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俺の指圧がチートすぎる  作者: 佐藤謙羊
第2章 ハーレム修学旅行にイッてきます!
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17 巨乳の国へ

 俺とクーレ先生の乗る列車は、登山列車のように高地へとのぼり、『ダリス・フェミナ』の駅に着いた。


 荒野のハイラウト王国とは違い、高原にあるのでかなり涼しい。

 駅を出た瞬間から、避暑地みたいなさわやかな風を感じる。



「行こっ、タクミくん」



 クーレ先生は当たり前みたいに俺の手を取ると、駅を出てすぐの大通りに向かって歩きだした。


 大通りは、パステルカラーのレンガ造りの建物が立ち並んでいる。

 まるでレゴブロックみたいに、オシャレでカラフルだ。


 そして女の国と呼ばれるだけあって、街中は高原族(ハイランド)の女性だらけ。


 みんな若くて、モデルみたいに高身長でナイスバディ。

 本当に目のやり場に困る……と思っていたら、なぜかみんな俺たちのほうを見ていた。


 正確には俺というよりも、クーレ先生だ。

 みんなざわめきながら、クーレ先生に注目している。



「あれって……クーレ・メディケ様じゃない?」



「あ……ほとんだ! いつお戻りになられたんだろう?」



「ご結婚が噂されてたから、いよいよみたいね……!」



「隣にいる男の子は誰なんだろう、もしかして、結婚相手かな?」



「まさか、クーレ様はダリス・フェミナの王女様だよ、あんなひ弱で、子供みたいにちっちゃい男の子なんて相手にするわけないじゃない!」



「それもそっか、アハハハハハハハ!」



 妙齢の女性特有の、黄色い声の噂話が耳に飛び込んでくる。

 俺とクーレ先生の身長差は30センチ以上あるから、まあ恋人というよりは大人と子供だよな……。



「わぁ、懐かしい! 子供の頃はこの大通りでよく遊んでたんだよ!」



 クーレ先生は衆人の注目など気にもとめず、懐かしさに浸っている。



「あの……クーレ先生?」



「なあに? タクミくん」



「クーレ先生って、この国の王女だったりするんですか?」



「うん、お姫様だよ。言ってなかったっけ?」



 まるで今夜はスキヤキよ、みたいな軽さで言うクーレ先生。

 もちろん俺は初耳だったが、あまり驚かなかった。


 なんたって昨日は子供だらけの国で、王女をペットにして引きずり回してたんだからな。

 それに比べれば些細なことだ。


 ふとクーレ先生は、道端にあった路上販売で足を止める。



「あっ、そうだタクミくん、ミルク飲む? この街の名物なんだよ」



 そういえばここダリスは、畜産が盛んだって聞いたことがある。

 だからおいしい牛乳が名物だったりするんだろう。



「ミルクですか、いいですね」



「じゃあ買うね。すいませーん、ミルクひとつくださーい。人肌のベビーボトルで」



 ……なにか引っかかる注文内容だな、と思っていたら、



「はあいタクミくん、おまたせ~。チュッチュしましょうね~」



 哺乳瓶を突きつけられた。

 「いや、さすがにそれは……」と断ると、クーレ先生は息子に暴力を振るわれたみたいに涙目になる。



「そっ、そんなぁ……! わたしもこのミルクを飲んで育ったんだよ?」



「ミルクを遠慮してるんじゃないんですよ、その入れ物を遠慮してるんです!」



「そんなあぁ……わたしもこの入れ物で飲んでたのに……赤ちゃんの頃は……!」



 やっぱりこの人は、俺を乳児あつかいしようとしている……!


 しばらくクーレ先生と押し問答していると、通りの向こうからザッザッザッと大勢の男たちがやって来る。

 上半身裸の男たちで、人が乗る神輿みたいなのを担いでいた。


 高原族(ハイランド)の男たちは、みなヘビー級の格闘家かってくらいデカくてゴツいので、やたらと迫力がある。

 脳まで筋肉になってそうな男たちは、俺たちの前にやってくると神輿を降ろし、壁のごとく取り囲んできた。


 そして一斉に直立不動になると、



「ダリス・フェミナの王女……クーレ・メディケ様!! 王城よりお迎えにあがりましたっ!! どうぞお乗りください!! ……メディケ様に合唱っ!!」



『おかえりなさいませっ、メディケさまぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁーーーーーーーーーーーーっ!!!』



 うるさくてむさ苦しい雄叫びが、華やかな街中じゅうに号砲のように轟いた。



  ◆  ◇  ◆  ◇  ◆



 俺とクーレ先生は、半ば無理矢理に神輿に乗せられると……ワッショイワッショイと王城まで連れて行かれてしまった。

 謁見場までダイレクトで通されて、ようやく神輿を降ろされる。



「おお! クーレや! よくぞ戻った!」



 玉座から駆け下りるようにして近づいてきたのは、中年ボディビルダーみたいなマッチョな王様だった。

 そこから三歩さがって、ドレス姿の女の人がついてきている。



「……ああっ! ただいま! パパ、ママ!」



 そのふたりと嬉しそうに抱き合うクーレ先生。

 どうやら、先生の両親みたいだ。



「クーレよ、ちょうど今そなたの結婚式の話をしておったところだ! こちらが新婦となる『ダリス・バンディ』の王子、ゴルヌイ殿じゃ!」



 王様が手招きして呼び寄せたのは、ひときわデカイ男だった。


 3メートルはある身長で、肩のところに熊の顔が来るようにして、剥製をまるごと羽織っている。

 上着の下は、筋肉を見せつけるためなのか、ボンテージみたいな革ベルトとレスリングパンツ一枚しか身に着けていない。


 まあ、簡単に言うと……変態の格好だ。

 しかし、デケェなぁ……! 今まで見た高原族(ハイランド)のなかでも、ダントツのデカさだ……!


 その規格外のデカブツは、まわりを威嚇でもしているのか……ひと足ごとにドスン、ドスンと象のように踏みしめて歩いており、やかましくてしょうがない。


 クーレ先生の身体を品定めするように、ジロジロと見まわしつつ近づいてきたかと思うと、



「ほほう……そなたがクーレか! 強い子を宿せそうな腹と、強い子を産み落とせそうな尻……! そして強い子に育てあげられそうな、いい乳をしておる……! 気に入ったぞ……!!」



 初対面のはずなのに、いきなりのセクハラ発言。

 それだけでは飽き足らず、クーレ先生の腰を掴んで力任せに抱き寄せやがった。



「……きゃっ!? や、やめてくださいっ!?」



 クーレ先生は、明らかに嫌がっている。

 だがゴルヌイとかいうヤツは大口を開け、ガハハハハ! と下品に笑い飛ばしていた。



「恥ずかしがることはない! ダリス最強の男である、我が種を授けてやると言っているのだ……! 栄えある100人目の子を産ませてやる……! 女にとって、このうえない名誉をそなたに贈ろう……!!」



「け、結構ですっ! わ、わたしには、え、えーっと……」



 そこでチラッと、俺を見るクーレ先生。

 困り顔の先生に向かって、俺は大きく頷き返してやった。



「た……タクミくんという、将来を誓いあった人がいるんです! ……えっへん!」



 クーレ先生はなぜか自慢するみたいに、大きく胸を張る。

 恋人がいると聞いた途端、ゴルヌイは不機嫌そうに眉根にシワを寄せた。



「あぁん……!? 将来を誓いあった人……だとぉぉぉぉぉぉっ!?!?」



 ゴルヌイに怒鳴りつけられ、クーレ先生はすっかり怯えきっている。


 ……しかし、いったいどうなってんだ?

 娘があんな目にあってるってのに……両親は仲裁どころか、一声かけることもしないなんて……。


 父親であるはずの王様は黙って見てるだけだし、母親の女王様にいたっては悲しそうに目を伏せているだけだ。


 誰も何も言わねぇから、ゴルヌイの横暴は止まらねぇ。

 ……そろそろ俺の出番か? と思っていると、



「タクミクンってのは、どこのどいつだぁっ!?」



 ……ちょうどいいタイミングで、お呼びがかかった。

 俺はクーレ先生の元まで歩いていって、ゴルヌイの手に触れる。



「……おい、汚え手で触るんじゃねぇよ」



 そう声をかけてやると、ゴルヌイはようやく俺の存在に気づいたようだ。

 足元にいる虫けらを見つけたみたいに、睨みおろしてきやがった。



「ああん? 何者だ、貴様……!? 吹けば飛ぶような平地族(グランドラ)風情が、イキがると後悔するぞ……!」



 俺も負けじと睨みあげる。



「……いからこの手を離せってんだよ」



「フン、ダリスの国は力こそすべて……! 相手を従わせたければ、言葉ではなく、力ずくでやってみるんだなぁ!!」



「そうかい、じゃあそうさせてもらうよ」



 俺はゴルヌイの手を掴み、軽く引っ張ってみた。



「ガハハハハハハハ! ぬかしよる! 貴様のようなひ弱な人間では、この俺様の指一本ですら、動かすことはかなわぬ……! って、ああっ!? あれれれれれれっ!?」



 ヤツはクーレ先生の腰をガッチリと押さえていたつもりなんだろうが、あっさりと俺に引き剥がされて目を白黒させている。


 クーレ先生はゴルヌイの魔の手から抜け出し、俺の背後にサッと隠れた。

 体格差があるので全然隠れられてないが……本人は隠れているつもりで身を縮こませている。



「な……なぜだっ!? ち……力を入れてるのに……!?」



 俺に掴まれている手を振りほどこうと、さらに力を込めるゴルヌイ。

 丸太みてぇな腕が、モリモリと膨れ上がる。


 だが、いくらやっても無駄だ。

 なんたって俺は、ヤツの手にある『ドレイン・ラヴィーン』のツボを押してるんだからな。


 人さし指と親指の付け根の間にあるツボ……これを刺激してやると、手と腕の力を完全に奪うことができる。

 ヤツがたとえ全身全霊を振り絞ったとしても、俺にとっては人形の手も同然になるんだ。



「どうした、力比べは得意じゃないのか……? それとも、その筋肉は飾りか?」



 挑発してやると、ゴルヌイは顔を真っ赤にして震えだした。



「くっ……!! こ、このっ……!! 言わせておけばぁぁぁぁぁぁっ!!!」



 空いているほうの手を振りかざし、殴りつけようとしてくる。

 俺はコイツに先に手を出させた上で反撃して、ちょっと懲らしめてやろうと思ってたんだが、



「よさぬかっ!!!」



 王様の一喝を受け、ゴルヌイは振り下ろそうとしていた拳をピタッと止めた。



「ゴルヌイ殿……!! 女をめぐって市井で争ってよいのは、野良犬と下賎の者のみ!! 王族の女を得るためには……『結闘の儀』が必要であることは、そなたも知っておろう!?」



 ずっと黙っていた王様だったが、ここに来てようやく威厳を見せる。

 でも……『結闘の儀』って、いったい何だ?



「で、では……ゆくゆくは我が父となる王よ……! さっそく『結闘の儀』を執り行っていただきたい……!」



 ゴルヌイは拳をおろしながら、王様に向かって訴えかけた。

 王様は「うむっ!」と大きく頷くと、バッと手を掲げ、



「……よく聞け、皆の者! 明日の昼に、クーレの結婚相手を決める、『結闘の儀』を行う! それまでに準備を終わらせるのだ! そこにいる2名……ゴルヌイ殿とタクミクン殿に加え……他の参加者を募り、闘技場を整備せよっ! なお……これは最上位命令とする!! 今すぐにかかれっ、よいなっ!?」



『……はっ! ははーっ……!! 日暈(にちうん)の賜り……!!!』



 謁見場にいた者たちが、一斉に跪く。

 俺たちを神輿で運んできたヤツらはもちろん、その場に居合わせた貴族や神官、さらにはゴルヌイやクーレ先生まで。



「……えーっと、いったい何すんの?」



 そんな中、俺はただひとり立ち尽くしていた。

次回、結闘の儀、前夜…!

何者かが、タクミの元に…!

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