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俺の指圧がチートすぎる  作者: 佐藤謙羊
第2章 ハーレム修学旅行にイッてきます!
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03 瞬殺、街のチンピラ

 予期せぬハプニングに見舞われたものの……俺とシャラールは再びダンスのように身体を密着させ、旅を再会した。

 そして日も高くなってきたころ、最初の目的地である『サンロックの街』に到着する。


 俺の通っている『リンドール学園』から歩いて往復できる距離にある、唯一の外界といえる場所だ。


 他の街と比較したわけじゃねぇが、この街はおそらく小さい部類に入るだろう。

 でも異世界に来て間もない俺にとっては、学園とこの街が世界のすべてだ。


 だが今回は修学旅行なので、さらに足を伸ばして見識を広げるつもりでいる。

 まずは食堂あたりで昼飯でも食って、次の目的地を決めるとするか。


 期待に満ちた足取りで、街の中へと入っていく俺たち。

 しかし出迎えてくれたのは、不穏な空気だった。



「おらっ! 早く組み上げろ! モタモタしてんじゃねぇ!」



 俺たちは南の入り口から街に入ったのだが、そこではバリケード建設の真っ最中だった。

 住民らしき男たちが、チンピラみたいなヤツらにこき使われている。



「サボってんじゃねぇぞ! おらっ!」



 動きが止まるたびに殴り飛ばされ、尻を蹴り上げられている住民たち。



「ぎゃっ!? ちょ、ちょっと動きを止めただけじゃないか……!」



「す、少し休ませてくれ……ずっと働かされてるんだ、もう、限界だ……!」



 俺は最初、厳しい工事現場なんだろうと思っていたんだが……ふと目にしたやりとりで、雇用関係でないというのがわかった。

 どうやら住民たちは、強制労働をさせられているようだ。


「うるせえっ! この街はすでに『ビューティフル・ドーン』の占領下になったんだ! 捕虜のお前らは、家畜同然……! 死ぬまで働かされるんだよ! わかったらさっさと動けっ! おらあっ!!」



「ぎゃあっ!? や、やめっ!?」



「や、やめてくれぇえ……! 本当に、本当に死んじまうよ……!」



「それがどうしたっ! お前らの命なんざ、便所の紙ほどの価値もねぇんだよっ!!」



 俺は、ふりかぶったチンピラの腕を、背後から掴む。

 チンピラの言葉に、聞き捨てならない単語が含まれていたからだ。



「おい……貴様……いま、『ビューティフル・ドーン』とか言ったな?」



 俺の言葉に、振り向くチンピラ。



「あぁん? なんだテメェ!? 文句あるってぇのか!?」



 俺が因縁をつけていると思ったのか、仲間のチンピラたちが持ち場を離れて集まってきた。

 取り囲んできたのは、ぜんぶで五人。


 どいつも上半身裸で、マッチョな身体にタトゥーを刻んでいる。

 視力が低いのかと誤解しそうな目つきの悪さと、粗暴そうな振る舞いも標準装備。


 他者を威圧することにかけては余念のない、絵に描いたようなオラオラ系のDQNどもだ……!



「テメェ、見ねぇ顔だな……この街の人間じゃねぇな?」



「ヒョロいくせして、イキがってんじゃねぇよ、少年……!」



「へへっ、女の前だからって、調子こいてんだろ!」



「でも内心は、相当ブルってるみてぇだな! こっちのブスも……あ、いや……すっげぇいいオンナじゃねぇーか!」



「マジかよ!? おい、そんなダセェのより俺とつきあえよ! 何倍も気持ちよくしてやるぜ!」



 腕を掴んでくるチンピラに対し、シャラールは彼ら以上のガラの悪さで吠え返す。



「なによこのドチンピラ! ハエにもなれないウジ虫のクセして、気安く触んじゃないわよっ! ウジ虫はウジ虫らしく、肥溜めにでも引っ込んでなさいっ!!」



 チンピラどもは揃って「なんだとぉ!?」と怒りを露わにする。


 ……薄々思っていたのだが、シャラールはDQNと同レベルのようだ。

 態度の悪さとか融点の低さとかソックリだし。



「テメェ……下手に出てりゃ調子に乗りやがって……!」



「かまわねぇ、やっちまおうぜ! 男はブッ殺して、女はマワして……ぎゃっ!?」



 チンピラのアゴに、シャラールのアッパーカットが決まる。

 手の速さはDQN以上だ。



「グダグダいってないで、かかってきなさい! 全員肥溜めに叩きこんでやるんだから!!」



 シャラールは俺から離れようと、繋いだ手をグイグイと手を引っ張りはじめた。



「……って、離しなさいよアンタ! 止めんじゃないわよ! まさかコイツらの言うとおり、本当にビビってんじゃないでしょうね!?」



 俺は別に、そんなつもりはないんだが……見た目は完全に、俺が腰を掴んで制止している格好だ。



「……お前、自分で接着したの忘れたのかよ……でも、まぁ、この程度の相手なら、片手でじゅうぶんだがな」



「なんだとぉ!?」



 またしてもハモり、襲いかかろうと構えをとるチンピラども。

 俺は挨拶がわりに手近なヤツの首筋を、くっついていないほうの手……右手のひとさし指でドスッと突いてやった。



「あぁん? ……あっ……あれ……!? れれっ!?」



 突如としてチンピラの瞳が、高速で左右に行ったり来たりしはじめる。

 文字通り目が白黒していた。


 『ローリングサンダー』……耳の外側にある、聴宮というツボ。

 刺激してやると、三半規管がおかしくなって……高速回転するコーヒーカップに無理矢理乗せられているかのように、世界がグルグル回り続けるんだ。



「あれぇっ!? なっ、なんで!? ま、まわ……る……!?」



 そのまま発作を起こしたように、バタンと倒れるチンピラ。

 それでも瞳の動きは止まらず、口から泡を吹き出している。



「て……テメェ!? 一体なにしやがった!?」



 これにはさすがにビビったようで、チンピラどもは一歩後ずさった。



「大丈夫、殺しちゃいねぇよ。ただ、しばらくはこのままだがな。同じ目に遭いたくなけりゃ、大人しくしてろ」



 一応、俺なりの気遣いのつもりだった。

 俺はコイツらが『ビューティフル・ドーン』とどういう関係か、聞ければいいだけだ。


 それまでは、殺すのはナシだ……まぁ返答によっちゃ、その限りではねぇがな。


 ちなみに『ビューティフル・ドーン』ってのは、リンドール学園を襲ったテロリスト集団の組織名。

 大ボスが因縁のあるヤツなので……俺としちゃその名前を振りかざすヤツを、野放しにしておくわけにはいかねぇんだ。


 理性的な答えを期待してたんだが、



「くそっ……どうせハッタリだ! こんなヒョロいヤツにナメられてたまるかよっ! やっちまえーっ!!」



 チンピラどもは軽薄な強がりを見せ、襲いかかってくる。

 俺はすぐさま、猫みたいなパンチを繰り出し続けているシャラールを抱きしめた。


 シャラールの顔が、俺の胸に飛び込んでくる。



「むぐっ!? な、なにすんのよっ!?」



「いいから、お前はじっとしてろ!」



 俺はシャラールを抱きすくめ、戦闘開始。


 人ひとりを抱えているせいでかなり動きにくいが、飛んでくる拳が当たらないように身をかわす。

 俺も学園では戦士科……それも格闘術部に所属してるから、少々のハンデがあっても、こんなチンピラの喧嘩パンチくらいだったらよけられる。


 大振りのパンチをかいくぐりつつ、カウンターで『ローリングサンダー』を叩き込む。



「う……うわあっ!? な、なんだこれ!? なんだこれぇ!?」



「めっ……目がぁ!? 目がああああああああっ!?」



「ま……まわるぅぅぅぅーーーーーーーーーーっ!?」



「うわああっ、とめて! とめてとめて! とめてええええーーーっ!?!?」



 電流に痺れたようにガクガクと痙攣しながら、栓を抜いたシャンパンのように派手に泡を吹いてブッ倒れていくチンピラたち。


 戦いの様子をおそるおそる見守っていた街の男たちは、唖然となっていた。



「す……すげぇ……」



「俺たちが手も足も出なかった、格闘最強の五人衆を、一瞬で……!」



「それも、指一本だったぞ……!?」



「あ……あんな技、初めて見た……! スカッとしたけど……いったい何者なんだ……!?」



「き、きっと、武術の達人だ! 俺たちの想像すら及ばねぇ、相当な使い手に違いねぇ……!」



「達人……!? そ、そうだ……あの人なら、この街を救ってくれるかも……!?」



「きゅ……救世主だ……! 救世主様が現れたぞぉーっ!!」



 なにやら好き勝手なことを言い合い、盛り上がっている男たち。

 そして俺の胸からは、うなり声が立ちのぼってくる。



「うむぅ~っ!? 終わったんだったら、離しなさいよぉ~っ!?」

次回、死のダンスパーティへ乱入!

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