強襲
スペルオーネ帝国・南部都市エルセオーネより北側に存在する屋敷にて・・・
この屋敷は貴族、エヌジィ・ジェルマン・セカロン伯爵が所有する屋敷であり、屋敷の周りには高さにして3m程度の壁によって守られている。
この壁は外的から身を守る為だけではなく、伯爵邸で行われているある事を隠す為でもある。
そしてこの伯爵邸は周りは平原であり、建物は周りを見る限りでは確認出来ない。
何故セカロン伯爵の屋敷は平原にあるのかと言うと・・・敵からの奇襲をいち早く気がつくことができ、そして伯爵邸から逃げ出す人物を捕らえやすくする為でもある。
平原にある事によって暗殺者等からの奇襲の成功確率は著しく低くなる。
伯爵邸の周りを囲む壁は空から見ると星型をしていて四方には物見矢倉を立てているので、何か異常事態があった場合は直ぐ様に分かるようになかっている。
『・・・退屈だなぁ』
『まぁな・・・それにしても楽な仕事だよなぁ』
『確かにな。伯爵様を襲おうという輩はいないからな』
物見矢倉で談笑しながら警備にあたっている二人の警備兵。
その手には双眼鏡とクロスボウを装備していて、物見矢倉には警報を鳴らす為の鐘が置いてある。
その他にも見張りに必要な物が置いてあるが、その中には見張りには関係なさそうなサイコロが二つ置いてある。
『暇だな・・・なぁそろそろ大丈夫じゃないのか?』
『そうだなぁ・・・じゃあやるか!』
『この前は負けたからな・・・次は俺が勝つぜ』
そう言ってサイコロを手にしてコップに入れる。
そしてコップを回し、サイコロがコロコロと音を立てて回転し始め・・・
『さて・・・どっちに賭ける!』
この二人の警備兵がしていることは賭け事である。
サイコロの出目によって勝敗を決め、奇数、偶数どちらかを選び勝敗を決めるという至ってシンプルな賭け事だ。
警備の最中だというのに賭け事とは何事かと言われるが、物見矢倉でただ警備しているのも暇なのだ。
『・・・奇数だ!』
その言葉を合図にコップを置き、サイコロの音が止まる。
『変更は?』
『無しだ!』
そう言葉を聞き終え、コップを開けサイコロの出目を確認する。
サイコロの出目は偶数。
負けたである。
『くそ!負けか』
『残念だな。とりあえずどうするまだやるか?』
『もちろんだ!』
どうやら彼らの賭け事はまだ続くようだ。
セカロン伯爵邸内部
この屋敷の持ち主であるエヌジィ・ジェルマン・セカロン伯爵は苛立っていた。
何故苛立っているのかその理由は十日前程の遡る。
『・・・まだ連絡は来ぬのか?』
『まだ来ておりません・・・失敗したのでしょうか?』
『なのであれば連絡が来ぬのはおかしなことじゃ』
伯爵が苛立っている理由それは、伯爵が依頼したマリアティアスを捕らえるという依頼の連絡が来ない事に原因がある。
作戦決行の連絡から十日が過ぎているのにも関わらずに何も音沙汰がないのだ。
依頼した死刀の黒狼が失敗したのか?それとも未だに捕らえられる事が出来ずにいるのかは不明だが、依頼主に十日も何も連絡がないのはおかしなことだ。
無論死刀の黒狼のことは信用していないので、マリアティアスのいる街には死刀の黒狼を監視するために数名の部下を送り込んでいるが・・・その連中とも音沙汰がないのだ。
『彼らも裏切ったのでしょうか?』
神妙な顔をする伯爵。
人間である以上絶対に裏切らないという保証は何処にもない。隣で話を聞いている執事だって裏切る可能性はあるのだ。
しかし、もし彼らが裏切ったとしてどうなる?
監視する為に送り込んだ部下の年齢はバラバラであり、伯爵に仕えてから半年の者もいれば仕えてもう五年以上の者いる。そのような連中が伯爵を裏切ったとしたらどうなるか知らないわけではない筈だ。
現皇帝の政策により現在帝国内では貴族の力は弱まってしまっているが、それでも数名の貴族は未だにその力は健在だ。
特に大貴族と言われているグレン・カツラズラ・ストレーツ公爵は皇帝達の会議にまで出席できる程の大貴族で、その公爵の派閥であるセカロンもまた権力をもっている。
『とりあえずまだ様子見か・・・ところで他の方々の召集はどうなっている?』
『今日開催される催しことですね・・・人数としては十二名で、今は八名程の集まっていらっしゃいます』
『そうかそうか・・・無論その八名方には楽しんでもらっているか?』
『はい。それぞれの趣味にあった物を用意しております』
頷き執事が用意した紅茶を飲みながら未だに屋敷に来ていない四名の事を考える伯爵。
未だに屋敷に来ていない四名の人物は四名とも伯爵邸より南に住んでいる連中であり、中にはエルセオーネ出身者もいる。
そして伯爵はある事に気がつく・・・未だに連絡が無い死刀の黒狼、そしてまだ屋敷に来ていない四名、共に共通して伯爵邸より南部に住んでいる者達との連絡が取れていないのだ。
『まさか・・・エルセオーネで何かあったのか?』
『伯爵様?』
先ほどとは明らかに顔が悪くなっている伯爵に執事が話しかける。
それに対して伯爵は命令を下す。数名の部下をエルセオーネに派遣することを。
部下をエルセオーネに派遣してから数時間後・・・夕食をすませた伯爵だが、先ほどから落ち着かない様子だ。
その理由は今日来る予定の四名がまだ来ていないからだ。
四名とも伯爵とは面識があり、約束を蔑ろにするような連中では無いことは理解している。
そもそも今日の催しを楽しみにしていると言っていた者達が来ないのはおかしな話だ。
『・・・伯爵様不安なのも理解できます。今回の催しは中止にされますか?』
『いや・・・それでは私の評価を下げてしまう。仕方ないパーティーを始めるぞ』
そう言いならが部屋を出て歩き始める伯爵とそれについて行く執事。
そして二人は屋敷にある地下室へとたどり着く。
地下室の警備兵は伯爵と執事に向かって敬礼し、異常がないと報告する。
地下室の鍵を開け中に入るとそこは牢屋のようになっており、中には薄汚れた女性達が鎖に繋がれている。
ある女性は虚ろな瞳をして生気が感じられない。またある女性は伯爵を見るなり震え出し始める。
この女性達は人拐いによって売られ伯爵に買われた者や、奴隷として売り出され伯爵に買われた者等であり、夜な夜な伯爵や世に憚れる趣味を持っている者達の慰み者とされてしまっている女性達だ。
『さて、今回のメインは君だ・・・可憐に鳴いてくれよ』
そう言いながら伯爵は牢屋の鍵を開け、中にいる女性を外に連れ出そうとする。
女性は絶叫し、必死に抵抗しようとするが、首に付けられている首輪を引っ張られ無理やり外に連れ出されてしまう。
『少しうるさいですね・・・黙ってもらえますか?』
そう言いながら帯刀している刀で女性を脅す執事。
この執事の名前はアルタリア・イーザ。
古くから伯爵家に執事として仕えてる家系の人物で、セカロンよりも歳は上であり、最近髪に白髪が混じり始めた老人だ。
伯爵の趣味を理解しながらもその所業を止める事もせずにのは・・・この執事もまた伯爵と同じなのだ。
一見大人しそうな、温厚そうな人物だが、その中身は人の・・・特に若い女性の悲鳴を聞くのが趣味という外道である。
しかし執事としては有能であり、さらにはそこら辺の剣士と同等の腕の持ち主ということもあり、常に伯爵と共に行動している。
『わ、私をどうするのですか?』
怯えながら伯爵に問いかける女性。
女性はまだ年齢としは三十代前半の女性で、栗色の肩まである髪に金色の瞳の女性だ。
この女性は数日前に伯爵に買われた女性で、彼女は伯爵邸より南部の村の出身の女性だ。
そう・・・彼女はエリカとアイカの友達であるリアエの母親だ。
本来であればエリカとアイカが売られる筈であったのだが・・・エリカとアイカが村から逃げ出してしまったが為にその責任として売られてしまったのだ。
『まぁ・・・あなたは子供を産んでいるようですし、そちらの方向でいきましょうか?』
そう言いながらリアエの母親の・・・下腹部を擦る伯爵。
気味の悪い笑みと共に、リアエの母親の胸を厭らしく触る。
伯爵の行為に逃げ出してたくて堪らない筈なのだが・・・リアエの母親に突きつけられた刀がそれを許されない。
セカロン伯爵邸中央広間
セカロン伯爵邸の中でも一際大きい部屋であり、人数にして二十人程度であれば余裕に入る事が可能な広間にはセカロン伯爵邸に集まった八名の人物達が集まっている。
どの人物も伯爵と同じような気味の悪い笑みしていて、今回開催される催しを楽しみにしているようだ。
『さて皆様今日お集まりいただきありがとうございます』
伯爵が中央広間にある舞台に上がり、集まった面々に感謝の意を示す。
舞台にはセカロン伯爵の他にもシーツで覆われた大きな箱のような物が存在し、注目を集めているようだ。
『今回の催しに関してなのですが・・・残りの四名の方々は来られないようですのでこのまま始めたいと思います』
そう言われて辺りを確認する八名。
確かにこの場には八名とセカロン伯爵、執事の合計で十名しかいない事に気がつき、どうしたんだ?何かトラブルか?など不安な声もチラホラ聞こえてくる。
しかし伯爵はそんな不安も関係無しに進め始める。
残りの四名が来ない理由は伯爵ですらわからないのだ、考えても始まらないと割りきり、催しを開始する方が得策だと判断したからだ。
『さて、今回の催しはこの女性・・・リリエルソさんによるショーでございます!』
そう言いながらシーツを外し、リアエの母親であるリリエルソの姿が露になる。
薄絹を身に纏い、悪趣味としか言い様のない服装を着せられたリリエルソは恥ずかしそうに座り込んでしまっている。
当然である。今のリリエルソはとても人目に出れるような服装ではなく、布は身体の重要な部分しか隠されてはおらず残りは薄絹によって肌が隠されいる程度である。
布の部分も少しでも今の状態から動こうとするとリリエルソの重要な部分が見えてしまうほど、布面積が少ない。
『ほう・・・これはこれは』
『中々ですな・・・』
『私の趣味からは少し離れてはいますが・・・まぁ今回は我慢しましょう』
『貴方の趣味は特殊ですからね』
『幼子の悲鳴は耳に心地好いですからねぇ・・・』
リリエルソを見るなり口々にリリエルソに対しての感想を言い始める男達。
ある者は欲情した瞳で、またある者は少し残念そうな態度をしている。
一概に言えることはこの男達はこれからリリエルソに起こる事を楽しみにしており、そして微塵もリリエルソに対して慈悲をかけるつもりはないようだ。
(なに・・・何なのこの男達は!?こんな服とは言えない格好をさせて私に何をさせるつもりなの!?)
周りを囲む男達の異常な、異様な雰囲気に気がつき震えてしまうリリエルソ。
当然である。身内にしか見せたことのない肌を他人に、しかも好きではない異性に見られるのだ、リリエルソは今にも顔をから火が出るほど恥ずかしい筈だ。
しかも嫌な噂をよく聞くセカロン伯爵邸というのであればなおさらだ。
『それではそろそろ始めましょうか・・・これからリリエルソに行ってももらうショーは・・・』
セカロン伯爵からリリエルソに行われる外道な・・・屈辱的なショーが行われようとした瞬間、屋敷内の警報装置が発動する。
この警報装置は人間達によって作られた魔法であり、警報装置が作動すると周りに仕掛けてある警報装置と連動して警告音を鳴り響かせる物だ。
『な、何事かね!?』
『伯爵これは何の騒ぎですか』
『す、少し待ってくれ』
突如として鳴り響いた警告音に驚きながらも伯爵は、近くで待機していた執事に命令し外の警備兵と連絡を取るように命令する。
何が起こっているかわからない伯爵や、男達は辺りを見回しながら状況を確認しているが、どうやら中央広間には異変が無いようだ。
(ひっ!?い、一体何が起こっているの?)
リリエルソも困惑気味に周りを見ているが、何分リリエルソは檻に入れられてしまっているので何が起きているのか全くわからないのだ。
そしてそれは突如として飛来する・・・絶望の権化として。
絶望の権化が飛来する数分前のセカロン伯爵邸外部物見矢倉にて
物見矢倉にての警備も程々に賭け事をしている二人の警備兵。
この二人は方向からみて南側を警戒している。
いつも通りの退屈な警備だと思い込み油断していた警備兵達は、南側より飛来してくる絶望の権化・・・疫病の狂天使の存在について。
『きぃぃぃぎゃぁぁぁ!』
けたたましい悲鳴と共に物凄いスピードで南側の物見矢倉を襲撃する疫病の狂天使。
賭け事に夢中になっていた二人の警備兵が疫病の狂天使を見つけた時には時既に遅く、何本もの丸太で積み上げられた物見矢倉が破壊される。
丸太の下敷きになったのか、それとも疫病の狂天使によって倒されてしまったのかは不明だが・・・物見矢倉があった箇所には血溜まりが出来ていた。
『・・・は?南の物見矢倉が粉砕したぞ!』
『な、何がどうなっ・・・』
六ヶ所に設置されていた物見矢倉の南側が突如として破壊された事に気がついた他の物見矢倉の警備兵達が、何が起こったのか確認しようとしている。
外で警備周りを巡回していた警備兵も何事かと近づいて行くと・・・物見矢倉が粉砕した原因を見て絶句してしまう。
『え、疫病の狂天使だ!』
『襲撃!襲撃!警告をなら・・・』
物見矢倉を粉砕した原因が疫病の狂天使だとわかると、緊急事態を知らせようと声を張り上げて叫ぼうとするが・・・飛来して来た疫病の狂天使に吹き飛ばされてしまう。
ボールのように吹き飛ばされた警備兵は城壁に激突し、まるで潰された虫のように即死してしまう。
そしてまた次に疫病の狂天使が狙いを定めたのは残りの物見矢倉であり、警報を鳴らそうとしているのがバレたのか疫病の狂天使が襲撃して破壊する。
『な、何なんだあの疫病の狂天使は!?』
『風の属性魔導師より速いぞ!』
『あの翼だ!あの両手の翼で滑空してるんだ』
地上にいる連中が空を飛んでいる疫病の狂天使を倒そうとするが、思いの外疫病の狂天使のスピードは速く、クロスボウの矢が当たる気配は無い。
この疫病の狂天使は体格も大きく全長にして5m以上あり、そして両腕もまた非常に長く4m程の長さがあるだけではなく、その4m程の両腕には蝙蝠のような翼膜がありそれにより通常の疫病の狂天使よりも速く移動が出来ているのだ。
身長に対して不釣り合いな両腕を持っているが、その身体能力は高く自由自在に動かし再び物見矢倉を襲撃する。
あまりのスピードの速さに反応が出来ないだけでなく、伯爵邸が襲撃されるということはかなり稀であり、日頃からあまり熱心に警備していなかったので物見矢倉を三ヶ所破壊されてようやく警報が伯爵邸に響き渡る。
『もち堪えろ!警報は鳴り響いたもう少しで増援が来るぞ!』
そう言い終えると残っている物見矢倉の一つが破壊されて残り二つになってしまう。
残り二つとなってしまった物見矢倉からクロスボウで飛んでいる疫病の狂天使を撃ち落とそうとするが、全く当たる気配が無い。
『ぴぃぃぃぃぎゃぁぁぁぁ』
疫病の狂天使が魂裂くかのような絶叫を上げて残り二つの物見矢倉も破壊する。
全ての物見矢倉が破壊されたことに気がついてしまった警備兵達。
中には必死にクロスボウで疫病の狂天使を撃ち落とそうとしている者もいるが・・・中には少しずつ後退りしている警備兵もいる。
当然である。彼らは所詮金で雇われただけの存在であり、伯爵を自分の身を犠牲にしてでも守ろうとする人物は稀なのだ。
それに疫病の狂天使によって物見矢倉を全て破壊されたことも、より逃亡をしやすくしているとも言える。
本来ならば戦闘中に敵前逃亡など死罪確定だが・・・
そんな中で一人の警備兵が周りの様子を見ながら伯爵邸の塀の門までたどり着く。この門は今騒ぎになっている方向とは反対の門であり、疫病の狂天使の叫び声や、戦闘の音が遠に聞こえている。
疫病の狂天使にバレてはいないようであり、誰も彼に気がついている様子はない。
『こ、ここを開ければ此処から出られる・・・伯爵には悪いけど俺は自分の命が大事だからな』
そう言いながら門を開けようとすると・・・
『あ、開かない!?な、何で!?』
門を開けようと試みるも門は壁のように固くビクともしない。
体当たりして開けようとするも微動だにしない門・・・一体何が起こっているのか確認しようにも門は固く閉ざされてしまっているのでどうしようもない。
『くそ・・・何か手立てはないのか』
そんな事を考えながら辺りを散策していると、物見矢倉が破壊されている箇所から塀の外に出られる場所を見つける。
『よし!これなら脱出でき・・・え?』
脱出しようとした警備兵は絶望に直撃してしまう。
『な、何なんだこれは・・・弾力性のある壁?』
塀を越えようとした警備兵の目の前には不可思議な壁があり、手で押すと弾力性があり跳ね返ってくる。
こんな状況は今までになく、そして聞いた事がない警備兵は持っている刀で斬ろうとするが・・・やはり弾かれてしまいこの不可思議な壁を斬ることは出来ていない。
『何だ!?何がどうなって・・・』
一体何が起こっているのか?何故このような状況になっているかわからないまま困惑していると・・・警備兵の動きが止まってしまう。
何故止まってしまったのか・・・その原因はありえない者を見てしまったがためである。
『え・・・疫病の狂天使。しかしあんなに沢山だと!?』
そう・・・彼が目にしたのは飛来してくる無数の疫病の狂天使。
目視出来る範囲でも三十体以上がこの伯爵邸に向かったて飛んできているのだ。
ただでさえ厄介な疫病の狂天使・・・訓令された戦士が数名で連携をしなければ倒す事の出来ない存在が三十体以上・・・まさしく絶望と言う言葉が相応しい。
『は、はは・・・もう駄目だ・・・おしまいだ』
戦うことも逃げることも諦めてしまった警備兵は喉元に刀を突き付け、自殺しようと力を込める。
そしてこの警備兵はこの世から旅立つ筈であった・・・
『え・・・何が起こって!?』
自分に何が起こったのか分からず困惑している警備兵に声が掛けられる。
何事かと思い振り向いた先には再び信じられない光景が広がっていた。
三名のシスターがいつの間にか伯爵邸敷地内にいたのだ。
一体何時、何の目的で来たのか問いかけようとした矢先に一人のシスターが話始める。
シスターは絶世の美女と言うに相応しい美貌の持ち主であり、スタイルも抜群で尚且つその声もまた可憐で、見とれてしまうの十分な人物だ・・・この意味不明な状況下でなければ。
『さて・・・伯爵はまだ屋敷にいますか?まぁ・・・とりあえず周りから掃討して行きましょうか』
そう言いながらシスターは楽しそうに手を叩く。
それを合図に疫病の狂天使が塀を越えて敷地内へと侵入してくる。
『さぁ・・・復讐の始まりを始めるしょうか』
そう言い終えるとシスター・・・マリアティアスの後ろから巨大な木の化け物が現れ、警備兵を押し潰す。