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俺の指圧がチートすぎる  作者: 佐藤謙羊
第3章 クラスメイトをxxxします!
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21 神様は見ている

『タワークエスト史上、いまだに倒されたことのなかった最強のポータルボスの一角が、ついに倒されてしまいましたっ!! それも、たったの3人の高校生によって……! これは、プロの冒険者でも不可能なことですっ!!』



 俺は、地に伏したまま泡をブクブクと吐き続けるクリスタル・ガーディアン・クラブを見下ろしながら、降り注ぐアナウンスを聞いていた。


 鮮やかな青さの甲羅から、染み出すように抜け出す青白い光。

 俺、そしてシャラールとクリエルの『タワーバンド』に吸い込まれていく。


 これがいわゆる『ポイント』というヤツのようだ。



『4階の最強ポータルボスの撃破ボーナスは……なんと36万ポイントっ! それをリンドール学園のシャラール選手、イポモニ純真女学院のクリエル選手、命の泉学園の壺仮面選手によって分けられ……各校12万ポイントの獲得となりますっ!!』



「や……やったやった! やりましたわっ! つ……ついに、ポイントをゲットしたのですわ! それも、12万ポイントも……! これで、最下位脱出……! ゆ、夢みたいですわっ!」



 初めてのポイントゲットに、生まれて初めてお年玉をもらった子供のようにはしゃいでいるクリエル。

 シャラールは、額が少なかった子供みたいに不満顔だ。



「……シャクだわ。倒したのはアタシだってのに……ポータルボスは転送されたヤツら全員にポイントが入るのよね」



「まぁ、いいじゃねぇか。お前の矢じゃ殻は破れなかっただろ、お互い様だ」



「アンタみたいなFランクが破れるような殻が、アタシの矢で破れないわけないでしょ」



 ……まったく、共に戦った仲間だってのに、ツンツンぶりは相変わらずだな。



「ところで、こっからどうやって出るんだ?」



「ツボ夫って、ホントなんにも知らないのねぇ……慌てんじゃないわよ」



 吐き捨てるようなシャラールの言葉と同時に、巨大蟹が溶けるように床に吸い込まれていく。



「ああ、消えちまった。食いでのありそうな蟹だったのに」



「残念ね、アンタもいっしょに溶ければ追いかけられるわよ。今すぐここで首を掻っ切れば?」



 ……この『天空族(スカイエン)の塔』では、モンスターの死体は一定時間たつと塔に吸収されちまうんだ。


 新しいモンスターは、別の場所の床から沸き上がってくる。

 まるで死んだモンスターを栄養にし、新陳代謝をするかのように。


 塔自体が巨大なモンスターなんじゃないかっていう研究もされているらしいんだが、そうなると俺たちはいまモンスターの体内に居るってことになるんだよな……。


 もしかしてこのまま出られないと、本当に蟹の後追いをすることになるんじゃ……?


 なんてひとり背筋を寒くしていると、巨大蟹のいた所にポータルが出現した。


 ポータルっていうけど、ようは魔法陣だ。

 ぼんやりした光を放っていて、上に乗れば別の場所へと転送される。


 魔法陣の文字を読めば行き先がわかるらしいんだが、俺は魔法文字が読めないのでどこへ行くかはわからない。


 まぁ、この場合は読めなくても、元の場所に戻るポータルってのはすぐわかる。

 シャラールはさっさと上に乗り、転送を受けていた。



「俺たちも帰るか。おーい、行くぞクリエル」



 壁の穴を出たり入ったりして遊んでいるクリエルに呼びかけると、トトトトと駆け寄ってくる。

 目の前でピョンと跳ね、木から木へと飛び移るモモンガみたいに俺の身体にしがみついてきた。



「おいおい、自分で歩けよ」



「あら、ここはおんぶに抱っこではないのですわね。壺仮面さんはわたくしを事あるごとにおんぶに抱っこしてくださいましたので、クセになってしまったのですわ。せっかくですのでこのまま連れていってくださいな」



 俺の背中に勝手によじ登り、リュックみたいにホールドしてくるクリエル。



「……しょうがねぇな」



 俺は子泣きじじいに取り憑かれたまま、ポータルをくぐった。



  ◆  ◇  ◆  ◇  ◆



 元のボスフロアに戻ると、花道ができていた。

 その真ん中には、レッドカーペットを歩いているかのような、しゃなりしゃなりとしたシャラールが。



「す……すげええっ! ポータルボスを倒すだなんて……!」



「さ、さすがリンドール学園のエース、シャラール……!」



「信じられん……! あんな小さな身体で、クリスタル・ガーディアン・クラブを倒すとは……!」




「この『タワークエスト』参加者のなかで、最強なんじゃないか!?」



「ううむ……その強さは、天井知らず……! いったいどこまで強くなるんだ……!?」



 羨望と賞賛をこれでもかと浴びるシャラール。

 花道を抜けると、詰めかけた仲間たちの手によって胴上げされていた。



「すごい……! すごいですっ! シャラールさんっ! まさか一番のボスを倒してしまうだなんて……!」



「すげぇーぞ! アタイらが戦った二番目のボスより、ずっと強い相手なのに……アタイらより早く倒しちまうなんて……!」



「有言実行なんて、素敵ですっ……! わたしもシャラールさんみたいに、デキる女の子になりたいですぅ……!」



 宙を舞うシャラールの、有頂天な高笑いが轟く。



「アハハハハハハ! アタシの手にかかればこんなもんよ! どーよ!? 見てる、タクミっ!? アタシがやったのよっ!? 誰も倒したことのないボスを、アタシが倒したのよぉーっ!!」



「……うらやましいですわ」



 ふと、俺の背後からボソリと声がした。



「ん? なんだクリエル。お前も胴上げされたいのか?」



「いいえ。シャラールお姉さまは、タクミ様と同じリンドール学園の生徒……きっとタクミ様は、活躍したシャラールお姉さまをどこかで見ていて……再会の暁には、きっとシャラールお姉さまの頭をいっぱいナデナデされるに違いありませんわ」



「……されたいのは胴上げじゃなくて、ナデナデってことか」



「はい。タクミ様にナデナデされるのは、すべての女の子の夢なのですわ」



「すべての女の子の夢、って……さすがにそんなことはねぇだろ」



「いいえ。すべての女の子が一生かかっても叶えたい夢なのですわ。それを証拠に、我がイポモニ純真女学院のアンケートでは、タクミ様にナデナデされたら即死してもよい、と全校生徒……いえ、教師陣に至るまで……いえいえ、近隣の街の方々まで答えているのですわ。100パーセントなのですわ」



「それ、どこの街だよ……まぁいいけど。でも、お前も可能性はあるだろ。がんばってれば、きっとタクミ様とやらが見てくれるさ」



「果たして、そうなのでしょうか……。シャラールお姉さまはタクミ様と同じ学び舎にいるので、タクミ様に見ていただける……。でも、わたくしはタクミ様とお会いしたこともない……隔世の差を感じるのですわ」



「まぁ、そう落ち込むなって。そういうのに限って、案外近くにいたりするもんなんだって」



「そうなのでしょうか……」



「そうだよ。……よいしょ、っと」



 俺は背中のクリエルに手をまわし、おんぶから抱っこの体勢に移行した。

 そして、子鹿の耳のような髪を撫でつけてやる。



「その、タクミ様とかいうヤツのかわりになるかはわからねぇけどな」



「んふふ……タクミ様でなくても、ナデナデはやっぱり良いものですわ。幸せな気持ちになれるのですわ」



 嬉しそうに目を細めるクリエル。

 その声は、沈んでいたのがウソのように弾みを取り戻していた。


 俺はちびっこ生徒会長の頭を撫でながら、祝賀会場のような賑やかな場所から離れる。


 さて、ボスを倒したってことは、5階への階段の扉も開いているはず。

 別働隊のリリンドとレイアンは、うまくやってるかな……?


 どれどれ、と様子を見に行ってみると……5階への一番乗り争いでケガした参加者たちを、かいがいしく世話をするふたりのプリーストがいた。



「ああ、もう痛くありませんからねぇ~。痛いの痛いの、とんでいけ~!」



「さて、もう大丈夫ですよ。え? お腹がすいた? では、こちらのパンをどうぞ」



 おそらく、押しのけられたケガ人を見てガマンできなくなっちまったんだろう。

 リリンドもレイアンも、作戦をすっかり忘れて野戦病院のように行ったり来たりしている。



「んまぁ、大勢のケガ人がいるのですわ。こうしちゃおれんのですわ」



 俺の腕からひょいと飛び降り、その輪に加わるちびっこプリースト。


 その背中を見送りながら、大きな溜息をつく。


 ……はぁ……やれやれ……でも、まぁ、いいか……。


 俺は5階への階段のふもとに腰掛け、三人娘の救護活動が終わるのをノンビリと待つことにした。

次回、5階へ…!


それと新作小説を掲載いたしました。

本作がお好きな方でしたら、同じく楽しんでいただけると思います。

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ゲーマーおっさん、ゴーレムに引きこもる…でもソレ、実はスーパーロボットですよ!?
本作が好きな方でしたら楽しんでいただけると思いますので、是非読んでみてください!


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