお姫様に転生していた〜  作者: 山里 咲梨花


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罠にかかったもの

お父様とイザークおじ様が仕掛けた罠が気になるけど…。

だって、今日は洗礼を受けて、会議して、何とかお披露目会を終わらせたけど、

七歳の体力ではそれで精一杯。

翌日になってやっとセブランの話を聞く事ができました。

 控え室でお兄様方と食事をしながら、気になった事をディー兄様に尋ねてみる。

「先程、ディー兄様が魔力を流した宝石なんですけど、あれは誰が魔力を流しても扉が出てくるのですか?」

「あれは、王族しか使えない物だよ。アデルも、洗礼が終わって全属性のご加護を賜ったから、必要に応じて父上が教えてくださるさ」

「そうなのですね」


 王族しか使えないってどんな原理なんだろう? 

 全属性の加護がポイントなのかな? 

 お父様に教えてもらうのが楽しみだ。


「いざという時でない限りは使わない城の秘密だから、今回の事も言いふらしてはダメだよ。側近にも口止めしておいてね」

「はい、分かりました」

と言いながら、自分の側近達を見ると、皆、ちゃんと聞いていたみたいだ。


 食事が終わると、ダンス用のドレスに着替えなくてはならないので、側仕えは、食事の片付けと着替えの準備でバタバタしている。お兄様方と部屋の隅で、食後のお茶を飲みながら準備が終わるのを待つ。


 衝立で仕切られたスペースで、お母様が用意してくれたドレスに着替える。今回のドレスは、ピンクをベースにしたフリルヒラヒラの愛らしい姫ドレスで、嬉しい気持ちがアップする。


 罠を仕掛けたという隣室の様子が気になるけど、全く物音がしないので、あえて尋ねる事はしていない。


 お兄様方も着替えが終わって準備が整うと、ジュスタンが護衛騎士に廊下の様子を確認させている。

「殿下、大広間へ向かっても問題ないようです」

「分かった。アデルの護衛騎士に、アデルの護衛に戻るように言ってくれないか」


 セブランが部屋に入って来たので、何がと言わずに尋ねる。

「終わったの?」

「はい、つつがなく」

と、セブランが答えたので

「後で何があったか教えてね」

と言って、大広間に向かう準備をしてもらう。


 大広間に戻ると、男性と女性でいくつかのグループに分かれて、歓談を楽しんでいる様子だ。和やかな雰囲気で、どこにもピリピリした感じがない。

 早速、音楽が演奏されると、ダンスするスペースを空けるように、人が分かれて移動する。お父様と目が合うと、微笑んで励ますように頷いてくれた。


 まずは、ディー兄様とダンスだ。習いたてなので、あまり上手とは言えないが、兄様のリードに任せて笑顔で誤魔化す。続いて、シル兄様と踊り始めると、お父様とお母様も壇上から降りて来て、一緒に踊り出す。周囲の人達が、微笑ましいものを見る目で見ているので、かなり恥ずかしい。

 何とかノルマをこなすと、壇上に戻って席に着く。その間、他の人達も踊り始めたので、大広間の雰囲気が一気に舞踏会の華やかさに染まる。


 2曲くらい踊ったお父様とお母様も、壇上に戻って来た。私はというと、ノルマ達成で安心したのか、七歳の体がしきりに眠気を訴えている。

 そんな私の様子を見ていたお父様が

「三人とも良くやった。疲れたであろう? 下がって休むが良い」

と言ってくれたので、お父様の言葉に従って、側近達と大広間を出る。


 本当は、罠の事が気になっているんだけど、眠気に勝てない。部屋に戻って入浴しているうちに眠ってしまいそうになる。


 ダメだ! 諦めて今日はもう寝よう!




 翌朝、スッキリ爽やかに目覚めてすぐに罠の事を思い出す。あれからどうなったんだろう。ベッドから出て朝の支度が終わる頃には、我慢できずにメアリに尋ねてしまった。

「昨日の事を聞きたいのだけどいいかしら?」

「分かりました。まずは、朝食を済ませてしまいましょう。今朝は、皆様、自室で朝食を摂られる様ですが、姫様はいかがなさいますか?」

「誰も食堂に来ないのなら、つまらないから私も部屋で食べるわ」

「かしこまりました」


 側仕え達が用意してくれた朝食を摂って食後のお茶が出されると、待ち切れない私がソワソワしている様子を見て、メアリが笑いながら

「姫様、まずはセブランから話をお聞きになりますか?」

と尋ねる。私はすぐに飛び付き

「ええ、お願い」

と返事をすると、メアリの目配せでオリビアがセブランを呼んでくれる。


「姫殿下のお召しにより参上いたしました」

「セブラン、昨日控え室であった事を教えてくださいませ」


「はい。まず、お披露目会に乗じて姫殿下を拉致しようとする動きがある、という情報があり、事前に騎士団内で対応を検討いたしました。そして、姫殿下が着替えをなさる時、男性騎士がお側から離れて、女性騎士が一人だけになるという情報を流しました」

「それでローズ様が私に付いてくださったのね?」

「左様でございます。ただ、女性と言ってもルグラン卿は手練れの騎士ですので、こちらも油断している訳ではないという事を示す配置になっておりました」


「ローズ様ではなくて、ルグラン卿とお呼びしないと失礼になるのかしら?」

「いえ、左様な事は、姫殿下に限って言えば、ございませんでしょう」


「セブランは、扉の廊下側で護衛していたのよね?」

「はい、私とマルクが扉に付き、マティアスは室内に予め潜んでおりまして、庭に面した窓の下におりました」

「あら? 私、マティアスに全く気付きませんでした」

「ははは、それはそうでしょう。気付かれては、潜んでいる事になりません。賊が侵入するなら、窓からしか出来ない部屋を準備して誘導しました。姫殿下が最初に入った部屋です。庭にも数名の騎士が隠れて待ち伏せておりました。現行犯で取り押さえねば言い逃れされますので、相手の出方を見ておりました」


「そうなのですね。それで?」

「ここからは、マティアスから聞いた話です。相手は、王子殿下方が隣室に入るとすぐに動き始めました。おそらく、ディーヴァプレ殿下が扉を消して、すぐのタイミングでしょう。

 まず窓から、催眠効果のある発煙装置を投げ入れました。それにはマティアスが布を被せて無効化しましたが、その事に気付かず賊が三人、窓から侵入しました。賊は、すぐに姫殿下の姿がない事に気付き、ルグラン卿に向かって来たそうです。ルグラン卿を捕らえて情報を聞き出そうとでも思ったのでしょう。

 しかし、マティアスと挟み討ちにしまして、他の騎士の加勢もありましたので、今回は殺さずに捕まえる事ができたそうです」


「賊についての情報がありますか?」

「いえ、取り調べは騎士団が行いますが、私共は姫殿下の護衛業務を優先しております。情報はまだ入手しておりませんが、いずれ団長から情報の共有がなされると考えております」


「昨日の今日だもの。取り調べは、まだ終わってないわよね」

「はい、取り調べは時間がかかるかも知れません」

「それは何故?」

「賊が隣国の言葉を話していたからです」

「なんですって?」


 また、事が大きくなってきた。

 一体なんで私が隣国に狙われるのかしら?

 しかも拉致しようとするなんて、何が目的なの? 

 営利誘拐? 

 どうなんだろう。お父様の意見を聞きたいわ。


「賊の狙いは、お兄様方ではなくて、私で間違いないのよね?」

「それは間違いないかと思います」


 私は、まだこの世界の事が解っていない。隣国との関係も、この国の成り立ちも解らないから、目的とか影響とか、全く見当がつかない。


 誰かヒントくれないかなぁ!


 一人で悶々と考えていたらお父様から呼び出しが来た。5刻の鐘(午前10時頃)に執務室に来る様にですって。お父様とお話ししたら少しはスッキリするかしら。


 お父様の執務室に向かう準備をしていたら、場所が会議室に変わった、と連絡が来た。参加者が増えたのかしら? とにかく行ってみればわかる事よね。


 私が、側近達を連れて会議室に向かうと、途中でお兄様方と一緒になった。

 すると、ディー兄様が私に向かって告げる。

「アデル、父上から洗礼の場であった事を全部聞いた」


 えっ!お父様、話しちゃったの?

 お口チャックじゃないの?

 ああ、私の口に限定か! 

 確かに、この二人にずっと内緒にしておくのは、現実的ではないよね。

 聞いてどう思ったのかなぁ?


「シル兄様もですか?」

と尋ねると二人とも重々しく頷く。

「そうですか…。でも私は何があっても私でしかありませんよ?」

と少し不安になった私は、甘える様に言ってみる。

 すると、少し顔が緩んだディー兄様が

「分かっているよ。アデルは可愛い私の妹だ。君の価値がまた上がってしまったが守るべき我が国の宝である事は変わらないよ」

という言葉に、シル兄様も少し笑顔になって頷いている。


 あれ? 

 私の価値って上がってるの?

 転生者だから?

 それとも前世の記憶があるから? 

 どっちもお口チャックの案件だよね?

 その辺りも教えて欲しいんだけどなぁ!

 この場では聞けないよねぇ。

 ふうー。


「ところで、お兄様方も会議室に向かっていらっしゃるのですか?」

「そうだよ。どうやら大まかな筋が見えて来たらしいから、関係者全員集めて一斉に情報共有するらしい」


 そういう事なら、お父様と二人で話をするのは難しいかもしれない。


 会議室に着いて、どこに座ればいいのか分からずに突っ立っていると、シル兄様が隣の席をポンポンと叩いて呼んでくれた。

「アデルはこっちだよ。ほら、僕の隣」

 私は、嬉しくなって、いそいそとシル兄様の隣に座った。


 今回の会議の参加者は、

国王陛下(お父様)

王妃殿下(お母様)

王太后殿下(お祖母様)

王太子殿下(ディー兄様)

宰相 ランベール公爵(イザークおじ様)

財務局長 リシャール侯爵

法務局長 ローラン伯爵

外務局長 クレモン子爵 

総務局次長 ルーセル侯爵

騎士団長 ルグラン公爵(ロベールおじ様)

魔法師団長 ゴディエル公爵(グラーチェおじ様)

相談役 先代ランベール公爵(ラファエル様)

相談役 先代ゴディエル公爵(ステラルクス様)

相談役 先代ルグラン公爵(お祖父様)

そして第二王子殿下(シル兄様)と私だ。

 国のトップが全員揃っている。


 大変!

 私の事が国の一大事になっちゃうなんて!

 あああ、何でこうなるの!

知らない間にどんどん大事になっていく、アデルを取り巻く現状。

とにかく事情を把握して、理解して安心したいアデル。

次回は、情報共有です。

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