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俺の指圧がチートすぎる  作者: 佐藤謙羊
第2章 ハーレム修学旅行にイッてきます!
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09 美少女ペットと凱旋

09 美少女ペットと凱旋

 巨鳥セルドゥに乗って、俺とスジリエは『サンロックの街』をあとにした。


 空を飛ぶ生き物に乗るのは、前世でもなかったことだ。

 飛行機よりもずっと低空飛行で、山の頂上をギリギリかすめる高さを飛んでいるからスピード感がハンパねぇ。


 眼下に広がる山や森。緑の海の上を飛んでるみたいだ。

 時折、浮島のように集落が出現するんだが、あっという間に通り過ぎていく。


 全身を撫でるように吹き抜けていく風、隣をVの字になってタンデムする鳥たち……!

 まるで俺自身も、鳥になったみてぇだ……!



「おおおおっ! すげえぇ……! はえええっ! ひょおっ! さいっこおぉぉぉぉーーーっ!!」



 俺は絶叫マシンに乗っているみたいに叫びっぱなしだ。

 スジリエはずっと隣でニコニコしている。



「そこまで喜んでいただけると、わたくしも幸せです。あっ、タクミ様、あちらをご覧になれますか?。あちらが目的地の、ハイラウト王国です」



 途中でスジリエが指さした地平線の先には、荒野が広がっていた。

 オレンジ色の大地にひときわ巨大な岩山があって、そこの頂上を削り出して作った城、そして中腹から麓にかけて、岩にへばりつくようにびっしりと並ぶ家々がある。



「おおっ、すげえ! 岩山がひとつの国になってるのか! ……でも、もう着いたのかよ!」



 ハイラウト王国は立派なところだったが、それよりも俺はフライトが終わるのが残念でならなかった。



「でしたら、この付近をぐるっと一周して、ご案内してから着陸いたしましょうか?」



「おおっ、それで頼む!」



 スジリエの提案に俺は即答し、フライトは少し延長された。


 このあたり一帯は地底族(ロウキャス)の領地となっており、アメリカの西部劇とかに出てきそうな、乾いた荒野だ。

 かつては地底で暮らしていた名残からか、荒野にたくさんある岩山を削って住居を作るのが一般的になったそうだ。


 荒野の中でいちばん大きな岩山が、ハイラウト王国の首都となっている。

 そして近隣には、スジリエの叔母にあたる女王が統治する『ハイヴァスト王国』があるらしい。


 地底族(ロウキャス)たちの領地は、現在はその二国によって統治されております。

 力がないといわれる地底族(ロウキャス)が栄えることができたのは、他の種族よりもペットテイミングの技術に長けていたからなのです……とスジリエは遊覧飛行をしながら教えてくれた。



「では、お空はこのくらいにして……大地へとまいりましょう。せっかくですので街を通って、(たみ)にお顔を見せつつ、お城へとご案内しますね」



 スジリエはセルドゥに声をかけ、城下街の広場へと舞い降りた。



「あっ! スジリエ姫のセルドゥだ! 姫様がお戻りになったよ!」



 街の人たちはこのデカい鳥のことを知っているのか、着陸場所に集まってくる。

 ここは地底族(ロウキャス)の国だから当たり前なんだが、取り囲んでいるのは小さな子供たちばかりなので、実に不思議な気分だ。



「……はい、タクミ様、凱旋ですよ」



 スジリエは自らの首輪につけられたチェーンを、俺に差し出してくる。

 言われるがままに受け取ると、



「街に降り立った時点で、わたくしはタクミ様の後ろについてまいりますので、タクミ様は行きたい方向に鎖を引っ張って、わたくしを連れ回してくださいね。坂道のほうにあがっていきますと、王城にたどり着きますので、そこを目指していただければ」



「あ、ああ……」



 俺はスジリエの意図がよくわからず、とりあえず頷いた。

 促されるままにセルドゥを降り、街の石畳に降り立った瞬間、



「うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁーーーーーっ!?!?」



 と子供たちの、驚愕に満ちた歓声に包まれた。



「す……スジリエ様が、ペットになってる……!?」



「しかも、飼い主は平地族(グランドラ)だよ!?」



「ってことは……次の国王様は、平地族(グランドラ)になるってこと!?」



「この国始まって以来の、異種族の国王が、本当に誕生するんだ……!?」



「ついにこの国にも、変革の時が来たんだ……!!」



 なにやら只事ではないざわめきが、俺たちを包む。

 俺はどうしていいかわらず、オロオロしていたら、



「タクミ様、お進みください!」



 後ろから一喝された。

 見ると、スジリエが犬みたいに、四つん這いになっていたんだ。



「ええっ!? スジリエ!?」



 俺は仰天した。

 たしかにスジリエが俺のペットになって、こんな風に四つん這いになった彼女を、犬の散歩のように連れ回したことは何度かあるが……こんな大衆の前でするのは初めてだ。



「詳しいことはあとでご説明しますから、ひとまず王城までお歩きになってください! このままでは、民にしめしがつきません!」



 俺は今更ながら、大変なことに巻き込まれてるんじゃないか……と思いはじめていた。

 ここで逃げ出してもよかったんだが、スジリエからすがるような瞳を向けられて、俺はやむなく歩きだす。


 観衆はかなりの驚きを持って俺を迎えてくれたが、俺はそれ以上に驚いていた。

 なぜかというと……俺とスジリエの関係みたいに、普通に人間がペットとなって、四つん這いのまま連れ回されていたからだ。


 このハイラウト王国はペットテイミングで有名な国だから、ありとあらゆる動物やらモンスターのペットが街中にいる。

 でもその中に混ざって、当たり前のように人間のペットもいる。


 街中には、小学校低学年みたいな子たちばかりなんだが……首輪をつけた小さな女の子が、同じくらいの小さな女の子にリードを握られているんだ。

 しかも、動物みたいに全裸にさせられている子もいて、俺は直視できずにいた。


 あまりにも異様な光景に、俺はとんでもないところに来ちまったとドギマギするばかりだ。


 そして俺は、さらなる違和感に気づく。

 この街にいる子たちはみんな、女の子だということに。


 男の子っぽい格好している子もいるんだが、顔はどうみてもボーイッシュな女の子だ。

 男の子の姿はどこにもない。


「な、なぁ……スジリエ……」



 尋ねてみようと足元を見たんだが、



「……ああっ……民の前で、こんな格好をさせられて……犬みたいに散歩させられてるなんて……はふぅ……なんという屈辱……そして、かつてないほどの歓び……! ああ……! 時よ……! このまま止まって……!」



 スジリエはひとりで顔を真っ赤にして、ハァハァ言っている。

 俺の言葉なんて、ぜんぜん耳に届いてないみたいだ。


 俺も普通にやっちまってるが、よく考えたら……首輪をつけたブレザー姿の美少女を、鎖をつけて街中を引き回しているんだよな……。

 しかも、人目もはばからずに……!


 よ……よく考えたら……とんでもねぇことをやってるじゃねぇか……!


 他の土地でやったら、あっという間に衛兵に取り押さえられて、牢屋にブチこまれているような所業……!

 それ以前に、街の人からリンチにあってもおかしくないような、鬼畜の所業……!


 そ……それを……当たり前のように……!?


 も……もうワケがわかんねぇ……! 思考が追いつかなくて、頭がのぼせてきた……!

 視界もボンヤリしてきて、霞んでくるし……! さっきまでハッキリ聞こえてた歓声も、なんか遠くでワンワン鳴ってるし……!


 なんか……もうっ……どうにでもなれっ……!


 俺はもう、すべてを白昼夢だと思うことにする。

 ちょっと変わったペットを連れてるから、こんなに注目されてるんだ……と思い込みながら、割れた人垣の大通りを、ずんずんと大股で進んでいった。



  ◆  ◇  ◆  ◇  ◆



 異様な世界観に、最初は混乱しきりだったんだが……歩いているうちに、少しずつ冷静になれてきた。


 人をペットにするなんざ、俺にとっては異常なこと……でも、この国ではごくごく当たり前のことなんだよな……。


 俺は前世で、接待で初めてインドに行ったとき、カルチャーショックを受けた。

 でも、それはその国こそが持つ文化だと思って納得した。


 このハイラウト王国には、インド以上のインパクトがあったけど……でも、同じ国じゃねぇか。

 どっちも、そういう文化だと思えば……なんてことねぇ。


 ……そう考えると、あたりを観察する余裕もでてきた。

 さっきまでは観光どころじゃなかったからな。


 このハイラウトは岩山を削り出して作った王国だけあって、どこも景観は乾いた石で統一されている。

 それでも子供らしい可愛い飾り付けがなされ、行き会う人々も子供なので、街じゅうがお遊戯会をしているような和やかさだ。


 大通りである道は岩山をぐるっと囲むように伸びていて、壁側が店や住居、手すり側は見渡す限りの荒野が広がっている。

 かなり壮大な眺めで、これを見るだけでも旅にでた甲斐があったと思えるほど……実に見事だ。


 夕暮れになると、赤土が夕日に映えて、さらにすごい眺望になることだろう。

 それは何としても拝まなきゃな……と思っていると、頂上の城に着いた。


 城は開放されており、だれでも中庭に入ることができた。

 中庭には貴族の愛娘みたいな、ドレスで着飾った少女たちでいっぱいだ。


 例によって同じくらい歳の女の子を引きずり回していて……遠巻きにヒソヒソ話をしている。



「まぁ! スジリエ様もついに、ペットにおなりあそばされたのね……!」



「あの、どなたのペットにもならなかった、スジリエ様が、ついに……!」



「しかも飼い主は、平地族(グランドラ)の御方なんですのね……!」



「きっと、スジリエ様自らがペットになることで、他種族受け入れを拒んできた歴史を変えるおつもりなんでしょう……!」



「でも『ハイヴァスト王国』の女王様は、他種族の人間が飼い主になることを猛反対されてるんでしょう?」



「これはひと波乱ありそうですわね……!」



 俺はこの異様な国のしきたりにもすっかり慣れて、噂話も盗み聞きできるほどに余裕を取り戻していた。

 スジリエはスジリエで自分の世界に浸りきっており、体温調整する犬みたいに舌をだらんと出したまま、ハッハッと荒く息をしている。


 中庭を進んで城のほうへ近づいていくと、小学生がコスプレしてるみたいな可愛い近衛兵たちが飛んできて、



「お帰りなさいませ! スジリエ様! そしてその飼い主様! 女王様がお待ちです!」



 彼女らにより、うやうやしく案内され……俺とスジリエは城の謁見場へと通された。


 ……そこで俺はまた、持ち直した正気を覆されるような……衝撃の事実を目の当たりにすることになったんだ……!

次回、地底族(ロウキャス)の秘密が明らかに…!

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