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武龍伝  作者: とみぃG
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77 女子会

挨拶も済んだところでエリン達に食事を振舞った。昼間は豪勢な昼食を食べていたのを考慮してあっさりした食事ではあったが、夏バテなどの食欲不振な際にでも食べれる料理としてリュウがメニューを教えていたものをアレンジして出した。基本的に和食は出汁を取ったり下準備に時間を掛けるが、あっさりした料理でも味が染み込んでいれば豊かな味に変わるのだ。

竜田揚げを大根おろしとポン酢で味付けしたものや、筑前煮、揚げ出し豆腐などを献立として選んだ。


これらの和風料理はエリンも初めての味付けで昼間の洋風料理とは異なった食べやすさがあるのに驚いた。


デザートには柚子シャーベットを用意した。魔導具でシャーベット状に凍らせているので冷たくて美味しい。ガラスの容器にもよく合っていた。


食事をしながらクリスやソフィア達からリュウのことを狙っている女性について説明を受けた。

今一番の候補はギルド会頭のナターシャとグルメ食堂の社長のパトリシアらしい。その他にも歓楽街の経営者やモノローグの秘書、ギルドの職員なども狙っているらしい。

何もリュウと面識のある者ばかりでない。貴族としてもこれ以上の良縁はないので絶えず申し込みが来ている。何とか接点を持たせて有利に運ばせようとしているのだが、リュウが多忙で不在が多く、魔族襲来という騒動もあってなかなか実現できていなかった。

そういった者達も含めると妾希望者は100人以上はいると思われる。今後、南北の行き来が盛んになれば他種族の申し込みが殺到することは目に見えている。


エリンとしては何としても南の大陸の種族第一号となることが目標だった。この先エルフだけでなく、ドワーフや獣人が参入してくることを考えると先行していると油断はしていられない。


とは言え、いつでも妾になれるという訳でなく、上位の貴族であるため、ある程度のタイミングが必要となるらしい。

輝かしい実績とマキワへの貢献を考えると近いうちに侯爵への位の昇格があると思われるのでその際に枠を増やす事が一番現実的かも知れない。


先輩のアドバイスでリュウはあまり積極的に迫ることを好まないと聞いたので奥ゆかしさを出す戦略に切り替えようとエリンは思った。


みんなの提案もあって今夜はエリンとメアリーには泊まってもらうことにした。既に客室の用意は済ませてあるので問題はなかった。

タイラ家では来客用の客室だけで10部屋あるので突然の来訪でも問題ない。ホテルの客室係りにも劣らぬメイドの接待スキルでサービスも万全だ。全自動の室内の備品や食事などを含めると今まで泊まってきたホテルよりも高級で居心地が良いかも知れなかった。


その夜は女性陣がみんなでエリン達を囲んでお菓子を食べながら女子会の様な座談会で盛り上がったみたいだ。


リュウは疲れていたので我関せずで一人でゆっくり寝る事が出来た。



翌日、午前中にリュウはローグでの用事を全て片づけ、午後から南の大陸へと出立することとなった。

先ずはトンネル工事を進めるためにドワーフと会って同意を得る必要があるのだ。トンネルの開通場所はドワーフとエルフの里の中間地点となるので両方の同意が必要なのだ。


食事を済ませてからクリスにエリンとメアリーを連れて領主への挨拶に同行をお願いしている。まだ体に影響が出ていないとは言え、クリスに無理をさせる訳にはいかないので自家用ホバーに使用人も同行させて送迎を行うことにした。


エリン達は昨日の女子会での仲間意識が芽生えたのかすっかり皆と仲良くなって溶け込んでいた。情が通えば別れも辛くなる。一日だけの訪問だったがそれ以上の時間を共にしていた様な感覚があった。

エリンはトンネルが開通したらまたすぐに遊びに来るからと約束をした。


リュウはしばらくローグを留守にするためギルドへ行きナターシャとアカデミーの講師の件と大臣達が主幹となる旨を伝えた。もう少し先の話にはなるが、何れ南の大陸にもギルドの範囲が及ぶこととなるので現地のギルドとの連携も少しずつ行っていく必要があるのでそれについてもリュウを通じて進めることにした。


アカデミーについては三ヵ月後の正式な開校に向けて、体験入学会を実施し、各国への宣伝も同時にすることを決めた。諸外国に向けては政務大臣が宣伝や広報の協力してくれる予定だ。


用事を済ませたリュウは官邸に出向き、領主への挨拶を済ませたエリン達と合流した。


エリンに同行していたクリスがリュウに声をかけた。


『あなた。またしばらくお会いできませんね』


『そうだな。いつも寂しい思いをさせてすまない』


『いいえ、あなたはこの国ために誰よりも尽力下さっているのです。それに不満を言うと罰が当たってしまいます。でも、ありきたりですが、決して無理をなさらないで下さいね』


『うんわかった。そのお腹の子の為にも無理はしないと誓うよ。クリスも身重の身体となったのだから無理は禁物だぞ。料理とか家事もメイドに任せる比率を上げるといい』


そう言うと夫婦のしばしの別れということでキスをした。


それを見ていたエリンはうらやましそうにしていたが、ここで冷やかすとマイナスポイントになりかねないと見て見ぬフリをすることにした。


『あのう、お二人様。すごくお熱くてうらやましいのですが、私達もいることをお忘れなく』


あまりに長い時間の口付けだったので見かねたメアリーが声を掛けた。


『すまない。待たせたな。それじゃあ、行ってくる』


『いってらっしゃい、あたな。お気をつけて』


エリンとメアリーも見送るみんなに手を振った。


そしてリュウの空間転移であっという間に南の大陸へと飛んだ。


飛んだ場所はリュウが一番最初に来た北の海岸だった。


ドアーフの里に行くには森林を通るのが一番近道なのだが、歩行ルートを考えると何もない海岸ルートが早く辿り着くことが出来るのだ。

森林だと徒歩での移動になるが、海岸だとホバーでの移動も出来るので海岸ルートを選んだ。

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