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俺の指圧がチートすぎる  作者: 佐藤謙羊
第2章 ハーレム修学旅行にイッてきます!
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30 新婚初夜はママの味

『ああっ……! ごらんくださいっ! 花嫁のクーレ王女が、ステージを駆け上がっています! つまづきそうになりながらも、優勝者であるタクミクン様を抱き上げ……あついベーゼをかわしましたっ…!!』



 表彰のステージに先にあがり、花嫁を待っていた俺は、動けずにいた。

 わんわん泣きながらやってきたクーレ先生に、がばっとお姫様抱っこされ、問答無用でキスされたからだ。



『信じられませんっ……結闘の儀において、初めてのことですっ! 賞品である花嫁はいつも嫌がっていて、花婿に力ずくで唇を奪われるのが常でしたっ! でも……今回はいつもとは逆ですっ! 花嫁のほうから、すすんで唇を重ねたのです……!』



 クーレ先生の唇は、あたたかくて柔らかいのに、力強さを感じさせて……。

 なんていうか、本当に赤ちゃんに戻ったみたいに、吸い付きたくなっちまうんだ……!



『おおっ!? タクミクン様も、クーレ王女の首に手をまわしました! おたがい、奪い合うように口づけを交わしています! あああっ!? ご、ごらんください! クーレ王女の首を……! アザが浮かび上がっています! ということは……ふたりは相思相愛っ! タクミクンの様の腕にも、十個めとなるアザが現れているに違いありませんっ!!』



 バックスクリーンには、ひとつになっている俺たちの唇と、クーレ先生の白い首筋のアザが、同時に大写しになっていた。

 観客たちは、指さして叫んでいる。



「す……すげえっ……! おっとりで有名なクーレ王女が、あんなに積極的に……!」



「女のほうからキスをすることなんて、あるんだ……!」



「俺も……いつも顔をそむけられるから、無理矢理ヤッてたぜ……!



「きっと……クーレ王女は、本当にタクミクン様が好きなんだ……!」



「あれが……本物の愛、ってやつなのか……!?」



「そうに違いねぇ……! 見ろよ、クーレ王女の顔……! あんなに幸せそうな女の顔、見たことあるかっ……!?」



「ああっ……あれが、心の底から男を愛した、女の顔だっていうのか……!?」



「顔だけじゃねぇよ! もう絶対離しそうにないくらいに、タクミクン様を抱きしめてるぜ……!」



「しっかしタクミクン様、女と比べても華奢だなぁ……あんなに抱きしめられたら、こわれちまうんじゃねぇか……!?」



「そうだよ……やべぇよぉ……! あんなにちっちぇえのに、メチャクチャに強くて……女にメチャクチャに愛されるなんて……!!」



「とんでもねぇ……やっぱりとんでもねぇお方だよ……タクミクン様……!!」



「くそっ!! もう……平地族(グランドラ)とか、どうでもいい!! 俺は……俺はタクミクン様についていくぞっ!!」



「俺もだっ……! 俺もあんな男になりてぇ!! 底なしに強くて……底なしに愛される男に……!!」



「タクミクン様っ……!! タクミクン様ぁーーーっ!!」



 そして巻き起こる、タクミクン様コール。

 クーレ先生にがっしりとホールドされていたので、俺は手だけ挙げて答えた。


  ◆  ◇  ◆  ◇  ◆


 俺とクーレ先生のキスは、まわりの従者から引き剥がされるまで続いた。

 それでもクーレ先生は俺を手離そうとはしなかったので、俺は抱っこされたままで、結婚式が執り行われた。


 この国の結婚式は、新郎の足元に新婦がひざまずいて、屈辱的な誓いの言葉を述べなくてはいけないらしい。

 だが俺は、それらを全部跳ね除けた。


 クーレ先生は俺と結婚したいあまり、すすんでそんなバカなことをやろうとしていたので、押しとどめる。


 いい機会だからと、俺はクーレ先生の腕から飛び降り、司会進行役の拡声棒を奪い取って宣言した。



『おい……! この国はずいぶんと、男尊女卑がひでぇみたいだなぁ……! だがそれも今日で終わりだ! 俺がこの国の法を変えてやる!! あ……あとそれと、俺の呼び名も変えろ! 俺はタクミクンじゃなくて……タクミだっ!!』



 静まり返った闘技場……いや、静まり返った国じゅうに、俺の声がとどろく。



『いいか! ダリスの男と女は、今日から平等だっ! 女の意見を取り入れた、大規模な法律改正を行う! たしかこの国は、王族の結婚式だけじゃなく……立法も闘技場でやるんだよなっ!? 対立する意見の代表者どうしが戦いあって……勝ったがほうが正義……法律となるって!』



 いつの間にか、俺のまわりには衛兵のようなヤツらがじりじりと近づいてきていた。

 王様から、俺の演説を止めるよう命令されたようだが……どいつもビビっていて、お前行けよ、みたいになっている。


 俺は、目で牽制しながら続けた。


『……よぉし、せっかくだから、今から反対意見を聞いてやるよっ! 俺の考えが気に入らねぇヤツは……いますぐ出てこいっ! 一人ずつなんて、セコいことは言わねぇ……全員まとめて相手してやるよっ!!』



 俺は挑発的な笑みを、ぐるりと観客席に投げかける。

 が、誰もが固まっており……声をあげることすらしやがらねぇ。


 ステージにいる他の王族や、来賓席にいる貴族どもを睨みつけてやったが……どいつもこいつもデカい図体を、限界まで縮こませて目をそらしていた。

 授業中に、先生に当てられまいとするバカ学生みたいになっている。



『なんだ? 誰もいねぇのか……? なら決まりだなっ!! 今日からこの国は……男女平等っ!! この中継を見ている女どもっ!! お前たちは……いまから自由だっ!!』



 「わあーーーっ!!」という黄色い歓声が、大空に舞う。

 観客席からじゃない。さらにその外側……闘技場の外にある、家々からの声だった。


 きっと……くだらねぇ決まりで家に閉じ込められている、女どもの声だろう。



『この決定のあとになってもなお、お前たちに力ずくで言うこと聞かせようとする男がいたら……俺んところに来いっ!! ……あのゴルヌイみてぇにしてやっからよっ!!』



 俺は天を仰ぎながら、外にいる女たちに向かって呼びかけた。

 そして……再び観客席に視線を落とす。



『……おいっ、わかったのか!? 野郎ども……!? わかったら、全員起立しろっ!!』



 俺の一喝に、ざざあっと一斉に起立する、むくつけき男ども。

 王様も、貴族も、観客も……そろって俺に向かって、直立不動になっている。



『……返事はっ!?!?』



『……はっ……はいいいいっ!!!!! タクミ様っ……!!!!!』



 野太い声のサラウンドが、重低音のように俺の鼓動を突き上げた。


 これだけの数のむさくるしい男に、畏敬の視線を向けられるのは……俺の人生でも例のないことだ。

 暑苦しさがハンパなかったが、高揚感もハンパねぇ。


 ハイラウト王国のときは、小学校の校長先生になったような気分だったが……今の俺は、男塾の塾長になったような気分だった。



  ◆  ◇  ◆  ◇  ◆



「はぁい、ぎゅーってして……なかよし、なかよし」



 新婚初夜のベッドの上で、俺はなぜか、他の女と握手をしていた。


 クーレが、俺と仲直りさせたい子がいる、といって連れてきた女……それは他でもない、ウェナーだった。



「……これで許されるとは思っておりません。然るべき処罰はお受けします」



 俺の手を、こなし作業の握手会のごとく事務的に握っているウェナー。



「そんなぁ、せっかくこうしてなかよししたんだから、ねっ?」



 絡み合う俺とウェナーの手を、上から包み込んで、幼稚園の先生みたいに言うクーレ。



「……クーレにはかなわねぇなぁ……ま、いいけどな。俺ももう気にしてねぇし」



 俺はあっさりと、ウェナーを許した。

 しかしウェナー自身は、納得がいかないように首を左右に振っている。



「いいえ。それでは次期国王として、民にしめしが……」



「もういいって。お前はお前で、クーレの幸せを願ってやったことなんだろ? 俺よりもゴルヌイと結婚したほうがいいと思って、妨害に加担したんだろう?」



「ええっ!? そんなぁ!? わたしはタクミくんじゃなきゃイヤなのにぃ!?」



 さも心外といった感じの悲鳴をあげるクーレ。

 ウェナーは答えず、貝のように口を閉ざしたままだった。



「あ……あの~……私も『なかよし』していいですか?」



 それまで黙って見ていた人物が、横からひょっこり顔を突っ込んでくる。

 リンディだ。なぜかウェナーと一緒になって、俺とクーレの愛の巣に邪魔しにきたんだ。



「みなさんが手を握りあってるのを見てたら、なんだか羨ましくなっちゃって……」



「はぁい、じゃあリンディちゃんも、なかよし~」



 クーレは分け隔てなくリンディの手をとって、一緒に握りしめた。



「うふふ、じゃあせっかくだから……みんなでおねんねしましょうか?」



 そして、とんでもないことを言い出す。


 ほっこりした微笑みで、なんてことを言うんだこの人は……!

 それでも教育者か……!?



「クーレ様のお言葉であれば」



 と、平然とした態度を崩さないウェナー。



「あっ、いいんですか? じゃあせっかくだから、お言葉に甘えて……」



 まるで夕食にでも招かれたかのように、気軽に応じるリンディ。


 俺はひとり信じられない様子で、巨女たちを見回していると……クーレはもじもじと指を絡めあわせながら、恥ずかしそうに口を開いた。



「……あのね、タクミくん……。おねんねする前に、わたしのお願い、聞いてくれない?」



「な……なんだ?」



 俺は何度も唾を飲み込みながら、聞き返す。

 これ以上のとんでもないことは、さすがにないだろうと思いながら。



「……実をいうとね、タクミくんに保健室で助けられたときから……ずっとタクミくんにおっぱいをあげてみたかったの……。あの、哺乳瓶とかじゃなくて、わたしのおっぱいを……」



「なっ、何を……!? おっぱいって、出ないだろ!? それともまさか……!?」



 俺はベッドの上を後ずさる。感情のまま口から出た言葉を、途中で飲み込んだ。


 も……もしかして……すでに他の誰かの赤ちゃんを身ごもっていて……おっぱいが出ちゃうとか……!?

 あ、いや……! 出るとか出ないとか、今はそういう問題じゃねぇだろっ!!


 俺はひたすらうろたえていたんだが、横にいたウェナーがさらりとつけ加えてきた。

 ぐっと、俺の腕を掴みながら。



「……ダリス・フェミナの女は、妊娠、出産をしていなくても、飲ませたいと思う相手がいれば母乳が出ます。私もクーレ様と同様に、タクミ様への授乳を行えます」



 さらにリンディが、昼飯を食う場所でバッタリ会ったみたいな気軽さで誘ってくる。

 ウェナーとは逆の腕を、ぐいっとたぐり寄せながら。



「あっ……奇遇! 実は私もタクミ様のマッサージを受けてから、母乳が出るようになっちゃって……! せっかくだから、ご一緒させてください!」



 そして迫ってくる、六つビッグマウンテン。

 包囲網のように狭まっていくと、山々は一列に連なって……ヒマラヤ山脈となった。



「えっ……ちょ……待っ……! んむむむぅっ!?」



 肉の檻に囲まれた俺に、逃げ場はなかった。


 巨大マシュマロのような、やわらかいものに顔全体を覆われ……口元にはグミのような感触。

 チュッと口に含むと、甘露が口いっぱいに広がった。



「はぁい、タクミくん、おいしいでちゅか~?」



 子守唄のようなやさしい声が、俺の耳をくすぐる。

 ぷはっ、と口を離すと、すぐそばでピンクのおしゃぶりが待ち構えていた。



「次はこっちですよぉ? タクミ様……ふふっ、いっぱいチュウチュウしてくださいねぇ」



「……どうぞ、タクミ様。……んんっ……! そ、そんなに強く吸われては……!」



 鉄面皮のメイドが、初めて人間らしいリアクションをした瞬間。


 ……その後も飽きることなく、吸い口たちは俺のディープキスをせがんできた。

 三人分の母の味。俺はもうヤケになって、唇だけじゃなく、舌や歯も使ってじっくりと味わう。


 最中、薄目を開けた俺は……ふと気づいた。

 メイドと、リポーターの首筋にも……真実の愛を示すアザが、浮かび上がっていることに……。

クーレ編はこれにて終了です。

次はどうするか考えてませんが、たぶんミューティ編か、ぜんぜん違う話になるかもしれません。


それと新作小説を掲載いたしました。

本作がお好きな方でしたら、同じく楽しんでいただけると思います。

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★新作小説
ゲーマーおっさん、ゴーレムに引きこもる…でもソレ、実はスーパーロボットですよ!?
本作が好きな方でしたら楽しんでいただけると思いますので、是非読んでみてください!


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