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俺の指圧がチートすぎる  作者: 佐藤謙羊
第2章 ハーレム修学旅行にイッてきます!
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33 握手会ならぬキス会

 俺は砂浜から立ち上がり、南国の草木が映えている茂みのほうに向かう。



「旦那様っ、どこに行くの!?」



 子ガモのようについてくるマーメイズ。



「とりあえず、火を起そうと思ってな」



「なんでー?」



 アネモスが、バカっぽく聞いてくる。



「今日はここで夜を明かすことになりそうだからな。火は必要だろ」



 手頃なヤシの木を見つけた俺は、頑丈さを確かめるためにパンパンと叩きながら答えた。



「ええっ!? こんなとこで寝るのかよっ!?」



 フォティアは、さも嫌そうだ。



「しょうがねぇだろ……ここは無人島っぽいから、他に寝る場所なんてねぇし」



 俺はヤシの木に登るべく、幹に足をかけながら答えた。



「ええっ……無人島って……ここにはどなたも住んでおられないんですか?」



 セリリムはひたすらおどおどしている。



「まだ内陸を調べてねぇから、そうとは言い切れねぇけど……普通は島に人が住んでるんだったら桟橋のひとつもあるはずだろ? でも、この島には見当たらなかった」



 俺はサルのようにスルスルと、ヤシを登りながら答えた。



「ははぁ~、木登りうまいんだね、旦那様。……あ、そうだ、火だったらあるよ」



 ミューティは感心した表情で俺を見上げながら、思い出したように言う。



「なに? マッチでもあるのか?」



 てっぺんまで登った俺は、ヤシの実をねじっていたんだが……その手を止める。

 見下ろすと、ミューティは両手をヒラヒラさせてフォティアを扇いでいた。



「じゃじゃーんっ! フォティアちゃんは、火の魔力の使い手でぇーっす!」



 当のフォティアは、人さし指で鼻をこすりながら照れている。



「そっか……あたしってそういや、火を出せるんだったな……」



 どうやら言われるまで忘れていたらしい。



「……ちょっと待て、お前ら」



 俺はヤシの実から滑り降り、マーメイズの元に戻る。



「そういや四人とも、魔術師だったんだよな……もしかしたら長いサバイバル生活になるかもしれねぇから、ひとりひとりできることを教えといてくれ」



 よく考えたら俺は四人とはキスまでしてるのに、名前くらいしか知らなかった。

 すると、マーメイズたちはいかにもアイドルっぽく自己紹介してくれる。



「はぁーい! 水気(みずけ)、築け、届け! ウォータープリンセス、ミューティだよっ! さあっ、みんな、集まってぇー! でないと冷たいお水、ぴゅーってしちゃうよ!」



 水色のロングヘアとお揃いのステージ衣装を、キラリンと輝かせながらポーズを決めるミューティ。


 前向きで頑張り屋っぽい、マーメイズではリーダー的存在のようだ。

 自己紹介から察するに、水の魔力の使い手だろう。



「よおっ! 火気(かき)、元気、勇気! 炎の麗人、フォティアだぜっ! ヘイ、カモンッ! みんなのハートに火をつけちゃうぞっ!」



 赤いショートヘアにピッタリの、ボーイッシュなステージ衣装を、炎のようにきらめかせながらポーズを決めるフォティア。


 勝ち気で強気な、マーメイズの切り込み隊長なんだろう。

 さっきもミューティから紹介があったが、炎の魔力の使い手だ。



「いぇーいっ! 風来(ふうらい)、馴れあい、大笑い! 超ウケるのは、アネモスっしょ! さあっ、アゲアゲでいこーっ!」



 金髪のサイドテールが映える緑色のヘソだしルック、つむじ風を巻き起こすかのようにくるりんと回ってポーズをとるアネモス。

 回った拍子に、切り詰めたスカートがぶわっと翻る。ステージ上だと見えちゃうんじゃないかと心配になるほどに。


 いかにも今どきなギャルといった感じで、マーメイズのムードメーカーっぽい。

 たぶん……風の魔力の使い手だろう。



「こんにちは! 大地(だいち)、期待値、ぴかいち! 不束者ですけど、よろしくお願いいたします! セリリムですっ!」



 ブラウンのおかっぱ頭にフリルいっぱいのステージ衣装、まるで新人アイドルみたいに緊張しながらペコリと頭を下げるセリリム。

 健気さと清らかさをこれでもかと放つ、マーメイズの良心といった感じだ。


 水・火・風ときたから……地の魔力の使い手だろうな。


 そのあと、マーメイズは集合して頬を寄せあい、



「「「「あなたに全てを届けたい、エレメンタルアイドル……マーメイズですっ!!」」」」



 両手をバッと前に広げる、可愛らしい決めポーズをとる。


 俺は見事なパフォーマンスに、「おお~っ」と思わず拍手をしたんだが……当のマーメイズの表情はすぐれなかった。



「あ……あれ?」「なんでだ?」「おかしいなー?」「どうしたんでしょうか……?」



 四人は顔を見合わせあって、首をひねっている。



「……どうしたんだ?」



 俺が尋ねると、カラフルな少女たちは一斉に顔をこちらに向け、



「「「「魔法が……出なくなっちゃった……!!」」」」



 困惑した声をハモらせた。


 よくよく聞いてみると、いつもは最後の決めポーズでそれぞれの魔法を手から出すらしい。

 ミューティは水、フォティアは火、アネモスは風、セリリムは植物の芽、といった具合に。


 それがなぜか、出なかったそうだ。


 四人は首をかしげながら何度も呪文を詠唱し、得意の魔力を使おうとしていたのだが……何度やっても手からはケムリすら出ていなかった。



「おっかしいなぁ……?」「なんで? なんでだよっ!?」「ええーっ、ありえなくなーい!?」「ぜ……ぜんぜん出ませぇん!」



「……うーん、よくわからねぇが、魔法が使えないみたいだな……お前らが原因究明してる間に、俺は火を起こすよ」



 妖しい新興宗教みたいに手をかざし続ける四人をよそに、俺はいちど降りたヤシの木に再び登っていった。



  ◆  ◇  ◆  ◇  ◆



 俺はヤシの実をとり、食べられる木の実やキノコを集め、乾いた木をこすりあわせて火おこしをする。

 マーメイズたちは魔法を使うのを途中であきらめてしまったのか、俺のまわりを取り囲んで火おこしを眺めていた。



「……旦那様、マジすごい。こんな木だけで火がつくれるなんて」



 すりこぎのようにゴリゴリと回転する棒を、じゃらしを前にした猫みたいな瞳でじーっと見つめるアネモス。



「学園の授業でサバイバル術を選択してたからな。でも、そんなに感心するほどのことじゃねぇよ」



「サバイバル術を選択しているのは、戦士課と盗賊課の方ばかりですから、魔力課のセリリムたちにはとっても珍しいです」



 同じく瞳を輝かせ、見入っているセリリム。



「そういえばそうか……でも、シャラールとかもできると思うぞ」



 俺がシャラールの名前を出したとたん、マーメイズは揃ってジト目になった。



「旦那様……私たちといるときに、他の女性(ひと)のことなんて言っちゃダメ!」



「旦那様、マジでさいってー」



「まだ正式な奥さんではありませんけど……悲しいですぅ……」



「おい、旦那様、罰ゲームだ、罰ゲーム!」



 黄色い声の集中砲火を浴びてしまう。

 俺はこんな風にヤキモチを焼かれるのは初めてだったので、思わず土下座せんばかりに謝り倒してしまった。



「あっ……わ、悪い悪い! 俺、そういうのよくわかんなくってさ……!」



 平謝りする俺をよそに、罰ゲームを相談しあっているマーメイズ。

 女ってのは、ここまで謝ってるのに許してくれねぇのかよ……。


 結局、『ひとりずつ愛をささやきながらキスをする』という罰ゲームをさせられるハメになった俺。

 それよりも火おこしをしなきゃいけねぇのに……と思ったけど、それを言うとさらにヘソを曲げられそうだったので、おとなしく従った。


 横一列に並んでキス顔を作り、俺を待ち構えるマーメイズ。

 ここは無人島かもしれねぇけど、人気アイドルが外でこんなことしてていのかよ……。


 でも当人たちは乗り気のようだったので、いろいろ言うのは野暮かと思い……俺は黙って一番手のミューティの前に行った。



「き……キレイなマリンブルーの髪だね……目の前に広がる海よりずっと素敵だよ、ミューティー……」



 俺はミューティの髪を撫でつけながら、唇を重ねた。

 波の音が、寄せては返すのをふたりで聞いたあと……唇を離すと、ミューティは少しはにかんだように「……えへへ、許してあげる」と微笑んだ。


 俺はドキドキする気持ちのまま平行移動して、次はフォティアの前に移動する。



「そ……その……燃えるような瞳……見ているだけで、キミに恋い焦がれてしまうよ……フォティア……!」



 俺は略奪するかのように、フォティアにブチュッと熱いベーゼをかます。

 お互いの唾液がまざりあったところで、唇を離すと……フォティアはごっくん、と喉を鳴らして「……うめぇな、旦那様……!」と不敵な笑みを浮かべた。


 なにがうまかったんだろう……? と疑問を抱きつつ、次はアネモスの前に行く。



「あ……アネモス……俺ピッピとこのあと、オールでパコろうぜ……!」



 言葉の意味もわからぬまま、アネモスの唇に吸い付く。

 ちなみに今までの、俺のセリフと行動はぜんぶ女性陣が考えたものだ。


 積極的に舌を絡めてくるアネモス。

 俺がぷはっと唇を離すと……フォティアは「へへっ、旦那様……マジ肉食系!」と歪んだルージュを小悪魔のようにひと舐めした。


 さて、最後だ……とセリリムの前に移動する。

 セリリムは緊張しているのか、目をきつく閉じたまま震えていた。



「せっ……セリリム……お前はもう、俺のもんだ……いいな?」



 小さなアゴをクイッとやって、問答無用とばかりにチュッとしてやる。

 小鳥のようなキスのあと、セリリムはおそるおそる瞼を開いたかと思うと、



 「は……はい……セリリムは一生、旦那様のものです……」



 と恋する乙女のように、潤んだ瞳で言った。


 はぁ……これでやっと終わった……と額の汗を拭っていると、違和感に気づく。

 セリリムの隣には、新たに列に並び、キス顔をつくっているメンバーがいたんだ……!


 その日、俺は日が沈むまで握手会……ならぬキス会をさせられた。

次回こそ、いよいよアイドルたちとサバイバル…!


それと新作小説を掲載いたしました。

本作がお好きな方でしたら、同じく楽しんでいただけると思います。

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ゲーマーおっさん、ゴーレムに引きこもる…でもソレ、実はスーパーロボットですよ!?
本作が好きな方でしたら楽しんでいただけると思いますので、是非読んでみてください!


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