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アニマルユートピア・ワールドコネクション  作者: 牧屋へいり


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15.エリア決め

 どうしてこうなった。



 【 エリア「北極海―第一氷上地点」 】



 通称氷の平原。


 見渡す限り何もない、ちょっと小高い丘の上。


 隠れる場所がひとつもないし、水場への逃げ道もない。


 ぶっちゃけ私は絶対に近寄らないエリア。


 動物たちが仲良く円を作っている。


 文字面だけは平和そうだけど、メンバーは……


 ホッキョクグマ、ブラックマンバ、ユキヒョウ、ハクトウワシ、タイヘイヨウセイウチ、タイセイヨウセイウチ、ハナモグラ、アズマモグラ、トウキョウトガリネズミ、そしてイワトビペンギン。



「ひぃ、ふぅ、みぃ……十人来ていりゃ十分か」

「まぁねぇ、掲示板頻繁に見ているやつぁ少ないよねぇ」

「観てる間に死ぬからねキャハハ」



 ホッキョクグマのゴウキさんが皆を数え、溜息交じりに毒蛇のダークウイングさんが話すと、ユキヒョウのトゥ・メイドさんが笑った。


 みんなどこかで見たことのある顔。襲われたりしたこともあるけど、今そういうのは無しだ。


 何かしようとすれば、他の皆が一斉に攻撃することになってる。


 といっても、私含めたハナモグラ以下四名は被捕食者なので何も出来ないけど。


 今回みんなが集まったのは、昨日みっちぇるちゃんが話していたイベントについてだ。


 前々から掲示板で呼びかけられ、私はみっちぇるちゃんからそれを聞いたので知った。



 【 エネミー「神速鯱ゴッドオルカ」を捕捉しました 】



「あ、タイムです」

「なんだペンギン」

「オルカ来ます」

「ああんっ!?」

「クマさんの真後ろ、真っ直ぐ来ます」



 ズドンッ!



 【 エネミー「神速鯱ゴッドオルカ」が去りました 】



 ホッキョクグマが飛んできたオルカを受け止め、みんなが一斉に逃げる。


 クマさんは50メートルくらい引きずられた後、吹き飛ばされたけど、ハクトウワシさんが空中でキャッチして元の位置に戻してくれた。



「うわぁ……生きてるぅ……」

「チッ、殴り損ねた……おい、ペンギン」

「あ、はいっ。シオンです」

「お前、よく気づいたな」

「センスあるので」



 毒蛇さんとユキヒョウさんが同時に噴き出した。



「キャハハ、あんたセンスないもんねぇ!」

「いやぁ、力任せのクマさん怒らせちゃダメですよぉ、いくら事実でもぉ」



 よくもまあ、あのクマさんを笑えるよね。


 セイウチコンビはのんびりしてるし、チームもぐらは世間話してるし。みんな自由だね。



「ゴウキ殿」



 うおっ、めっちゃ渋い声。ハクトウワシさんだ。名前はシノモリさん……本名じゃないよね?



「こうして集まったのは、え(イ)べ(ベ)ん(ン)と(ト)の戦略を立てるため。時間をかければ先ほどのように悪魔の鯱に邪魔されてしまおう」

「ああ、そうだな。っつーっても、ほぼほぼいつも通りだ」



 今回初めてなんでいつも通りが分かりませーん。



「アノネ、守備チームと攻撃チームに分かれるの。といってもウキョーさんとサキョーさんがいるから、みんな安心して攻撃チームに行けるんだよね」



 ん? 安心して攻撃チームに?


 それじゃあまるでみんな戦いたいみたいじゃないの。



「みちえる殿。今回のえ(イ)べ(ベ)ん(ン)と(ト)に限って言えば運搬役も必要でございます」

「アレレ? 現地回収できないの?」

「え(イ)べ(ベ)ん(ン)と(ト)の詳細を確認されると良いでしょう」

「ナルホド。コイノボリが一定数残ってると侵略判定になっちゃうのか。エリアからとにかくコイノボリを減らさなきゃなんだね」

「左様」



 よくわからん。



「キャハハ、とにかくあたしらはコイノボリを狩って狩って狩りまくればいいんでしょ」

「そうだな。シノモリさん。運搬は任せて良いか」

「無論」

「ウキョー、サキョー、お前らは自陣のコイノボリ殺したらシノモリさんへパスしな」

「「あいあい」」



 なんか話がトントン拍子に進んでる。



「で、ここからが本題だ。おい。どこ攻める?」

「キャハハ、あたしは密林エリア。あいつら前回のイベントであたしをリンチしたからね。復讐しなきゃ収まらないよ」



 こわい



「僕はねぇ大海原ぁ。僕の毒が海を汚すんだよぉ。みんなを溶かして食べてしまうんだぁ、ああ、最高ぅ」



 こわい



「ハイハイ、あたしは砂漠エリア。砂上の楼閣って言うけど、どこまで巣(キャンプ)つくれるかやってみたい」



 あ、なんか楽しそう。



「デネデネ、迷い込んだプレイヤーを生き埋めにするんだっ」



 こわい。


 あれ? みっちぇるちゃんそんな感じなの?


 と、驚いている間にみんながどんどんエリアを決めていく。



「ペンギン、てめぇはどーすんだ? 早い者勝ちだぞ」

「えーっと……被っても良いですか?」

「ここに来てねぇやつも参加するんだ。被るのは問題ねぇ」



 確かにそうだね。ならみっちぇるちゃんと同じ場所にしようっと。



「じゃあ――」

「だが、わざわざこの場で言ってんのはなぁ、「俺の狩りの邪魔すんな」って意味だからな?」

「え?」

「被せるってこたぁ、喧嘩売ってるって意味だからな」

「あ、でも」



 みっちぇるちゃんは気にしないよね?


 ……みっちぇるちゃん? どうしたのその顔。こわいよ? え、本気? 邪魔するなってこと? すごい怖い顔してるよ。なに、みっちぇるちゃん、いつもの優しいみっちぇるちゃんどこ?



「あ、じゃあ、火山で」

「そうか。火山か。俺も火山に行くつもりだ」

「はあ!? 被せてくるじゃん! 早い者勝ちじゃないの! なに! クマさんって意地悪なの!?」

「喧嘩売ってんだよ。お前に買えるとも思えねえがな、」

「むむむむむ!」



 なんなん! こんな横暴許されていいんですか、みっちぇるちゃん! みっちぇるちゃん? なにそのガンバレッて顔はなに?



「まぁ、鉄腕熊(ゴウキ)は唯一横暴が許されてるからねぇ」

「隙見せたらいつでも殺すけどね、キャハハ!」

「おうおう、殺してみろ殺してみろ」



 仕方なく、私は残された中から草原エリアを選択することにした。


 こんな殺伐とした動物たちがいないエリアなことを祈ってる。



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