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予想外の出来事

 バルエラ竜王国中央浮遊都市にて・・・


 バルエラ竜王国での反乱が既に収束し、後始末に追われている竜人ドラグニル

 そして大半の翼なき者(ボロクロ)竜人ドラグニルによって処刑されてしまい、残り数体の翼なき者(ボロクロ)広場に集められていた。

 無論その中には亜人の長もいる。


『さて・・・馬鹿者達の反乱も治ったことなのじゃが・・・』

『問題は山住みなんだよなぁ』

『そうなんでよねー』


 三体の竜人ドラグニル・・・

 東の浮遊都市・イースベラァを統べる竜人ドラグニル。ウルキード・ボイル・イーストロン・ファルエンタ。

 南の浮遊都市・グラスサウスを統べる竜人ドラグニル。ジェイロス・ビート・サウスウェル・リューリック。

  北の浮遊都市・ロウェイノースを統べる竜人ドラグニル。ハッカ・ラフス・ノースルー・ライブエラの三体の指揮の元に見事に鎮圧され・・・誰がこの作戦の指揮、作戦を考えたのかを翼なき者(ボロクロ)から聞き出すために尋問を始めようとしていた。


『これで全員か・・・まだ残っているのか?』

『死体だけです』

『全員この広場に集めましたよ』

『死体も集めますか?』

『そしたらこの広場がえらい事になりますよ』

『死体の山と血の川・・・』

『本来であれば翼なき者(ボロクロ)の毛一つでもこの広場にあってはならないんだけどなぁ』

『この汚らわしい害虫・・・早く処分してくだいな』

『落ち着きましょうよマダム。我々の国に愚かにも侵入してきた害虫はハッカ様達の手によって大方処刑されたのですから・・・あの僅かに残っている害虫も尋問が終わり次第破棄されるでしょうに』

『それよりも・・・竜王様は何処に行かれたのでしょうか?』

『確かに・・・だがそれよりもルーシャ様は一体どうなされたんだ?』

『まさか本当にオール様に逆らったんじゃ・・・』

『オール様に逆らって勝てるのかよ』

『無理・・・だと思うけどルーシャ様がそんな事をしますかね』

『どうでしょうか・・・』


 広場に集まった竜人ドラグニルが口々にこの起きてしまった反乱、そしてルーシャが起こしたオールへの不可解な行動に疑問を持っている竜人ドラグニル達。

 怪我をしていた竜人(ドラグニル)や、一度死んでしまった竜人(ドラグニル)達は念のために治療所へと運ばれてしまい、この場にいないため多少、マリアティアスが出てきた時よりはまばらになっているがそれでも戦えるだけの竜人(ドラグニル)は残っている。


『さて・・・全員集まったことですし、誰がこの反乱を指揮しているのですか?』


 土の属性竜法によって身体を拘束され、指一つ動くことが出来ない状態の翼なき者(ボロクロ)に対してハッカが質問している。

  無論ハッカだけではなくジェイロス、ウルキードもこの場にいるので逃げようとしても逃げる事など不可能であるのだが・・・誰一人としてハッカの質問に対して答えようとしていない。

  仲間を売らないからなのか・・・それとも別の理由があるからなのか?


『・・・質問に答える気がないのですか』


 更にハッカが翼なき者(ボロクロ)質問をするが・・・誰一人として口を開こうとする者がいない。

 この場にいる翼なき者(ボロクロ)・・・合計で百体以上、全十二種族の全員が喋ろうとしないのだ。


『よくこの期に及んで無言でいられるなぁ!』


 何も話そうとしない翼なき者(ボロクロ)対して苛立ちを覚えたジェイロスが、その背中に背負っている大剣を引き抜き、一体の翼なき者(ボロクロ)・・・種族名・狼人(ウルフェンズ)に向かって構え、そして斬りつける。

 しかしジェイロスは狼人(ウルフェンズ)を斬ったわけでなく・・・近くの瓦礫を斬っただけであり狼人(ウルフェンズ)を斬ったわけではない。


『・・・どうやら見せしめが必要なようじゃのう』


 ウルキードがそう言い終えると拘束していた狼人(ウルフェンズ)の内の一体、先ほどの狼人(ウルフェンズ)とは違う狼人(ウルフェンズ)を土属性竜法で・・・圧殺する。

 土の属性竜法で圧殺された狼人(ウルフェンズ)の血によってウルキードの操っている土が赤茶色に変化するが・・・隣の狼人(ウルフェンズ)は一向に口を開く気配がない。


『ふむ・・・』


 その行動に対して思うところがあるウルキードは、その赤茶色に変色した土を・・・隣の狼人(ウルフェンズ)に向かって被せる。

 しかし何も起きない・・・


『なるほど・・・余程話したくないようじゃが、これならどうじゃ?』


 そう言い終えると・・・ウルキードが徐々に土の属性竜法に竜力を流し始める。


『うわぁ・・・ウルキードのじいさんが怒っているよ』

『そうですね・・・ウルキードさんを怒らせるとどうなるのか、身に染みてわかるでしょうね』


 ウルキードが徐々に竜力を流し始めてから数秒後・・・土の属性竜法のドームの中から悲鳴が聞こえてくる。

 その悲鳴は魂を肉体から引き剥がされたような想像を絶する悲鳴であり、そしてそのドームの中からミシミシと骨が軋み始める音も同時に聞こえ・・・ドームが開き他の翼なき者(ボロクロ)の目の前で首をネジ切られる。

 その光景を目の当たりにした狼人(ウルフェンズ)翼なき者(ボロクロ)の表情が一気に青ざめ・・・中には嘔吐している者もいる。


『さて・・・次にこうなりたいのは誰かのぉ?』


 次にウルキードに睨まれた翼なき者(ボロクロ)がガタガタと震えている。

 しかしそれでも尚翼なき者(ボロクロ)は誰が主犯なのか喋ろうとしない・・・


『しかないのぉ・・・半分。この場にいる翼なき者(ボロクロ)を半分殺そうかのぉ』


 ウルキードがそう言い終えると視界に捉えていた数体の翼なき者(ボロクロ)を圧殺し始める。

 悲痛な叫びが広場に響き渡り始めてから数秒後・・・一体の竜人(ドラグニル)が慌てて広場へと入ってくる。

 その竜人(ドラグニル)は白衣を着た女性の竜人(ドラグニル)であり、丸眼鏡をかけその手には医療ケースのような物を抱えている。


『す、すみません。遅れましたー』


 そう言いながらウルキードに近づき、医療ケースの中に入っていた一本の注射器を取り出す。


『おぉ、ラクティネア。持って来てくれたのかい?』

『はい!持って来ました。遅れてすみませんウルキードさん』

『大丈夫じゃよ・・・まだ翼なき者(ボロクロ)は残っておるし、その長も数体残っておる。何も問題ないぞ』

『そーなんですか?それじゃどの翼なき者(ボロクロ)に注射しますか?』


 そう言いながら注射器を持った竜人(ドラグニル)・・・ラクティネア・ミュール・ミルキルギナはバルエラ竜王国、中央特務医療科の専門医でありその部署の所長にあたる人物だ。

 彼女を一言で言い表すのなら・・・無情真実。

  バルエラ竜王国の王である。竜王オール・ディストピア・バルフロン・マリッジから特別な任務を当たられた竜人(ドラグニル)だ。

 彼女の役目はオール、そしてバルエラ竜王国への反乱の兆しがある人物を尋問する権利が与えられており、これまでに数体の竜人(ドラグニル)翼なき者(ボロクロ)が彼女、彼女の部隊によって尋問されている。

  そして彼女が取り出した注射器には特殊な魔導石を用いて、特殊な技法を使って抽出した液体が入っている。

 液体の名前は真実液・・・

 この液体を注射された人物は意識が低迷してしまい、その注射を打った人物を親しい人と誤認してしまうという作用がある。

 それにより真実を語ってしまうものだが・・・更にラクティネアの特殊な竜力により薬の能力が向上するということがある。

 そして今この注射器を一人の翼なき者(ボロクロ)・・・狐人(ベルフォック)に向かって注射しようとする。


『うんん!?』


 口を布によって拘束され、言葉を発することが出来ない狐人(ベルフォック)が必死に抵抗するが・・・土の属性竜法によって拘束されてしまっている為に何を言っているのか意味不明だ。


『うーん・・・何を言っているのか分からないですねぇ。それにそんなに必死になってるなら主犯が誰なのか答えたら良かったのに』


 必死に悶える翼なき者(ボロクロ)を他所にラクティネアは無情にも注射をする。

 すると注射された翼なき者(ボロクロ)の意識が遠退いたのか力無くダランとしている。


『さて・・・ねぇ、この事件の主犯って誰だっけ?』


 意識が虚ろな中・・・真実液を注射された翼なき者(ボロクロ)が誰が主犯か喋ろうとしたその時・・・急に苦しみ始める。

 何事かと思い翼なき者(ボロクロ)の様子を見た時には時既に遅く・・・事切れてしまっていた。


『何をしたのじゃラクティネア?』

『なにって・・・私はただ真実液を注射しただけですよ』


 事切れてしまった翼なき者(ボロクロ)に対して無情にも攻撃開始するラクティネア。

 しかし先ほどラクティネアが確認した通りであり、翼なき者(ボロクロ)は事切れてしまっている。

 ラクティネアが注射した真実液には意識が低迷してしまうが、注射した相手を殺すという作用はない。

 つまりこの翼なき者(ボロクロ)が誰が主犯か喋ろうとした瞬間・・・殺されたと過程していい。

 一体誰がこの翼なき者(ボロクロ)を殺したのかラクティネアとウルキードが考えていると・・・ジェイロスとハッカが飛んで戻って来る。


『ジェイロスにハッカさん。何かあったのですか?』

『俺が監視していた翼なき者(ボロクロ)、種族は確か・・・』

狐人(ベルフォック)です』

『そう、まぁ、彼奴等の種族名は別にどうでもいいんだけど』

『その狐人(ベルフォック)がどうしたのですか?』

『それがよぉ・・・突然苦しみ出したと思ったら死んじまったんだよね』

『あれー?ジェイロスさんの監視していた狐人(ベルフォック)もですか?』

『ちなみに私の監視していた狐人(ベルフォック)も死んでしまいましたよ・・・まぁ生き残っている者もいますが』

『儂の監視していた・・・というよりもラクティネアに真実液を注射された狐人(ベルフォック)も死んだぞ』

『あぁ!?ウルキードのじいさん・・・というよりもラクティネアが真実液を注射したした狐人(ベルフォック)も死んじまったのか?』

『・・・あの、真実液で何を喋らせようとしたのですか?』

『この事件の主犯が誰なのか喋らせようとしたのですけどねぇ・・・まさかそれが原因ですかー?』


 そう言いながらラクティネアは死んでしまった狐人(ベルフォック)を邪魔な荷物を退かすように、脚で蹴飛ばす。

 そしてその光景を固唾を飲んで・・・青ざめた表情で見ている他の翼なき者(ボロクロ)


『すみませーん?』

『ひっ!?』


 ウルキードの土の属性竜法によって拘束されている翼なき者(ボロクロ)の一体・・・種族名は牛人(バイタウロス)に向かってラクティネアが質問しようしている。


『どうしてあの狐人(ベルフォック)・・・その他にもジェイロスさんが拘束していた狐人(ベルフォック)と、ハッカさんが拘束していた狐人(ベルフォック)が何で死んでしまったのか知ってますか?』

『えっ・・・あぁ・・・』


 ラクティネアに質問された牛人(バイタウロス)がどうしたらいいのか困惑しているように、周りをキョロキョロと見渡している。


『どうやら知っているようですね?』

『ひっ!?し、知らない!私は何も知らないです』

『本当にー?』

『し、知らない・・・です』

『うーん・・・まぁいいです』


 諦めたのかラクティネアが牛人(バイタウロス)から離れようとしたその時・・・ラクティネアが再び牛人(バイタウロス)に向かって真実液を注射する。

 注射された牛人(バイタウロス)は先ほどの狐人(ベルフォック)と同じように、力無くダランとしてしまう。


『さて・・・この場の全ての竜人(ドラグニル)の皆さん協力してくださぁーい』


 ラクティネアが周囲にいる竜人(ドラグニル)、ジェイロス、ウルキード、ハッカにも協力するように促す。

 その協力内容とは・・・牛人(バイタウロス)の事を監視するということであり、どんな些細なことでも報告して欲しいというものだ。


『質問しまーす。何でさっきの狐人(ベルフォック)は死んだの?』

『そ、それは・・・』

『それは?』

『ひっ・・・がぁ!!』


 ラクティネアが質問を開始すると・・・先ほどラクティネアが狐人(ベルフォック)に質問した時と同じように、牛人(バイタウロス)も苦しみ出し・・・死んでしまった。


『うーん・・・やっぱり死んじゃったかぁ?』

『おい、ラクティネアどういうことだ俺が監視していた牛人(バイタウロス)が死んだぞ!』

『私の方も死にましたね』

『儂の方もじゃ・・・ラクティネアこれで何か分かったのか?』

『全然ですー・・・ただ、どうやらこの場、私達の浮遊大陸に攻め込んで来た翼なき者(ボロクロ)には特殊な術が仕組まれているようですね』

『特殊な術・・・それって・・・』

『そうですハッカさんが思っている通り、この反乱の主犯、そしてその主犯に関わる事を質問すると死んじゃうという術がかけられているようですね』

『だが、ラクティネアが質問した奴の他にも死んだぞ?それはどうなっているんだ?』

『それは・・・どうなんでしょうか?』


 分からないというジェスチャーをするラクティネア。

 そしてどうしたいいのか途方にくれている竜人(ドラグニル)を他所に、一人ハッカは思うところがあるのか少し考え事をしている様子だ。


『まぁ・・・これだけいるのですから少しでも情報を引き出せれば大丈夫でしょう』

 

 そう言い終えるよりも先に、ラクティネアがいつの間にか手に持っていたナイフで翼なき者(ボロクロ)を斬りつける。


『薬も貴重なのですから・・・次は拷問と行きましょうか?』


 日が暮れ始める中・・・数体の翼なき者(ボロクロ)が引き摺られながら建物へと連行されてしまう。

 そして・・・ラクティネアが満面の笑みで翼なき者(ボロクロ)に拷問を開始し始めるのであった。



 バルエラ竜王国の下・・・旧バルエラ竜王国首都にて


 ルーシャとオールの激闘によって旧バルエラ竜王国首都は最早瓦礫が散乱し、昔の竜王が住んでいた城も人が住めるような状況では無くなってしまっていた。


『流石ルーシャですね・・・ここまで私と渡り合えた竜人(ドラグニル)は貴女が始めてですよ』


 傷だらけになってしまったルーシャに向かって見えない刀によって斬りつけるオール。

 不可視化な刀をガードすることが困難なのか、ルーシャが避けようと距離を取るが・・・避けようとした方向、後方から斬りつけられ傷を負ってしまう。

  目の前にオールがいるのにも関わらずにだ。

 今度は反撃するようにルーシャがオールを斬りつけるが・・・斬りつけたオールが霞のように霧散する。


『くそ!?また・・・何処だぁ!』


 自身の身体が傷だらけなのにも関わらずに、ルーシャは周囲の空間を斬撃で埋め尽くすように広範囲を攻撃するが・・・オールの見えない刀によって防がれ、腹部に蹴りを喰らってしまう。


『駄目ですよルーシャ。確かに広範囲を斬撃によって埋め尽くすのは良い手ですが・・・それは同時にガードを捨てているようなものですよ』


 何処から途もなくオールの声が聞こえ・・・先ほどオールがいた位置とは違う位置にオールが姿を表す。

 見えざる(エア・)結刀(シャングリラ・キー)と融合したオールの能力・・・それは見えない刀を扱う事が出来るだけではなく、自身の身体を蜃気楼のように幻影を作る事が可能になるというものであり、その数はオールの竜力によって増やす事が可能だ。

 現にルーシャはその能力によって何度もオールの姿を斬りつけているが・・・攻撃を当てたのは数回程度でしかない。

 見えない刀による攻撃と、幻影での撹乱・・・しかもオールの作り出す幻影はオールの竜力を少し加えて作っているので、質量、気配、そして呼吸音までも存在している。

 つまり今のオールを見つける為には研ぎ澄まされた五感を使用して探し出さなければならないとのだが・・・相手があの竜王オール・ディストピア・バルフロン・マリッジなので、そうも言っていられないのだ。


(見えない刀に、あの幻影・・・厄介だなぁ)


 見えない刀と幻影に振り回されながらも、ルーシャはこの状況を打開する為に考えているが・・・


『さて、そろそろ日も暮れてきましたし・・・決着をつけましょうか?』

『決着・・・まだ本気じゃなかったと?』


 その言葉を肯定するように、見えない斬撃が全方面から多数飛んで来る。

 その攻撃に対してルーシャも応戦とばかりに周囲に斬撃で攻撃するが・・・残念ながら見えない攻撃を防ぐことが至難なのか多数の斬撃を浴びてしまう。


『ぐっ・・・』


 多数の斬撃を浴びたルーシャだが、まだ落ちることはなく羽ばたいていたが・・・痛みで意識が朦朧としているのか、後ろに近づいたオールに気がつかす頭部を捕まれ・・・地面に向かって急降下し地面に叩きつけられる。

  そして追加とばかりに地面に叩きつけられたルーシャに向かって更に重い蹴りを喰らわす。

 その重い攻撃に耐える事が出来なかったのかルーシャの手足が力無くダランとしてしまっている。

 

『さて・・・それじゃクリティアス。ルーシャを拘束してくださいね』


 ルーシャから離れたオールは、融合していたエアと離れいつも通りのオールに戻る。

 オールは平然としているのだが・・・エアは披露しているようでオロに肩を貸してもらっている状態だ。

 クリティアスと呼ばれた侍女竜・・・美しき(クリティアス・)結晶刀(プリズミア)が頷き、オールを拘束した時と同じように近づこうとするが・・・クリティアスよりも先に動き出す者がいた。


『何をしている貴様・・・』


 クリティアスが動くよりも先に動いた者の名前はマリアティアス・V・ヘリエテレス。

 竜化し、今の今まで自分の意思で動こうとはしていなかった。いや・・・動くことが出来なかったが何故今、ルーシャが拘束されそうな時に動き出したのか?

 そんな事を考えるよりも先に、動き出したマリアティアスを再び拘束する為にクリティアスが飛んで行く。


『待てクリティアス。そいつは既に・・・』


 オロが気がつき、クリティアスを止めようとしたが・・・時既に遅かったようだ。

 マリアティアスによって復活したルーシャがクリティアスに向かって風の属性竜法を放つ。

 攻撃としては決して強くは無いが、広範囲に向かって吹き荒れる暴風。

 その暴風をかき消すようにオールが竜力を使って打ち消す。

 するとそこには先ほどオールによって倒されたはずのルーシャがそこにはいた。


『復活出来たのは良かったけど・・・お前は本当にあのマリアティアスなのか?』


 ルーシャの疑問に対してマリアティアスが答える『当然』だと。


『まさか復活するとは思ってもみませんでしたよ』

『流石の私も時間がかかってしまいました・・・この力を自分の身体に馴染ませるのに』

『へぇ・・・』


 マリアティアスが自身に埋め込まれた竜化石を我が物としたことが喜ばしいのか・・・オールが満面の笑みでマリアティアスを見つめている。


『しかし・・・不思議ですね何故貴女はルーシャの味方をするのですか?私の所有物な筈なのに・・・』

『私は誰かの所有物になったつもりは無いですよ』

『・・・まさか貴女はこの状況が理解出来ないほど愚か者ではないですよね?』


 そう言いながらオールが周りで控えている侍女竜を両手を広げてアピールする。

 戦力的にも、こちらの方が有利だと言わんばかりであり、実際にマリアティアス達は・・・自分の意思で動けるようにはなったが竜化したばかりのマリアティアスと、復活したが全開には程遠いルーシャの二体に対して、オールの方の陣営は竜王オール・ディストピア・バルフロン・マリッジを含めて侍女竜が六体。

  侍女竜六体の内三体はオールと融合したことによって体力を消耗しているが。

 圧倒に不利な状況なのだが・・・マリアティアスは笑う。


『ぶっつけ本番ですがこの場を乗り切るのには必要ですね・・・』

『出来るのか?』

『何を言って・・・』


 マリアティアスとルーシャが何やら話をしているようなのだが、声が小さいのかオール達にはよく聞こえていないようだが・・・オール達はマリアティアスの行動に目を疑ってしまう。


『まさか貴女達・・・』


 オール達が驚愕しているのを他所にマリアティアスとルーシャは手と手を恋人同士のように繋ぐ・・・


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