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奇跡の力

 バルエラ竜王国地下船着場にて・・・


 ルーシャによって反逆することをしいられてしまった翼なき者(ボロクロ)

 もしルーシャに反抗しようものならば即座にあの場で斬り伏せられてしまい、そしてこの仕組まれた反逆に参加しなければ自分達の種族がどうなるのか・・・

 一族全員根絶やしにされかねない状況の中で戦い、そして惨めに散っていった大勢の翼なき者(ボロクロ)によって船着場は血の川が出来上がり、死体の山が築き上げられている。

 船着場にいた竜人ドラグニルもまた翼なき者(ボロクロ)のによって殺されてしまっていた。

 個々として優れる竜人ドラグニルであっても、一人で数十体を相手にするのは分が悪かったようだ。

 そしてそんな最悪とも言える状況の中でルーシャは楽しそうに歌を歌っている。


『そろそろかなぁ・・・』


 ルーシャが船着場から離脱し、誰にもバレないように隠れている・・・暇なのっで歌って待っているが・・・

 そしてほどなくして船着場に止めていた一台の飛空挺が動き始める。

 これは先ほどルーシャが言っていたこと・・・蜘蛛人トローアラクネの長であるアラクノに言ったこの場からの脱出のが始まった証拠だ。


『さて・・・それじゃゲームの始まり!少しは暇つぶしになるかなぁ』


 そう言いながら地上に向かって飛び立つ飛空挺を追うようにしてルーシャも飛び立つ。

 全速力の飛空挺だがルーシャの速さには敵わないようで発進して数分でルーシャに追いつかれてしまう。

 そしてルーシャは飛空挺を撃墜しようと竜力を溜めていたその時・・・突如としてルーシャの動きが時でも止まったかのように止まる。

 

(な、なんだこの膨大な竜力は!?)


 ルーシャが動きを止めている間でも飛空挺は止まる事はなく、止まっているルーシャを他所に先に進んで行ってしまう。

  本来であればあの飛空挺をルーシャが墜落させ、その瞬間を複数の竜人ドラグニルに目撃させるという手筈なのだが、もう既にそんなことはどうでもいいようだ。


(オール自らが動き出したにしては・・・なにこの奇妙な違和感は)


 ルーシャが翼なき者(ボロクロ) 、そして今暴れている竜人ドラグニルを使って竜王国を混乱に貶めている最大の理由は自身の所有物であるマリアティアスの奪還だ。

  そのためになら、なんだってするつもりであり現にルーシャの手によって何千という 翼なき者犠牲にしているし、なんの罪の無い竜人ドラグニルでさえも利用する。

 全ては自身の所有物であるマリアティアスの奪還のためであり、この混乱に乗じてオールの巨城ラ・ゼログニル城に忍び込んで奪還する作戦であった。

 オールが竜王になって以来の反乱であり、ルーシャの予定では竜人ドラグニルを反乱に参加させた時からオールが参戦すると見立てていたが、数分立っているのにも関わらずに姿を現さないオール。

  その為に暇つぶしにこの船着場に来たのだが・・・どうやら予定通りには行かないようだ。

 マリアティアスの奪還には竜王オール・ディストピア・バルフロン・マリッジと対峙するのは愚の骨頂であり、絶対に避けなければならないのを理解しているルーシャはなんとかオールを誘き出そうとしていたのだが・・・ルーシャの予定とは違い今膨大な竜力が放たれようとしている。


(考えていてもしょうがないか・・・)


 竜力を溜めるのをやめたルーシャは、地上へと向かっている飛空挺を他所に、翼を羽ばたかせ船着場から地上へと向かって行く。



 バルエラ竜王国、地上船着場付近にて・・・


 突如として現れた竜王オール・ディストピア・バルフロン・マリッジと常に竜王に付き従う六体の侍女竜。

 そして見慣れない竜人ドラグニルにこの場の全ての竜人ドラグニルが釘付けとなってしまう。

 見慣れない竜人ドラグニルが美人なのであればこの場の数名、特に男性の竜人ドラグニルであれば見惚れて釘付けになってしまうのも仕方ないが・・・今回は違うのだ。

美女であるからだけではなく、その竜人ドラグニルが竜王オール・ディストピア・バルフロン・マリッジと共に現れたのが大きい。

  そしてその竜人ドラグニルが竜王オール・ディストピア・バルフロン・マリッジと共に常に付き従う侍女竜と同じ格好をしているのもこの場に竜人ドラグニルを釘付けにしている理由の一つであり、そんな・・・不思議な竜人ドラグニルが展開する夥しい数の竜法陣は正に理解出来ないような現象が起きていると言っても過言ではないのだ。

 人は理解出来ないような出来事に直面してしまった場合、何も出来なく動けなくなってしまう事が多い。

  そしてその事を体現するようにこの場のいる全員・・・ハッカでさえも突如として現れた竜人(ドラグニル)が何をするのか興味津々なのだ。


『オールさ・・・』


 ハッカが突如現れた竜王オール・ディストピア・バルフロン・マリッジに話しかけようとしていると・・・オールに向かって理性を失った竜人(ドラグニル)、合計で五体が攻撃を仕掛けてくる。

  一体は全速力の突撃。

  もう一体は手に持っている刀を使っての斬撃。

  そして残りの三体は竜法を放つ準備をしている。

 狙いは全てオールであり、通常の竜人(ドラグニル)であれば直撃してしまいかねない同時攻撃なのだが・・・全ての攻撃がオールに直撃する前に止められる。

  全速力の突撃を仕掛けた竜人(ドラグニル)はオロに、そして斬撃を仕掛けようとしていた竜人(ドラグニル)はマリアティアスを拘束した竜人(ドラグニル)によって。

  三体の竜法を放とうとしていた竜人(ドラグニル)は二体の竜人(ドラグニル)、ウェルニルとウォルニルによって倒されてしまい、羽ばたくのを止めて地面に向かって落ちてしまう。


『侍女竜・・・流石の実力ですね』


 侍女竜の実力を再確認したハッカ。

  しかしながらそんな騒ぎ・・・ 竜王オール・ディストピア・バルフロン・マリッジを殺害しようとした者がいるのにも関わらずに未だに竜法陣を展開している。

 そして数分後・・・全ての竜法陣を展開し終わったのか竜人(ドラグニル)、マリアティアス・V・ヘリエテレスの展開した竜法陣が動きを止める。

 その数は十にも及ぶ多重竜法陣。

 そしてその多重竜法陣が一斉に光だし、一気に竜法が発動する。

 その多重竜法陣は一斉に傷ついた竜人(ドラグニル)、そして最早既に事切れてしまった竜人(ドラグニル)に向かって飛んで行き直撃する。


『こ、これは・・・』


 竜法が直撃した竜人(ドラグニル)が驚愕し、そしてその竜人(ドラグニル)を治療していたど竜人(ドラグニル)もまた驚愕の声をあげる。

  何故彼らが驚愕の声をあげたのか、その理由は・・・


『き、傷が癒えてゆく!?』

『そ、そんな明らかに致命傷の筈なのに!?』

『どういうことだ?』

『おいおいおい!なんじゃこりゃ!?』

『き、奇跡か・・・』


 傷つき、最早助からないと思われていた竜人(ドラグニル)の傷がみるみるうちに癒え、そして驚くべきことに腕が引きちぎられてしまった幼い竜人(ドラグニル)の腕が再生し始める。

  そんな摩訶不思議な・・・奇跡とも言えるべき出来事が次々と起こり始め・・・そしてついに理解出来ない現象となって顕現する。


『うそ・・・だろ・・・』

『そんな・・・信じられない』

『こんなことが・・・』

『お、お前・・・』


 つい先ほど息絶えこの世界から旅立ってしまった竜人(ドラグニル)が息を吹き返したのだ。

 ありえない・・・絶対にありえない。

 万が一にもあってはならない死者の復活。

 そんな事が出来る者など古今東西聞いたことがなく、そして誰も・・・最強の竜人(ドラグニル)である。竜王オール・ディストピア・バルフロン・マリッジでさえも出来ないとされていた禁忌中の禁忌。

 しかしそれを今・・・この場で実行した者がいる・・・竜王オール・ディストピア・バルフロン・マリッジの隣に羽ばたいている竜人(ドラグニル)

 しかも死者の復活は一体だけではない・・・この反乱によって傷つき、そして倒れた全て竜人(ドラグニル)が完全に癒えたのだ。


『奇跡か・・・』

『だ、大丈夫なのかお前?』

『あ、あぁ・・・なんとも・・・むしろ清々しい気分だ』

『あの竜人(ドラグニル)がやったので?』

『いったい何者・・・』

『新しいオール様の侍女竜なのでしょうか?』

『それにしては・・・なんか奇妙な翼をしているなぁ』

『翼だけか?尻尾もなんか・・・』

『そんなことはどうでもいいです!重要なことは・・・』

『重要なことはあの竜人(ドラグニル)がしたことです』

『そう・・・傷を癒すならいざ知れず』

『死者の復活・・・』

『禁忌中の禁忌・・・』

『皆誰しもが夢見る・・・そして絶望と共にその夢を諦めてしまう』

『竜王オール・ディストピア・バルフロン・マリッジ様でさえ出来ない事をやってのけたのです』


 口々に竜人(ドラグニル)となったマリアティアスが行った死者の復活ということに驚き、そして畏怖してしまっている竜人(ドラグニル)達。

 しかし、そんな竜人(ドラグニル)達に対して竜王オール・ディストピア・バルフロン・マリッジが注目させるためだろうか、竜法を上空高らかに放つ。


『聞け・・・全て竜人(ドラグニル)よ』


 竜王オール・ディストピア・バルフロン・マリッジの言葉を聞くために静まりかえる。

 それは竜人(ドラグニル)だけではなく、ありえない現象を目の当たりにした翼なき者(ボロクロ)もまたおとなしくなってしまう。

 もし静かにしなければどうなるのか・・・確実に死が待ち受けていると言えるであろう。


『今まで何千、何万という竜人(ドラグニル)が夢見た出来事が今、実現した・・・全ての竜人(ドラグニル)よ恐れることなかれ、全ての竜人(ドラグニル)よ悲しむことなかれ・・・死は終わりではない』


 一拍置き、オールが全員・・・今視界に見える全ての竜人(ドラグニル)がオールに注目している事を再確認する。


『私は死すらも超越した絶対なる力を手に入れた!』


 力強く、高らかに宣言する。


『癒えぬ傷も、不幸な死も全て私が癒してやよう!』


 その一言によりこの付近にいる全ての竜人(ドラグニル)が割れんばかりの喝采を送り、そして中には死から復活した竜人(ドラグニル)が歓喜しているのか涙を流している。

 まだ幼い竜人(ドラグニル)は訳もわからないのか困惑している様子だ。


『あの、侍女竜・・・』

『えぇ・・・間違いなくあの時の人間ですね』

『見てくれは多少変わってるがルーシャが連れてきた人間だな・・・だが、あの時はあんな奇妙な翼や尻尾はしてねぇはずだぜ』

『そうじゃのぉ・・・儂がボケてしまったのかと思っておったが・・・あの人間で間違いなかのぉ?』

『ウルキードのじいさん・・・ボケるような歳かよ』

『問題なのはそこではないのですよ二人共』

『そうじゃのぉ・・・傷の再生、死者の復活。どちらも異常・・・いや・・・ありえない事じゃが』

『人間の竜人(ドラグニル)化・・・』


 オールとマリアティアスが奇跡・・・死者の復活を行い注目を集めている最中に集結したジェイロス、ウルキード、ハッカの三体。

 彼らが気にしているにはマリアティアスが行った傷の再生、死者の復活よりも人間の竜人(ドラグニル)化だ。

 あの人間・・・マリアティアスが自ら行ったのか?

 それとも竜王オール・ディストピア・バルフロン・マリッジが何か・・・秘術的なものでマリアティアスを竜化させたのか?

 多数の疑問が思い浮かぶが・・・そんな竜王オール・ディストピア・バルフロン・マリッジに対しての拍手喝采の中で突如として轟音と共に衝撃波が辺りを駆け巡る。

 何事かと思いその轟音と、衝撃波が発生した地点を見てみると・・・そこには西の浮遊大陸を統べる竜人(ドラグニル)、 ルーシャ・ルビー・イエウエスト・アリードライブがそこにはいた。


『竜王オール・ディストピア・バルフロン・マリッジ・・・』

『やぁ・・・ルーシャ・ルビー・イエウエスト・アリードライブどうしたのかな?』

『どうしたのかだって・・・よくそんな事が言えますね』


 そう言いながらルーシャはオールに向かって白金の刺妖・黒銀の斬妖を突きつける。

 そんなルーシャに対してオールは近く羽ばたいているマリアティアスに向かって近づき・・・マリアティアスの頬を撫でる。


『貴様・・・僕の所有物に・・・』


 怒りのせいで我を忘れ、その身から溢れでる殺意。

 その殺意は先ほどまでオールに対して拍手喝采を行っていた竜人(ドラグニル)達を一瞬にして黙らせる。

 流石にまずいと思ったのかルーシャを止める為にジェイロス、ウルキード、ハッカが止めに入ろうとするが・・・時既に遅かった。


『返してもらいますよ・・・僕の所有物を』


 圧倒的な速さでオールへと接近し、そして黒銀の斬妖で斬りつける。

 通常の竜人(ドラグニル)であれば回避不可能な速さの斬撃だが・・・最強の竜人(ドラグニル)である、竜王オール・ディストピア・バルフロン・マリッジは避けない。

  避けられないのではない・・・避ける必要がないのだ。

 何故なら・・・


『この魔法は!?』


 ルーシャの斬撃がオールへと届く直前に竜人(ドラグニル)となったマリアティアスが魔法・・・竜法によって止める。


『正確には竜法ですけどね。しかし・・・何故追撃をしないのです?』


 オールの問いかけに対しても無言で虚ろな瞳をしたままなマリアティアス。

 先ほどのオールの斬撃はマリアティアスの竜法によって防がれたのだが、その防がれた竜法は風と水の二重属性防御魔法であり明らかに、ルーシャと戦っていた時よりは魔力・・・今はもう竜力に変わってしまっているが段違いに強力になっている。

 追撃をしないことに不満を露にしているオールだが・・・マリアティアスが何も言わなく、そしてルーシャに対しても何の反応も示さないことに疑問を持ち始め・・・数秒程考えたのに一人納得したのか頷いている。


『オール様・・・僕の所有物に何をしたのです?』

『彼女があまりにも魅力的でしたので私の物にしようとしただけです。ただ・・・彼女を竜人(ドラグニル)として所有するために』

『・・・人間の竜人(ドラグニル)化?』

『えぇそうですよ・・・しかし、残念なことに感情が壊れてしまったようですね』

『オール・・・貴様』

『この状態で貴女の事を覚えているのかはわかりませんが・・・残念ですが諦めてください』


 人間であるマリアティアスを強制的に竜人(ドラグニル)化させたことによって、感情という物が無くなってしまったマリアティアス。

  実際オールが言ったことは本当のようでオール、侍女竜と共に舞い降りた時からマリアティアスは一言も発せず、感情を表していない。


『まさかルーシャさん・・・貴女オール様に逆らうおつもりですか』


 後ろで控えていた侍女竜の一人、オロが丁寧な口調でルーシャに問いかけるが・・・


『僕の所有物を返してもらいますよ!』


 オロの言うことなど意に返さずにルーシャはオールに向かって無数の斬撃を放つ。

 ルーシャの放つ風の属性竜法を纏った斬撃は先ほどよりも切れ味を増しているが・・・再びマリアティアスによって防がれる。

 しかし、それを予想していたようにルーシャはマリアティアスの張っている防御竜法を・・・


『竜法秘伝・覚醒竜血!』


 マリアティアスを打ち倒したルーシャの切り札を発動させ、一気にマリアティアスの防御魔法を破壊して疾風の如くこの場から撤退する。


『な、なんだ!今のは!?』

『まさか・・・竜王様と同じ・・・』

『な、なんと!』


 この場の全員、ルーシャと長い・・・と行っても数十年程度しか交流がないが、ジェイロス、ウルキード、ハッカも驚いている。

 そして驚くべき同様に、動揺も広がり始め・・・数秒ごとにルーシャに対して、その場にいる竜人(ドラグニル)が怒りを露にし始める。

 それはルーシャがマリアティアスを拉致したからではない・・・ルーシャが竜王オール・ディストピア・バルフロン・マリッジに逆らってしまったのが原因だ。

 しかしそんな混乱渦巻く最中にも関わらず・・・竜王オール・ディストピア・バルフロン・マリッジ不適な笑みを浮かべ・・・笑いを堪えていたが限界が来てしまったようだ。


『まさか・・・ルーシャも私と同じ・・・』


 一言喋り・・・その後に大笑いし始めるオール。

 何がそんなに可笑しいのか疑問に思っていると・・・突如として竜王オール・ディストピア・バルフロン・マリッジから怒涛の逆巻く竜力が溢れでる。

 並々ならぬその竜力は正に堤防が決壊した川のようであり・・・その竜力を当てられた竜人(ドラグニル)が次々と気を失い倒れてゆく。

 侍女竜の六体とそしてジェイロス、ウルキード、ハッカは何も・・・少しばかり気が遠くなるような気がしたが、持ち前の力によって耐える。


『ウェルニル!ウォルニル!』


 オールに呼ばれた二体の侍女竜ウェルニルとウォルニルが直ぐ様オールの元にたどり着く。

 ウェルニルとウォルニルは双子の竜人(ドラグニル)であり、そしてその姿は鏡合わせのように似ている。

 両名共に金髪金眼、ウェルニルは右側のみにサイドテール、それに対してウォルニルは左側のみにサイドテールをしている。

 ウェルニルは左右非対称の白い角に、同じ白い翼・・・どちらとも右側が大きく左側が右側に比べて小さくなっていて、ウォルニルはその反対で左側よりも右側が小さくなっている。

  ウェルニルは右側の角、翼のみに血管のように金色の模様があり、ウォルニルはその反対で左側の角、翼のみに金色の模様になっている。

 両名共に尻尾は地面につくほど長くそして白くなっているが、何故か尻尾の先端だけが金色になっている。


『おい・・・マリアティアス』


 マリアティアスを抱えて飛んでいるルーシャなのだが、相変わらずマリアティアスはルーシャの問いかけに対して無言で反応している気配がない。

 端から見ればマリアティアスよりも小柄なルーシャがマリアティアスを抱えて飛んでいる様子は違和感を覚えるが・・・風の属性竜法を使えるルーシャには関係ない。

 竜力の続く限りでは風の属性竜法が使える者にとっては物の重さはあまり関係ないことなのだ。


(こいつ・・・あのマリアティアスが・・・オールにいったい何をされたんだ?)


『それにしても・・・なかなか面白い感じに竜化したね』


 ルーシャはマジマジと竜化し、竜人(ドラグニル)となったマリアティアスを見つめる。

 とりあえずルーシャはこの竜王国から出る事を目標にしており、ルーシャがマリアティアスを見ている間にも地上が近づいてい行き・・・ものの数分で地上、翼なき者(ボロクロ)達が住まう土地へと着地する。

  着地した場所は旧バルエラ竜王国の廃棄都市であり、その着地の衝撃によって風化した建物崩壊してしまう。


『流石のオールもまだ来れないはず・・・出来るだけ最速であの場所に向かっ・・・』


 ルーシャがもう一度と飛び立とうとしたその時・・・ルーシャの後方、翼なき者(ボロクロ)の長と、この地を治める竜人(ドラグニル)が面会する城がけたたましい、雷が落ちたかのような轟音と共に崩れ落ちる。


『やぁ・・・ルーシャ。まさかルーシャも覚醒することが出来るなんて知らなかったよ』


 崩れ落ちた瓦礫が四方に吹き飛び、雷鳴と共に竜王オール・ディストピア・バルフロン・マリッジが姿を現す。

 しかしその姿は何時ものオール・・・どす黒く、純黒の鎧は変わらないのだが・・・血管のように全身を赤い装飾は何故か金色に変わっており、不気味に発光している。

 胸元を露出しているのは変わらないが・・・

  身に纏っている鎧だが・・・土埃が晴れるにつれてはっきり見えるようになり、二重に、更に分厚くなっているのがわかる。

  頭の双角や、腰から生えている翼、そして尻尾は変わらずに純黒であるが・・・その変わってしまった鎧よりも目を引くのがオールの両手に持っている刀で、その刀は半月刀であり、刀身は1m弱程の刀だ。

  半月刀の柄の部分は金色になっており、所々に白色の、装飾が施されている。

 そして・・・その二振りの半月刀は左右対称・・・全てが同じように出来ている。

  しかし・・・左右対称よりも目を引くのはその二振りが帯電しているということだ。


『さぁ・・・ルーシャ。私の所有物を返してもらいますよ』


 そう言いながらオールは不適な笑みと共に二振りの半月刀を構える。






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