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武龍伝  作者: とみぃG
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76 自宅へ招待

モノローグ工房で職人達と話をしていたリュウは時間を忘れて今後のビジョンを語り合った。外は既に日が落ちて薄暗くなっていた。


ふとリュウはエリン達をそのままにしておいた事に気づいた。

別に放置した訳ではなく、リュウ達が昼食会の後で会議を行う為、その後は別行動となっただけだ。しかし、長時間そのままにしておくのも良くない。とりあえず、二人の宿に顔を出すことにした。


ホテルの部屋に行くと二人は既に普段着に着替えており、部屋で寛いている様子だった。どうやら夕食を何にするか話し合っていたらしい。


『今日の昼食会のスピーチ、なかなか良かったぞ。メアリーも人気者だったな』


『私は伯爵の用意した原稿を読んだだけですから。それにしても伯爵のこの国での影響力は予想外だったわ。もう何でもアリって感じよね』


『伯爵様、凄く凛々しくてカッコよかったですよ』


エリンとメアリーは長時間の緊張から解放されたせいか凄く上機嫌な感じだった。


『そうか?ありがとう。ところで夕食の話をしてたみたいだが、今晩は家で食事しないか?』


『伯爵の家に招待してくれるの?もちろん行きます』


『私もいきたいです』


クリスには事前にお客を招待するかも知れないと伝えてあるので恐らく用意をしてくれているだろう。


『それじゃ、支度をしてくれ。お腹も空いてるだろうからすぐに出かけよう』


『昼間は緊張してあまり食べた気がしなかったので今すごくお腹が空いてるのよ』


やはり異国での大役を果たすというのが重荷だったエリンは食事は喉が通ったが、じっくり味わうというのが出来なかったのが美味しい料理の数々だっただけに残念だった。


乗用ホバーに二人を乗せて自宅へと向かった。

官邸と家までの距離は2キロメートル程度ですぐに着く距離だ。

居住区の中では一番近い距離にある。何しろ自分で区画を整理したのだから一番利便性の良い場所を確保するのは当然だ。


ホバーを自宅駐車スペースに停めて、二人を玄関まで案内した。

玄関にはリュウの到着に気付いたメイドが待っていた。


『お帰りなさいませ、ご主人様。

 お客様もようこそお越し下さいました』


メイドは丁寧な挨拶をすると二人を客間へと案内した。


リュウは一旦着替えするために自室へ向かった。


エリン達は案内をされながらリュウの家の大きさと初めてみる調度品の数々に驚いた。

それもそのはずだ。ここでは一般では決して手に入れることが出来ない賢者の石で出来た魔導機器がそこら中に置いてあるのだから。

非売品だが、売りに出せば一つ一つが天文学的な価格で競り落とされることは確実な代物だ。


メイドは来客には慣れているが、エルフとフェアリーという初めて見るお伽の世界の住人を目の当たりにして緊張している様だった。

でも、彼女はプロなので決して表面には出さないでいた。あとでメイドの控室で皆に自慢してやろうと思いつつ。


『こちらでお待ちください』


メイドから案内されたのはゲスト用に作られた部屋だった。

外の壁は一面がガラス張りになっている。ガラス自体が珍しい世界なので初めて見て驚かない者はいない。


『わあ、これ透明の壁?すごいわね』


『お部屋の外が見えるなんて凄いです』


メアリーは羽をパタパタさせながらガラスに手を着いて外を眺めている。すごく愛らしい光景だ。それを見ていたメイドもこんなに可愛い生き物がいるのかと思い、また自慢のネタになると考えた。


『ようこそ我家へお越し下さいました。タイラの妻のクリスティーヌです』


クリス達がゲストルームに続々と入ってきた。


『初めまして。お招きに預かり光栄に存じます。エルフのエリンです』


『初めまして。フェアリーのメアリーと申します』


初めて見るエルフとフェアリーに皆も驚き興奮した。


『わあ!ほんとに妖精さんだ!可愛い!是非欲しい!』


『こらこら、失礼なことを言うでない。それにしてもエルフの透き通る白い肌もそそるのう』


『もう、鈴鳴さんまで!申し訳ございません。皆はじめてお目に掛かる種族なもので』


ユリンと鈴鳴の失礼にフォローを入れるソフィアだった。


『待たせてすまない。ん?もう顔合わせは済んだみたいだな?』


『はい、今ご挨拶をしていたところです』


着替えを済ませたリュウがゲストルームに入ってきた。


エリンは目の前の女性5人が何者なのか気になった。


『えっと・・・クリスティーヌさんが奥さんで、こちらの方達は・・』


『私達もリュウ様の妻ですよ』


エレノアが答えた。


まだ挨拶の途中だったので他四人がリュウの側室であること、それぞれのこの国での立場などを説明した。


覚悟はしていたが、エリンが妾になるということは社会的にも認められる必要がある。ここに居る人達は立派に社会貢献している人達なので勝ち目のないエリンは焦る気持ちを抑えた。


『私も伯爵の側妻に立候補いたします!』


突然エリンが血迷ったかの発言をした。リュウは周りの反応が気になった。


『あらあら、ここにも病にかかった患者がいるようですね』


『実現させるには相当大変だと思うけど頑張ってね!』


エリンは自分の爆弾発言でこの場が荒れるかと思ったのだが、むしろ応援までされるとは思いもよらなかった。


あの伯爵の妻と成れる人達なのだから一筋縄ではいくはずがない。エリンは唖然としながらもそう思った。

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