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俺の指圧がチートすぎる  作者: 佐藤謙羊
第2章 ハーレム修学旅行にイッてきます!
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04 乱入! 死のダンスパーティ

 俺たちは、強制労働させられていた街の住民たちに話を聞いた。

 だいぶ前に街の衛兵たちが、リンドール学園を襲撃したテロリストを連行してきてから……この街はおかしくなったらしい。


 街の人たちはみな、テロリストは収監されるのかと思っていたのだが、そのまま放免となったそうだ。

 テロリストは衛兵たちと結託。武装集団『ビューティフル・ドーン』と名乗り、街を暴力によって支配しはじめた。


 住民は奴隷のような扱いをされ、男は強制労働、女はテロリストたちの世話をさせられた。

 最近は国からも独立宣言をするべく、街のまわりにバリケードを作らされているらしい。


 外部との玄関口でもある北門は、すでに要塞化しており……残るはリンドール学園に繋がる南門を工事させられていたとのこと。



「……アケミの仕業ね。アンタがあの時、やっつけておかないから……」



 俺に腰を抱かれながら、責めるような上目遣いを向けてくるシャラール。


 雅桜(がおう)暁美(アケミ)……。

 前世で『接待』の名のもとに、俺をさんざんいたぶってくれた女子高生専務。


 俺がこの異世界に来ることになった、直接の原因を作った張本人でもある。

 しかも後から俺を追って、この世界にやって来て……武装集団『ビューティフル・ドーン』のリーダーとして、リンドール学園を占拠しようとしたんだ。


 しかし俺は、直感していた。今回の件には、アケミは無関係であることを。



「いや、『ビューティフル・ドーンを』名乗ってはいるが……もうアケミは絡んでねぇだろうな」



 俺は自分の考えを素直に述べたが、シャラールは否定気味にフンと鼻を鳴らす。



「なんでそんなことがわかんのよ?」



「アイツは昔から飽きっぽいんだ。『ビューティフル・ドーン』というオモチャにももう飽きてる頃だろう。だからこの街の占拠もアケミの指示じゃなくて、残党が勝手にやってるだけだろうな。ガキの頃から見てきて、長いこと付き合わされてきたから……アイツのことは大体わか……イテテテテ! なんでつねるんだよ!?」



 話の途中で俺の頬を捻りあげておきながら、シャラールはふてくされるようにそっぽを向いていた。



「アンタの知った風な顔、気持ち悪い。見てらんないわ」



「な……なんだと!?」



 あんまりな言い様と、理不尽な暴力に俺はキレそうになったが……街の人たちの視線があったので、寸前で思いとどまる。


 俺たちと話していた住民のひとりが、しみじみと口を開く。


「しかし……こんな時でも片時も離れないだなんて……キミたちはすごいラブラブなんだなぁ……羨ましいよ。俺も母ちゃんと再び会えたら、同じようにしてやりてぇなあ」



 俺とシャラールは言葉では仲違いをしているのに、身体はずっと密着しているので、本当は深い仲なんだろうと誤解をさせてしまったようだ。


 まぁ、それはさておいて……俺はこの街を牛耳るボスがどこにいるか尋ねた。

 これ以上の情報は、ボスを締め上げて吐かせるのが手っ取り早いと考えたからだ。



「ああ……それなら中央広場にいるよ、日がな一日ダンスパーティをやってる」



  ◆  ◇  ◆  ◇  ◆



 俺たちは、街の中央広場へと向かっていた。

 広場へと通じる大通りは人気(ひとけ)がほぼなくて、店も全て閉まっていた。


 戒厳令が敷かれているような寂しさで、歩いているのはチンピラばかり。

 ヤツらは夜の街頭に吸い寄せられる蛾のように、シャラールに絡んできた。


 フラフラと近づいてきては、殺虫器の電撃を受けたようにバタバタと倒れていくDQN。

 俺とシャラールの通ったあとは、死屍累々となっていた。


 中央広場に近づくにつれ、軽快なダンスミュージックが聴こえてくる。

 でもその要所要所では断末魔のような悲鳴が挟まり、決して浮かれた雰囲気ではないことも伝わってきた。


 問題の広場では、噴水を改造したステージがあって、そのまわりでは住民たちがペアダンスを踊っていた。

 ステージの上には、玉座にふんぞりかえる男がひとり。ホストみたいな身なりで、装飾の施された短銃を弄んでいる。


 疲れてよろめいたダンスペアを見つけると、



「はい、失格~」



 と短銃を向け、ズトンと発砲。

 燃える弾が命中するなり、ペアはあっというまに火だるまになった。



「ギャアアアアアアアアアアアアアアアアアアーーーーーーーーーーッ!?!?」



 地獄の業火に焼かれているような、すさまじい悲鳴をあげている。

 火葬場のような嫌なニオイが、風にのって漂ってきた。


 ペアは両手両足を鎖で繋がれているようで、逃げられないようだ。

 お互いの身体をかきむしるようにしてもがき、苦しみ抜いたあと……黒い塊と化す。


 処理班らしいチンピラがやってきて、蹴飛ばすと……炭化した木像のようにボロボロと崩れ去っていた。

 残酷な処刑が行われたにもかかわらず、周囲にいる他のダンスペアたちは踊るのをやめない。


 どうやら踊るのをやめた時点で、同じ目に遭わされるようだ。

 叫び出したいのをこらえ、恐怖に震えながら踊り続けている。


 そんな死のダンスパーティを、俺たちは中央広場から離れた物陰から観察していた。



「外道め……無抵抗の人間に『クーゲル』を使うなんて……。でも、アイツがボスで間違いなさそうね」



 悔しそうに歯噛みをしながらつぶやくシャラール。



 『ザウバークーゲル』……通称『クーゲル』。

 魔力の込められた弾丸を発射できる銃のことだ。


 この世界の飛び道具といえば、シャラールの使うアーチェリーやクロスボウが一般的。

 ちょっと高価なものとしては、テロリストたちの使っていたダーツ発射装置である『リピーター』や『ランタスル』がある。


 そして最高級となるのが、この『クーゲル』だ。

 『クーゲル』の弾丸には強力な魔力が封じ込められていて、命中した対象に魔法を当てたのと同じ効果を与える。


 この世界にある魔法は強力なものなんだが、使うには専門知識が必要なうえに、精神統一や呪文詠唱が必要で、いろいろ大変なんだ。

 でも『クーゲル』であれば、弾を込めて引き金を引くだけでOK。


 魔法の強力さと、銃の手軽さを併せ持つ武器……それが『クーゲル』なんだ。


 欠点としては高価ということで、小金持ちくらいじゃ弾も買えないほど高い。

 なので持っているのは王族か、貴族くらい……したがってシャラールの言うとおり、アイツがボスであると判断して間違いないだろう。



「おい、シャラール。お前、ダンスはできるか?」



 尋ねると、シャラールはいつものように鼻を鳴らす。



「フン、アタシを誰だと思ってんのよ。由緒あるスパーク家の人間よ」



「よし、じゃあいくぞ」



 俺はダンスのステップでシャラールを押し、物陰から飛び出す。



「えっ? な、なにするつもりよ?」



「決まってるだろ、パーティに参加するんだ」



「ええっ!? ちょ……!? 普段は手も繋げない腰抜けのクセして、何でこんな時だけ大胆なのよっ……?」



 シャラールは戸惑っていたが、俺がリードするように空いているほうの手を取ってやったら、覚悟を決めたようだ。



「ああっ、もうっ! こうなったらヤケよ! それよりもアンタ、ちゃんと踊れるんでしょうね!?」



「……前世の接待で、アケミに強要されて本物のメスゴリラと踊らされたんだ。それで少しなら踊れるようになった」



 俺の告白に、プッと吹き出すシャラール。

 身体が少し強張っていたのだが、一気にリラックスしたようだ。



「なによそれ……まぁいいわ、ちゃんとリードしてよね」



「もちろんだ。いくぞ……! 踊りながら、ボスに近づくんだ!」



「オッケー!」



 俺たちはクイックステップのリズムにあわせ、ダンス会場に飛び込んでいく。

 慌てて処理班のチンピラが止めに入ろうとしたが、



「……おおっ? 飛び入り参加ぁ? うぃーねぇ! おい、邪魔すんじゃねぇ!」



 ボスの氷結弾によって、氷の彫像に変えられていた。

この世界にはいくつかの種族が存在していますが、『人間』というのは全ての種族をひっくるめた表現となります。

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