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竜導六刀

 見た目、そして身に纏う竜力も何時ものオールとは違っているオール。

 ルーシャはマリアティアスを後方へと下げ、自身も白金の刺妖・黒銀の斬妖を構える。


『竜王オール・ディストピア・バルフロン・マリッジ・・・何ですかその姿は?』


 ルーシャに問いかけに対して再び不適な笑み・・・裂けたような笑みと共にとても幸福に満ちた表情に変わっていくオール。


『ルーシャ・・・というよりも私と私の侍女竜以外には見せたことのない切り札ですよ』

『切り札・・・』


 ルーシャが少し後方へと後退りし、そしてその額から汗が流れている。


『それにしても嬉しかったですよルーシャ!』


 オールが興奮した様子でルーシャを見つめる。

 その頬は高揚し、明らかに興奮している様子だ。


『まさかルーシャも私と同じ次元に立てたなんて驚きですよ!』


 そう言いながらルーシャに対して斬りつけるオール。

 斬り裂いた軌道が円を描き、その軌道に稲妻が描かれる。

 ルーシャもとっさにかわすことに成功したが・・・オールが斬りつけた延長上に存在する瓦礫が一刀両断される。


『切れ味は僕の黒銀の斬妖とおな・・・』


 かわしたと思ったルーシャだが、オールの斬撃はルーシャの予想よりも範囲が広かったようだ。

 そして何よりも・・・


『で、電気・・・』


 今のオールはその軌道、そして斬撃が帯電状態になっており、攻撃と同時に雷撃の追加効果を促す特殊能力が付いている。

  電撃を纏ったオールの攻撃はルーシャの想像以上に広範であり、範囲としては刀の左右に更に二重に刀がついているような感じだ。

 直ぐ様にオールが追撃の攻撃をしてくるが、今度はルーシャが地面に向かって風の属性竜法を発動させて一気に距離をとる。


『良い判断ですよルーシャ!』


 そう言いながら羽ばたき、一気に距離を詰めるオールに対してルーシャは風の属性竜法を使って、周囲に散乱している瓦礫で即席の盾を造り上げる。

 しかし・・・オールの持っている二振りの半月刀は瓦礫の盾をまるでバターでも斬るように斬り、もう一度瓦礫で盾を作れないように細切れにする。


『風斬の竜槍・・・』


 瓦礫の盾でオールの攻撃を遮り、少しでも時間を稼いだことによってルーシャは風の・・・逆巻く暴風を一転に凝縮したような大きな槍を生み出す。

 持って戦うにはあまりにも大きな『風斬の竜槍』だが・・・ルーシャは風の属性魔法で浮かせているので問題ないようだ。


『大きっ・・・』

『でぇぇぇぇりゃぁぁぁぁ!』


 その、あまりにも大きな槍・・・『風斬の竜槍』をルーシャはオールに対して投げつける。

『風斬の竜槍』はその大きさに似合わない速度で、急速に、爆発的に加速し、オールに直撃する。

 直撃したオールを中心に圧倒的な暴風が吹き荒れ、周囲の瓦礫が埃のように軽々と飛んでゆく。

 瓦礫と瓦礫が激突し、粉々に粉砕される中でもオールは冷静に竜力を練り上げる・・・この逆巻く暴風の中で。


『千衝刃雷!』


 突如として逆巻く暴風から天に轟くような轟音が響き渡り、幾重にも重なり合った稲妻が辺りを駆け巡る。

 稲妻は地を這い、天を駆け、周囲に存在する建物を根こそぎ破壊し尽くす。

 旧バルエラ竜王国の遺産も、遺跡も全てがオールの放ったたった一度の竜法によって破壊されてしまい・・・一瞬にしてルーシャの『風斬の竜槍』とオールの『千衝刃雷』によって建物が見るも無惨な姿へと変貌してしまう。


『さて、ルーシャは何処に・・・』


 視界の晴れたオールがルーシャを探す為に辺りを見渡すと・・・そこにはあの惨状の中でも平然としているルーシャがそこにはいた。

 ちなみにマリアティアスは自身で防御竜法を放っており、オールの攻撃を防いでいた。


『へぇ・・・あの槍を放って直ぐに逃げたと思っていたのですが・・・』


 オールがルーシャの様子を伺っていると・・・ルーシャがオールに向かって竜法を放つ。

 しかし、ルーシャの放った竜法は先ほどの竜法『風斬の竜槍』に比べてかなり小さい竜法だ。

 速度もあまりなく、竜人(ドラグニル)であればかわすには容易な速度の竜法・・・その竜法に対してオールは自身も雷の属性竜法を放ち迎撃する・・・はずであった。

 ルーシャの風の属性竜法とオールの雷の属性竜法が直撃した瞬間、一瞬にして周りの景色が一転する。


(こ、これは!?)


 そしてオールが気がついた時には既に遅く・・・ルーシャの術中に嵌まってしまっていた。


『これが僕のステージ・・・偽りの世界(コード・ワールド)・真空亡国(ディザ・ヴァキュラム)!』


 ルーシャの放った竜法、偽りの世界(コード・ワールド)・真空亡国(ディザ・ヴァキュラム)・・・それは周囲の世界を変える竜法であり、ある特定の魔導師、竜人には全くもって無意味な竜法だがそれ以外の魔導師、竜人には絶大なる効果の竜法だ。

 その竜法は周囲の、一定範囲を真空状態にする竜法であり、風の属性魔法、属性竜法が使えない者にとっては息をするのも苦痛を伴う竜法だ。

  風の属性魔法、属性竜法を使えるのであれば風を自身に纏わせることによって脱出する事が出来るが・・・それ以外の魔導師、竜人、そして一般人であれば一呼吸しようものならば一瞬にして酸欠状態に陥ってしまい、そしてやがて死にいたる絶対領域の竜法。

  そしてその絶対領域の中でルーシャは風の属性竜法を身体に纏いオールに向かって攻撃を仕掛ける。

 普通の、通常状態のオールであれば難なく回避する事が出来る攻撃だが、この絶対領域の中で身体が思うように動かずに直撃してしまう。

 吹き飛ばされたオールに対してルーシャが更に追撃を数発・・・重い攻撃を喰らわせてオールを地面に叩きつける。


(これは流石に・・・不味いですね)


 ルーシャのかなり重い一撃を喰らったのにも関わらずにオールの鎧には皹どころか、傷一つ付いている様子はない。

 あの鎧はかなりの硬度を保っているようだ。


『か、硬いなぁ・・・流石に一筋縄じゃいかないかな』


 ルーシャも自身の攻撃で傷一つ付いていないオールに対して焦り出したのか、竜力を一点に集め始める。


(流石に傷つきはしませんが、このままではジリ貧になってしまいますね)


 自身の竜力を大量放出し、竜力の薄い壁を作り上げることによってルーシャの攻撃、この絶対領域の中でも気を失わずにいるがそれもいつまで続くのか・・・

 ルーシャのこの絶対領域の竜法偽りの世界(コード・ワールド)・真空亡国(ディザ・ヴァキュラム)が解けるのが先か、それともオールの竜力が尽きてしまうのが先か・・・

 流石に不味いと思い始めたオールが動き難いこの絶対領域の中で脱出しようとしていると、竜力を一点に集めていたルーシャの右手が変化し始める。

 まるで悪魔の腕のように変化してしまったルーシャの右手。

 鋭い鍵爪、そして幾重にもなった鱗・・・これらはルーシャの身体に纏っている鎧よりも更に高濃度、圧縮された竜力の塊でありその右手で・・・オールを斬り裂く。

 咄嗟に両手でガードした事によって致命傷にはならなかったが、ルーシャが力を込めることによって徐々に皮膚を裂き、肉を抉ってゆく。


(これならいける!)


 ルーシャによって徐々にではあるが傷つけられてしまっているオールだが・・・不意にルーシャの作った絶対領域に侵入者が現れる。

  突如として現れた侵入者はオールとルーシャの間に割って入り、ルーシャの突然の来訪者に驚いたのかオールから一旦距離を取る。

 

『エア、貴様・・・』


 突如としてルーシャの作った絶対領域・・・偽りの世界(コード・ワールド)・真空亡国(ディザ・ヴァキュラム)に侵入して来た者の名はエア。

 オールに仕える侍女竜の一体だ。

 緑髪のショートヘアーの少女で、金色の瞳をしておりその瞳は真っ直ぐにルーシャを見つめている。

 頭部にはティアラを着けており、そのティアラには白く濁った宝石のような物が埋め込まれていて、その他にも多数の宝石が埋め込まれている。

  エアの翼は合計四枚の緑色の翼・・・昆虫のような薄い、透けている翼が腰から生えている。

  細くしなやかな、鞭のような尻尾は長く、エアの身長の二倍以上の長さがある。

  その長く細くなっている尻尾の先端には銛のような形状をしており、かなり鋭利になっていてる。

  角は額に一本。ひび割れたようになっている角がある。

 そしてこの竜人(ドラグニル)・・・エアは何処と無くルーシャを彷彿させるような感じの竜人(ドラグニル)だ。

 

『お久しぶりですね』

『あぁ・・・久しぶり、そしてさよならだ!』


 挨拶もそこそこにルーシャは割って入って来たエアに向かって白金の刺妖で攻撃を仕掛ける。

 引き絞られた矢のように一転集中、貫通力を重視した攻撃をエアとオールは間一髪でかわすことに成功する。

 しかし、先ほどのルーシャの白金の刺妖は囮だったようで、鎧のようなルーシャの尻尾がエアに直撃する・・・はずであった。

 ルーシャの鎧のような尻尾はエアの手前で、何か・・・見えない物によって弾かれる。

 弾かれた尻尾はルーシャが『竜法秘伝・竜血覚醒』によって更に分厚くなっており、傷等は一切付いていない。

 しかしながらルーシャの攻撃を弾いたエアは少し顔を歪ませている。


『流石オール様と同じ力・・・エアだけの力じゃ無理かな?』

『だろうね・・・しかしどうするの?エアも風の属性竜法を使えるようだけどその程度じゃこの僕には届かないよ』


 ルーシャが自身の展開した絶対領域『偽りの世界(コード・ワールド)・真空亡国(ディザ・ヴァキュラム)』の中でも支障なく、自由に活動出来ているエアが風の属性竜法使いであることを見抜いたルーシャ。

  そしてルーシャはエアがこの絶対領域の中で自由に活動出来ることよりも、エアがルーシャの尻尾での攻撃を防いでことに警戒しているからなのか距離を保ち、間合いを維持している。

  あちらもルーシャの攻撃を警戒しているようで、エア、オール共に距離を保ち、オールが後方エアが前衛・・・盾となるようになっている。

 この絶対領域の中では風の属性魔法、竜法使いでなければ数秒程度で意識を失ってしまう領域であり、更にこの領域で自由に動ける風の属性魔法、竜法使いも常に魔力、竜力を消費しなければならない。

 もし魔力、竜力がこの絶対領域の中で無くなってしまったのであれば、風の属性魔法、竜法を使うことが出来ない者と同様に意識を失ってしまう。

  それは術者であるルーシャも例外ではなく、今この場にいるルーシャ、オール、エア、そして戦いには参加していないがマリアティアスも実際に竜力を消費している。

 そしてこの絶対領域の中では動き回れば動き回る程に竜力を消費せざる終えなくなってしまう。

  無論ルーシャの竜力が無くなれば、この絶対領域は維持できずに消滅してしまうのでこの絶対領域『偽りの世界(コード・ワールド)・真空亡国(ディザ・ヴァキュラム)』を消す唯一の手段だ。


(不味いなぁ・・・オール様を助けに来たのはいいけど流石にこの空間はきついなぁ)


 オールの盾としてルーシャとにらみ合いをしているエアだが、予想以上のこの絶対領域が辛いようだ。


(しかし、時間を稼がないと・・・ルーシャの竜力も無限じゃないから時間さえ稼げれば)


 時間稼ぎをしようと警戒状態のエアだが・・・どうやらルーシャは様子見を止めたようだ。


『どうやって僕の攻撃を防いだのかは知らないけど・・・時間がないからね』


 更に自身の竜力を上げ、黒銀の斬妖を構え・・・一気にエアとの距離を縮め、攻撃する。

 しかし、またルーシャの攻撃はエアに直撃する前に何か見えない物によって防がれる。

 だが、今度は距離を取らずにルーシャは更に追撃する。

 斬撃、刺殺を何度か繰り返すにつれて次第にエアの顔色が悪くなる・・・その理由は。


『なるほどね・・・これならどうかな!』


 ルーシャが不意に黒銀の斬妖での斬撃と同時に、白金の刺妖での攻撃を喰らわす。

 すると先ほどまで見えない物で防いでいたエアが防ぎきれずに、左肩の鎧に直撃してしまう。


『その見えない物・・・まさか刀なのですね』


 図星と言わんばかりにエアが見えない刀で斬りかかるが・・・案の定ルーシャの黒銀の斬妖で防がれてしまう。

 そして、エアの見えない刀をルーシャの黒銀の斬妖で防いでいる最中に、ルーシャは白金の刺妖で無防備となっているエアに攻撃する。

 しかし・・・ルーシャの白金の刺妖がエアに当たる直前にオールによって防がれる。

 オールは純黒のガントレットでルーシャの白金の刺妖で防いではいるが・・・竜王あり、血を覚醒させたはずのオールの純黒のガントレットであるのにも関わらずにそのガントレットを貫通してしまっている。


『オール・・・!?』


 ルーシャは驚く。オールが自身の攻撃を防いだからではなく、オールの後方・・・あと数mでルーシャの作った絶対領域『偽りの世界(コード・ワールド)・真空亡国(ディザ・ヴァキュラム)』を脱出しようとしている二体の竜人(ドラグニル)がそこにはいたからだ。

 その二体の竜人(ドラグニル)の名はウェルニルとウォルニル。

  いつの間にこの絶対領域に入ってきたのか、そしてなぜ今脱出しようとしているのかはわからないが・・・ルーシャが驚いていると、ルーシャを引き離すようにしてオールとエアの蹴りが直撃してしまう。

  ウェルニルとウォルニルに気をとられてしまったばかりにガードすることも、受け流すこともできずに直撃してしまったルーシャが後方へと吹き飛び・・・体勢を立て直す。


(あいつらは何処から・・・それにオールはなぜ刀で防がない)


 ルーシャが疑問に思っていると・・・オールとエアが合流してしまう。

 何をしているのかと疑問に思っていると、オールとエアが恋人と手を繋ぐように重なり合わせ・・・一つとなる。


『な!?そんな・・・嘘でしょ』


 オールとエアが手を重なり合わせて、そして一つの竜人(ドラグニル)となってしまったオールとエアがルーシャに向かった突進を攻撃仕掛けて来る。

  その攻撃を白金の刺妖で迎撃しようとした時・・・ルーシャの身体に痛みが走り、そして同時に後方・・・絶対領域『偽りの世界(コード・ワールド)・真空亡国(ディザ・ヴァキュラム)』から強制的に出されてしまう。


『しまった!このままじゃ・・・』


 ルーシャが再び絶対領域内へと全速力で戻ろうとするが、周りで待ち伏せをしていたのか侍女竜の一体、マリアティアスを拘束した竜人(ドラグニル)がルーシャに向かって邪魔するように前に出る。

 ルーシャも風の属性竜法で吹き飛ばそうとするが、先にクリスタルのような物をルーシャに向かって飛ばし、ルーシャの妨害をする。

 不意討ちを喰らい、更に体勢を立て直していない状態での攻撃により、思わず回避し絶対領域から離れてしまうルーシャ。

 急ぎ全速力で戻ろうとした時には時既に遅く、脱出したウェルニル、ウォルニルを含めて合計五体の竜人(ドラグニル)が集結してしまっていた。


(流石に・・・この五対一は辛いなぁ)


 五体の侍女竜達は互いに互いをカバーしあい、隙がないだけではなく、完全に守りの姿勢になっており攻めてくる気配がない。

 ルーシャがどのようにして守りを突破し、また絶対領域に戻ろうか考えていると・・・急に地を、天を裂くような莫大な量の竜力と共にルーシャの絶対領域『偽りの世界(コード・ワールド)・真空亡国(ディザ・ヴァキュラム)』の中から竜王オール・ディストピア・バルフロン・マリッジが現れる。


『オール・・・』


 オールがルーシャの絶対領域脱出したことによってルーシャは絶対領域の結界を解除する。

 気がつくと既に日が暮れ始め、辺りが黄昏時を向かえつつあるなか、竜王オール・ディストピア・バルフロン・マリッジと共に五体の侍女竜がオールの元に集結する。

 ウェルニルとウォルニルは疲れているからなのか互いに互いの肩に腕を重ねているが・・・


『さて・・・あの忌まわしい空間も無くなったことですし、改めて自己紹介をしまうか?』

『自己紹介?何を改まって・・・』


 オールが何を言いたいのか分かっていないルーシャは警戒するように、オールと侍女竜から一定の距離を維持している。


『私・・・いや・・・私達の本当の力についてだよ』


 急にオールから、オールのものとは違う声が同時に聞こえてくる。

 そしてルーシャはこの声に聞き覚えがある・・・


『その声・・・そしてその姿にあいつが居ないのはやっぱり』

『流石ルーシャですね・・・貴女の思っている通りですよ』


 一拍置き、オールが天高らかにルーシャの思っている事を言い放つ。


『今の私はエアと融合した姿・・・』

『融合・・・』

『えぇ・・・そうです。そしてエアの他にも・・・』


 オールが自身の周りで控えている侍女竜をルーシャに向かって見せびらかすように両手を広げる。


『私の所有物である侍女竜全てと私は融合できるのですよ。そして!エアと融合した私は、エアその物の力を使うことが出来る』

『だから先ほどは・・・』

『えぇ・・・ウェルニルとウォルニルと融合し、その力を得ましたよ』

『そして今はエアの力を使える』

『使えますよ・・・十全に、それ以上に使うことが出来ます』


 第一の侍女竜・・・融解する惨刀(オロ・ヴォルカ・ジア)

 長い腰まである赤黒い髪に、マリアティアスと同じような赤い瞳。そして赤い瞳と同じように赤く太い尻尾の竜人(ドラグニル)で、角は白い純白、翼は角と同じように白いがロボロになっている侍女竜だ。

  何故かメイド服の胸元を露出しており、その胸元には赤黒く濁った・・・溶岩を思わせるような宝石を埋め込んでいる。

 オールにマリアティアスを世話するように頼まれた侍女竜であり、今もマリアティアスの事を監視している。


 第二の侍女竜・・・美しき(クリティアス・)結晶刀(プリズミア)

 薄い水色の髪のショートヘアーの少女で、瞳は水晶のようであり、年齢的に考えると侍女竜の中では一番幼い竜人(ドラグニル)だ。

 水晶のような透き通る翼をしており、太陽の光を反射すると尚美しい翼を持っている。

 尻尾もまた水晶ようであり、角も同じような水晶だが・・・小さいので髪隠れて見えていない。

 マリアティアスを拘束した竜人(ドラグニル)であり、先ほどルーシャに攻撃を仕掛けきた竜人(ドラグニル)だ。


 第三・第四の侍女竜帯電する(ウェルニル・)右刀(エルディカ)・帯電する(ウォルニル・)左刀(エルディア)

 ウェルニルとウォルニルは双子の竜人(ドラグニル)であり、そしてその姿は鏡合わせのように似ている。

 両名共に金髪金眼、ウェルニルは右側のみにサイドテール、それに対してウォルニルは左側のみにサイドテールをしている。

 ウェルニルは左右非対称の白い角に、同じ白い翼・・・どちらとも右側が大きく左側が右側に比べて小さくなっていて、ウォルニルはその反対で左側よりも右側が小さくなっている。

  ウェルニルは右側の角、翼のみに血管のように金色の模様があり、ウォルニルはその反対で左側の角、翼のみに金色の模様になっている。

 両名共に尻尾は地面につくほど長くそして白くなっているが、何故か尻尾の先端だけが金色になっている。

 最初にオールと融合し、逃げていたルーシャに追い付く事が出来る事を考えると、速度もかなり速いタイプだと判断出来る。


 第五の侍女竜凍てつく(アイリット・)鋏刀(シュルコン)

 青く長い地面にまで着くほどの長い髪の少女で癖っ毛なのかかなり髪が跳ねてしまっている髪の少女だ。

 右目に眼帯をしていて眼帯をしていない方の瞳は暗いブルーをしている。

 かなり小さな・・・飛ぶことが不可能かと思わせるほど小さな翼をしているがそれでも空を飛べている。

 そして角、尻尾も小さく・・・子供の竜人(ドラグニル)と大差ない竜人(ドラグニル)だがそれでもオールに仕える侍女竜なのだ。


  第六の侍女竜見えざる(エア・)結刀(シャングリラ・キー)

 緑髪のショートヘアーの少女で金色の瞳をしており、頭部にはティアラを着けており、そのティアラには白く濁った宝石のような物が埋め込まれていて、その他にも多数の宝石が埋め込まれている。

  エアの翼は合計四枚の緑色の翼・・・昆虫のような薄い、透けている翼が腰から生えている。

  細くしなやかな、鞭のような尻尾は長く、エアの身長の二倍以上の長さがある。

  その長く細くなっている尻尾の先端には銛のような形状をしており、かなり鋭利になっていてる。

  角は額に一本。ひび割れたようになっている角がある。

 そしてこの竜人(ドラグニル)・・・エアは何処と無くルーシャを彷彿させるような感じの竜人(ドラグニル)であり、今現在オールと融合しているであろう竜人(ドラグニル)だ。

 

 そして竜王オール・ディストピア・バルフロン・マリッジも先ほど・・・ウェルニルとウォルニルと融合していた時とは微妙に違っている。

  どす黒い、純黒の鎧であることには変わらないのだが、最初の・・・全身を血管のように張り巡らしている赤い装飾はウェルニル、ウォルニルの時は金色に変わり、そして今、エアと融合したオールは半透明な濁った色をしている。

 鎧が二重になっていることには変わりないが・・・その右手には見えない刀が握られているのが判断できる。

  この見えない刀は先ほどエアがルーシャの絶対領域に侵入して来た時と同じようなのだが・・・その事を即座に理解出来なかったルーシャが攻撃を喰らい、絶対領域から出されてしまったのだ。


『・・・流石に不味い状況かな』


 冷や汗を流し始めたルーシャに対して絶対領域から脱出し、そして侍女竜と合流したことによって先ほどよりも圧倒的な優位な状況になったオール。

 ルーシャとオールの実力を考慮すると・・・通常であればオールの方に軍配が上がりってしまう。

 なのでルーシャは自分の切り札である『竜法秘伝・覚醒竜血』を発動させ、更に自身の得意なフィールドである絶対領域『偽りの世界(コード・ワールド)・真空亡国(ディザ・ヴァキュラム)』で戦っていたのだが・・・

 今やその絶対領域は脱出され、そして侍女竜達と合流してしまっている。

 更には侍女竜の一体と融合し、その力を得ただけではなく、その力を十全以上に使える今のオール。

 逃げようとしても逃げる事が出来ないと思われるこの状況、マリアティアスを奪還しようにも・・・出来なさそうだ。


『安心してください私はルーシャを殺しはしませんよ・・・貴女のような血を覚醒させた竜人(ドラグニル)は貴重ですからねぇ』


 オールが余裕とばかりに満面の笑みを浮かべる・・・その笑みはルーシャにとっては脅威でしかないが。


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