結界崩滅
バルエラ竜王国・中央浮遊都市バルエラ
翼なき者の奇襲、反乱を静める事に成功した竜人の面々は復旧作業に終われていた。
そしてあの未曾有の反乱の裏に西の浮遊都市・ウエストゲェルを統べる竜人。ルーシャ・ルビー・イエウエスト・アリードライブが関わっていたと知らされてからというもの・・・西の浮遊都市には統べる者がいない状態が続いていた。
更にルーシャの実力はトップクラスであり、竜王の次に強いと言われているので竜王国の戦力が削がれたというのは言うまでもない。
とりあえず西の浮遊都市は複数の竜人が連携して対応している状況だ。
『それにしても・・・この霞はどうなっているんだろうなぁ?』
一体の竜人が浮遊都市の下に広がる霞の海を見てぼやく。
翼なき者の反乱が起きてから数時間後に突如として発生したこの霞は、瞬く間に翼なき者の住まう土地を埋め尽くし・・・そして旧バルエラ竜王国の首都であった廃棄都市にも入り込んでいる状況だ。
霧が発生した直後は警戒し、そして危険だと即座に判断した北の浮遊都市・ロウェイノースを統べる竜人。ハッカ・ラフス・ノースルー・ライブエラによって編成された部隊が調査している最中である。
編成された部隊全員が水の属性竜法を使えるので、視界が悪い霞の海の中でも活動する事が出来ると判断しての編成で、水の属性竜法を使う事が出来る者であれば水の結界を作り上げる事によってあの正体不明な霞を吸い込むことなく活動出来るからだ。
何故発生しているのか?何処から発生したのか?自然現象なのか?それとも誰かが意図して発生させたのか?
何もかもが不明な霞を竜人といえども吸い込むのは抵抗があるのだ。
竜人の身体・・・無論内臓も他の種族よりは丈夫だが、それでも抵抗があるのは仕方ないと言える。
それに今はルーシャが不在・・・というよりも離反したという噂があり、そして尚且つ竜王オール・ディストピア・バルフロン・マリッジが不在なのも竜人を不安にさせる用意だ。
王の不在というのはそれだけで民を不安にさせるには十分であり、現に中央浮遊都市に住んでいる竜人から不安が聞こえているということだ。
そんな諸々の不安材料が重なっている最中に突如として発生したこの霞は、十分に警戒すべきことだと言える。
『噂じゃあ・・・この霞には翼なき者の連中にも害があるって話だぜ』
『この霞なら狩りは行えないからな・・・というよりも翼なき者からの貢ぎ物はどうなんだ?』
『どうだろうなぁ・・・もしかすれば貢ぎ物は当分無いんじゃないのか』
『だよなぁ・・・貢ぎ物が無ければこれからどうするんだ?』
そう言われて考え込む二体の竜人。
竜王国は下界・・・翼なき者から多数の物資を輸入している。
衣類や食料、そして下界で発見された鉱石や魔導石は時としてかなり高額で取引されることもある。竜王国において重要な生活基盤の一つだ。
しかしながら上位の・・・上流階級の竜人となれば話は別だが・・・
バルエラ竜王国は実力こそ全ての国であり、そしてその実力によって各竜人には序列が存在する。
最強の竜人である竜王オール・ディストピア・バルフロン・マリッジを筆頭に、序列第二の面々には各浮遊都市を統べる竜人にはその都市に関しての全権が認められており、大抵の事は彼らが好きに出来る。
無論例外も存在するが・・・
オールの統べる中央浮遊都市には上流階級や、中流階級でも上位の竜人が住まう事ができ、そして中流階級や低位の竜人は各浮遊都市で住まう事を余儀なくされている。
たまに上流階級の竜人であっても中央浮遊都市には住まわずに地方の・・・辺鄙な土地に住まう竜人もいるが・・・
上流階級に行くためには群を抜いた戦闘能力、研究成果、そして頭脳などが求められていて、その実力さえあれば低位の竜人であったとしても一代で上流階級に行くことが可能であり、逆もまた然り。
最初から上流階級に生まれた竜人であったとしてもその代の当主が無能であれば、即座に中流階級・・・低位に下落してしまうこともある。
低位や中流階級の竜人は翼なき者からの物質で生活している者も多いので、翼なき者からの貢ぎ物がないのであれば苦労するのは眼に見えて明らかだ。
っと言っても低位の竜人だからと言って餓えに苦しむことや、生活が苦しくなること等は到底ありえない話だが・・・それでも生活基盤の一つが無くなるのは痛手だ。
『そうだなぁ・・・それと話は変わるんだが、どうやら竜王様が科学者達に研究させていた物がどうやら成功したらしいぞ』
『研究させた物?曖昧だがそれが成功したら何になるんだ?』
『俺は研究者じゃねぇからな・・・それに俺ら程度の竜人じゃ理解出来ないと思うぞ』
『ケラケラ』っと笑いながら記者と名乗った竜人は隣で話していた竜人の背中を叩く。
今は竜王オール・ディストピア・バルフロン・マリッジと、彼らの住まう西の浮遊都市を統べる竜人ルーシャ・ルビー・イエウエスト・アリードライブが不在だ。
少なからず不安になっている自分を元気つける為に話していたのであろうと彼は背中を叩かれながら思う。
『不安で何も行動しないよりは動いた方がいい』
『どうした急に?』
『いや、昔知り合いに言われた事を思い出してな』
『そうか・・・なんだがいい顔付きになったじゃねぇか?』
『そうかい?もしかしたらお前さんのお陰かもしれないな』
そう言いながら翼を羽ばたかせ自在に空を飛び始める竜人。
その表情は晴れ晴れとしており、不安は和らいだようだ。
そんな二体の竜人が楽しそうに談笑していると、一体の竜人が飛んで来ているのが見て取れる。
片方の角が折れてしまってはいるが、全身を包み込めるほどに大きな灰色の翼。
尻尾は細長く、しなやかな感じなのだが・・・こちらもまた尻尾の先端が欠けてしまっている。
この竜人は西の浮遊都市化を臨時的に統括している竜人の一体であり、名前はフィヘイン・ゲート・カルサ。
彼女の角が折れているのは彼女にとっての禁句であり、その事を指摘・・・というよりも冗談半分に笑った竜人が燃やされたのは有名な話だ。
『お疲れ様ですフィヘイン様!』
二体が敬礼し、フィヘインもそれに答えるように敬礼する。
『何か異常は?』
『今のところはいつも通りです』
『変化という変化は今のところありませんね。相変わらず下界は霞の海に覆われたままです』
『そうか・・・依然としてこのままか』
『ハッカ様の組織した部隊の方は大丈夫でしょうか?』
記者の竜人の問い掛けに対して少し思うところがあるのか、少し考えていたフィヘインだが大丈夫だと判断したのか喋り出す。
『あの霧についてなのだが・・・今のところは我々に害をなすような被害は確認出来ていない』
『なるほど・・・あの霞はただの霞という事なのですね?』
『今のところはな・・・しかし依然としてあの霞が何故発生したのかということはわかっていないのだ、不用意に近づんじゃないぞ』
『風の属性竜法でも霧散させる事が出来ないこの霞・・・確かに興味はありますが、俺も命が大切なので』
『私は水の属性竜法を使えますが・・・私にも家族がいますので無茶はしませんよ』
『お前・・・子持ちだったのかよ』
『そんなに驚くことか?』
二体のやり取りを微笑ましく見守っていたフィヘインだが、とりあえず霞に変化がないとわかったのでこの場を後にしようと飛び立つ。
『いや・・・でもお前俺よりもわかっ!?』
話をしようとしていた二体の竜人が全くもって同時に動きを止める。
だが・・・動きを止めたのは二体の竜人だけではない。
この場を飛び立ったはずのフィヘインも空中で動きを止めている。
『この感じは!?』
『何だ・・・西の方向からか?』
驚きの表情と共に二体の竜人が異様な気配を感じた方向・・・西側、竜王国と人間の国との国境付近を見つめる。
飛び立ち、何処かに行こうとしていたフィヘインもまたこの異様な気配を感じ取り、上空から見つめていると・・・他の復旧作業にあたっていた竜人もまた異様な気配を感じ取ったのか復旧作業の手を止め、フィヘイン達と同じ方向を見つめている。
宿や酒場等の室内で復旧作業をしていた竜人も、何事かと思ったのかぞろぞろと出てくる始末だ。
『どうやらこの雰囲気を感じ取ったのは我々だけではなかったようだな』
『フィヘイン様・・・この感じは?』
『酒場にいた連中も出てきたぞ・・・まぁ、まだ飲むのには早い気がするが』
『何か異様な気配を感じ取ったのは明らかだ・・・西側・・・多分、人間達の国の方角からなのは確かだ』
『あの・・・例の疫病の狂天使なのでしょうか?』
『お前はまだ戦った事が無いのだな・・・奴らとは気配が違うぞ』
『俺も戦った事はないから正直分からないが・・・どうやら奴らは世界全てを怨むような殺意の塊らしいな』
『そうだ。奴ら疫病の狂天使は殺意の塊だ。まぁ・・・話に聞くのと実際に会って戦うのとでは訳が違うからな』
『わかりました。とりあえずこの異様な気配の正体は疫病の狂天使ではないと・・・それでこの異様な気配の正体は何なのでしょうか?』
その問い掛けに対して全く理解出来ないというように首を横に振るフィヘイン。
自分たちよりもいろんな事を経験しているであろうフィヘインがこの状況を理解出来ていないと知ると、不安なのか一歩後退りしてしまう。
『何かただならぬ事が起きているのはわかるが・・・な、何だこの地鳴りは!?』
異様な気配がしてから数分後・・・突如として地鳴りが響き渡り、辺りを騒然とさせる。
動揺、焦り、そして諸々の不安が一斉に周囲にいる竜人に拡散してしまう。
大人の竜人は驚きはすれども、走り出すような事や泣き叫ぶことはなかったが・・・まだ幼い竜人の中には泣き叫ぶ者もいる。
『何だこの異様な気配に地鳴りは・・・いったい何が』
フィヘインを含めた数体の竜人が警戒するように上空へと飛び立つ。
『ここからでは何が起きているのかわからないか・・・お前達!私はこれから監視塔の方へと向かう。何かあれば直ちに知らせに戻る!』
フィヘインは地上、空中いる竜人に向けて言い放つと、直ぐ様に西側に存在する監視塔に向かって飛んで行ってしまう。
この浮遊都市には合計それぞれ八ヶ所の監視塔が存在し、東西南北を各浮遊都市ごとに警戒している。
その監視塔には灯台という役割と、そして監視塔という名の通りに上空を監視出来るように遠方まで見渡せる大型の望遠鏡が取り付けられている。
人間よりも優れた視力を持つ竜人だとしても、巨大な浮遊大陸であるバルエラ竜王国全てを見ることが出来ないのでこのようにして監視塔を設けているのだ。
更にこの監視塔は地中を通り、浮遊大陸の下まで続いており下界の方も監視出来るようになっている。
しかしながら翼なき者の反乱を見抜けなかったのは痛手ではあるが・・・
バルエラ竜王国、西の浮遊都市・ウエストゲェル第七監視塔・・・
フィヘイン達の感じ取った地鳴りは無論フィヘイン達よりも近い距離にいた、第七監視塔で仕事をしていた竜人も気がついていた。
いち早く気がついた第七監視塔の竜人達は警戒を強め、緊急事態・・・とは言えないが複数の竜人は武器を手に取り警戒している様子が眼に写る。
上空にて警戒していた一体の竜人がフィヘインに気がついたようだ。
『これはフィヘイン様』
先ほどの二体の竜人と同様にフィヘインに対して敬礼するまだ若い竜人。
『何かただならぬ雰囲気を感じ取ったのでな・・・何か異常は?』
『それなのですが・・・とりあえず望遠鏡のある場所に移動しましょう』
若い竜人に案内され望遠鏡のある場所へと移動したフィヘイン。
するとそこには複数の竜人が集まっており、その中にはこの監視塔の最高責任者と、副責任者の内の一体も集まっている。
『ウエストゲェル臨時統括者、フィヘイン・ゲート・カルサ様が参られました!』
その一言により集まって話をしていた竜人が一斉に振り向き、フィヘインの事を確認すると直ぐ様に敬礼する。
『お疲れ様ですフィヘイン様!』
『あぁ・・・お疲れ様。それで何か異常はあったのかい?』
『はい。それなのですが・・・見てもらった方が早いですね。こちらですフィヘイン様』
そう言いながらフィヘインが案内されたのは望遠鏡がある部屋であり、望遠鏡を覗き込むよう言われそして覗き込む。
するとそこにはありえない光景が広がっていた。
『こ、これは!?』
『そうですフィヘイン様・・・竜王国と人間どもの国を遮っている筈の結界の一部が無いのですよ!』
かなり興奮した様子で説明し始める監視塔の最高責任者。
それもその筈だ。
竜王国と人間の国を隔てる強力で巨大な結界の一部が無い・・・無くなっているということはつまりその結界が破壊されたいうことに他ならない。
どんな事をしても、どんな手段を使っても、どんな竜法を使ったとしても破壊する事が出来なかったあの巨大な結界が破壊された。
フィヘインは咄嗟に数日前のラ・ゼログニル城での事を思い出す・・・『西側に山脈を隔てて存在する人間の国・・・四ヵ国存在しますがその中の一つ、人間達からはスペルオーネ帝国と呼ばれている国の結界の破壊に成功しました』っと確かに先代西の浮遊都市・ウエストゲェルを統べる竜人である。ルーシャ・ルビー・イエウエスト・アリードライは言っていた。
つまりその事が眼に見える形になり、それを発見したからだとフィヘインは思ったが・・・疑問が生まれ始める。
『何故この面々はこんなにも驚き、興奮しているのか』っと。
『・・・その結界はルーシャが言っていたのとは違うと?』
『流石フィヘイン様!我々も最初に発見した時はルーシャ様が言っていた事だと思ったのですが・・・どうやら場所が違うようで、それに先ほど見てもらった通りなのですが何故か疎らに穴が空いてるのはどうも気がかりでして・・・』
『確かにそうだな・・・もう一度見て見よう』
そう言いながらフィヘインが望遠鏡を覗き込んでいると、先ほどと同様に地鳴りが響き渡り・・・
『な、何だ!?今のはいったい!?』
『ど、どうなされたのですかフィヘイン様!?』
『結界が壊れ・・・お、お前達も見てみろ!』
望遠鏡を覗き込んでいたフィヘインが驚きのあまり声を荒らげ、周りで騒いでいる竜人達にも覗き込むように促す。
そして望遠鏡を覗き込んだ竜人もまたフィヘインと同様に驚きの声を荒らげる。
『し、失礼します!急ぎご報告が・・・こ、これはフィヘイン様』
『何事です?挨拶は不用です。報告をお願いします』
『ありがとうございます!そ、それでは・・・報告なのですが西側、人間の国からなにやら閃光のような物が現れました』
『その閃光のような物は・・・結界を破壊しましたか?』
フィヘインのその一言に驚きのあまり後退りしてしまう竜人。
周りで驚いていた竜人もまた更に驚いてしまったのか、数名の竜人は地面に座り込んでしまっている。
『し、知っておられたのですか!?』
『いや、今望遠鏡で確認した。ちょうど目撃したのでな』
『フ、フィヘイン様・・・そ、それはどういうことです?』
『私が望遠鏡を覗き込んでいた時に、その竜人が言うように結界の破壊を目撃したのだよ』
『はい。そうです。私を含めた数名の竜人も目撃しております』
『やはり閃光が通った・・・破壊されたのは確かなのだな?』
そう言いながらフィヘインは望遠鏡を覗き込んでいる竜人に問い掛け、覗き込んでいた竜人は頷く。
『確かに先ほどよりも結界が破壊されております。フィヘイン様達の言っていた閃光は今は確認出来ておりませんが・・・』
『なるほど・・・』
『ど、どうしますかフィヘイン様?部隊を編成して調査した方がよろしいでしょうか?』
『うーん・・・』
(あの閃光が結界を破壊した・・・確かに調査した方がいいのは言うまでもないですが、私一人で決めてよいのでしょうか?)
『なっ!?フィヘイン様・・・望遠鏡を見てください!』
突然大声を上げ、考え事をしていたフィヘインに望遠鏡を覗き込むように促す。
『こ、これは・・・結界が・・・崩壊していく?』
閃光が貫き、破壊した結界が徐々に崩壊し始めているのだ。
先ほどまでは破壊されてはいるが崩壊まではしていなかった結界。
女神セラフティアスが作り上げたとされ、歴代竜王が破壊しようとも破壊出来なかった・・・最強の竜王であるオール・ディストピア・バルフロン・マリッジでさえ破壊出来なかった結界が今、崩壊をしているという事は非常事態であることは言うまでもなく明らかだ。
先ほどよりも明確にだ・・・
『何がどうなっているんだ!?あの結界が崩壊した!?』
『それよりも問題なのはあの閃光ですよ。あれは・・・自然現象なのでしょうか?』
『自然現象で閃光が起きるのか!?』
『ありえない話ではないが・・・』
『も、もしかすれば・・・人間達の兵器か!?』
一体の竜人があの閃光の正体は人間の作り上げた兵器だと言うが・・・『そんな事はありえない』っと言おうとしたがそれよりも早く事件が起こってしまった。
『ほ、報告します・・・女神セラフティアスが作り上げたとされている竜王国と人間との国を隔てる巨大な結界が今、完全崩壊しました』
この場を静寂が支配する。
誰一人、どの竜人も言葉を発する事が出来ずに唖然となってしまったからだ。
やはり最初に動き出したのはフィヘインなのだが・・・動き出したのは結界が完全崩壊してから数分後の出来事でありそしてフィヘインもまた望遠鏡を覗き込む。
『完全に無くなっている・・・跡形も無く』
『夢・・・じゃないですよね?』
『この場の全員がか?』
『こ、これは一大事だぞ!?わ、我々が待ちに、待ち望んだことが遂に・・・遂に現実に!?』
『ま、待て待て待て待て!?待てくださいよ・・・た、確かに女神セラフティアスが作り上げた言われているあ巨大な結界の破壊は我々の悲願です。で、ですが・・・何故破壊したのかが不明です。し、自然現象なのか・・・それとも人工的な・・・』
『ガヤガヤ』っと結界が破壊されたことによって騒ぎ始める竜人。
全員が全員、落ち着いてはおらず冷静ではない・・・フィヘインを除いては。
『全員落ち着け!』
フィヘインの怒号とも言える声にこの場の全員が静かになる。
女性の竜人であったとしても戦場を生き抜いてきた竜人なのだ、その声に込められる覇気は警備や研究をしている竜人とは段違いだ。
全員が静かになったのを確認し終えたフィヘインは、まず自身も深呼吸をして気持ちを落ち着かせる。
『みんな落ち着くんだ・・・確かにあの結界の破壊は我々の悲願であり、そして今まで誰も・・・あの竜王オール・ディストピア・バルフロン・マリッジ様でさえ破壊出来なかった結界が破壊されたのは驚くべきことだ。驚くなと言う方が無理なのは理解している』
『フィヘイン様・・・』
『しかし冷静になるのだ・・・結界が破壊したのを目撃したのは我々数名だけなのかも知れないのだ』
『そ、それはどういう・・・』
『あの結界が破壊した原因・・・現象を知る者は我々であり、我々には報告すべき義務があると言うことだ』
『な、なるほど!つ、つまり結界が消滅している事は確認出来ても・・・』
『何故あの結界が消滅してしまったのかは我々しか知らない・・・調査も重要だが、まずは報告が最優先だ』
『了解しましたフィヘイン様!』
『よし!ではまずは報告する者とこの場に残る者・・・時間が立てば調査もされると思うのでその時は調査にも同行してほしい』
『任せてくださいよフィヘイン様!』
『わ、私たちの責任は重大なのですね・・・』
『お、俺は今歴史的な瞬間に立ち会っているのか?』
未だに興奮している様子なのだが、やるべき事を理解した竜人達は各々に動き始める。
歴史的瞬間を目撃した者として・・・




