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武龍伝  作者: とみぃG
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71 ギルドの役割

時間は既に夕刻となっており、エリン達を案内していたナターシャは役目を終えてギルドへと戻っていた。


ギルドを訪れたリュウは受付に一言断ってギルド長の執務室へ直接足を運んだ。ギルド長への訪問に際してリュウはいつでも執務室に入る許可をナターシャから得ており、職員にもその通達が出ているので誰も気に留めることなくリュウは執務室へ行くことが出来た。


『今日は一日ご苦労様。押し付けたみたいで悪かったな』


リュウはナターシャに労いの事がを掛けると共に案内役を引き受けてくれたナターシャに感謝した。


『ほんとに疲れたわ。あの二人、どこに行っても注目の的で人だかりの山だったのよ。あなたにも見せたかったわ。まあでも、母に会わせてくれた恩から比べたら大したことじゃないわ。私もあなたに心から感謝してるのよ』


『まあでも、今後俺の計画が上手くいけばお母さんにも会いたい時に会えるようになるぞ』


『大陸間を繋ぐ話ね。それに関しての話でここに来たんでしょ?』


『相変わらず察しがいいな。南北の大陸を地下トンネルで繋いで交流を開始する上でギルドの役割が重要になってくるんだ。聞きたいのは南の大陸にもギルドはあるのか?』


『そうね。私もギルドの会頭なんだけど、あくまでも範囲として北の大陸に限ったものなのよね。南の大陸にもギルドはあったわ。組織の構成や運営がどうなっているのか細かな事はわからないけど、私の住んでいたエルフの里にもギルドに近いものはあったと記憶してるわ』


『そうか、もしあれば話は早いんだ。今後南北間がギルドの活動範囲となる。大陸を跨いでの依頼案件が増えることが予想されるし、犯罪者の情報交換も密に行う必要がある』


『結局私の仕事が増えるわけね。まあ、私としては個人的にも南北が繋がった方がうれしいから拒否する訳じゃないんだけどね』


『今日の頼みというのは先ず北の大陸の国同士をまとめる必要がると感じている。ここがバラバラでは南の大陸が繋がった際にいろいろと問題も起こり得る。そこで各国の統制がとれているギルドを主体として動けば話がはやくまとまると思ってな』


『まあ、言いたい事は判るわ。でもギルドは政治には口出ししないのが基本なのよ。外交についてはその国の政府の判断になるのでギルドとしてはそこを飛び越えては動けないわ』


『うん、それは理解している。ギルドからは交流の呼びかけというか、依頼の連携を通じて外堀りから固めていって欲しいんだ。ガゼフ帝国もイスタスも戦争を止めたがっている。今回の件が戦争終結のきっかけに出来るかも知れない。

だが、一番気になるのはランドワープ王国だな』


『ランドワープって、マキワの北西にある貴族が中心で動かしているあの国よね?』


『そうだ。その貴族が好き放題やっていて農民達が反乱を起こしそうな気配がある。そうなると魔族に付け入る隙を作ることとなるし、どこに飛び火するとも限らないからな』


『そんなことになっているのね。ギルドのランドワープ地区へも注意喚起しておくわ』


『ああ、そうしておいた方がいい。それと、地下トンネルを掘るにあたっていろんな依頼もギルドへお願いするつもりなのでそっちの方も宜しく頼む』


『職業斡旋の方かしら?』


『それもあるが、膨大な物資が必要となる。調達依頼も含めてお願いしたい』


『いずれにしても人や物が動くってことはマキワが潤うってことだから大歓迎だわ』


今でもローグの成長度合いはかなりのものなので各国各地方から仕事を求めて人々が集まってきている。更に商人も目ざとく材料や道具をローグに持ち込み、それを売ったお金でローグ産の商品を国に持って帰るという形で流通も盛んになっているのだ。


『それとこれは全く別の話になるのだが、このローグにアカデミーを建設している事は知ってるよな?もう既に完成しているのだが、そのアカデミーの講師をギルドから派遣してもらいたい。通常の学問から軍の戦闘、ハンター業、職人技術、医療など専門分野に分けて揃えて欲しいんだ。揃い具合で初年度のクラスを決めたと思っている』


『アカデミーの話は聞いていたけど、講師や分野がまだ未定だったとは段取りの良いあなたにしては意外だわね。で、いつまでに揃えればいいのかしら?』


『魔族の件があったのでアカデミーが後回しになってしまったんだ。建設だけは進めていたんだけどな。そうだな、出来れば一ヵ月以内で頼めるかな?その範囲で集まった分野で初年度はいくことにする。とにかくスタートできればそれでいい。上手くいけば来年はエルフやドワーフの生徒が来るかもしれないぞ』


『ああ、わかったわ。トンネル開通時までにアカデミーを開始させて南の大陸へのアピールに使いたいのね』


『その通りだ。子供は柔軟だからすぐ溶け込むからね。まずは子供たちの親交を深めれば大人も少しずつ柔軟になっていく筈だから』


『ほんと、あなたって抜け目ないというか、よくそこまで思い付くと思うわ。一人の人間の出来る範囲を逸脱してるわよ。まあ、あなたは神に近い人間だったから出来たのかも知れないけれど』


ナターシャは飽きれ顔半分、笑い顔半分だった。


その後リュウはナターシャと細かい打ち合せを行ったりして終えた時には既に夜も遅い時間だった。


リュウは差し入れとしてグルメ食堂のサンドイッチを執務室まで配達してもらった。ギルドの職員もまだ残っていた者もいたのでその者達の分もあわせての大盤振る舞いだ。思いがけない差し入れに職員一同歓喜した。


『今日は本当に忙しい一日だったな。さてと家に帰るとするか・・・』


家に帰ったらクリス達に近況報告と、偵察から帰ってきたユリンを労う事とかいろいろまだ役目が残っていることを思い出してゲンナリしてしまった。


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